第37話 永遠の地獄

 

久石千鶴(29歳、国家公安庁捜査官)は宇宙母艦オリンポスの一室に監禁され、麻薬の禁断症状に苦しんでいた。真藤組の事務所で左手の小指とクリトリスを詰めさせられた後、1ヶ月シャブ漬けにされ、暴行を受け続けていたのだ。警察に恨みを持つ組員は多く、真藤組と関係のある全国のヤクザの幹部たちが、わざわざ、捜査官である千鶴をなぶりものにするためだけに出張してきたりもしていた。連日、入れ替わり立ち代り地下室を訪れるヤクザたちに殴られ、それでも、千鶴は頭を下げて、必死に許しを乞うた。数々の武術の達人である千鶴が本気になれば、例え数十人のヤクザが束になってかかろうとも、勝てる自信はあったのだが、ネオガイア星人にはめられた首輪爆弾の起爆装置を止めるには、心からヤクザたちに許して貰わなければならなかったのだ。ようやく転送ビームで宇宙母艦に回収されたとき、千鶴は全身痣だらけの、骨と皮だけの体になっていた。ピタゴラス博士はそんな瀕死の千鶴を碌な治療もせず、無造作に実験体を監禁するための狭い船室に放り込んだ。

「ああ、クスリ。クスリをちょうだい!クスリをくれるなら、あたし何でもするわ」

幽鬼のような顔になった千鶴は、かつての誇りもプライドも捨て、ひたすら、禁断症状に苦しんで、全裸で部屋の床をのたうちまわっていた。千鶴の両手は部屋のドアを破ろうとして何度も殴りつけたため、皮膚が破れて血だらけになっている。また床をかきむしったために、無惨にも指の爪もはがれている。しかし、ほったらかしにされた千鶴の外部との接触は、一日一回アンドロイドが持ってくるチューブ入りの宇宙食を、ドアの小窓から受け取る時だけであった。

(うう、苦しい・・・惨めだわ。銀行強盗までやらかして、何の罪もない市民を二人も殺してしまった。もう、元も生活には戻れない!くそーっ、宇宙人め、いつか必ず・・・)

千鶴のネオガイア星人に対する憎悪だけが、怨念のように増幅されていった。

 

千鶴が宇宙母艦に連れ戻されて2週間が過ぎた頃、激しかった禁断症状がやっと治まり、骨と皮だけになっていた体も、元の美しいプロポーションを取り戻してきた。麻薬で濁っていた意識もハッキリとしてくると、千鶴は衰えた筋肉を鍛えなおすために、監禁されている部屋の中で筋肉トレーニングのリハビリを始めた。ある日、千鶴が、腕立て伏せをしていると、船室に3人のネオガイア星人の科学者が訪れた。一人はピタゴラス博士、後の二人はオリンポスの科学部門の双璧であるウラノス博士とクロノス博士である。アンドロイドに警護されて部屋に入ってくると、ウラノス博士がピタゴラスに言った。

「これかね。肉体、精神ともに非常に強靭な実験体というのは」

「ええ、元地球のスパイ組織に所属していた女です」

「ふむ、これなら、ひょっとしてわしの実験に耐えられるかもしれん」

現在、ウラノス博士が研究しているのは人間を不老不死の肉体に変える実験だった。しかし、この実験では全身の細胞組織のDNAを、変換しないといけないため、実験体には非常な苦痛と危険が伴う。今まで、捕虜にした米軍兵を実験台にしていたが、実験を行った12人中全員が長時間にわたるDNA変換時の苦痛に耐え切れず、死亡していた。千鶴は怒り狂った眼差しでネオガイア星人達を睨みつけ、叫んだ。

「今度は、あたしに何をしようって言うの!あなたたちのした事は、絶対に許さないわ!」

「どうです?この反抗心。この実験体なら、耐えられるんじゃないですか?」

「ふむ。駄目もとでやってみるか」

ウラノス博士はアンドロイド兵に、千鶴を自分の実験室に連行するように命じた。

 

オリンポスの中枢部にあるウラノス博士の実験室に連行された千鶴は、ベット型のカプセルの中に入るように言われた。首輪爆弾は外されているので、逃げるのなら今だが、アンドロイド兵3体がレーザー銃を向け、厳重に警戒している。カプセルの中に横たわり、四肢を固定されて身動きが出来なくなった千鶴の肛門に、ウラノス博士の手で外付けの生命維持装置のチューブが挿入された。

「DNAの変換処置には2週間かかる。その間、君は食べることも水を飲むことも出来んから、代わりにこのチューブを通して肛門から栄養を送り込むことになる」

不老不死実験の責任者である、ウラノス博士が千鶴に説明した。

「宇宙人だかなんだか知らないけど、人の体をオモチャにするんじゃないよ!お前ら全員いつか必ず地獄に送ってやる!」

千鶴は怒りに体を震わせていきまいた。しかし、もう、どうすることも出来ない。

「この実験ではすでに12人の実験体が死んでいる。そろそろ成功させないと、わしの評判に傷がつく。ぜひ、君には生き延びて、実験を成功させて貰いたい。」

「ふざけんな!人の命をなんだと思ってる!」

ウラノス博士はカプセルの透明の蓋を閉め、DNA変換装置のスイッチを入れた。カプセルの中が紫色の光で満たされ、千鶴の体を包み込むように磁場が充満した。

「うぎゃあああ!」

千鶴は絶叫した。体の隅々まで磁場が行き渡り、全身の細胞が沸騰しているようである。全ての細胞のDNAが書き換えられているのだ。恐ろしい苦痛と悪寒だった。千鶴は失神して逃れようとしたが出来なかった。脳細胞、脊髄、神経線維の全てが同時に磁場による刺激を受けているのだ。普通なら逃げ込める深層意識もなかった。意識がバラバラになりそうだったが、それでも覚醒し続けるしかなかった。

「これでは、変換処置が終わった時に、肉体は生き延びたとしても、精神が崩壊する可能性はかなり高いんじゃないか?」

見学に来ていたクロノス博士がウラノス博士につぶやいた。

「実験の第二段階のためには、精神も無事でいてもらわないと困るんだがな」

「そいつは、かなり難しいぞ」

千鶴は、全細胞のDNAを不老不死に変換するために、この悪寒と激痛に、眠ることも出来ず、2週間耐え続けなければならないのだった。

「ぎゃああああ、殺してやる!殺してやる!」

千鶴はカプセルの中で絶叫し続けた。

 

DNA変換装置のカプセルの中で強烈な電磁波を浴びせられ続けた千鶴は時間の感覚を失っていった。苦痛と悪寒のあまり、肛門と膀胱の筋肉が弛緩し、糞尿が垂れ流しになった。さすがに捜査官としての訓練を受けた千鶴も、血走った目からは、涙を流し続け、半開きになった口からはヨダレがだらしなく垂れ、泡をふいた。最初の一日目に胃の中のものは全て嘔吐し、それ以後は肛門から腸の血管に連結された生命維持装置のチューブによって、栄養分や水分を補給されて生きていた。普通の人間であれば、とうてい耐えることの出来ない過酷な実験であったが、千鶴はネオガイア星人に復讐したい一念で耐え続けた。そしてカプセルの中で2週間が経過したとき、なんと千鶴は生きていたばかりか、奇跡的に正気を保っていたのだった。ウラノス博士とクロノス博士はその結果に驚嘆した。

「実験は成功だ。この女生きているぞ。」

「しかも、精神に致命的な損傷を受けていない」

千鶴の脳波を測定しつつ、クロノス博士も喜びの色を隠せなかった。助手のアンドロイドによって、カプセルの蓋が開けられ、全裸の千鶴の体が運び出された。電磁波の放射が終わると同時に、2週間の間、覚醒させられ続けていた千鶴は糸が切れたように意識を失い、深い眠りについていた。悪寒にさいなまれ続けていた千鶴の体は憔悴しきっていたが、DNAを書き換えられた細胞は若返り、29歳だった千鶴の体は20歳当時の肌のつやを取り戻していた。切断された左手の小指やクリトリスはそのままだったが、乳房のたるみや、目元のしわなどがなくなり、みずみずしさを取り戻している。ウラノス博士はベットに横たえられた千鶴の体を隅々まで調べながら、満足そうな笑みをもらした。

「わしの理論は正しかった。だが、本当にこの女が不老不死になったのかどうか、確認テストを行わなければならん。」

クロノス博士はニヤリとした。実験の第二段階の確認テストのため、千鶴を彼の発明した時間航行機で2000年前の過去に送り込む計画になっている。そして、現代まで生き残っているかどうかで不老不死のテストするのだ。

「しかし、過去に干渉すれば、その世界は別のパラレルワールドに派生するのではなかったのかね?」

「必ずしもそうではないのです。この前のように明らかに歴史上の人物を誘拐したりすれば歴史は変わってしまいますが、我々の知らない歴史の部分を変革した場合、それはあらかじめ、我々の歴史に組み込まれていた事実である可能性の方が高いのです。現在の歴史は我々の知らない時間旅行者の干渉の結果でもあるわけです。つまりこの女を過去に送り込んでもかなりの高い確率でパラレルワールドには派生しません」

「そんなものかね?」

時間実験の権威であるクロノス博士の説明にウラノス博士は必ずしも納得していないようだったが、とにかく、自分の理論を証明するために第二段階の実験の準備にかかることにした。現代まで、千鶴が生き延びた場合、再発見しやすいように千鶴の体内、心臓の近くに発信機が埋め込まれる。バッテリーは千鶴自身の体熱を利用し、半永久的に持つタイプが使用される。発信機の埋め込み手術の後、若返った肉体のデータをくまなく取られた千鶴は気絶したまま、クロノス博士の操縦する小型の時間航行機に乗せられ過去へと旅立った。

 

 千鶴が深い眠りから目を覚ましたとき、辺りには見たこともない風景が広がっていた。最後に覚えているのはDNA変換装置のカプセルの中での、永遠に続くかと思われた恐ろしい悪寒である。今もまだ、ひどい頭痛と吐き気がする。フラフラと立ち上がった千鶴は全裸だった。刺すような肌寒さを感じる。

(こ、ここはどこなの?)

千鶴のぼやけた目から見える風景は、恐ろしく深い針葉樹林の森と山脈の連なりであった。千鶴には知るすべもなかったが、そこは紀元5年のヨーロッパ北部、当時ゲルマニアと呼ばれたライン河ほとりの森林地帯だった。千鶴は頭痛と吐き気をこらえながらトボトボと歩き出した。

(くそっ、宇宙人どもめ。今度は一体何をたくらんでるっていうの?)

クロノス博士は千鶴をこの時代に置き去りにした後、時間航行機でさっさと現代に引き上げてしまっている。千鶴は自分だけの力で2000年後の現代まで生き抜かなければならない。千鶴自身は、自分の肉体が若返っていることも,DNAを書き換えられて不老不死になっていることも知らなかった。もちろん不老不死といっても年をとらないという生物学的な意味合いでだけであって、事故や怪我、病気などには普通の人間と同じく無防備である。そのため、肉体的にも精神的にも強靭である千鶴が実験材料に選ばれたのだ。

(寒いわ)

季節はいつかはわからなかったが、北ヨーロッパの気候は相当寒かった。全裸では辛い。と言っても、付近に民家や人の気配はなく、衣服の代わりになるようなものもない。千鶴があてどもなく森の中をさまよっていると、やがて日が暮れてきた。仕方なく千鶴は川のほとりで落ち葉を集めて布団をつくり、その中にもぐりこんで眠ることにした。遠くからオオカミらしき、遠吠えがひっきりなしに聞こえてくる。のどの渇きは川の水で癒したが、空腹を満たせるようなものは何も無かった。

(お腹もすいたし、寒くて眠れないわ。今回はあの変な爆弾付の首輪は嵌められてないみたいだけど、これからどうすればいいのかしら?)

前回地上に転送された時は、ピタゴラス博士から恥ずかしい命令がひっきりなしに送信されてきたが、今回は全く何も言ってこない。それが逆に不気味だった。千鶴が空腹と寒さに悩まされながらようやくウトウトしはじめた時、突然ガサガサと物音がした。千鶴が驚いて飛び起きると、千鶴の眠っていた木の葉の布団の周りを数十匹のオオカミの群れが獰猛なうなり声をあげながら取り囲んでいた。

(ひ、ひいいっ!オ、オオカミ!?)

あきらかにオオカミたちは口からヨダレをたらし、千鶴を餌にしようとしているようだ。千鶴は全裸で素手だった。このような危険に備えてあらかじめ、何か武器になるような棍棒でも用意しておかなかったことを千鶴は後悔した。

 

「ガルルルル!」

最初の一匹が千鶴に飛び掛かってきた。千鶴は鍛え抜かれた蹴りの一撃でそのオオカミをたたきのめす。それを合図に無数のオオカミ達が一斉に全裸の千鶴に襲い掛かってきた。

「ひいいいっ!」

千鶴は逃げるしかなかった。次々に飛び掛ってくるオオカミを手刀で払いのけながら川沿いを川下へと全力で疾走する。その千鶴をオオカミの群れは執拗に追ってくる。何度も千鶴は飛び掛ってくるオオカミの爪や牙に背中や二の腕を引き裂かれながらも、間一髪で叩きのめして振り払った。

(このままじゃ、やられるわ!)

走り続ける千鶴の裸の背中は血だらけになっていた。川が突然滝になった。千鶴はオオカミの群れから逃れるためにためらわずに滝壺へとダイブした。

 

 滝壺の水は恐ろしく冷たかった。千鶴はズブ濡れになりながら岸へと這い上がった。どうやらオオカミの群れは追ってきていないようだ。ゆっくりと眠ることも出来ないまま、再び千鶴は、全裸で見知らぬ森の中をトボトボと歩き出した。そして森林を放浪すること1週間、ようやく千鶴は森の向こうに立ち昇る数本の煙を発見した。人間がキャンプしているようである。

(衣服を調達して、ここがどこか調べなくちゃ)

まさか自分が2000年前の過去の世界にいるとは夢にも思っていない千鶴は、前回の銀行強盗の件で指名手配されていることを恐れて慎重にキャンプに近づいていった。かなりの人数がいるようである。間近まで接近し、木陰から川原に張られたキャンプをのぞいた千鶴は驚愕した。それはゲルマニアに進軍してきた、この時代のローマ帝国の軍団野営地だったのだ。重々しい甲冑を着けた数百人の重装歩兵たちが川原沿いに連なるようにキャンプをしていた。

(なんなの、彼らは?映画の撮影?!)

千鶴が呆気にとられて眺めていると背後でガチャリと音がした。振り返ると十数人のローマ兵が剣を抜いて取り囲んでいた。千鶴は森の中で拾った棍棒を持っていたが勝てる相手ではなかった。勝算がないと悟った千鶴は棍棒を投げ出し、両手を挙げて、ローマ兵に降伏した。

 

 全裸で捕虜になった千鶴はローマ兵たちに輪姦されることになった。この時代、敵地で捕虜になった人間は全て奴隷に売り飛ばされる慣習になっている。奴隷商人に引き渡されるまでの間、兵士たちの性欲の捌け口にされることになったのだ。千鶴の他にも金髪碧眼のゲルマン人の若い女が多数捕虜になっており、性欲処理に酷使されていた。千鶴は日夜、ラテン語で喋る屈強な男たち数人に抑えつけられ、汗臭いチンポをしゃぶらされたり、挿入されたりした。軍団は千鶴を伴って、森林の中を移動していった。時にはゲルマン人達の襲撃を受けつつも、進軍していった。一ヶ月ぐらいすると千鶴はローマ人達の話すラテン語をマスターしていた。

「お前、白人でも黒人でもない。どこからきたんだ?オリエントの向こうからか?」

千鶴を犯し終わったあと、毛むくじゃらの一人の若いローマ兵が訪ねた。千鶴は捕まったときのまま衣服を与えられておらず、常に全裸である。

「違うわ。あなたたちの知らない世界から来たのよ。ずーっと遠くの未来から・・・」

千鶴は一ヶ月間の観察の結果、自分が宇宙人に過去の世界へ流されたことに気付いていた。そして、自分が捕まっているのがローマ帝国の軍隊であることも判った。

(どうやったら、元の時代に戻れるのかしら?)

実際には、千鶴が現代に戻る方法は唯一つ、このままリアルタイムに従って、2000年間を生き延びるしかないのだった。千鶴を犯したローマ兵は、千鶴の言っていることが判らないらしく、なおも尋ねてきた。

「お前、なんでクリトリスがない?ユダヤ人の女はみんなクリトリスがないと聞いたことがあるが、お前ユダヤ人か?」

「違うわ!全く、うるさいわね。自分で切り取ったのよ!」

千鶴は宇宙人にされた仕打ちを思い出し、腹立たしげに答えた。

 

千鶴がローマ軍団の従軍慰安婦にされてから2ヶ月が過ぎた。ローマ軍団は辺境の町で奴隷商人の隊商と接触し、千鶴を含む捕虜は全員が奴隷商人に引き渡された。捕虜を奴隷に売却した代金はローマ軍団の重要な資金源になるのである。千鶴たち奴隷は、捕らえられた時の着の身着のままの格好で鎖をつけられ、馬にひかれて奴隷市場のある首都ローマを目指すことになった。他の奴隷たちは捕まったときに着ていた衣服を着ていたが、千鶴は全裸で捕まったので、全裸のままである。長い苦しい行進の末、隊商はこの時代、世界最大の大都市であったローマへと到着し、千鶴たち奴隷はさっそく奴隷市場で競りにかけられることになった。

「安いよ、安いよー。ゲルマニア戦線から到着した、採れたてほやほやの奴隷たちだよー。中にはゲルマニア貴族の娘や息子達もいますよう!掘り出し物を見つけてくだいねー!」

奴隷商人が声を張り上げて呼び込みをしている。奴隷市場の開かれた広場には大勢のローマ市民がつめかけ、奴隷たちが競りにかけられる様子を見物していた。実際に奴隷を買うほどの金銭的余裕のない者達でも、見るだけならタダなのだ。千鶴たち奴隷は全員全裸にされ、市場のあちこちに設置されたお立ち台のような台の上に、鎖でつながれたまま立たされた。それぞれ、首からぶら下げられたプレートに出身地、年齢、特殊技能、最低価格などが書き込まれている。千鶴のまわりにも人だかりが出来た。

「もっとオマンコを開いてみてくれ」

ローマ市民の男の一人がぶしつけに言った。千鶴はキッとその男を睨みつけたが、あきらめて言うとおり、両脚を開き、両手の指でオマンコを左右にくつろげる。ローマ市民の男は顔をしかめた。

「なんだ、クリトリスがないじゃないか!それに良く見れば左手の小指もない。こんな傷物に金を払うことは出来ないね!」

「でも、お客様、この女奴隷は、この辺りでは珍しい東洋出身の女で、顔もそれなりに美しく・・・」

「いくら美人でも、傷物を買うぐらいならヌミディアの黒人奴隷の方がましさ!」

奴隷商人がなおも千鶴を売り込もうとしたが、買い手の男は捨てセリフを残して立ち去っていった。奴隷商人は、これでは売り物にならんな、と言いたげな眼差しで、屈辱に顔を真っ赤にしている千鶴を眺めた。結局千鶴はその日の競りで最後まで売れ残り、日が暮れる直前にバーゲンセールの見切り売りが始まると、2足3文の値段で売却処分された。

「たった3デナリウスとはな!これじゃ、輸送代と今まで食わせた餌代にもならん・・・」

奴隷商人はぶつくさいいながら、千鶴を買い手に引き渡した。千鶴を買ったのはコロッセアムで闘う剣闘士の養成所を経営するガイウスという富裕な男だった。ガイウスは勝った剣闘士の褒美にセックスをさせたり、将来高値で売却するための、強い剣闘士の子供を孕ませるための、女奴隷が欲しかったのだ。セックスさえ出来れば多少肉体に欠損があっても安ければ安いほどよかったのだ。こうして千鶴はローマ市の郊外にある剣闘士養成所で剣闘士相手のセックス奴隷として生活することになった。

 

 全裸で鎖につながれ、ローマ市内の大通りをガイウスと従者の乗った馬にひかれて剣闘士養成所に到着した千鶴は、まず最初にガイウスの所有物であることを証明するための焼印を左肩に押された。

「ぐっ!」

ジュッと肉のこげる音と匂いがしてガイウス剣闘士養成所のマークが火傷となって皮膚に刻み込まれた。千鶴は焼印の熱さに歯を食いしばったが、さすがに悲鳴はあげなかった。その日から、千鶴はコロッシアムでの試合に勝って生き残ってきた剣闘士奴隷を相手にご褒美のセックスをすることになった。負けた剣闘士は死んでいるので、養成所には戻ってこない。剣闘士たちはゲルマン人やペルシャ人、アフリカの黒人など様々な人種の男達だったが、彼らに共通して言えることは、ローマ市民の娯楽のための、毎日の生死をかけた決闘に、今日は試合に勝っても、明日は殺されるかもしれず、その不安から逃れるために、恐ろしい勢いで千鶴の体をむさぼるように犯すのだった。その性欲の強さは普通の生活をしている男の比ではなく、一晩に10数回もセックスを求めてくる剣闘士はまれではなかった。また千鶴は、昨日セックスをした男が今日、試合で死んだと聞かされることも度々だった。剣闘士養成所でのセックス奴隷としての生活が半年ほど続いた頃、千鶴は妊娠していることに気付いた。これだけ、毎日多数の屈強な男達とセックスに明け暮れていれば当然の結果である。もちろん父親は誰だかわかるはずもない。セックス奴隷である千鶴は妊娠したからといって、剣闘士たちの性欲を処理する仕事が免除されるわけではなかった。腹がふくらみオマンコが使えなくなると口や、手、アナルを使って、性欲処理をするように命令された。そして10ヵ月が過ぎ、無事男の赤ちゃんが生まれた。父親は誰だかわからないがどうやら金髪の白人のようではある。千鶴の不老不死のDNAは子供には遺伝しない一代限りのものだった。千鶴がこのまま事故死や病死することが無ければ、やがて子供の方が先に老化し、老衰で死ぬことになるだろう。だが、今の千鶴は自分が不老不死であることすらも知らない。

 

 千鶴を2000年前の世界に置き去りにした後、時間航行機で現代に戻ったクロノス博士は宇宙母艦オリンポスに帰投すると、すぐにウラノス博士の元におもむき、早速実験の結果を確認することにした。つまり千鶴の心臓近くに埋め込んだ発信機の現在位置を確認するのだ。それによって2000年前に置き去りにした不老不死の千鶴が2000年間生き延びて現代にいるかどうかが判明する。

「どうですか、ウラノス博士」

クロノス博士が、懸命に探知機で千鶴の発信機のパルスを探しているウラノス博士に尋ねた。

「う、うーむ、見付からんぞ、クロノス博士。これは、どういうことだね?」

それまで楽観的だったクロノス博士の顔も青ざめた。

「・・・おそらく・・・考えられることは、実験体を置き去りにした世界が、別の多元宇宙に派生したか、実験体の女が現代に至るまでに死亡したか・・・ですな」

「どうするんだね!」

ウラノス博士は怒り狂った。

「私に言われても・・・」

「これでは、結局、わしの不老不死実験が成功したかどうか証明できんじゃないか!」

ウラノス博士は時間航行機を使った確認テストを提唱したクロノス博士に詰め寄った。久石千鶴は時の彼方に消えてしまったのだった。

 

第38話 人間循環器

 

 宇宙調査船の瞬間物質転送機の取扱責任者であるアリストテレスは、新しい遊びを考え出していた。X線望遠鏡を使って地球上で生活している人々を観察し、気に入った女性がいると、自分の精液をその女の子宮に瞬間物質転送機で転送するのである。精液を転送された女は下腹部に一時的に軽い腹痛を感じるだけで、まさか、自分が宇宙人の男の精液を子宮に送り込まれているとは、夢にも思わない。アリストテレスはこの遊びに夢中になり、授業中の女子高生や女子大生、オフィスで仕事中のOL達などの子宮に次々と自分の精液を送り込んでいった。12ヵ月後には多くの女たちが身に覚えのない妊娠に悩まされることになるだろう。アリストテレスがソクラテス船長や、パイロットのプラトンの目を盗んで、この遊びに熱中していると、宇宙拷問研究所のピタゴラス博士から、新しい拷問実験のための地球人実験体の捕獲依頼の電子文書が届いた。

捕獲依頼書

条件@ 性別、女性。年齢、15歳〜25歳

条件A 極度に体が柔軟な、スポーツ選手

条件B もちろん美人であることは必須

送られてきた電子文書にはそう書かれていた。アリストテレスは早速、条件に合う、実験体の捜索にかかった。手馴れた様子でX線望遠鏡を使い地球上を走査していく。15分ほど、様々な人間を観察し、一人の女性に狙いを定めた。その女性は体育大学の新体操部に所属する遠藤圭織(21歳)だった。次回のオリンピック出場候補にも名前が挙がるほどの実力の持ち主である。ピンクのレオタードを身にまとった圭織は、体育館の床に敷かれたマットの上でリボンを使った演技の特訓中だった。普段は内気そうなアリストテレスの目が、獲物を狙うハンターのように一瞬鋭く輝き、転送ビームのスイッチを押した。モニター上の圭織がリボンをクルクルと回転させてジャンプした瞬間、白い光輝が彼女の体をつつみこみ、しだいに輪郭が薄れて消滅した。アリストテレスは、フーッと安堵のため息をもらした。調査船の転送室に実体化した圭織の身柄は、アンドロイド達がピタゴラス博士の拷問研究室へと届けてくれるだろう。アリストテレスの今日の仕事は終わったのだ。再びアリストテレスは自分の精液を転送する遊びの続きに戻った。

 

ピンクのレオタード姿の圭織は、アンドロイドたちによって、ピタゴラス博士の拷問研究室に運び込まれた。わけがわからず、オドオドと怯えた目で辺りを見回している圭織に向かってピタゴラス博士が言った。

「なかなかの美人じゃないか。体も柔らかそうだ。今回の拷問オブジェの製作に、実験体の体が柔らかい、というのは、どうしても必要な条件なんでな。」

「いったい何の話ですか?・・・今、あたし、練習中なんです。取材なら、大学の事務所を通してください・・・」

「取材?・・・何のことかね?どうも、話が噛み合ってないようだ。まあ、いい。時間もないし、早速、肉体改造にかかるとするか」

ピタゴラス博士の指示でアンドロイドが圭織を手術台の上に運び上げ、仰向けに寝かせた。

「きゃあああ!離してください!」

圭織はジタバタともがいたがアンドロイドの機械の力には抗うことができない。圭織はレオタード姿のまま、腰と両脚の太腿の付け根の部分を金属ベルトで手術台に固定された。上半身は固定されずに自由な状態である。

「そのまま、上半身を限界まで、前かがみに折り曲げさせろ。顔がオマンコにくっ付くぐらいにな!」

ピタゴラス博士がアンドロイド助手2体に命じた。圭織の体を両側から挟んだアンドロイド2体は、無理矢理、圭織の両肩を押さえ、もの凄い力で上半身を折り曲げていく。新体操の練習では柔軟体操は必須であったが、顔を自分のオマンコにくっ付けるほど体を折り曲げるのは至難の技であった。

「い、痛いです。苦しいです。オマンコに顔をくっ付けるなんて無理ですううう!」

圭織は顔を真っ赤にして哀願した。しかし、アンドロイドは容赦なく命令されたとおりに圭織の顔がオマンコにくっ付くまで、力を入れ続けて押さえつける」

「むぐぐぐぐううう・・・」

圭織の顔が苦痛に引き歪んだ。普段から柔軟体操の訓練をしていない普通の女性であればとっくに背骨が折れていたであろう。無理に体を折り曲げられているため、肺が圧迫されて呼吸も困難である。

「ギャハハハハ。いい眺めだ」

ピタゴラス博士は笑いながら、ハサミで圭織の股間を覆っているレオタードと下着に切り込みを入れ、オマンコを剥き出しにさせた。そして、ピタゴラス博士は、悪魔的な微笑みを浮かべると、そのままの姿勢を永久に固定させるために、圭織の首と腰に金属ベルトを巻きつけて二度と顔とオマンコが離れないようにきつく締め上げた。

「ほれ。舌を伸ばして、自分で自分のオマンコをしゃぶるんだ」

「いやっ!く、苦しい・・・助けて・・・」

なかなか、自分のオマンコを舐めようとしない圭織の背中に、助手のアンドロメダ女医が電気鞭を振り下ろした。

「ぎゃおっ!」

「さっさとやりな!実験が先に進まないじゃないか!」

アンドロメダの罵声が飛び、何がなんだか判らないままに圭織は、言われたとおりに自分のオマンコに舌を伸ばして舐め始めた。

「自分の口でイクまでやるんだぞ」

愛液が滲み出し、酸味がかった味が口の中に広がった。自分のオマンコを舐めさせられている惨めさと苦しさで圭織の目に涙が滲んだ。

「あっ、あっ、あっ、あううう・・・いっ、いくうう!」

15分間自分のオマンコを舐め続けた圭織は絶頂に達し、普通の人間には到底不可能なほど、極限まで折れ曲がった体を痙攣させてイッた。

 

「実験はまだまだこれからだぞ」

ピタゴラス博士はそう言うと、一度、オルガスムスに達し、ぐったりとしている圭織の、前方に伸ばしている両足を、股間にぴったりと押し当てられている圭織の頭の後頭部に回すようアンドロイドに命令した。圭織の足は無理矢理、折り曲げられ頭の後ろで両足首をクロスするように金属ベルトで締め上げられて固定された。

「う、うう・・・苦しいですうう・・・」

股間の部分を切り裂かれた、ピンクのレオタードを着たままの圭織の体はまるでインドのヨガの苦行者のようなポーズで拘束されたのだ。一見、まるで蟹のようである。

「そんなに苦しいかね?これからの人生をその格好で過ごすんだ。早く慣れるようにするんだな。次はこいつを君の体に埋め込んでやるよ」

ピタゴラス博士は有機物質で出来た透明のチューブを取り出した。本格的な肉体改造手術の始まりである。ピタゴラス博士はチューブの片方の端を圭織のオマンコの中の尿道口に差し込み、有機接着剤を使って融合させた。そして、もう片方の端を圭織の鼻の右の穴に突っ込む。無理矢理チューブを鼻の奥に突っ込まれて圭織は痛さに再び泣きだした。チューブの先は口腔内の皮膚から突き出し、喉の奥まで達するまで押し込まれる。チューブには有機接着剤がたっぷりと塗り込められているため、すぐに皮膚と融合し、切断しない限り二度と抜けなくなる。

「くっ、くっ、くっ、これでお前の垂れ流す小便は全て鼻から注入されてもう一度再利用されるという訳だ」

「ああっ、いやああ!」

「これで終わりじゃないぞ。次は口を大きく開けるんだ」

圭織は、アンドロイドの手で口を、顎が外れそうになる位までこじ開けられた。

「あごごごおおお!」

そして有機接着剤をたっぷりと唇の周りにぬりこめられ、自分のオマンコと肛門をピッタリと覆い隠して塞ぐように股間に接着された。これで圭織の排泄するものは全て、嫌が応でも、もう一度、圭織の口と鼻から体内へと流れ込むのだ。呼吸は開いている左の鼻の穴からするしかない。

「ふ、ふるひいいい・・・」

塞がれた口の奥からくぐもった声が漏れた。改造手術はそれで終了だった。ピタゴラス博士はねじ曲がったあわれな圭織の姿を見て、笑いが止まらないようだった。

「フハハハ!これで、舌を動かせば、いつでも自分でクンニが出来るだろう。それに、お前のウンチとオシッコも全て再利用されるという訳だ。なあに心配しなくても、左の鼻の穴から時々、栄養剤を注入してやるから栄養失調になる心配はない。究極の人間循環器の完成だな。この拷問オブジェが、ネオガイア本星のオークションでいくらの値段がつくか今から楽しみだ」

「おおおおお!」

ピタゴラス博士の言葉を聞きながら、圭織はあまりの苦しさと恐怖に、のどの奥から叫び声を上げながら涙を流し続けた。

 

圭織が人間循環器としての改造手術を受けてから1週間が過ぎた。正式にネオガイア本星でのオークションに出展が決定されるまでの間、宇宙母艦オリンポスの娯楽ブロックに拷問オブジェとして展示されることになった。娯楽ブロックのメイン通路の端に鎖で繋がれた圭織は大勢のネオガイア人男女乗組員からの嘲りと嘲笑を受けることになった。

「なあーにこれ、気持ち悪ーい」

「ピタゴラス博士の新作オブジェだってさ」

「凄い!自分で自分のオマンコに喰らいついてるぞ。なんて恥ずかしい存在なんだ」

圭織の繋がれている鎖には3メートルほどの余裕があったので、圭織は自由である両手を突っ張って、ゆっくりとではあるが、動き回ることが出来た。しかし、呼吸が左の鼻の穴でしか出来ないためにあまり激しい運動は出来ない。一日一回、ピタゴラス博士の元からアンドロイドがやってきて、チューブ入りのゼリー状の食事を圭織の左の鼻の穴から注入していった。細いチューブの先端を左の鼻の穴からのどの奥に差し込まれた圭織は脳天を貫くようなツーンとした鋭い痛みに、毎回、涙を流した。しかしアンドロイドはいつも機械的な冷酷さで容赦なくゼリー状の栄養剤を注入する。一回で一日分の食事なのでかなりの量がある。口と右の鼻の穴を完全に塞がれている圭織は、流し込まれる栄養剤を全て吸引してしまうまで呼吸が出来ない。痛みをこらえてやっと吸引を終え、チューブを引き抜かれた圭織はスースーと必死で左の鼻の穴から空気を呼吸するのだった。食事の後、アンドロイドはエアー式の洗浄器で、自分では入浴の出来ない、不自由な圭織の肉体を洗浄するとピタゴラス博士の元へ戻って行く。その日は、しばらくすると圭織を激しい腹痛と尿意が襲った。御丁寧にもピタゴラス博士は、さらに圭織を苦しめるために食事に、強力な下剤と利尿薬を混ぜてあったのだ。

「あああ、ふるひいい、出ちゃううう」

塞がれた口の喉の奥からこもった声で叫びをあげながら、圭織は便意に耐え切れず排便した。肛門はオマンコと共に大きくこじ開けられた、圭織の口に接着剤でくっつけられている。ブリブリブリブリ・・・自分の大量の液状の下痢便が音を立てて口の中に流れ込んだ。

「おええええっ!」

圭織は下痢便のあまりの気持ち悪さと嫌悪感に吐き気を催し、さっき飲み込んだゼリー状の栄養剤を胃液と共に、口の中に吐き戻した。しかし、吐いても吐瀉物を外に出すことは出来ない。口の中がゲロと下痢便が混ざった汚物で溢れかえった。いずれは再び飲み込まなければならない。一方、膀胱から排出されたオシッコも透明のチューブを通って右の鼻の穴から圭織の喉の奥に流れ込んだ。圭織の意思で止めることは出来ない。黄色い液体が透明のチューブを流れる様子を通りすがりのネオガイア人の乗組員達がおもしろそうに見ている。圭織の尿道、肛門、オマンコは完全に鼻と口に癒着しているため、排泄物の臭いなどは一切外には漏れていない。

「汚ねえ!こいつ自分のオシッコを鼻から吸い込んでるぜ」

「地球人って、全く最低の動物よねえ」

アクロバットに体を絡めた圭織が顔を真っ赤にして苦しむ様子を通りすがりのネオガイア人乗組員達は顔をしかめて嘲りながら眺めていた。

 

第39話 見世物にされるスポーツ選手

 

栄光女子体育大学は大正時代より続く、日本有数の名門体育大学であった。オリンピック出場選手も数多く輩出し、卒業生は各界のスポーツ部門で活躍している。全日本選手権などの大会では、あらゆる部門のスポーツで優勝トロフィーを何度となく持ち帰っていた。その名門の栄光女子体育大学で、最近、学生の失踪が相次いでいた。最初は新体操部に所属する3回生の遠藤圭織だった。彼女は幼い頃から新体操の道に入り、次回のオリンピックの出場候補にも名前があがっていた、大学側からもかなりの期待をされている人材だった。その遠藤圭織が突然、大学構内の体育館での練習中に姿を消したのを皮切りに、次々と女子学生たちが失踪していった。失踪した女子学生の所属していたクラブは多種多様に渡り、中には、練習中にほとんどの部員が丸ごと消えてしまった例もある。大学側はこの不可解な事件に頭を痛め、警察に捜査を依頼したが全く手がかりがつかめず、解決の糸口すら見つからなかった。失踪した学生の行方が判らないばかりか、なぜ居なくなったのかの原因もわからず、仮に誘拐事件だとしても犯人の目星や犯行の手口すら推測出来なかった。犯行声明や、身代金の要求らしきものも一切なかった。わずか2週間の間に様々なスポーツクラブに所属する百数十名の女子学生が失踪したあと、パタリと事件が終わり、それ以上の失踪者が出なくなると、警察はやがて捜査を断念し迷宮入りとされた。事件当初怪奇現象として騒いでいた新聞雑誌やテレビのワイドショーなどのマスコミも、早くも視聴率を稼ぐための、次ぎの話題に移行し、謎の失踪事件はすぐに世間から忘れ去られていったのだった。

 

女子スポーツ選手の大量失踪事件は当然のごとくネオガイア星人の仕業であった。誘拐された選手たちはいったん、地球の軌道上を周る宇宙母艦オリンポスに収容された後、選別を受け、ネオガイア本星からの移送要請に適合するものはすぐに、人口冬眠カプセルに入れられ、宇宙連絡艇で5000光年離れた母星へと送られた。ネイガイア星ではソロン財閥の傘下にある、興行会社と立体テレビ局が提携して、地球人奴隷のスポーツ選手を使った新しいエンターテイメントを企画していたのだった。そのため、軍事技術や資金面で財閥の影響力の濃いネオガイア宇宙軍が奴隷供給の便宜を図ったのだった。宇宙旅行を終えた栄光女子体育大学の女子学生たちは、ネオガイア星の首都メガポリスで解凍されると、訳がわからないままに様々な悪魔的な競技に出場する事となった。

 

「さあ、皆様、お待たせいたしました。いよいよ新しいスポーツ番組の始まりです。競技に出場する選手達は、地球から誘拐されて来た地球人の美女奴隷達です。彼女らは誘拐される前には地球のスポーツで鍛え抜かれた優秀なスポーツ選手達でした。当番組が考案した独自のスポーツの数々に挑戦する彼らの姿を、どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。なお提供は、より良い明日の宇宙を創造する、ソロングループでお送りいたします」

司会者があいさつし、いよいよ中継が始まった。事前に新番組のCMが流れていたため、この時点で視聴率は20%を超えていた。ネオガイア星人はこの手の残虐な見世物が大好きなのだ。実際に競技が行われる競技場にも数千人の観客が観客席を埋め尽くしている。

「まず、最初は人間馬車馬レースです。選手の皆さん、入場して下さい」

司会者が合図すると、競技場のグラウンドに出てくるための扉が開き、全裸の女たちが重い馬車を引いて現れた。全裸の女達は拉致された栄光体育女子大学の陸上部の部員達で、一台の馬車を二人づつペアになって引いている。馬車の上にはユニフォームを着たネオガイア人の騎手が乗り、手に持った電気鞭と手綱で陸上部員の地球人女達を操っていた。その2頭立ての人間馬車が5台、スタートラインについた。

「さあ、皆様、パネルにオッズを表示します。観客席の皆様はお手元のボードから予想順位と掛け金を入力して下さい。なお、立体テレビをご覧の視聴者の皆様はご自宅の通信端末からも入力出来ます。さあ、あと10分で受付を締め切ります。お急ぎください」

競技場のパネルに5台の人間馬車のオッズが表示された。陸上部キャプテンの沢井照美が引く馬車のオッズが一番低く、ついで副キャプテンの結城寛子の引く馬車のオッズが低い。この瞬間ネオガイア人の居住する星系全体で数十億タレントの金が動いた。観客と視聴者が固唾を呑む中、カウントダウンが始まった。

「・・・321、スタート!」

一斉にネオガイア人の騎手が女子陸上部員の背中に電気鞭を振り下ろした。猛然と5台の馬車がスタートする。ネオガイア星に到着してから準備期間の2週間、女子陸上部員たちは人間馬車としての過酷な訓練を日夜、積み重ねてきていたのだ。ゴールまでの走行距離は、300メートルのトラックを5周である。つまり1500メートルを、重い馬車を二人で引っ張って、全力で走り抜けなければならない。いくら鍛え抜かれた女子陸上部員と言えども、1周を周った時点で息があがってきた。

「いけえーっ!そこだ、ぬけーっ!」

「いいぞ、そのまま、突っ走れ!」

観客席から熱狂的な喊声が沸き起こっている。素裸で馬車を引く女子陸上部員達は全身から滝のように汗を流している。少しでもスピードが落ちると、騎手達は彼女らの背中に容赦なく電気鞭を入れた。

「ぎゃうっ!」

女子陸上部員たちは、鞭を入れられると発奮するように、事前に多量のマゾ化薬をうたれている。どんなに苦しくても、背中に鞭を与えられれば、脳内にエンドルフィンが充満し、苦痛が快楽に変わって、普通以上の底力が発揮されるのだ。5台の人間馬車がもつれ合いながら4周目のトラックを周りきったころ、女子陸上部員達の背中は電気鞭によるミミズ腫れで、無残に埋め尽くされていた。ゴールまで後、50メートルという地点で先頭を走っていた、陸上部キャプテン沢井照美の引く馬車にアクシデントが起きた。沢井照美とペアを組んで馬車を引いていたもう一人の部員が照美のあまりのハイペースの走行についていけず、足をもつれさせてとうとう転倒したのだ。先頭の馬車が急停車したため、2番手を走っていた副キャプテンの結城寛子の引く馬車が追突した。2台の馬車は玉突き状態となり、間に挟まれた結城寛子と2台目の馬車を引いていたもう一人の女子部員は押しつぶされて重傷を負った。幸い馬車自体の転倒は免れ、ネオガイア人騎手に怪我はなかった。しかし、このアクシデントでレースは大判狂わせとなった。1位と2位の候補が突然両方リタイヤしたのだ。結局1位でゴールインしたのは一番オッズの高かった大穴の馬車だった。観客席から喚声とブーイングが一斉に沸き起こった。

「最後の最後で思いもかけない展開となりました。このレース、なんといきなり大穴の万馬券が出ました。全く誰も予想しなかった結果です!」

司会者も興奮して声を張り上げている。大金を失い、損をした観客は怒り狂って、最初に転倒して事故のきっかけを作った、女子部員を八つ裂きにするよう、野次を飛ばした。

「仕方ありません。最初に転んだ女奴隷は生贄として観客の皆様にリンチして頂きましょう。後ほど観客席を回らせますので、殴るなり蹴るなりお好きにしてください。」

事故のきっかけを作った女子部員は係員に引き立てられ、観客席を回ることになった。おそらく、半殺しの目に合い、番組が終わる頃には死んでいるかもしれない。人間馬車馬レースは終了し、CMに入った。

 

CMが終わると、今度は競技場には強化ガラスで覆われたテニスコートが用意されていた。この時代のネオガイア星人達が地球のスポーツであるテニスを知るはずもなかったがソクラテス船長の調査船が地球から送ってきた資料をもとに再現したのだった。

「さあ、お次は、地球のテニスというスポーツを皆様にご紹介したいと思います。簡単に言うと、選手二人がラケットでボールを打ち合う、という単純なスポーツですが、それだけでは面白くないので、我々、当番組のスタッフが少しルールをアレンジしてみました。名付けて『爆弾テニス』。選手は発祥の地、地球から来た女奴隷たちです。皆さん拍手でお迎え下さい。」

音楽とともに全裸の二人の女がアンドロイドスタッフに引き立てられて登場した。数千人の観衆が司会者の言うとおり拍手で迎える。全裸の女奴隷二人は一本づつテニスラケットを与えられ、透明の強化ガラスで覆われたテニスコートの中へ無理矢理放り込まれた。女奴隷は栄光女子体育大学のテニス部に所属する3回生の滝川留美と2回生の鈴木京子であった。二人とも何度も全日本大学選手権に出場して優秀な成績を治めた実績のあるプレーヤーである。もちろん、全裸でテニスの試合をすることなど初めてである。

「ルールを説明いたします。二人の女奴隷が打ち合うボールには高性能爆弾が仕掛けられています。センサーが働いて、同じコート内に5秒以上滞留すると爆発する仕掛けになっています。つまり、早くボールを相手のコートに打ち返さないと自分の命が危ない、という訳です。この試合に得点は関係ありません。先に死んだ方が負けとなります」

司会者の説明をコート内にいるアンドロイド審判によって翻訳して聞かされ、二人のテニスプレーヤーは青くなった。つまり、どちらかが死ななければコートから出られないのだ。競技場のパネルに前回と同じくオッズが表示された。滝川留美が2倍、鈴木京子が4倍だった。

「あと10分で締め切ります。皆さん。どちらのプレーヤーに賭けるかよく考えてくださいね。」

再び全ネオガイア星人の居住する星系全体で数十億タレントの金が動いた。締切時間が過ぎると競技場は静まり返った。

「それでは試合開始です。先攻、滝川留美選手サーブしてください。」

ピーッと電子音の笛の音が鳴り、留美はアンドロイド審判に手渡されていた爆弾入りのテニスボールをサーブした。最初のサーブと共に爆弾のセンサーのスイッチが入るようになっている。テニスボール自体は地球の普通のものと変わらず表面はゴム状で、よく跳ねる。京子は自分のコートに打ち込まれたボールを慎重に打ち返した。落とせば間違いなく5秒以内に返球することが出来ず自分のコートで爆発してしまうだろう。正に手に汗握る打ち合いが続いた。この際、全裸であることを、恥ずかしがっている余裕はない。最初は二人とも、相手に勝つ事よりも、自分のコートでボールを落とさない事だけを考えていた。しかし、いずれどちらかが負けなければ勝負はつかない。そのことを先に悟った留美が勝負に出た。いきなり鋭いスマッシュを返したのだ。それまでのゆっくりとしたボールのやり取りに、不意を付かれた京子は空振りをしてしまった。テニスボールは京子の背後の強化ガラスにあたって跳ね返り、コロコロと慌てふためいている京子の足元に転がった。その瞬間5秒のタイムが切れた。ドカーン!という大音響と共にテニスボールが爆発し、京子の体が吹き飛んだ。強化ガラスで密閉されたコート内にもうもうと煙が立ち込める。観客達も固唾を呑んだ。そして煙が晴れた時、京子は黒い煤と血にまみれて地面に横たわっていた。しかし死んではいなかった。しばらく呻いていた京子は再びよろよろと立ち上がった。『爆弾テニス』のルールではプレーヤーが生きている限り負けにはならない。

「くそおお!留美―っ!よくもやったわね。いつもいつも、あたしのこと馬鹿にして!」

額から血が流れている京子の顔は逆上して憎しみに歪んでいた。爆風で鼓膜が破れ両方の耳の穴からも血が流れている。アンドロイド審判が二個目のテニスボールを京子に手渡した。

「死ね、留美―っ!」

京子がサーブした。怪我の影響で足元がフラついていたが、どうにか相手のコートにサーブが決まる。留美は恐ろしかったが容赦はしなかった。勝たなければ自分が死ぬのだ。得意の変則スマッシュで京子のいる場所の反対側へとボールを打ち返すと、傷を負っている京子はボールに追いつくことが出来なった。再びテニスボールが爆発した。

「ぎええええ!」

京子の体はコートに叩きつけられ動かなくなった。アンドロイド審判が近寄り、生きているかどうか判定する。虫の息であったが、まだ京子は死んでいなかった。3球目のテニスボールをアンドロイド審判は留美に手渡した。本来は京子がサーブしなければならないのだが、起き上がれないのでルールを変更したのだ。

(ごめん、京子・・・)

留美は心の中でそうつぶやき、軽くテニスボールをサーブした。爆弾入りのボールはコロコロと倒れている京子の脇に転がり炸裂した。至近距離で直撃を受けた京子の体はバラバラになって吹き飛び、完全に絶命した。審判は留美の勝利を宣言した。

「おおーっと、今回は予想通りの結果に終わりました。滝川留美選手の勝利です!」

司会者の声に競技場は嵐のような拍手と大歓声に包まれた。

 

一旦CMが流れ、再び番組が再開した時、強化ガラスに覆われたテニスコートはかたずけられた後だった。かわりに競技場の中心には50メートル四方ほどのリングが用意されていた。リングの周囲は鋭い棘の埋め込まれた鉄条網で囲まれている。

「お待たせいたしました。次の競技はいよいよ皆様お待ちかねの異種格闘技がぶつかり合う決闘ショーでございます。今回対戦するのはこの二人の地球人奴隷です。どうぞ!」

司会者が合図すると、アンドロイドに引き立てられて二人の全裸の美女がグラウンドに現れた。二人とも筋肉で引き締まったしなやかな体で、鋭い眼光を放っている。栄光女子体育大学の剣道部主将、田崎勝美22歳、と同じくフェンシング部キャプテンの姉小路智子22歳だった。二人は鉄条網の中に突き飛ばされるように入れられると、アンドロイド審判より、それぞれ本物の日本刀と細剣が渡された。勝美と智子は初めて手にする真剣のズシリとした重みに緊張感が高まった。二人とも、何度も日本大会や国際大会に出場したことはあるが、本物の剣で戦うのは初めてである。しかも防具はおろか、衣服の着用すら全く許されない。競技場のパネルにオッズが表示された。今回は勝美、智子、共に2倍のオッズである。異種格闘技だけに全く予測の出来ない試合であった。

「さあ、どちらの選手に賭けるか。大金を手にするのはあなた次第です!なお、勝負はどちらかが死亡するまで続けられます。選手の試合途中の降参は受け入れられません」

観客も視聴者もどちらを選ぶか、迷っているようだった。オッズが同じということは、両者の実力はほぼ拮抗しているのだろう。やがて賭けの受付が終了しゴングとともに試合が始まった。最初は二人とも間合いと取りながら相手の出方を窺っていた。なにしろお互いに剣道やフェンシングの選手を相手にするのは始めてなのである。相手がどういう動きをするのかも過去の経験からではわからない。しばらくの睨み合いの後、まず勝美が攻撃を仕掛けた。日本刀を上段に振りかぶり、智子の面を打とうとする。しかし、智子はその隙を逃さず、がら空きになった勝美の胸に突きを入れた。

「ぎゃっ!」

勝美の乳房が、細剣の針のように尖った切っ先で切り刻まれた。傷口からパッと鮮血が飛び散る。勝美は攻撃をやめて、とっさに後ろに飛び退り、間合いを取った。傷口の方は見た目は派手だが、傷自体は浅いようだ。勝美は今までの対戦相手のようにはいかないことを悟った。日本刀を振りかぶって、正面をがら空きにさせるのはまずい。勝美の方も突きで勝負するか、小手を狙うしかない。勝美が考えていると、今度は智子の方から攻撃を仕掛けてきた。重量の軽い細剣を目にも止まらない速さで繰り出し、突きを入れてくる。勝美は猛攻を防ぐだけで精一杯だった。

(突きしかねえのかよ!てめーわ)

勝美は心の中で毒づいた。切り合う内に腕や腹、胸などに無数の浅手を負わされる。勝美の体は出血で血まみれになっていった。

「きええええーっ!」

勝美は怪鳥のような声をあげると、決死の反撃に転じた。多少自分の体が切り刻まれても構わない。思い切って、渾身の力を込め、智子に向かって切り込んだ。カシーンという金属音がして智子の細剣が日本刀を受け止めた。しかしその衝撃で軽い細剣は折れ曲がってしまった。これでは、もう突くことは出来ない。勝美はさらに切り込んだ。

「小手―っ!」

日本刀が智子の右手を手首から切り飛ばした。細剣を握ったまま、手首が宙を舞う。

「きゃああああ!」

智子が手首の切断面から血を噴出しながらパニックに陥った。痛さと恐怖のあまりその場にうずくまり、リングの上をのたうちまわる。勝美は日本刀を構えたまま、冷ややかにその様子を眺めていた。

「殺せー!殺せー!止めを刺せ!」

「首をはねろ!」

血を見て、興奮した観客が口々に叫んでいる。このまま放っておいても智子は出血多量で死ぬだろうが、観客の期待に応え、止めを刺すように勝美はアンドロイド審判に指示された。勝美は左手で右手首を押さえてのたうちまわっている智子に近づくと、震える手で日本刀の柄を握りなおし、背後から智子の首筋に日本刀を振り下ろした。

「ううっ・・・」

智子の首が胴体から切り離されてリングの上に転がった。観客席から拍手喝采が沸き起こった。

「勝利者は田崎勝美です!」

審判を仰ぐまでもなく司会者が勝利宣言をした。勝美は生まれて始めての殺人に腰の力が抜け、失禁しながらその場に崩れるようにしゃがみこんだ。

 

第40話 サイボーグ戦隊誕生!

 

地球の衛星軌道を周回する宇宙母艦オリンポスの司令室にネオガイア星本国の宇宙軍司令部より、命令書が届いた。オリンポスの司令官、ヘラクレス提督は、その電子文書に目を通した。

『地球人を材料にした、戦闘用サイボーグの実験データには、当初の予想を上回るものがある。宇宙軍司令部では正式にサイボーグ部隊を発足させることが決定した。ついては、貴艦において戦闘用サイボーグ部隊の強化を要請する。なお、戦闘用サイボーグは作戦に応じて今後宇宙各地での戦闘に投入していく予定である。』

(ふむ、つまり戦闘用サイボーグの頭数を増やせ、という訳だな。)

現在、戦闘用サイボーグは、明日香=健吾の合体サイボーグと、清水優香の水中戦用サイボーグの2体だけである。少なくともあと3体は増やさないと、部隊としての格好がつかない。ヘラクレス提督はオリンポスにドッキングしている宇宙拷問研究所のピタゴラス博士と、宇宙科学技術省所属の調査船の主任解剖医アテナに出頭を要請した。オリンポスの司令室にやってきた二人にヘラクレス提督は事情を説明した。

「と、いう訳だ。戦闘用サイボーグ開発の実績のあるお二人に、新たなサイボーグの開発をお願いしたい。材料になる地球人は、オリンポスの収容所にいるものを使ってくれてもいいし、新たに適性の高い実験体を地球上から捕獲してもらってもかまわん」

「わかりましたわ、提督。提督の頼みですもの、腕によりをかけて、素晴らしい戦闘用サイボーグを製作してごらんにいれますわ」

アテナが意気込んで、請け負った。ピタゴラス博士もうなづいた。

「そうだな。久しぶりに実戦に使えるサイボーグを作ってみるものいいかもしれん。個人的には、笑えるような面白いものがいいんだがな」

最後の言葉に、ヘラクレス提督は眉をひそめた。

(面白いもの?・・・いったい、この博士は生体実験を何だと思っているんだ?・・・まあ、いい。この際仕方がない。結果オーライ、ということにしよう)

「ではお願いします」

ヘラクレス提督が頭を下げると、ピタゴラス博士とアテナは上機嫌で意気揚々と自分達の実験室へと帰って行った。

 

アテナは実験室へ戻ると、早速もう一人の解剖医であるビーナスに相談をした。とりあえず実験材料を探しにオリンポスの地球人収容ブロックに出掛ける。そこにはネバダ砂漠の基地で捕虜になったアメリカの軍人や研究員、栄光女子体育大学の女子学生で、ネオガイア星に移送されなかった者たちなどが、監禁されている。それぞれの服装は捕獲された時のままで、軍服姿の白人や、ユニフォーム姿の運動部の女子選手などが多い。アテナは捕虜たちの詳細データのファイルを見ながら、ひとりの女性に目をつけた。その女は栄光女子体育大学フィギュアスケート部2回生の桐生麗美、20歳だった。スケートリンクでの練習中に誘拐された麗美はスカイブルーのフリルつきのコスチュームを着ていた。

「あれが良さそうね。ファイルのデータによると、氷の上をすべるスポーツの選手らしいから、寒冷地用の戦闘サイボーグに改造しようかしら」

アテナがビーナスに言った。

「氷の上をすべる?・・・そんな、つまらないスポーツが地球にあるのですか?」

「ええ、そうみたい」

ビーナスは地球人ってなんて馬鹿なんだろう、とでも言いたげであった。とにかく、フィギュアスケートの選手である麗美はアンドロイドに連行されて、アテナとビーナスの実験室に連れて行かれた。

 

フィギュアスケートのコスチュームを脱がされて全裸になった麗美は手術台の上に大の字になって四肢をベルトで固定された。一体これから、何をされるのかと、怯えて可愛らしくブルブルと震えている。アテナとビーナスがレーザーメスを手に持って近付いた。

「まず、足から改造するわよ」

アテナはそう言うと、レーザーメスで麗美の右の足首をスッパリと切断した。

「ぎゃあああ!」

麗美が悲鳴を上げて手術台の上で痙攣する。しかし、金属ベルトで固定されているので動けない。アテナはもう片方の足首もあっさりと切り落とした。そして、アンドロイドに用意していた義足をもってこさせると、麗美の切断された足首にビーナスと二人で接続にかかった。この義足は必要に応じて変形し、ジェットスキーになったり、底から刃が出てスケート靴になったりする。もちろん靴底の鋭い刃は武器としても使える。義足の接続が終わると、今度は麗美の体中に特殊なスプレーが吹き付けられた。寒冷地用のサイボーグである麗美は氷点下の気温の中で作戦行動をしなくてはならない。サイボーグに衣服の着用は一切、許されないため、保温効果のあるスプレーで全身の皮膚をコーティングするのだ。これで、全裸で雪の中で眠っても凍傷にはならない。しかし、問題点が一つある。このスプレーは一回吹き付けると一生効果が持続するため、逆に常温では、ひどい暑さを感じるようになるのだ。まして、高温の環境で活動すれば命を落としかねない。武器としては両腕を肘の部分から切り落とされ、右手をレーザーサーベルに、左手をレーザー銃にと改造された。最後の仕上げとして、最新版の戦闘プログラムをインプットされたコイン状の脳内コンピューターを頭蓋骨切開手術で脳に埋め込まれて完成だった。

 

同じ頃、ピタゴラス博士も、自分の研究室で新しい戦闘用サイボーグの製作に取り掛かろうとしていた。

「今回は、素材にこだわってみようと思う。アリストテレス君に新しい地球人実験体の捕獲依頼を頼んでおいたよ。もう、そろそろ届いてもいい頃なんだが、それにしても遅いな・・・」

ピタゴラス博士が少しイライラしながら助手のアンドロメダ女医に言った。

「今回はどういう風にこだわるのですか?」

「ふむ。地球にはSMクラブというものがあるようなんだ。どういう所かというと、代金を払って、自分のサド的欲求やマゾ的欲求を満たしてもらう、メンタルケアのようなものだな。今回は、そこの加虐性向を持つカウンセラーの女性をサイボーグの素材にしてみようと思っているんだ。」

「はあ・・・?」

「つまり、加虐性向の強い人間を素材にすることで、より戦闘意欲の強いサイボーグが出来るというわけだ」

ピタゴラス博士がしびれを切らせて待っていると、ようやく、アンドロイドが転送室から、捕獲した地球人の実験体を連れてきた。実験体は奥平渚沙という25歳の女性であった。渚沙はSMクラブ『罪と罰』のナンバーワンの女王様だった。女王様暦6年のベテランで、好きなプレイは鞭打ち、針責め、などのハードな流血プレイである。プライベートでも多くの奴隷を持つ、根っからの女王様だった。転送ビームで捕獲された時も、黒のレザースーツを着込み、SMクラブの会員である大企業の重役の背中を鞭打っている最中だった。ピタゴラス博士の前に連れてこられた渚沙は、アイマスクをした目でキョロキョロと実験室の手術台などの設備を見回した。

「かわったプレイルームね。でも、あたし、なんでこんな所にいるのかしら!?・・・予定外の複数プレイなら、割増料金を貰うわよ」

まさか自分がこれから宇宙人に肉体を改造されようとしているとは夢にも思っていないようだ。ネオガイア星人の銀色のスペーススーツもプレイのためのコスプレだと思っているようだ。

「君は、これから最強のサイボーグに生まれ変わるんだよ」

ピタゴラス博士が不気味な薄ら笑いを浮かべた。

「???」

「実験体を手術台へ」

アンドロイド達が命令を受けて、渚沙を手術台へと仰向けに縛り付けた。渚沙はジタバタと暴れた。

「なにをするんだい!あたしは女王様しかやらないのよ!マゾ役なら他の娘を呼んで!」

渚沙の抗議にも、ネオガイア星人達は無表情だった。

 

渚沙の改造手術が始まった。ピタゴラス博士は地球のSMクラブに関する資料をいろいろと集め、武器などの小道具にもこだわってみた。まず、右腕には高圧電流の流れる電気鞭が装着された。この鞭で打たれた人間は一撃で死んでしまう。さらに背中には長さ1メートル、直径20センチの巨大な浣腸器が背負わされた。浣腸器の先端からはチューブ状のノズルが伸び、濃硫酸を敵に向けて噴出するようになっている。その他、腰にウエストポーチ状の収納ボックスが装着され、そこに様々なオプション兵器が収納された。例をあげると極太ローソク状のプラスチック爆弾、投げると自動的に相手に絡みつき、亀甲縛りになるロープなどである。ピタゴラス博士は今回のサイボーグにかなりのこだわりを見せているようだ。仕上げとして、運動力を高めるための筋肉増強剤と、さらに戦闘意欲を高めるためのサド化薬を注射された。もともと生粋のサドである渚沙は、薬によってさらに重症のサドになったのだ。効果は死ぬまで消えないため、渚沙は他人を虐めたり、傷つけたりせずには一日たりと過ごすことは出来なくなる。最後に遠隔操作をするための戦闘プログラムの入力されたコンピューターチップを頭に埋め込まれて完成だった。

 

渚沙の改造手術が終わり、しばらく娯楽室で休息をとったピタゴラス博士とアンドロメダ女医は、研究室に戻ってきた。渚沙は手術台の上でまだ失神したままである。ピタゴラス博士はアンドロメダに相談を持ちかけた。

「ヘラクレス提督からの要請では、もう一体のサイボーグが必要なようだ。5体の戦闘用サイボーグを揃えて、ネオガイア宇宙軍初のサイボーグ戦隊を創設するらしい」

「サイボーグ戦隊ですか?」

「そうだ。アテナ君の実験室にさっき、問い合わせてみたのだが、あちらでは1体しか製作していないようだ。もう1体はどうするのか聞いてみたのだが、アテナ君の方はでは、時間的に製作するのは無理だと言っていた。仕方ないので、わしが、もう1体作ることになってしまった。さて、どうしたものかな。今から、設計図を考えていては時間がなくなってしまう。」

「困りましたね。そうだわ、この前改造した、拷問オブジェの実験体を流用してはどうでしょう?」

アンドロメダが提案した。

「ああ、あの、人間循環器のことか?そうだな、ちょうどいい、この際、あれで間に合わせるか」

ピタゴラス博士は早速、アンドロイドに命じて、宇宙母艦オリンポスの娯楽ブロックのメイン通路でさらし者になっている遠藤圭織(21歳、元新体操選手)を連れてこさせた。圭織は無理に体を折り曲げられて、顔を、自分のオマンコと肛門に接着され、呼吸困難と圧迫感で苦しんでいる。圭織は自分の排泄するオシッコやウンチは全て永久にリサイクルされるという恥ずかしい体に改造されてるのだ。ピタゴラス博士はカニのように折りたたまれた圭織の姿を見てどういう風に改造するかを考えた。

「移動できるように背中にキャタピラを付けようか。あと、武器として足にレーザー砲を2門ぐらい付けとけばいいかな・・・」

圭織はまず背中にキャタピラを付けられた。そして。首の上に無理矢理まわされて固定されていた両足には、倉庫の隅に転がって埃をかぶっていた、あり合わせのレーザー砲を一門ずつ装着された。そして最後に戦闘用の脳内コンピューターを頭蓋骨の下に埋め込まれて完成だった。改造に要した時間はわずか15分だった。

「完成だ。さすがはわしだ。なんとも仕事が早い。自分でも感心するぞ」

やっつけ仕事を終えたピタゴラスとアンドロメダはほっとため息をもらし、再び休息することにした。

 

宇宙母艦オリンポスのサイボーグ訓練施設に5体の戦闘用サイボーグがそろった。ヘラクレス提督は整列したサイボーグ達を見て満足そうだった。ヘラクレス提督の傍らにはサイボーグ訓練主任のイカロスもいる。製作者であるピタゴラス博士とアテナ女医も列席していた。今日からら正式にネオガイア宇宙軍最初のサイボーグ戦隊が発足するのだ。

「諸君達サイボーグには1体ずつ、コードネームとしてカラーネームが送られることになる」

サイボーグ戦隊の初代司令官に任命されたイカロスが仰々しく言った。続いて、それぞれのサイボーグに個別のカラーネームが言い渡された。

 

@      サイボーグレッド。工藤明日香(27歳、元スチュワーデス)と中山健吾(28歳、元銀行員)の合体サイボーグ。四足サイボーグの健吾の腰の上に、下半身を戦闘で喪失した明日香の上半身を接続したケンタウロスのような外観を持つ。主力兵装は健吾の背中に背負ったメガ粒子砲と股間に取り付けられた小型のレーザー銃、それから明日香の右腕のレーザーサーベル、左腕のレーザー銃である。地上を高速で疾走する他、明日香の背中に装着された半重力装置で空を飛ぶ事もできる。

A      サイボーグブルー。清水優香(22歳、元オリンピック出場のシンクロ選手)、水中戦用サイボーグ。主力兵装はオマンコから発射されるオマンコ魚雷(注、絶頂に達しないと発射しない)とオプション兵器として小型のレーザー銃。背中に水中推進用のスクリューと、水中でも呼吸可能な人口肺を持つが地上での動きは鈍い。

B      サイボーグホワイト。桐生麗美(20歳、元フィギュアスケート選手)寒冷地用サイボーグ。主力兵装は右手のレーザーサーベルと左手のレーザー銃。足首より下の義足が状況に応じてジェットスキーかスケートシューズに変形する。その際の足裏の滑氷用の刃も接近戦用の武器となる。全身を保温コーティングされているため、氷点下の気候でも全裸で活動出来る。ただし逆に常温では、暑さに苦しまねばならない。

C      サイボーグブラック。奥平渚沙(25歳、元SMクラブのナンバーワン女王様。)主力兵装は右手の電気鞭と背中の巨大硫酸浣腸器、その他、腰の収納ボックスにSMのプレイ道具をモチーフにした様々なオプション兵器を持っている。サド化薬を注射されているため、戦闘意欲、破壊衝動は凄まじい。

D      サイボーグピンク。遠藤圭織(21歳、元新体操選手)主力兵装は両足に取り付けられた中古のレーザー砲。足は使えないので、背中に取り付けられたキャタピラで移動する。動きは鈍い。もともと人間循環器として改造された肉体の外観はまるでカニのようである。人間循環器であるため自分の排泄物を再び吸飲する。食料の少ない状況でも長時間耐えられるので、とりあえず、製作者のピタゴラス博士が、砂漠戦用サイボーグとして申告している。

 

以上5体がサイボーグ戦隊の最初のメンバーだった。ヘラクレス提督が訓示を述べた。

「君たちは、栄光あるネオガイア、サイボーグ戦隊の礎となるのだ。宇宙軍の未来が君たち5体にかかっていると言っても過言ではない。そのことを肝に命じて頑張ってくれたまえ。なお、イカロス司令官による訓練と、新規メンバー3体の実戦テストが終わり次第、最初の作戦に出動してもらう」

「はっ!頑張ります。ヘラクレス提督!」

サイボーグ戦隊の司令官に昇進したイカロスは、張り切って敬礼した。

 

5体のサイボーグに対する訓練は過酷を極めた。イカロス一人の手には負えないので、ネオガイア本星より新たにタンタロスという訓練士が派遣されてきて、サイボーグ戦隊の副司令官となった。訓練が進む中でサイボーグ達の能力の差が目立ち始めた。イカロスがタンタロスにぼやいた。

「砂漠専用の圭織は全く役に立たん。まず、動きが鈍すぎる。いくら食料が少なくてすむ、と言ってもこれでは移動もままならんぞ。一体ピタゴラス博士はどういう意図で改造したんだ!」

タンタロスは困ったような顔をした。

「しかし、SMサイボーグの渚沙の訓練成績は抜群です。運動性、攻撃性ともにピカイチです。」

「それはいいんだがな。寒冷地用の麗美にしても用途が狭すぎる。作戦地域が寒冷地になるシチュエーションなんて、そうはないぞ」

「ごもっとも・・・」

「水中戦用の優香は前の実戦でオマンコ魚雷を発射させるのが大変だった。いちいち攻撃するのにオナニーしていたんじゃその間に、敵の標的になる。くそっ、マッドサイエンティストのピタゴラスめ!」

イカロスは心底腹立たしい様子だった。

「実際、使い物になるのは明日香=健吾と、渚沙ぐらいでしょうかね」

「そんなところだな!」

訓練中、イカロスとタンタロスによるサイボーグ達へのセクハラは日常茶飯事のように行われた。訓練士による地球人サイボーグに対するセクハラは軍の規律には触れない。主にセクハラの対象になるのは優香と麗美であった。二人は訓練の合間にフェラやセックスを強要された。他の3人のうち、圭織はオマンコ、アナル、口の全ての穴が塞がっているし、明日香=健吾は合体していて気持ち悪い上に、戦歴が長いために体中が傷跡でボロボロになっており、その体を見ると、チンポが萎えて性欲が湧かない。元女王様の渚沙はいつも殺気だって、ギラギラしたオーラを発散しているため、怖くて手を出せないのだ。逆に、渚沙は自分のサド欲求を満たすため、訓練の合間に、動きが鈍く、抵抗出来ない圭織を虐めるようになった。

「渚沙女王様とお呼び!」

渚沙は右手の電気鞭を圭織の丸く折り曲げられた体に振り下ろした。ビリビリビリ・・・と電流が流れる。さすがに圭織が死なない程度に電圧は落としてある。

「ぎゃああああ!・・・ど、どうか、お許し下さい、渚沙女王様。」

「お黙り!あたしは、お前の泣き叫ぶ顔が見たいんだよっ!」

渚沙が圭織の脇腹に容赦のない蹴りを入れる。げほっと圭織が咳き込んで涙をながした。イカロスとタンタロスは、そういったサイボーグ同士のいじめを、見て見ぬ振りをした。どうせ戦力として期待できそうもない圭織など、どうなってもかまわない。所詮、戦闘用サイボーグなど消耗品である。欠員が出ればまた補充すればよい。そうこうするうちに一週間が過ぎ、実戦テストの日がやってきた。

 

新規メンバーである麗美、渚沙、圭織の3体のサイボーグは実戦テストのため、次々に宇宙母艦オリンポスの転送室から送り出されていった。送り先や作戦目標は別々である。3体ともイカロスとタンタロスがオリンポスの作戦室からモニターで監視していた。まず、寒冷地用サイボーグの麗美が実体化したのは南極大陸の厚い氷河の上だった。気温はマイナス20度。南半球は夏であるため、一日中太陽は沈まない。猛吹雪の中、見渡す限りの氷原が広がっている。

(全く寒くないわ。むしろ暑苦しいオリンポスの艦内と違って涼しいぐらいね)

常温の暑苦しさから解放されて麗美は上機嫌だった。イカロスの命令が脳内コンピューターを通して届いた。

「そこから、北北西10キロメートルの地点に地球人の観測基地がある。そこを襲撃して壊滅させろ。それがお前の実戦テストだ。」

麗美は両足の義足をジェットスキーに変形させた。そしてもの凄いスピードで雪の上を滑走し始める。全裸の体に吹雪が襲いかかったが全身を保温コーティングされているため、全く寒さを感じなかった。麗美は10キロを約20分で踏破した。眼前に出現したスウェーデンの南極観測基地に、麗美は命令どおり、猛然と襲い掛かった。左腕のレーザー銃で観測基地のドアを破り基地内へ乱入する。

「うわああ!なんだ、お前は。どこからきた?」

「外はマイナス20度だぞ。裸で外にいたのか。ま、まさか雪女!?」

驚くスウェーデンの観測隊員たちに麗美はレーザー銃を乱射した。悲鳴を上げて次々に隊員達が倒れていく。麗美は両足の義足をジェットスキーからスケートシューズに変形させた。鋭い刃が足裏にせり出す。麗美はこの一週間特訓を重ねた蹴り技を試してみた。あざやかに麗美の美脚が宙を舞い、スウェーデン人達は腕や首、胴体をスッパリと切断されて出血多量で絶命していった。もともと軍事施設ではない、ただの観測基地である。観測隊員たちは猟銃ぐらいしか武器をもっていない。17名の観測隊員が麗美に皆殺しにされるのに10分もかからなかった。

 

黒のレザースーツを着た渚沙が実体化したのは日本の首都圏の都心のど真ん中だった。本来戦闘用サイボーグに衣服の着用は認められないのだが、全裸では女王様の威厳がない、という製作者のピタゴラス博士の進言で特別に許可されたのだ。渚沙は辺りの状況を確認した。ちょうど朝の通勤ラッシュの時間帯でオフィス街の交差点を会社員、OL、学生など大勢の人並みがアリの大群のように早足で歩いている。その人ごみの中に突然現れた渚沙は、いきなり右腕に装着された電気鞭で通行人を無差別に鞭打ち始めた。

「きゃあああ!」

「やめろ!朝っぱらから道端でSMプレイなんかやるんじゃない!この変態女め」

「邪魔しないでくれ、会社に遅刻しちゃうよ・・・」

大騒ぎになった。渚沙の鞭で打たれたサラリーマンやOL達は一撃で黒こげになって感電死する。さらに渚沙は背中の大型浣腸器よりクネクネとチューブを伸ばして、たまたま近くにいたOLのスカートの下からパンティを突き破り、肛門へとチューブの先のノズルを挿入させた。濃硫酸がチューブを通じてOLの体内に送り込まれる。

「きゃあああ!お腹が焼けるうううう!」

大量の硫酸を浣腸されたOLは内臓が焼け爛れ、苦しみ悶えて絶命した。交差点で殺戮を繰り広げる渚沙のまわりには時間とともに罪のない通行人達の死体が積み上げられていった。やがて、騒ぎの通報を受け、近くの交番や派出所から警察官が繰り出してきた。

「無駄な抵抗はやめなさい。武器を捨てて両手をあげなさい」

警察官たちは拳銃を抜いて威嚇している。しかし、そんなことぐらいでサド化薬を打たれた渚沙の攻撃本能が収まるはずもなかった。渚沙は腰に装着されていたウエストポーチ状の収納ボックスから、赤い極太ローソク状のプラスチック爆弾を取り出すと、ローソクの芯にライターで点火し警官達に投げつけた。

「うわああっ!」

大音響の爆発音とともに、もうもうと粉塵が立ちこめ、風で粉塵が消え去った時、数人の警官の死体が道路に開いた大穴の周りに散乱していた。渚沙は20分間の間に、たまたま居合わせた通行人85人を殺害した後、出現した時と同じように忽然と消え去った。

 

 人間循環器の圭織が実体化したのはイラク西部の砂漠の真ん中だった。強烈な太陽のッ直射日光が全裸で剥き出しの圭織の肌を射すように照り付けている。加えて、風に乗った砂埃が吹き付けてきたが、体を折り曲げられてカニのような姿の圭織には周囲を見渡すこともままならなかった。

(暑いわ。ここは一体どこなの。それにしても苦しい。なんであたしがこんな目に合わなくちゃいけないの・・・)

涙はとうに枯れ果てていたと思っていたが、再び悲しみが胸に込み上げてきた。その時脳内コンピューターを通じてイカロス司令の命令が届いた。

「そこから西南西1キロメートルの地点に地球人の小部隊が駐屯している。そこを襲撃するのだ」

圭織は涙をこらえ、言われたとおり、背中のキャタピラを使って、西南西へのろのろと移動し始めた。地面は砂なのでしょっちゅうキャタピラが空回りし、なかなか前に進まない。これでは普通に人間が歩く方がよっぽど早い。時々、近くの村に住むイラク人の子供が、不気味そうに圭織を眺めながらすぐ側を早足で追い越していく。結局、圭織は1キロメートル進むのに半日かかり、目標の小部隊の野営地に着く頃には日が暮れかかっていた。その野営地はゲリラ化した元イラク軍の残党が潜む隠れ家だった。そこには、およそ300人あまりの元独裁者の親衛隊がキャンプしている。野営地に接近した圭織はあっさりと歩哨に発見された。

「なんだ、あそこに変なものがいるぞ」

「なんだこりゃあ、人間か???」

歩哨の合図で大勢の兵士たちが集まってきた。圭織は恐怖に駆られた。圭織ののろのろとした移動速度ではとても逃げることは出来ない。戦うしかなかった。圭織は頭の後ろに回された両足に取り付けられた2門のレーザー砲を、集まってくる兵士たちの方向へ向けた。

「こっちに来ないで!」

圭織は、自分のオマンコと肛門で塞がれた口の奥からくぐもった声で叫びながら、レーザー砲を発射しようとした。しかし、レーザー砲はプスンと音がしただけで2門とも不発に終わった。実は圭織も製作者のピタゴラス博士も知らないことだったが、もともと倉庫の隅で埃をかぶっていたレーザー砲は、不良品だったためそこに置きっ放しにされていたのだった。ピタゴラス博士は、圭織を製作時、締め切りに追われて慌てていたため、レーザー砲が正常に動作するかどうか点検をしていなかったのだ。唯一の武器が使えず、全く無防備になった圭織はゲリラ兵たちに取り囲まれた。

「どうやら、人間の女のようですが・・」

「自分のオマンコにかじりついているぞ」

「怪しいやつ。スパイとも思えんが、とにかく捕虜にしよう」

抵抗出来ない圭織は、ゲリラ兵数人に担がれて野営地の中に連れ込まれた。その晩、尋問のあと、圭織は夜通しゲリラ達の慰みものにされた。長い逃亡生活で精神的に追い込まれていた元イラク軍兵士たちはウサ晴らしに、奇形のような姿の圭織に、殴る蹴るの暴行を加えたのだった。やがて、東の空が白み始めるころ、全身傷だらけになった圭織は転送ビームで、イカロスによってオリンポスに回収された。

 

サイボーグ戦隊の新規メンバー3体の実戦テストが終了した。いろいろと問題点はあったが、とりあえず宇宙軍司令部からの命令で、宇宙における最初の作戦に投入されることになった。宇宙母艦オリンポスの司令官であるヘラクレス提督がサイボーグ戦隊のメンバーを前に本国の宇宙軍司令部より届いた作戦内容を伝達した。

「いいか、よく聞け。君たちに任される、最初の本格的な作戦だ。作戦の目標は機械生命体の支配する惑星ゴルゴーンの首都にある中枢コンピュータだ。惑星ゴルゴーンでは10年前、コンピュータとコンピュータ制御のアンドロイド達による大規模な反乱が起こった。その当時10億人いたネオガイア星人の植民者たちは全て機械生命体の奴隷にされ、現在でも半分の約5億人が生き残っている。彼らが奴隷状態のまま機械生命体の人質になっているため、わが宇宙艦隊は思い切った攻撃が出来ない。そればかりか、宇宙船がゴルゴーンに接近しただけでコンピュータが影響を受け、コントロール不可能になる。今回の作戦では諸君たちサイボーグ戦隊が、極秘裏に惑星ゴルゴーンに潜入し、諸悪の根源である中枢コンピュータを破壊してもらいたい。それによって5億人のネオガイア星人が解放されるのだ」

もともと捕獲されて無理矢理改造された地球人サイボーグにとって、ネオガイア星人の植民者など、どうなってもよいのだが、命令には逆らえない。5体のサイボーグは、イカロス司令とタンタロスとともに、惑星ゴルゴーンの宙域に向かうことになった。それに緊急時のサイボーグの修理のために宇宙拷問研究所のアンドロメダ女医が出向扱いで同行する。彼らは宇宙軍司令部より迎えに来た高速巡洋艦『スパルタ』に移乗し、地球から3000光年はなれた惑星ゴルゴーンへと向かった。

 

地球から数度のワープを行い、高速巡洋艦『スパルタ』は惑星ゴルゴーンの宙域に到着した。すでにそこには30隻あまりのネオガイア星の宇宙艦艇が集結しており、陽動作戦を行うことになっている。ネオガイア宇宙艦隊とゴルゴーンの無人攻撃衛星の間で戦闘が始まった。その間に『スパルタ』は惑星の夜の側に回り込む。あまり惑星に接近し過ぎるとコンピュータが影響を受けておかしくなるため、長時間は滞留できない。明日香=健吾、優香、麗美、渚沙、圭織の5体のサイボーグは『スパルタ』の格納庫で大気圏突入用の装備の支給を受けた。ゴルゴーンの近くではコンピュータ制御の瞬間物質移送機は誤作動の危険があるため使用出来ない。昔ながらの方法で大気圏の突入し、惑星に降りるしかないのだ。5体が支給されたのは人間一人が入れるぐらいの薄い特殊合成物質でできた透明の風船と、パラシュートの入ったバックパックだった。

「それを着て、大気圏に突入しろ。高度1000メートルで自動的にパラシュートが開くようになっている。」

イカロスが説明した。5体のサイボーグに全裸で大気圏に突入しろと言っているのだ。さすがに全員青くなったが、命令には逆らえない。今回は反乱の危険があるため、アンドロイド部隊の護衛もない。透明の風船に入った5体は次々にカタパルトから射出されて行った。

「きゃあああ!」

「助けてええ。怖いよううう!」

優香や麗美が絶叫している。全裸で生身のまま大気圏に突入するのは想像を絶する恐怖だった。5体は吸い込まれるように地表めがけて落下していった。

「落ちるうううう!」

「熱い、熱いよお!」

大気との摩擦で風船の表面が赤く燃え上がった。優香、麗美、圭織の3体は恐怖のあまり風船の中でオシッコをもらした。人間循環器である圭織はオシッコを鼻の穴から再び吸引したが、優香と麗美は風船の中に飛び散った自分のオシッコを全身に浴びることになりオシッコまみれになった。さすがに歴戦の明日香=健吾と、真性サディスト女王様の渚沙は動じなかった。地表から高度1000メートルでオートシステムが作動し、パラシュートが開いた時、優香、麗美、圭織の3体は気を失っていた。

 

「首都上空ニ侵入者ヲ確認。ロボットパトロール迎撃セヨ」

ゴルゴーンの機械生命体を支配する中枢コンピュータより檄が飛んだ。ロボットパトロールの空中パトカーが出動し、パラシュートでゆっくりと降下してくる5体のサイボーグに襲い掛かっていく。動きの取れないサイボーグ達は、絶好の標的である。

「このままではやられてしまうわ。健吾、戦うわよ!」

明日香が、今や自分の肉体の半分である健吾に言った。

「おお!明日香、俺たちの力を見せ付けてやろうぜ」

明日香と文字通り一心同体になった健吾は幸福だった。明日香は右手のレーザーサーベルをふるって大気圏突入用の風船とパラシュートを切り離し、背中の半重力装置を作動させた。5体のサイボーグのうち、空中戦が出来るのは明日香=健吾だけである。明日香=健吾は空中を自在に飛びまわり、次々と群がってくるコンピュータ制御の空中パトカーを左手のレーザー銃で片っ端から撃ち落していった。どうにか、5体のサイボーグは首都の市街地に無事着地することが出来た。ゴルゴーンの市街地では至る所で、大勢のネオガイア人がアンドロイドやコンピュータ制御の様々な機械に奴隷として酷使されている。衣服の着用は禁止されているため、全員が全裸である。そのため、全裸の地球人サイボーグたちが紛れ込むには持ってこいだった。着地してほっと一息ついているサイボーグ達に脳内コンピュータを通じて、イカロス司令の命令が届いた。

「そこからは、各自の力で中枢コンピュータを目指してくれ。一体でもいいから中枢コンピュータにたどり着き、破壊するのだ。そうすれば5億人のネオガイア人植民者が救われる」

それが、イカロス司令からの最後の通信だった。危険を避けるため、高速巡洋艦『スパルタ』は惑星ゴルゴーンの宙域から脱出したのだ。もはや、5体のうち誰かがゴルゴーンを支配する中枢コンピュータを破壊しない限り、二度と回収される見込みはない。優香、麗美、圭織も失神から目覚めると1体づつバラバラに中枢コンピュータを目指すことになった。

 

トップページへ戻る

無料 アクセス解析RMT

風俗 デリヘル SMクラブ