第154話、鉤十字団

 

 財銭吾郎(43歳)は、さざなみ市立総合病院の研究室を出て、帰宅の途に着いた。若くして、教授の地位についた彼は、地球人で、もっともネオガイア星の人体改造技術に精通した医学者で、そのレベルは、ネオガイア人の一流科学者と変わらないレベルにまで向上している。宇宙人の占領以来3年間で、数十人の人体改造を手掛けてきた財銭教授は、ネオガイア星人にも一目置かれる存在だった。

「今日は、接待がないから、直で家に向かってくれ」

「わかりました」

財銭教授は、病院のVIP用駐車場で、専用のベンツに乗り込むと、運転手に言った。毎晩、日本の製薬メーカーや、医療器具メーカーからの、接待漬けで疲れている。

(地球製の原始的な備品なんて、本当はもう、使う気になれないんだがな。それにしても、今日、人間噴水に改造した女は、別嬪だった・・・元レースクイーンだったという話だったが)

財銭教授は、若く、張りつめた女の肌にメスを入れる瞬間を思い出してゾクゾクした。M字開脚でポーズをとった姿勢で、尿道から際限なく水が噴き出すように改造したのだ。水は口からホースを通し、体内を通って膀胱に流れ込むように直結した。彼女は、さる地球在住のネオガイア人高官の自宅の庭に飾られる事になるらしい。財銭教授が、疲れのためか、取り留めのない事を考えながら、後部座席でウトウトしていると、いきなりベンツがブレーキ音と共に、急停車した。

「危ないじゃないか!」

運転手が、窓を開けてどなった。何者かがいきなり夜道に飛び出してきたのだ。しかし驚いた事に、飛び出してきたのは一人ではなく、十数人の全身黒ずくめの人間達だった。

「何だ、お前ら!」

運転手の怒鳴り声で財銭教授も、完全に目を覚ました。黒ずくめの集団は、ベンツを完全に取り囲んでいる。頭の先から、足の先まで体にピッタリとフィットした木綿素材のような薄い黒布をまとっており、顔も目の部分以外は覆面レスラーのように、頭からスッポリと黒いマスクで覆われていた。ただ、マスクの額には、ハーケンクロイツのマークが付いている。

「ヒー!ヒー!」

「ヒー!ヒー!」

黒ずくめの集団は、口々にそう叫んでいた。

「降りろ、財銭教授!我々と共に来るのだ」

リーダー格らしい男が、言った。別の者が、手に持っている短剣の様な武器で、ベンツのドアの鍵をたたき壊し、こじ開ける。財銭教授は後部座席から引きずり出された。

「我々は、鉤十字団だ。財銭教授!これからは、我々のために改造人間を作るのだ!」

「馬鹿なことを言ってんじゃない!・・・おい、こら、放せ・・・嫌だ、行きたくないっ!」

必死に抵抗しようとする財銭教授を数人がかりで担ぎあげ、少し離れた所に停車していた装甲車のような車に担ぎこもうとする。ボディガードを兼ねている運転手は、空手3段の腕前で、果敢に黒ずくめの集団に立ち向かおうとした。

「我々が、必要としているのは財銭教授だけだ。お前は死ね」

リーダー格の男が短剣を、飛びかかってきた運転手の胸に突き刺した。剣先から強烈な電磁波が流れスパークする。運転手の体は刺された箇所からグズグズに崩れ、倒れ込んだ。

「うがあああ!胸が!胸が・・・」

運転手の胸は、ぽっかりと空洞が開き、肋骨が剥き出しになっていた。

「ヒー!ヒー!」

黒ずくめの人間達は、それしか口にする事を許されていないかのように叫びながら、財銭教授を無理矢理、装甲車に乗せ、荒々しくドアを閉めた。素早い統率のとれた動きで、一糸乱れず、全員が装甲車に乗り込む。

「任務完了!撤収!透明化フィールド展開!」

「ヒー!」

リーダー格の男が叫ぶと、装甲車の輪郭は、陽炎のように揺らぎ、やがて人間の目には見えなくなった。現場には、急停車してドアの破壊されたベンツと、運転手の変死体だけが残されていた。

 

 財銭教授は、連れ込まれた装甲車の中で、手足を拘束されてシートに座らされた。装甲車の中は、黒ずくめの人間達ですし詰め状態である。彼らは目だけしか露出していないが、体にピッチリと密着した薄い黒服から、男女が半々ずつだと判った。つまり、股間がモッコリと膨らんでいるのが男で、胸が膨らんでいるのが女だ。年齢までは判らないが、機敏な動きから、それほど年配の人間はいないようだ。彼らは必要以上には一言も喋らず、時々何か話す時には、返事は必ず「ヒー」だった。

(不審車両が、さざなみ市から、出られるわけがない)

と、財銭教授は、タカをくくっていた。宇宙人占領地域と、それ以外の日本の領土との境目には、厳しい検問が設けられており、通行許可証がないと通れない。ましてや、外部から入り込んだ装甲車両を見逃す筈はなかった。しかし、装甲車は、何者にも妨げられることなく、走行していった。財銭教授は、車両が透明化され、レーダーにも映らないステルス車両になっているなどとは、夢にも知らなかった。やがて、何時間かが経ち、装甲車は目的地へ到着したようだった。財銭教授は、黒ずくめの人間達に、引き立てられ装甲車から降ろされた。そこは、窓のない地下ガレージのような場所だった。

「イヒ、フロイエ、ミヒ、ズィー、ツー、ゼーエン。ようこそ、わが鉤十字団日本支部へ」

マントを羽織り、軍服を着た一人の白人が出迎えた。財銭教授は、その男をまじまじと観察する。

(ドイツ語・・・ドイツ人か?この軍服は、前世紀のナチスの軍服だ・・・)

「私は、鉤十字団総帥ゲッペルス4世だ。以後、お見知りおきを、財銭教授」

「何のために私を誘拐した?早く解放しないと、宇宙人の報復を受けるぞ」

ゲッペルス4世は、涼しげな笑いを浮かべた。それほどの年齢ではないようで、20代後半から30代前半くらいのようだ。

「我々は、まさにその宇宙人と戦うために結成された戦闘集団なのですよ。あなたの御高名は、兼ねてより、お伺いしております。あなたには、宇宙人と戦うための戦闘用改造人間を作って頂きたい。」

「宇宙人と戦う?馬鹿な。絶対、嫌だ!・・・断ると言ったら?」

「教授、あなたに断る事は出来ませんよ」

ゲッペルス4世が、黒ずくめの部下に合図をすると、得体の知れない液体の入った注射器が運び込まれ、コンクリートの床に押さえつけられて身動きの出来ない財銭教授の腕に、注射針を突き立てた。

「う・・・な、何を打ったんだ?」

「我々が開発した毒薬ですよ。1カ月ごとに解毒剤を打たないと体が内部から溶けて、この世のものとは、思えない激しい苦痛を味わった挙句、恐ろしい死に方をします。ここにいる戦闘員は全員その薬を注射されていましてね。組織を裏切ることは、絶対に出来ないのですよ。もっとも、純メンバーのドイツ人幹部は、そんなもの使っていませんがね。ザコ戦闘員は、すべて誘拐されてきた日本人です」

財銭教授を誘拐した黒ずくめの人間達は、ザコ戦闘員と呼ばれているらしい。ゲッペルス4世の説明によると、彼らは、元々身体能力の高い、自衛官や警察官、スポーツ選手などが多く、拉致され、死人が出る程の苛酷な訓練を経て、一人前のザコ戦闘員になる。財銭教授には、宇宙人と戦うために、彼らより強力な戦闘力を持つ、改造人間を製作させるのが目的だった。

(くそ、こんな奴らの言いなりになるのか!生体実験の最新医学をマスターした、この私が・・・)

財銭教授は歯ぎしりして悔しがったが、とりあえず従うフリをし、脱走の機会を伺う事にした。

 

 財銭教授は、次の日から研究室を与えられ、研究に専念することになった。施設内は、比較的自由に歩き回ることが出来たが、どうやら全ての施設は地下に設けられているらしく、窓や、外の風景を見ることは一度もなかった。かすかな潮の匂いを嗅ぎ取り、海岸線に近い場所にあるのではないかと推測した。

「海に近いのかね?」

財銭教授は、見張り役のザコ戦闘員の男に尋ねた。

「ヒー。そうだ、自然に出来た鍾乳洞をさらに、堀り下げて作った秘密基地だ。」

財銭教授は、潜水艦ドックを案内された。海底トンネルを通って潜水艦が外海から入港してくる。地上への出口は、灯台にカムフラージュされているらしい。

「あの潜水艦は、どこから来るのかね?」

「ヒー、ほとんどは南極からだ。他の国の支部から来ることもある」

「南極?あの氷の大陸の事か?」

「ヒー、そうだ。だが、詳しい事は、ザコ戦闘員には、教えてもらえない。知りたければ幹部の誰かに聞け」

また、ある時、財銭教授は、ゲッペルス4世のペットだという奇妙な女を見た。全裸で床を這いまわるその女は、中年の日本人で、背中に豚の刺青を彫られていた。

「なんだ、あれは?」

「ヒー、昔から総帥が、飼っておられる久美子という公衆便所みたいな女だ。昔は飛び切りの美人だったらしいが、今では、ザコ戦闘員の性欲処理にしか使われていない」

財銭教授は、むせび泣きながら廊下を這い進む、その女を観察した。女の両足は、膝から下が切断され、左手も肘から先が無くなっている。四肢の中では、右手だけが残っており、他の3本の手足の先端は、金属の筒がはめ込まれていた。オマンコの両襞が、思いっきり広げられた状態で太腿に縫い付けられており、日焼けしてドス黒くなったオマンコ内部を常に外気に晒していた。

「ヒー、あの女は、歯を全部抜かれている。見た目はともかく、歯茎フェラはとても気持ちがいいぞ」

「いくつなんだ?あの女は」

「ヒー、35歳だ。でも、もっと老けて見える。余程辛い経験をしてきたんだろうな。潜水艦で、南極から初めてこの基地に連れて来られて、ここが生まれ故郷の日本だと聞いた時、ボロボロ涙を流して号泣していたそうだ。時々、遥か昔に離れ離れになった娘の名前を上言のように叫んだりする。頭がおかしいのかもしれない」

財銭教授は、宇宙人に負けず劣らず、残忍な組織の手の内に落ちた事を悟った。女は、35歳だと言うが、顔には、長年の苦難に耐えて生き抜いてきた皺が深く刻み込まれ、どう見ても40歳以上に見えた。

(俺もヘタをすれば、ああなるのか。ここはひとつ、真剣に改造人間を作って、組織の役に立つことを証明しなくてはならん)

財銭教授は、事態の深刻さに身の竦む思いだった。

 

 財銭教授は、与えられた研究室で真剣に、戦闘用改造人間の研究に取り組んだが、なかなか結果を出せなかった。改造用の人間は、いくらでもザコ戦闘員達がさらってくるのだが、今まで使っていた、便利な、ネオガイア製の医療機器や、薬品が手に入らず、旧式の地球製の物を使うしかなった。それでも、鉤十字団が提供する機材や薬品の中には、現代の地球の科学力では作れないような、オーバーテクノロジーの産物が混じっており、財銭教授は、それが、どこから来たものなのか、秘かにいぶかしんだ。

(何だ、この技術は?ネオガイア人ものと似ているようも気がするが、設計思想が、全く異質だ・・・)

それらの機器のマニュアルの多くはドイツ語で書かれていたが、時々妙な、楔形文字の単語が記載されていることもあった。

(この文字は、ネオガイア星人が使っている文字と全く同じだ。しかし、言葉の意味が分からない・・・)

財銭教授は、医学者であったため、ドイツ語にもネオガイア語にも精通していた。しかし、楔形文字の意味をつかみ取る事は出来なかった。そうこう、するうちに一か月が過ぎ、最初の解毒剤を打って貰う日になった。

「財銭教授、まだ、改造人間は完成しないのか」

秘密基地の総司令官であるゲッペルス4世は、苛立っているようだった。

「申し訳ございません。ネオガイア星人の使っている医療機器があれば、すぐにでも完成するのですが・・・」

「言い訳は、聞きたくない。あと1か月だ。それまでに結果が出なければ、用無しだ。不様に死ぬんだな」

財銭教授は、担当のザコ戦闘員に今月分の解毒剤を注射して貰いながら、震えあがった。

「はっ、必ずや」

と、返事はしたものの、目途は立たなかった。考えれば考えるほど、滅入ってくる一方なので、気分転換にブラブラと基地内を歩き回り、あちこち見学した。地下の一画にザコ戦闘員訓練所というのもあり、そこでは、日本の一般社会から、さらわれてきた不運な人々が、自分の運命を呪いながら、地獄の特訓を受けていた。

「おらっ!もっと気合を入れろ」

「よろけてんじゃねえ!スクワット200回だ!」

「お前とお前、殴り合え。負けた方は拷問部屋行きだ。」

一人前になるまでは、黒ずくめの戦闘服やマスクは与えられない。誘拐されてきた人々は、全裸でしごきを受けている。教官役の戦闘員は、情け容赦なく、訓練中に死人が出るのもお構いなしだった。

「いいか、お前ら。ここから出るには、一人前のザコ戦闘員になるか、それとも死ぬかだ!一か月で、戦闘員試験に合格しない奴は、解毒剤を打ってやらん!」

戦闘員候補の人々の表情は、氷ついていた。様々な年代の男女が入り混じっていたが、ここでは、一般社会での地位や名誉は関係ない。誘拐される前は、会社の部長や課長だった者も、学生やフリーターだった者も、同じ条件下で過酷な訓練を受けている。元警察官や、自衛官、格闘技の選手などの割合も多く、彼らは比較的脱落者が少なかった。

「おらおら、指立て伏せ50回!」

教官の戦闘員が、華奢な全裸の若い女の背中に、全体重をかけて跨り、ぴしゃぴしゃと尻を叩いている。女は、元総合商社のOLで、誘拐されるまで戦闘訓練とは、全く無縁の人生を送っていたのだが、歯を食い縛り、汗みどろになりながら、生き延びたい一心で指立て伏せを行っていた。特訓で筋肉質に変化してきた体中に、教官に殴られた青痣が付いている。

「ああ、もうダメええ!」

元OLは、9回しか指立て伏せが出来なかった。

「貴様ああ!」

背中に跨っていた教官が、潰れて倒れ込んだ女の髪の毛を鷲掴みにし、頭を床にガンガン打ちつけた。額が割れ、血が流れ出す。

「ぎゃあああ!・・・教官・・・もう一度やり直します・・・チャンスを、チャンスを下さい・・・」

元事務職のOLは懇願していた。まさに地獄絵図だった。

 

 研究を開始して2ヶ月後、期限ぎりぎりで、ようやく最初の改造人間が完成した。

「ゲッペルス閣下。ようやく完成したしました」

財銭教授は、自分の研究室にゲッペルス4世を招き、完成した改造人間を披露した。改造人間は、2体完成していた。

「ウナギ男と、ゴキブリ女です」

「ほう、2体も出来たのかね。さすが、財銭教授だ」

ウナギ男の体は、青黒く、ヌラヌラと粘液で濡れていた。背中と手足にヒレが付いている。財銭教授は、改造人間の特殊能力について説明を始めた。

「ウナギ男の体の表面は、特殊な粘液で覆われており、敵の攻撃の受けた際、ショックを和らげることが出来ます。特に打撃系の攻撃は、ほとんど通用しません。また、狭い場所でも、体液を潤滑油として使って、すり抜けることが出来ます。肺も改造いたしまして、水中での呼吸が可能です。必殺技といたしましては、オナニーをする事によって、自家発電で高圧電流を発生し、溜め込んだ電気を一気に、周囲に放電して、広範囲に多大なダメージを与えます」

ウナギ男に改造されたのは、ザコ戦闘員の中でも隊長格の、元自衛隊レンジャー部隊の男だった。さざなみ市から財銭教授をさらったコマンドを指揮していたのと同じ男だ。財銭教授は、自分をこのような境遇に追い込んだ、復讐の意味も込めて、職権を乱用し、彼を、実験体に指名したのだ。元々優秀な戦闘員であれば、多少改造が失敗して、改造による戦闘力が上がらなくてもゴマかせるだろうという計算もあった。もう一体のゴキブリ女は、若くて端正な顔立ちと、引き締まった抜群のプロポーションを持っていたが、背中には甲殻質の黒光りする甲羅のような羽を付けられており、口元には高性能センサーである、長い2本のヒゲを生やしていた。

「ゴキブリ女は、耐久力を重視して改造しました。狭く、暗い場所に長期間潜む事が出来、毒薬、毒ガスなどの化学兵器に、非常に強い耐性を持っています。暑さ寒さにも強く、顔面の2本のセンサーを使って、暗闇でも、素早く作戦行動が出来ます。それほど速くはありませんが、背中の羽で空も飛べます。想定されうる、様々な過酷な環境下で、最も適応力のある改造人間です」

ゴキブリ女に改造されたのは、元オリンピックの体操選手だった。アテネオリンピックのメダリストで、プライドが高く、テレビでのインタビューで、常に高慢なコメントをし、世間の反感を買っていた女だった。財銭教授は、そんな彼女の気位の高さを知っていて、ザコ戦闘員に誘拐させ、わざとゴキブリ女に改造したのだった。彼女は、手術後の自分のゴキブリのような姿を見て、絶望し、何度も発狂しそうになったが、その度に鎮静剤を打たれ、大人しくされていた。誘拐されてすぐに改造手術を受けた彼女には、ウナギ男とは違い、ザコ戦闘員の経験はない。

「よくやった、教授。この調子で、どんどん改造人間を作ってくれたまえ。この2体は早速、実戦に投入しよう」

ゲッペルス4世は、大満足のようだった。

(本当は、二人とも失敗作なんだけどな・・・あり合わせの機材で、急いで作ったんだから仕方がない・・・ま、いいか、バレてないみたいだし)

財銭教授は、ホッと胸を撫で下ろした。これで、今月分の解毒剤は、打って貰えるだろう。

 

 さざなみ署の青山優作刑事(37歳)は、財銭教授失踪事件の捜査に駆り出されていた。現場に残されていた手掛かりから、武装グループによる襲撃、拉致事件との見方が有力だった。さざなみ市は、軍によって完全に封鎖されており、個人ならともかく、組織的な実行部隊が、出入り出来る隙はない筈で、状況から、まだ市内のどこかに人質と共に犯人が潜伏しているとしか考えられず、地道な聞き込み捜査が行われていた。しかし、2か月たった今も、それ以上の進展はない。

「ねえねえ、君、この人、どこかで見なかったかい?」

青山刑事は、通りすがりのOLに、財銭教授の写真を見せ、剥き出しの下半身を擦りつけながら尋ねた。

「し、知りません・・・」

OLは、顔を真っ赤にして逃げようとする。

「ね、今度デートしない?俺のデカマラ、ぶち込んであげるからさあ」

「ちょ、ちょっと、急いでますので・・・」

OLは、迷惑そうに、青山刑事を避け、小走りに逃げて行った。

「困るなあ、一般市民は、ちゃんと警察に協力してくれないと」

青山刑事が、聞き込みに飽きて、覆面パトカーに戻ると、丁度、警察無線が流れていた。

『全パトカーに連絡します。さざなみ大社が、謎の武装グループに襲われています。現場付近のパトカーは、直ちに急行してください。繰り返します・・・』

「事件だ!」

青山刑事が飛び上った。助手席には、相棒である中津絵里子刑事(34歳、肉体年齢33歳)と、後部座席には、警察犬ヘレン(31歳)が静かに待機している。中津刑事は一度死んで、再び生き返ったゾンビ人間で、ヘレンはサイボーグ犬であるため、口数は少ない。

「財銭教授を拉致したグループと同一犯人かもしれない。行くぞ!」

青山刑事は、覆面パトカーの屋根にマグネット式の赤ランプを乗せると、けたたましくサイレンを鳴らして、さざなみ大社へと猛スピードで車を飛ばした。

「銃声が聞こえるワン」

ヘレンが言った。犬として全裸生活を送っている彼女は、冬が近づいて来たため風邪気味で、豚鼻から鼻水を垂らしている。現場に到着した時、そこは、激しい戦場になっていた。

「ヒー!ヒー!」

黒ずくめのザコ戦闘員達が、集まってきた警官達と激しく戦っていた。警官の銃に対して、ザコ戦闘員達は、手に持った短剣の先から光線を出してパトカーを破壊していき、警官達に多くの死傷者が出ていた。

「ヒー!ヒー!」

「撃て!撃て!ひるむな!」

旗色の悪いフルチン警官達は、死に物狂いで応戦していた。

「なんだ、あいつらは?・・・とにかく、行け、ヘレン!」

青山刑事の合図で、警察犬ヘレンが、額のドリルを回転させながら飛び出した。正体不明の敵を相手に勝算はなかったが、戦えと命じられれば、御主人様のために命がけで戦うのが、ヘレンの勤めだ。ヘレンは、敏捷に跳ね回り、光線をかわしながら、ザコ戦闘員の体をドリルで切り裂いていった。

「ヒー!ヒー!」

「ええい、不甲斐無い!」

戦闘員達が倒されていく様を見て、隊長格のウナギ男が痺れを切らした。

「粘液散布!」

ウナギ男の口から大量の緑色の粘液が、広範囲の地面に捲き散らされる。ジャンプして着地しようとしたヘレンは、その粘液に足を滑らせ転倒した。

「キャイーン・・・キャイーン・・・」

戦闘員達が一斉にヘレンを袋叩きにしようとする。ヘレンは、どうにか短剣による致命傷から逃れ、警察のバリケードまで後退した。

「逃げ戻って来るんじゃねえよ!この負け犬が!」

青山刑事が、ヘレンに蹴りを入れた。その時、上空から、ブーンという虫の羽音のような音がし、ゴキブリ女が襲ってきた。

「糞、糞、糞、糞!」

ゴキブリ女は、そう叫びながら空中で糞を撒き散らした。警官達のバリケードの上に降り注いだ糞からは、黄色い毒ガスが発生し、警察官達がバタバタと胸を押さえて倒れた。

「こりゃ、たまらん」

青山刑事は、ハンカチで口と鼻を押さえ、一人で安全な場所へ逃げ出した。

「ガガガガ・・・ソンナモノ、アタシニハ、キカナイ」

ゾンビ人間の中津絵里子は、毒ガスを浴びても平然としていた。怪力で神社の歩道の置き石を持ち上げ、空中を低速でホバリングしているゴキブリ女に投げつける。

「ぐぎゃああ!」

見事命中し、ゴキブリ女は悲鳴を上げて落下した。それに向けてヘレンが四つ足でジャンプして飛びかかったが、ゴキブリ女は、捕まるよりも早く、カサカサと擦り付けるような音を立てて四肢を高速でバタつかせ、目にも止まらないスピードで石垣の隅沿いに逃げて行った。

「あいつら、人間じゃねえ・・・もう、警察の手には負えねえぜ。軍隊に出動を要請した方がいいんじゃね?」

青山刑事は、物陰に隠れ、携帯電話で、さざなみ署に救援依頼をした。ヘレンと中津刑事は奮戦したが、警官達はジリジリと後退するしかない。武装グループの制圧など夢のまた夢だ。その間に、鉤十字団のザコ戦闘員達は、さざなみ大社に参拝に来ていた一般市民をさらい、装甲車に詰め込んでいった。戦闘員の補充や、人体実験に使うのだ。ついでに神社の名物であった豚頭のサラリーマンや、ブルドック女子大生、蛇女なども、捕獲された。彼らは、数年前、はじめて財銭教授が、ネオガイア星人に手ほどきを受けながら、改造を手掛けた改造人間達であり、言わばウナギ男や、ゴキブリ女の兄や姉に当たる存在だった。

「ヒー、ウナギ男様。こいつは、どうしますか?大き過ぎて、装甲車に乗せられません」

ザコ戦闘員の一人が、本殿に祭られていた御神体を指さして言った。数十人の女を滅茶苦茶につなぎ合せた合成体は、ザコ戦闘員達の一団に追い立てられ、ワサワサと移動している。

「仕方ない、それは、置いていけ」

しぶしぶウナギ男は言った。この作戦は、改造されたウナギ男とゴキブリ女の実戦テストも兼ねていた。誘拐作業が終りに近づいた頃、警察の救援要請を受けたネオガイア星宇宙軍のロボット部隊が出動してきた。身長20メートル、針金のようにヒョロ長いボディを持つ、量産型キュクロプス3号型の5機小隊である。

「ザコ戦闘員は、全員、装甲車へ退避し、絶縁フィールドを展開しろ」

ウナギ男はそう言うと、その場に胡坐をかいて座り込み、青黒いチンポを握りしめてオナニーを始めた。改造人間は服を着ていない。全身の体毛も無くなっているため、全身ヌルヌルとし、頭部もスキンヘッドだ。神社の境内の戦場のど真ん中で、一人黙々とオナニーを続けるウナギ男を、警察官や、ロボットのパイロット達は、戦いも忘れ、キョトンとして見守っている。すると、突然、ウナギ男が叫んだ。

「うおおおおお!大放電!」

ウナギ男は、射精と同時に全身に溜め込んだ高圧電流を全て解放した。電流が、巨大ロボット5機を直撃し、電気系統が障害を起こす。今、まさに攻撃を行おうとしていたキュクロプス3号型が、全機、停止した。

「今日は、これまでにしておいてやる。退却だ」

ウナギ男は、捨てゼリフを残すと、絶縁フィールドに守られて、電撃の被害を受けていない装甲車に飛び乗った。次の瞬間、装甲車はステルス化し、人々の目の前から跡形もなく消え去った。

 

第155話、孤島にて(その2)

 

2006年秋、南海の孤島で、梅本由梨香(26歳)とジェーン・アンダーソン(25歳)は、相変わらず奴隷生活を送っていた。二人を飼っている、島の最大部族であるケチャ族は、食人族で、二人に産ませた赤ん坊を、御馳走として食べてしまい、精神的ショックから、由梨香も、ジェーンも頭がおかしくなり始めていた。

「う・・・あ・・・あ・・・ああ・・・・」

ジェーンは、虚ろな眼で空を見上げ、一日中唸り声をあげている。お腹には、二人目の子供が宿り、最近また生理が止まっている。

「ジェーン、どうしたの?苦しいの?喉が渇いたのなら、あたしのオシッコ飲む?」

由梨香が、気遣って、そっと尋ねた。重症マゾの由梨香は、悲惨な境遇に免疫力があり、まだ、多少なりとも正気が残っている。由梨香のお腹にも3人目の子供が宿り、下腹部が三度、膨らみ始めていた。

「あ・・・飲む・・・ギブ、ミー、ウォーター・・・」

由梨香は、ジェーンの顔の上に跨り、チョロチョロとオシッコを放出した。二人は、酋長の家の前に全裸で繋がれて飼われているため、雨水と互いのオシッコだけを飲んで水分補給しなければならない。ジェーンはうれしそうに、ゴクゴクと由梨香のオシッコを飲み下した。赤道直下の島に季節はなく、どれくらいの間ケチャ族に飼われているのか、知る術は、なかった。

(この島に来てから、2年くらいかしら・・・わからない、ひょっとしたら10年くらい経ったかも・・・)

南海の島は、とにかく蒸し暑い。二人の裸体は、虫刺されと、虐待の傷跡で無残に荒れ果てている。喉の渇きが癒えたジェーンは、呻くのを止め、首縄の届く範囲に生えている雑草を食べ始めた。

「プリーズ、フード・・・プリーズ、フード」

毎日、二人で雑草を食べているため、首縄の届く範囲だけ、奇麗に草が摘み取られ、地面が剥き出しになっていた。ジェーンは手で土を掘り返し、地中に残っている草の根っこを、ほじくり出しては、口に運んだ。由梨香が、あまりの暑さに意識が遠くなり、ウトウトし始めた時、突然、遠くから、耳慣れない音が聞こえてきた。

「ジェーン、何か聞こえるわ」

その音は、次第に大きくなってきた。パラパラパラというプロペラ音だ。食人族の村が大騒ぎになり、ケチャ族の男女が、小屋から出て、空を見上げて騒ぎ始めた。

「ケチャ、ケチャ、クツカ!」

「クコント!クコント!」

島の上空を、一機のヘリコプターが旋回していた。初めて目にする、空飛ぶ機械に村は大騒ぎになり、ケチャ族達は、ヒステリックに叫び立てた。

「ジェーン、見て!」

「ヘリコプター・・・・ヘルプ、ミー!」

ジェーンは、立ち上がり、手を振りながら叫び始めた。

「ヘルプ、ミー!ヘルプ、ミー!」

ジェーンの叫びが、届いたかどうかは、判らない。由梨香もジェーンも炎天下で飼われていたため、黒く日焼けしており、衣服は身につけていないので、上空から見ただけでは文明人には到底見えない。ヘリコプターは、しばらくの間、村の上空を旋回し、島の反対側へと飛び去っていった。

「アイ、ワンツ、ラナウェイ・・・ディス、イズ、ビッグチャンス」

ジェーンは、由梨香に言った。イギリスの大学生だったジェーンは、5年ぶりに見る文明の利器に、狂喜していた。

 

 由梨香とジェーンは、相談し、ケチャ族の村を脱走する事にした。今までは、例え村から逃げたとしても、島から出る手段がなかったため、脱走をあきらめていたのだった。希望が、ジェーンに、少しだけ正気を取り戻させていた。

「ロンドンに帰りたい。あたし、考古学者になるのが、夢なの。もし、大学に戻れたら、あなたの体に書いてあるタトゥーの文字を解読させて」

「いいわ、ジェーン。あたしも、日本に帰って、またSMクラブで働くわ。ハードプレイ専門の最低のM嬢になるのが夢なの」

脱走の機会は、ヘリコプターを目撃してから三日目に訪れた。ケチャ族が、二人をイバラの山での野イチゴ収集に、村から連れ出したのだ。村の裏手にある山の斜面に野イチゴが群生しているのだが、摘み取ろうとすると棘に刺されて傷だらけになるため、いつもこの仕事は、由梨香とジェーンに割り振られるのだ。ガリガリに痩せ、妊娠のため下腹部だけが突出した二人は、首縄を外され、全裸でイバラの茂みに分け入った。たちまち全裸の体が棘に引っかかれて全身血まみれになる。それでも収穫量が少ないと、罰として棍棒で滅多打ちにされるため、いつも必死で野イチゴを摘み取るのだった。

「おいしい」

ジェーンが、空腹に耐えかねて摘み取った野イチゴを籠に入れずに、口に運んだ。いつもなら、収穫量の少ない方が、より厳しい罰を受けるため、自分で食べている余裕などないのだが、今日はハナから逃亡するつもりだ。

「ジェーン、このまま山の反対側へ下りよう」

由梨香とジェーンは手を取り合い、イバラに皮膚を引き裂かれるのも気にせず、どんどん奥へと分け入って行った。山の反対側へは、今まで行った事がなかったが、そこは、断崖絶壁になっており、その向こうはインド洋の大海原だった。

「どうしよう、ジェーン」

「この断崖を降りるしかないわ。そして、海岸沿いに歩けば、あのヘリコプターに乗っていた人がいる場所にたどり着けるかも」

由梨香もうなずいた。島の外から来た人間がキャンプを張るとしたら、島の奥地ではなく普通、海岸に設けるに違いない。この島自体は、さほど、大きくない筈で、海岸沿いに数週間歩けば1周出来る。決死の覚悟で断崖を降りた二人は、砂浜に打ち上げられた海草や貝を漁りながら時計周りに歩き続けた。

「由梨香、もっと早く、歩いてよ。ケチャ族が追いかけてくるかもしれないのよ!ハリーアップ!」

ジェーンは、身重の由梨香をせき立てた。ジェーンは妊娠3か月、由梨香は妊娠6か月であるため、由梨香の方が、負担は大きい。二人は、砂浜や岩場をヨタヨタと這うように進んで行った。

「もうダメ、今日はここで休みましょう」

日が暮れると由梨香が、まず根を上げた。ジェーンも仕方なく休む事にする。岩場の影に眠る二人をその晩、嵐が遅い、バケツをぶちまけたようなスコールが、二人の裸体を叩きつけた。

「ジェーン、ビンタして頂戴」

由梨香がジェーンにせがんだ。重症マゾの由梨香は村を抜け出して、いじめてくれる相手がいなくなったため、早くも欲求不満に陥っているようだった。ジェーンは、雨に打たれながら、何度も何度も由梨香の顔をビンタした。由梨香は、ビンタされながらオナニーにふける。クリトリスには、宇宙人につけられたピアスの最後の一個が付いていた。晃倣とした由梨香は、オマンコから愛液を垂れ流し、重症マゾにされた事を宇宙人に感謝した。

(ありがとうございます、宇宙人様。もし、由梨香が、あのまま普通の生活を送っていたとしたら、こんな快感は、一生味わえない所でした)

厚い雲の間から、幻想的な月明かりが、ボヤっと二人の妊婦の裸体を照らし出していた。

 

 由梨香とジェーンは、何日も海岸線を歩き続けた。時折、遠くから原住民の太鼓の音が聞こえると、恐怖に身をすくめ、岩場にじっと隠れる。重症マゾの由梨香は、それほどでもなかったが、ジェーンは、病的なほどの怯えようだった。そして、ケチャ族の村から脱走して9日目、とうとう、大きく開けた砂浜に、キャンプを張っている文明人達を発見した。

「何だ、お前ら?」

浅黒く日焼けした裸の妊婦二人を見た白人の男達は、驚愕して尋ねた。彼らの言葉は英語だった。

「助けて下さい。あたし達は、遭難者です。この島の人食い人種に捕まって、酷い目に合わされていたんです!」

ジェーンが訴えた。探検隊風の男達は、目を丸くする。

「人食い人種?21世紀にか。こいつは愉快だ、ワハハハハ」

「笑い事じゃないわ!あたし達は何年も、動物みたいに飼われていたのよ。この恐怖あなたにわかる?」

ジェーンは、怒りだした。

「すまんすまん、笑って済まなかった。ソーリー、だが、もう安心だ。我々はルミナス諸島の鉱物調査隊だよ。この島に新しいウラン鉱脈が見つかってね。調査に来たんだ。でも君たちは運が良かったよ。我々は、明日引き上げる所だったんだから」

由梨香とジェーンは、ゴムボートに乗せられ、沖合に停泊している船へと移送された。その船はかなり大きな船で、後部甲板にはヘリポートも備えていた。

「今は、いつなんですか?」

由梨香は、乗組員の一人に訪ねた。

「今日は、西暦2006年の11月23日だよ」

その日付を聞いて、由梨香もジェーンも愕然とした。由梨香が、最後にマグロ漁船から海に投げ込まれてから2年と1か月、ジェーンの学術調査隊が島の原住民に毒矢で皆殺しにされてから5年と9か月が経過していたのだった。長い虜囚生活から解放されたという実感が、まだ夢のようだった。二人は、船で衣服を与えられ、もう二度と飲むことがないと思っていた香ばしい湯気の立つコーヒーを、ウェッジウッドのカップに入れて飲んだ。

「うう・・・あったかい・・・」

ジェーンは、感極まって、すすり泣いていた。

 

 ルミナス諸島は、インド洋に浮かぶ大小数十の島から形成される群島である。16世紀以来、イギリスの植民地であり、住人はイギリス系が多い。人口の割合は、イギリス系の移民が60パーセント、原住民が15パーセント、混血が20パーセント、その他が5パーセントだった。17世紀半ばにイギリスから独立し、以来ルミナス王家が、現在まで連綿と統治を続けている。現在の元首は、マーガレット7世(23歳)だった。

「女王陛下、ウラン鉱脈の調査隊が無人島と思われていた島で、イギリス人と日本人の遭難者を保護しました」

総理大臣のヘンリー・スタンフォードが、王宮にある女王の執務室に報告に来た。マーガレットは、女王の正装である濃い紫のドレスをまとい、王冠と、王家に伝わる首飾りやブレスレットを身につけている。父王の早過ぎる死で、若干19歳で即位したマーガレットは、生まれながらの王者の威厳と、何者にも侵し難い気品と美貌を備えていた。彼女の先祖は、イギリスの古い伯爵家で、紛れもないアングロサクソンの血を引いている。

「まあ、それは大変。すぐに両国の大使館に連絡をして上げなさい」

「それが・・・実は、その日本人の方が・・・」

総理大臣が口ごもった。

「全身に、ルミナス諸島の古代文字と同じ文字を、刺青しているらしいのです」

「えっ、古代文字?どういうことです?」

マーガレット女王の顔色が変わった。古代文字は、王家の者だけが知る重大な秘密と関わりがある。

「さあ、まだ、はっきりとは・・・ただその遭難者、女なのですが、彼女が言うには宇宙人に捕まって彫られた刺青だと」

「は?宇宙人?あの、日本に居座っているネオガイア星人ですか?」

「そのようです」

宇宙人と聞いて、マーガレット女王の顔がさらに厳しくなった。あきらかに激しい苦悩に襲われているようだった。

「で、その刺青は、何と書いてあるのです?古代文字なら、すでに、わが国の考古学者によって、解読されている筈です。」

総理大臣は、困った顔をした。

「それが、古代文字には間違いないのですが、全く読めないらしいのです。その女の言うには、ただ単に卑猥な言葉を書き連ねているだけらしいのですが」

「スタンフォード総理、この事を大使館に連絡するのは中止です。その二人の遭難者をすぐに軍の施設に隔離しなさい。そして徹底的にその文字を分析するのです。ひょっとすると古代文字と宇宙人の関係が何か判るかもしれません」

「仰せの通りに、女王陛下」

大臣は、うやうやしく礼をし、女王の執務室から退室していった。マーガレット女王は、王家のごく一部の者だけに、代々伝わる伝説と予言を思い出した。

(7000年紀の終わり、星々の彼方より、災いよ来たれ。人々は過去に従い、世は、地獄と化す。その時、汝、時の流れに逆らいたまふべし)

この予言を、誰が、いつ残したのかは判らない。マーガレット自身、このことを、父王の臨終の直前に遺言と共に、初めて聞かされた。それから、間もなく宇宙人が襲来し、現在、日本を占領下に置いて、そこを足掛かりに全世界を侵略しようとしている。

(予言・・・古代文字・・・宇宙人・・・一体、何が始まろうとしているの・・・)

マーガレットは、不吉な予感に鳥肌が立つのを感じた。

 

「ウェイト、ア、ミニット!どういう事!早く、イギリス大使館に連絡してよ?」

ジェーンが、ルミナス王国の外務省の職員に目くじらを立てて、食ってかかった。

「それが、大変申し訳ないのですが、事情が変わりまして」

ルミナス王国の首都、パールシティの港で由梨香とジェーンを出迎えた外務省の職員は、二人を車に乗せ、大使館ではない別の場所へ連れて行こうとしていた。

「お願い、ロンドンのパパとママにあたしの無事を知らせたいの。お腹の赤ちゃんも、手遅れにならないうちに、中絶しないといけないし」

ジェーンは、食い下がった。

「お二人の体をまず健康診断させていただきます。その上で帰国という段取りで」

由梨香は、黙っていた。日本へ帰っても刺青だらけの肉体を両親に見せるわけにもいかず、慌てて帰国する理由はない。二人は、外務省の車で病院のような施設へと運び込まれた。そこは、軍服を着た軍人がウロウロしているところを見ると、軍関係の施設らしい。二人の女は、地下2階にある研究室へと案内され、何人もの医師によって、様々な検査を受け、体の隅々まで調べられた。

「極度の栄養失調状態です。残念ながら、お二人とも、お腹の赤ちゃんは中絶出来ません。中絶可能な時期は、とうに過ぎています」

医師の宣告にジェーンは髪の毛を掻きむしった。

「オー、ノー!なんとかしてよ。二度も黒人の子供を産むなんて絶対にイヤよっ!」

「どうしようもありません」

由梨香は、体のあちこちに彫られている刺青を一つ残らず写真撮影された。

「これは?」

医師が、クリトリスの金属リングをつまんで尋ねた。

「宇宙人につけてもらったんです」

「ふむ、サンプルとして、切除させていただきますよ」

外科医が呼ばれ、金属リングをクリトリスごと切除した。麻酔が効いているので痛くはなかったが、永遠にクリトリスを喪失したショックで、由梨香は絶望感に酔った。

「ああ・・・あたしのクリちゃんが・・・」

外科医は、クリトリスを潰してゴミ箱に投げ込むと、血まみれの金属リングだけを、消毒液で洗って、大事そうにプラスチックケースに保管した。その日の夕方、マーガレット女王が、近衛兵を伴って、病院を視察に訪れた。

「どう、遭難者の様子は?」

「御覧の通り、命に別条はありませんが、栄養失調状態で、1カ月ぐらいの入院が必要です」

由梨香と、ジェーンは入院患者用のパジャマでベッドに横たわっていた。

「女王陛下の御成りだ」

疲労の余り、眠っていた由梨香とジェーンは、近衛兵に起こされた。

「マーガレット7世です。よろしく」

「あ・・・女王様」

由梨香は、目の前に立っている威厳に満ちた女性を見て、マゾの血が騒ぎ始めた。

「女王様、どうか、このメス豚を、思う存分虐めて下さい。ふつつかな奴隷ではございますが、一生懸命御奉仕いたします。ヒールを舌で清めさせて下さい!」

由梨香は、相手が女王様だと聞き、ベッドから飛び降りて土下座をし、SMクラブ『美女拷問の館』で教え込まれた挨拶を繰り返した。マーガレット7世は、呆気にとられ、ポカンとする。

「何を言っているのです?この日本人の女性は?」

「過酷な環境に長くいたため、少し精神に異常をきたしているのでしょう。御気になさらないで下さい」

医師が、由梨香の痴態に眉をひそめながら説明した。

 

 由梨香とジェーンは、ルミナス王国の軍の病院の地下に隔離されたまま、数週間が過ぎた。王国中の考古学者が集められ、由梨香の体に彫られていた古代文字と、金属リングの分析にあたる。そして、とうとうある学者が、古代文字の法則に気がついた。

「陛下!古代文字が解読できました」

王宮の執務室に考古学者が報告に来た。

「女王様、とお呼び」

「はい、女王陛下、これをご覧下さい」

考古学者は、マーガレット7世に報告書のファイルを手渡した。

「女の体に彫られていた文字は、古代文字と全く同じものですが、今まで、意味が全く判りませんでした。それもそのはず、これは、古代ギリシャ語なのです」

「は?どういうこと?」

「例えて言うなら、日本のローマ字と同じです。文字はアルファベットですが、外国人が読んでも全く意味が判りません。それと同じように、女の体に彫られていた文字は、ただ単に古代ギリシャ語で音読みすれば良かったのです。文字は共通ですが、言語自体は全く別モノでした」

「???・・・・で、なんと書いてあったのです?」

マーガレット女王の問いに、考古学者は口ごもった。

「それが・・・口にするのも、憚られるのですが・・・『私は、淫乱なメス豚です』『オマンコ大好きぶちこんで』『マゾ』『奴隷』などと書かれておりました」

考古学者は、敬愛する女王陛下の前で、それらの言葉を口にすると言う行為だけで、恐れ多く、額から大粒の汗を流した。

「な、なんてこと・・・」

マーガレット7世も顔を赤らめて、絶句してしまう。

「それから、女の股間に装着されていた金属リングですが、これは、予想通り、ルミナス諸島の遺跡から出土した金属片と同じ物質で、古代アトランティスで用いられていたオリハルコンに間違いありません」

「オリハルコン、やはり、そうでしたか」

マーガレット7世は、納得したようだった。オリハルコンとは、ダイヤモンドより固く、永遠に錆びない究極の金属である。現代の科学では作ることが出来ず、オーパーツの一つに数えられている。

(アトランティスと、宇宙人の間には、何らかのつながりがある。もし、ネオガイア星人と、古代アトランティス人が、同じ科学技術を共有しているのだとしたら、遺跡から発掘された技術を基に作った武器は、充分宇宙人に対抗できるということだ)

マーガレット7世は、自分の一族が、はるか昔から、宇宙人と戦う事を運命づけられているような奇妙な錯覚に捉われた。

 

第156話、花と豚(その2)

 

弁護士、武藤剛志(33歳)は、葉桜組の組長、葉桜麗子の邸宅の地下室で目を覚ました。葉桜組傘下のレディースによって拉致されてからすでに15日目である。日々、葉桜組の組員や、レディース達によって厳しい調教を受け、心が意に反し、M奴隷として開花し始めていた。

(畜生!俺はいったい、どうなっちまうんだ。訳が分からない・・・あいつらに虐待されると、チンコが勝手に立っちまう・・・)

薄暗い地下室で、剛志は開脚台にM字開脚のまま固定されている。エアコンが効いているので寒くはないが、背骨がきしみ、体の節々が痛い。もちろん全裸だ。

(オシッコがしたい・・)

夜中に尿意を催した剛志は、そのままの体勢でチョロチョロと放尿した。丁度、股の間に置かれている洗面器に音を立てて落ちる。許可なくオシッコをすると、翌朝こっぴどく怒られるのだが、生理的欲求には我慢の限度があった。

(明日は、どんなお仕置きをされるのだろう)

さすがに、強気だった剛志も、この頃不安に胸を苛まれるようになっていた。いつまで待っても警察の救出は来そうにない。そもそも捜査しているのかどうかすら疑問だ。剛志の肉体は、毎日の筋力トレーニングで、徐々に逞しくなってきていた。麗子は、剛志を筋肉ムキムキのボディビルダーのような体にし、徹底的にいたぶり抜きたいらしい。剛志が眠れずに物思いにふけっていると、やがて、夜が明けたのか、地下室の扉が開いて葉桜麗子(42歳)と手下の組員が入ってきた。

「勝手にションベン漏らしてんじゃねえよ!」

麗子は洗面器に溜った黄色い液体を見ると、激怒し、その日の朝は強烈な往復ビンタから始まった。

「うっ、ううっ!お許し下さい、麗子様!」

「いや、許せないね。許可なく出したものは、どうするんだい?」

「はい、自分の体に戻します」

拘束を解かれた剛志は、洗面器を両手で捧げ持ち、冷え切った自分のオシッコを飲み干した。不味く惨めだったが、毎度のことなので、こぼしたりむせたりはしない。

「だんだん、お前も、奴隷生活に慣れてきたね。今日の朝御飯は、ヒマワリの種だよ。ハムスターの気持ちに成り切って食べるんだ」

麗子は、皿に、ペットショップで買ってきたヒマワリの種を、袋から出して山盛にした。

「さあ、食え。奴隷弁護士」

「はい、いただきます」

剛志は、ヒマワリの種の皮を、指先で剥き、一粒ずつ食べ始めた。栄養があるのかどうか判らないが、自分の体の健康を気遣っていられる身分ではない。剛志は奴隷なのだ。

「早く食べな。食べ終わったら散歩に行くよ」

ヒマワリの種を食べ終えた剛志は、ポールギャグと首輪を装着され、地下室から連れ出された。日光を浴びる事が出来るのは、一日の内で、この時しかない。久しぶりに目にする日の光は眩しく、天気は良かったが、それでも11月に全裸で外に出るのはかなり寒かった。

「ガタガタ震えてんじゃねえよ、クソ弁護士」

麗子が、四つん這いで歩く剛志の裸の尻に蹴りを入れた。葉桜邸の敷地は、高い塀で囲まれており、外からは見えない。組員達は、懐にサイレンサー付きの拳銃を忍ばせており逃走は不可能だった。

「おお・・・おおお・・・」

涎を垂らしながら、剛志は呻いた。塀の外を車の走り抜けるエンジン音や、通学途中らしい子供の話声が聞こえる。塀一枚隔てた、すぐそこには普通の日常生活があるのだ。

(助けてくれえ・・・俺は・・・ここにいる!)

しかし、その叫びは、ポールギャグによって叫び声にならない。葉桜邸の庭には、灯篭や、庭石、植木などがふんだんに配置されており、池には錦鯉が泳いでいた。

「ここに、マーキングしな」

「はい」

剛志は、犬のように片足をあげ、松の根本にオシッコをかけた。麗子の眼が、嗜虐的に輝いていた。

「私は、惨めな犬弁護士ですって、言ってみろ」

「はい・・私は惨めな犬弁護士です・・・」

「オーホホホ!もっと虐め抜いてやるよ。お前の気が狂うか、衰弱して死ぬまでね」

麗子の高笑いに、剛志はぞっとするような恐怖を感じた。

 

 古沢輝彦警部補(37歳)は、弁護士失踪事件の聞き込み捜査を行っていた。捜査一課の腕利き刑事である輝彦は、交番勤務からの叩き上げのノンキャリアとしては、まずまず順調な出世コースを歩んでいる。妻は、元同僚の婦人警官で、今も交通課に勤務し、共働きだった。子供は、二人いる。

「お巡りさん、久しぶりじゃないの」

暴走族のたまり場であるバイクショップを訪れた輝彦に、特攻服姿のレディースが声をかけた。

「一ヶ月前、ちょっとした事件があってね。お前ら、この写真の男に心当たりは、ないか?」

輝彦は、上着のポケットから失踪した弁護士の写真を取り出し、レディースに見せた。

「知ってるよ」

レディース、島田亜由美(18歳)が言った。輝彦の目が鋭く光る。

「本当か。教えてくれ」

「でも、ただじゃ、教えられないよ。」

「なんだと、刑事を強請る気か?いい根性じゃねえか」

「あたしと、付き合ってくれたら、教えてあげる」

亜由美は、胸元を覗かせて悪戯っぽく笑った。

「ガセじゃねえだろうな?本物のネタなら飯くらい奢ってやるが・・・」

「御飯くらいじゃダメ。あたし、刑事さんとホテルに行きたいの」

亜由美は、輝彦に寄り添い、体を押し付けてきた。甘酸っぱい香水の匂いで頭がクラクラした。その時、輝彦は、夜勤明けで、ストレスが溜まっており、判断力が少し鈍くなっていた。

(ネタを取るためだ。仕方がない。この所、ご無沙汰だったしな・・・これも刑事の役得ってか)

輝彦は、普段なら決してしてはいけない決断を下してしまった。亜由美を覆面パトカーの助手席に乗せ、手近のラブホテルへ乗り付ける。昼間のサービスタイムで3時間、3980円だった。

(これくらいのポケットマネーの支出なら、妻にもバレまい。もし、何に使ったか聞かれたら、捜査のために、参考人に飯を奢ったと言えばいい)

「一番、安い部屋でいいだろう?」

「刑事のくせに、ケチるなよ。まあいいけど」

「給料安いんだ」

若い、ピチピチした女を抱くのは、本当に久しぶりだった。亜由美は、茶髪で腕に蝶の刺青を入れており、いかにも頭が悪そうだったが、それなりに顔立ちは整い、肌の張りは、抜群だった。

「お前、未成年じゃないだろうな」

「18だよ」

「なら、いいか」

輝彦の体は、筋肉質で精悍だった。普通のサラリーマンなら筋肉が落ち、皮膚がたるんで下腹が突き出てくる年頃であったが、仕事柄、常に鍛えているため若々しさを保っている。亜由美は、しつこく輝彦の体を求め、コンドームを付けたままだったが、3回、膣に射精した。

「おい、もう勘弁してくれ。もうこれくらいで満足しただろう。夜勤明けで疲れているんだ。いい加減ネタを話してくれないかな」

猛烈な眠気が、輝彦を襲っていた。通常の精神力では、抗い難い異常な眠気だ。

「そうね。連れて行って上げるわ、その人のいる所へ」

二人は、服を着、フロントでホテル代を払ってガレージの覆面パトカーに戻った。しかし、そこが限界だった。運転席に座った瞬間、輝彦は、堪え切れずに意識を失い、眠りに付いた。亜由美はバッグから携帯電話を取り出し、レディース鬼霊同盟の総長、桂木千穂に連絡した。

「総長、デカが寝ました。ええ、あたしのマンコに睡眠薬を塗って、クンニさせてやりましたよ。今、『おのろけコアラの行進曲』の地下ガレージです・・・」

10分くらい待つと、オートバイ2台に分乗したレディースがやってきた。熟睡している輝彦の体を、3人がかりで助手席から後部座席へと移す。千穂(19歳)は、残忍な笑いを浮かべていた。

「こいつには、今まで、散々世話になったからね。これから、たっぷりと思い知らせてやるよ」

古沢輝彦警部補には、何人も鬼霊同盟のメンバーが微罪でパクられている。覆面パトカーを、千穂が運転し、スタートさせた。途中で、葉桜組の車に乗り換え、覆面パトカー自体は、証拠隠滅のため、百キロ以上離れたショッピングセンターの駐車場に乗り捨ててくる。輝彦の誘拐は、葉桜組によって周到に計画されたものだった。

 

「お目覚めかしら?警部さん」

輝彦が目を覚ましたのは、窓の無い地下室だった。十字架に張り付けにされているようだ。頭痛がし、頭が朦朧とする。服は、コートと上着以外は、脱がされていない。

(この感覚・・・睡眠薬を盛られた・・・くそっ!

輝彦は悔しがった。刑事として、こんな罠に嵌るなど、不覚の一語に尽きる。目の前に立って、艶然と微笑んでいる和服の女性は、葉桜麗子だった。

「お久しぶりね。主人があなたに逮捕されてから、うちの組も、すっかり勢いが無くなってしまいましたわ」

「あ・・・お前、葉桜の情婦か・・・警察官を誘拐するとは、いい度胸じゃねえか。それから、断っておくが、俺は警部じゃない、警部補だ。間違えるな」

「お黙りっ!」

麗子は、力一杯、輝彦の顔に平手打ちを喰らわせた。そして、唇を思い切り、指先で捻り上げる。

「この口が、そんな生意気な事を言ったのかい?」

唇を捻り上げられながらも、輝彦の目は反抗的に輝いている。刑事と言う立場から、犯罪者を見下す目だった。

「そんな態度も、今のうちだよ。すぐに、お前を、すすり泣くマゾ警部に調教してやるからね。あの、弁護士のようにさ。」

地下室のドアが開き、四つん這いになった全裸の男が、首輪に引かれて入ってきた。男の体は、ボディビルダーのように筋肉質だったが、体中に蚯蚓腫れや、青痣が刻まれていた。

「武藤さん!」

輝彦は、思わず叫んだ。武藤剛志とは、以前から何度も面識がある。インテリ風の剛志は、もっと、華奢な体付きで、優男だったはずだ。

「マゾ弁護士、警部に御挨拶しな。これからお前と一緒に調教される人間だよ。」

剛志は、輝彦の足元に這いつくばり、床に額を擦り付けた。

「マゾ弁護士の武藤剛志と申します。よろしくお願いします。」

「お近付きの印に、警部のチンポをしゃぶって差し上げなさい。あなたとは、この先、一生この地下室でホモ達として暮らすのですから」

麗子の指示に剛志は、従順に従い、輝彦のズボンのチャックをおろし、逸物を取り出した。監禁されてから1ヶ月間、ペニバンをつけた麗子やレディースに、散々バイブをしゃぶらされたり、アナルを犯されたりしていたが、本当の男のペニスを口に入れるのは、生まれて初めてである。吐き気をこらえながら、剛志は、縮んでいる輝彦のチンポを口に含んだ。そして、いつもペニバンにしているように、舌を竿にからませ、ストロークを始めた。

「や、やめて下さい、武藤さん!な、何をしているんです!」

輝彦もパニックになった。彼も、男にしゃぶられるのは生まれて初めてで、しかも、相手は、仕事上でも面識のある、社会的地位の高い弁護士なのだ。

「オーホホホッ、ほら、もっと咽喉の奥まで入れるのよ。咽喉チンコが、亀頭に触れるくらいにねっ」

麗子が、男同士のフェラチオを見て、興奮し始めた。

「イラマチオしなさい」

しかし、輝彦のチンポは、なかなか勃起しなかった。気持ちいいと言うより、男にしゃぶられていると言う不気味さで、身の毛がよだつ。

「弁護士、もっと、頑張れ。イカせられなかったら、お仕置きだからね」

麗子が、乗馬鞭で、剛志の御尻をピシリと叩く。蚯蚓腫れが、また一つ増え、剛志は、むせび泣きながら、賢明にフェラチオを続けた。

「ゲホッ、ゲホッ!」

ようやく、勃起してきた輝彦のチンポの尖端が、剛志の咽喉の奥を突き上げた。反射的に、嘔吐しそうになる。輝彦のチンポは、かなり太くて逞しく、ドクドクと血管が脈打っていた。

「もう、止めてください武藤さん・・・コラ、お前ら、こんな事、すぐに止めさせろ!さもないと全員パクるぞ!」

輝彦が怒鳴り散らし、張り付けにされた十字架から逃れようと、手足をよじる。

「そんな格好で、どうやってパクるってんだい?やれるもんならやってみな!」

麗子が合図し、千穂ともう一人のレディースが、竹刀で左右から輝彦の無防備な腹を滅多打ちにした。剛志は、頭上で振り下ろされている竹刀の衝撃音と風圧を感じ、怯えながらもフェラチオを続ける。十数発も殴られたため、また輝彦のチンポは縮んでしまった。

「お前も、いい加減に協力しないと、もっと悲惨な目に合わせるわよ」

麗子は、輝彦の髪の毛を掴み、滅茶苦茶に引っ張った。輝彦は、誘拐される直前に、亜由美とのセックスで、3回射精していたため、そう簡単には、回復しない。結局、男同士のフェラチオは、一時間以上続き、剛志の顎が、ガクガクになって感覚がなくなってきた頃、ようやく射精した。

「お、やっとイッたみたいだね。吐き出すな、剛志。全部、飲み込むんだ。」

剛志は、口中に広がる男の精液の味に、本能的な嫌悪を感じた。女の愛液を舐めるのとは、レベルの違う嫌悪感だ。どうしても、吐き出したくてたまらなかったが、数人のレディースが鬼のような目つきで監視する中、それは、許されなかった。

「おい、早く!飲み込んだら、口の中を見せろ」

千穂にせかされ、剛志は仕方なく目を瞑り、頭の中を真っ白にして、口の中に溜めた他人の精液を、こぼれそうなくらいに湧き出た唾と共に飲み下した。食道と胃の筋肉が、生理的嫌悪感から痙攣を起こしそうになる。

「・・・の、飲み込みました。麗子様」

剛志が、アーンと口を開けた。レディース達が覗き込み、誤魔化していないかをチェックする。剛志は、一線を越えたショックで呆然としていた。心に残っていた、最後の男としてのプライドが崩れたのだ。

「これで、お前達二人は、おホモ達だよ。これから、毎日、もっと、深い仲になれるように、調教してやるから楽しみにしな」

麗子、千穂、亜由美、その他、組員やレディースの目が、二人の生贄に注がれた。

 

 古沢輝彦は、反抗的な態度を崩さなかった。麗子は、彼が屈服するまで、徹底的に暴力を加えるよう、配下の組員とレディースに命じた。

「強情だね。ほら、オシッコとドッグフードを食べな。これが、マゾ警部の、これからの食事だよ」

「けっ、誰がこんなもの食うもんか!俺は、死んでも、お前らの言い成りにはならん!」

「やっておしまいなさい」

千穂が、拳で輝彦の顔面を殴りつけた。平手打ちと違い、相当のダメージがある。下手をすれば歯が折れ、顎が砕けるパンチ力だった。輝彦の両手は、背中の後ろで手錠を嵌められ、両足も、足首に10センチ程の鎖付きの枷で、両足を繋ぎ合わされているため、防御する事も、反撃する事も出来ない。麗子は、輝彦が、完全にマゾ奴隷として精神的に屈服するまでは、、両手両足を、ほんの一瞬でも自由にさせる気はなかった。服は全て剥ぎ取られ全裸にさせる。数人がかりで、木刀が、全身に叩き込まれ、高電圧のスタンガンを連続で執拗に押し付けられたが、それでも、輝彦は、反抗的な目つきで、拷問者を睨みつけ続けた。

「しぶといわね」

針が、至る所に刺し込まれ、出血で輝彦の全身が赤く染まった。

「警部さん、そろそろ降参しないと、体が再起不能になってしまうわよ」

「く・・・・警部じゃない、警部補だ。何度言ったらわかる!」

輝彦は、不屈の闘志で、恐怖心を押さえていた。針が、乳首を十字貫通し、腹や、肩、ペニスにも刺し込まれている。顔は、殴打で腫れ上がり、目蓋が肥大して目が霞んでいた。

「ふんっ」

麗子がヒールの爪先で、思い切り輝彦の向う脛を蹴った。

「うぐ・・・」

「うちの旦那が、ムショに入る前に言ってたよ。どんな優秀な、訓練を積んだスパイだって、肉体的な拷問には耐えられないんだってさ。ましてや刑事なんてチョロいもんだってね。反抗し続けるなんて、絶対に無理さ。あんたも時間の問題だよ」

輝彦は、誘拐されてから丸3日間、拷問に耐え続けた。しかし、そこが限界だったようだ。肉体的な苦痛もさることながら、一睡も許されず、水も食べ物も与えられなかったため、ついに精神が錯乱して来たのだった。

「咽喉が・・・咽喉が渇く・・・水をくれ・・・」

「水は、やれないね。飲むんならオシッコだ。今までの反抗的な態度を詫びて、どうか、オシッコを飲ませて下さいと言ってみな」

輝彦の頭の中で、何かが切れた。この瞬間、生命の存続を優先させるための動物的な本能が、刑事のプライドを一時的に麻痺させたのだった。

「オ・・・オシッコを飲ませてください・・・」

その言葉を聴き、麗子はようやく、勝ったと感じた。

「反抗してすみませんでした・・・でしょ?」

「・・・・反・・・反抗して・・・すみませんでした・・・」

「これからは、命令を良く聞く、従順なオス豚になりますって、付け加えな」

「こ・・・これからは、命令を・・・良く聞く・・・従順なオス豚になります・・・」

輝彦は、夢遊病のような感覚で、もはや自分が何を口にしているのか判らなくなっていた。

「もっと、大きな声でスラスラ言えよ!最初から、やり直し!」

麗子は、勝ち誇っていた。同じ言葉を大声で、何度も何度も輝彦に言わせた。

「後、50回繰り返せ」

輝彦は、咽喉の渇きにかすれた声で、繰り返した。言っている内に自己催眠にかかってくる。

(・・・俺は、人間じゃないオス豚だ。命令を聞くだけのオス豚だ・・・)

「よし、合格よ。飲ませてあげるわ。剛志、マゾ警部にお前のオシッコを飲ませてやりな」

麗子の指示で、放置プレイで、待機していた剛志が、輝彦の顔の上に跨った。ポカンと痴呆のように開いた口の中にチンポを差し入れる。輝彦が、凄まじい拷問を受けている3日間、剛志は通常の調教メニューをこなしていただけで、体力的には消耗していない。剛志が放尿すると、輝彦は、砂漠の真ん中で冷たい清涼飲料水を飲むように、ゴクゴクと流し込まれるオシッコを、空っぽの胃に、飲み下していった。咽喉の渇きが強すぎて、嫌悪感が麻痺し、アンモニア臭も気にならなかった。

(俺は、警部じゃない・・・警部補だ・・・呼ぶなら、マゾ警部補って呼んでくれ・・・)

輝彦は、朦朧とする意識の中でそう思った。

 

 2匹のオス豚奴隷を手に入れた葉桜麗子は、地下室での調教に夢中になった。葉桜組自体は、破産寸前で、収入といえば、昔からの縄張りである風俗店からの、みかじめ料と、息のかかった暴走族からの上納金が、9割を占め、特に麗子には、やる仕事がない。入所中の夫に時々面会に行く以外、麗子は暇を持て余していた。

「綱引きをしな。勝った方には、聖水割りのウイスキーを飲ませてやるよ」

麗子は、床にチョークで引いたセンターラインの左右に、剛志と輝彦を向かい合わせに立たせ、亀頭に紐を結びつけて言った。

「ほれ、よーい、スタート!」

剛志と輝彦は、互いに腰をなるべく後ろに引こうともがいた。輝彦の手足の手錠と足枷は、まだ装着したままである。麗子は、警察官である輝彦を、まだ警戒しているようだ。

「むくく・・・」

「いてええええ!」

二人のチンポが限界まで引き伸ばされ、紐がピンと張り詰めた。血流の止まった亀頭の先が紫色に変色する。本気なって引けば引くほど、亀頭の痛みが増す。

「千、千切れる・・・古沢さん、手加減してください・・・」

剛志が哀願した。

「手加減なんて許さないよ。何を甘い事、言ってるんだい、このマゾ弁護士!」

麗子が、手に持っていた乗馬鞭で、剛志の背中を叩いた。

「千穂、気合が入るように、オス豚どものケツの穴にバイブをぶち込んでやりな」

「はい、組長」

千穂は、麗子の極太バイブのコレクションの中から2本を選び、まず、直径10センチの物

を剛志のアナルに押し込もうとした。

「ううう・・・裂けるううう」

剛志が唸った。普通の男なら無理な太さだが、剛志は、1ヶ月間の肛門拡張で、直径10センチ以下なら挿入出来るように調教されている。

「ひ・・・苦しい・・」

剛志の額から脂汗が伝い落ちた。腸を押し上げられ、内臓を圧迫される恐怖と悪寒に足がガクガク震え出す。千穂が、思い切り力を入れて押し上げるとバイブは根元まで剛志の肛門に飲み込まれた。

「オーホホホ!成長したねえ、マゾ弁護士」

ソファに座って見物している麗子が、笑い転げた。輝彦のアナルには、直径5センチのを挿入するのが、まだ精一杯である。千穂はローションを塗った、剛志のものより、少し細めのバイブを輝彦の肛門に押し当てた。

「組長、こいつ、ケツの穴の筋肉が、まだ結構固いです」

「そのうち、ほぐれるわ」

ズブリと、輝彦の肛門がバイブを飲み込んだ。背筋に悪寒が走り、強烈な便意が襲ってくる。千穂が二人のバイブのスイッチを入れると、ブーンという音がして小刻みに震え始めた。

「アウ、アウ、アウ」

剛志が、情けないよがり声を上げた。

「気持ちいいかい?もっと大声で喘ぐんだよ!」

「アウ、アウ・・・気持ちいいです」

「オオッ!オオッ!」

剛志と輝彦は、チンポを紐で結び合わされ、向かい合ったまま腰をくねらせた。快楽で二人とも顔が紅潮してくる。

「ほら、綱引きはどうしたんだい!忘れてんじゃねえよ」

地位も名誉もある大の男が、屈辱的な行為に悶える様を麗子は最高の気分で眺め続けた。地獄の綱引きは、15分ほど続けられたが、やがて剛志が痛さの余り、一歩二歩と前に引っ張られ、とうとう床に引かれたセンターラインを越えてしまった。

「お許し下さい、女王様。僕の負けです」

勝った輝彦には、約束通り、麗子の聖水入りのウイスキーがプレゼントされた。しかしグラスに注がれた、その液体を、輝彦は、両手を後ろ手に拘束されているため、自分で飲む事が出来ない。

「仕方ないわ。剛志、お前が口移しで飲ませてやりな」

「はい、女王様」

剛志は、グラスに注がれている小麦色の液体を、そっと口に含んだ。ウイスキーの味覚の方が勝っているためか、オシッコの味はそれほど感じない。剛志は、ウイスキーを口に含み、そっと輝彦の唇に、自分の唇を重ね合わせた。

「むぐっ」

輝彦は、むせそうになった。聖水入りのウイスキーもさる事ながら、男に口漬けをされるのは、最高に気持ち悪かった。

「こぼすんじゃないよ」

麗子の叱責が飛ぶ。輝彦は目を瞑り、一心に祈りながら、口に広がる生暖かい液体を、なるべく味合わないようにして飲み込んでいった。刑事としてのプライドはもはや、回復不能なほど破壊されている。長い時間をかけて、勝利のウイスキーを全部飲み終わると、麗子から次の指示が出された。

「シックスナインの体勢で、お互いのチンポをフェラチオしなさい。どちらが、より早く、より多くの回数、相手をイカせられるか競争するのよ」

二人の男は、暗澹たる気持ちで、指示に従った。剛志が下になり、輝彦が上になる。互いのチンポを口に含み、舌で愛撫を始めた。

「負けた方は、お仕置きに、素敵な焼印を押してあげるわ」

麗子は、千穂に指示して、ガスバーナーで、特製の焼き鏝の先を加熱させ始めた。

「御尻に、一生消えない豚のマークを付けてあげるからね。フフフ・・・」

輝彦と剛志はフェラチオをしながら、赤く熱せられていく焼き鏝を、横目で見た。冗談ではない。焼印など押されたら、例え、この地下室から解放されても、一生、恥を背負って生きていかなければならない。

「オオオ・・・」

二人のオス豚は、死に物狂いでお互いのチンポをしゃぶった。先に誘拐され、調教歴の長い剛志の方がテクニックに優れており、有利である。輝彦が何とか射精しないように、頑張ったにもかかわらず、10分後に剛志は、自分の口内に、輝彦の精液を射精させる事に成功した。

「うぐっ・・・イカせました」

「お見せ」

剛志は、あんぐりと口を開け、イカせた証拠である白い液を、麗子と千穂に見せた。

「マゾ弁護士、1ポイント獲得ね。ザーメンは飲み込んでよし」

剛志は、精液を飲み込み、再び萎縮した輝彦のチンポに、むしゃぶりついた。

「先に、10ポイント獲得した方が勝ちよ」

つまり、相手を十回イカせなければならないのだ。さすがに剛志がテクニックを駆使しても、2度目以降は、輝彦もなかなか絶頂には達しなかった。二人とも汗だくになって絡まり合う。社会的に地位も名誉もあり、家庭も持っている男二人の肉体が、獣のように、まぐわう。この男同士のフェラチオゲームは、数時間に渡って続いた。退屈した麗子と千穂が、時折、二人の裸体に鞭を振り下ろしたり、蝋燭を垂らしたりする。アナルに挿入されたままの極太バイブは、やがて電池が切れ、動きを止めたが、引き抜かれる事はなかった。

「早く決着を付けてよ。せっかく暖めた焼き鏝が、冷えちゃうじゃないの!」

千穂が、ブーツの底でグリグリと輝彦の背中を踏みつけた。輝彦が3回射精する間に、剛志は1回しか射精しない。輝彦は、圧倒的に形成不利だった。

(チクショー!どうにでもしやがれ!)

敗北が決定的になった時、輝彦が、心の中で悪態を付いた。つい数日前までは、男のチンポをフェラするテクニックが自分に必要だとは夢にも考えていなかったのだ。

「よく判らないわね」

5回目の射精くらいからは、薄い透明な液しか射精しなくなり、口を開けさせても、本当に射精させたのかどうか、確認し辛くなってきた。

「ウソつくと承知しないからね!」

「本当です・・・本当にイカせました」

剛志が必死に主張する。何が何でも自分の体に、焼印を押されたくないらしい。二人とも疲労困憊し、顎と舌の感覚が麻痺してきたが、それでも、しゃぶり続けた。お互いの亀頭が無理な摩擦で赤く充血している。1か月の筋力トレーニングで体力の付いた剛志と、もともと職業柄、タフな肉体を持っていた輝彦は、共に常人以上の持久力で3時間にわたるフェラチオゲームをやり抜いた。

「れ、麗子様・・・・10回目・・・イカせました・・・」

剛志が、ゼイゼイと喘ぎながら、口を開けて言った。もはや、精液は薄過ぎ、判別は出来ない。輝彦はまだ、4回目を達成した所だった。

「フン、信用してやるよマゾ弁護士。お前の弁護士としての腕は信用出来ないけどね」

麗子は、皮肉を言いながら剛志に勝利の判定を下した。千穂が、冷えてしまった焼き鏝を再び加熱し、真っ赤になった尖端を、敗者である輝彦の尻に押し付けようとする。

「やめろ!」

「負けたのは、おめえだろ。刑事なら刑事らしく、いさぎよく罰を受けな!」

千穂が、拘束された体で、後ずさりしようとする輝彦の尻に、焼き鏝を押し付けた・

「ギャアアアア!」

ジュッという音と共に、肉の焦げる匂いが充満し、さすがの輝彦も絶叫した。右の尻タブに、見事な、豚の顔のイラストが焼き込まれた。

「ウウ・・・ウウ・・・」

輝彦は、肉の焼ける痛みに歯を食い縛って耐える。ケロイド化した皮膚が豚の顔を描き、無残に焼き上がっていた。

「2、3日すれば火傷した肉が盛り上がってきて、もっと、豚の顔がハッキリするよ」 

麗子が解説した。SMクラブの女王様時代に、ハードプレイ希望の客に。何度も焼印を押した経験があった。

「ウウ・・・チクショー・・・・」

輝彦は、自分の体に一生消えない傷を付けられ、悔しくて泣き出しそうだった。

 

第157話、マゾ芸人

 

2007年12月、ハードマゾ芸人の成瀬美咲(24歳)は、正月番組の収録に忙しかった。お笑い芸人にとって、一年間で、もっともスケジュールが過密になる時期である。清純派女優から転進して、丸一年が経とうとしているが、人気はまずまずで、今のところ陰りは感じない。コスチュームも、最初の頃より、露出度の高いものに変更し、最近は、ほとんど全裸でテレビ出演をしている。美咲は、真島とし夫や、木村シンジと同じ、裸芸人として分類されていた。美咲の現在のコスチュームは、鼻フックとボールギャグ、鉄球付の足枷と手枷、内側にアナルバイブのついた特製貞操帯である。貞操帯といってもオマンコの部分は露出されていて、いつでもカメラに向けて開帳出来るようになっている。乳首、クリトリス、耳たぶ、唇のピアスは、有名デザイナーがデザインした24金のものを使っている。以前身に付けていたピンクのラバースーツは、もう着ていない。芸名も、秋頃出演した、カリスマ占い師との対談番組で、改名を強要され、レディピッグ美咲と変えていた。

「スレイブピッグ、お前も売れてきたなあ」

某お笑い番組で、司会者に振られた。

「スレイブピッグじゃありません。レディピッグです」

「どっちでも、変らんやろ!」

美咲は、司会者に頭をどつかれる。

「このピアスも、24金やろ。稼いどるなあ」

司会者が、美咲のクリトリスに付いているピヤスをつまんで言った。

「最初の頃のは、アルミ製でした」

「良かったなあ、売れて。ほな、なんか、一発ギャグ、やってみ」

美咲は、司会者に、アナルに挿入している電動バイブのリモコンを手渡した。

「このスイッチを押してみて下さい」

「こうか」

司会者が、リモコンのボタンを押すと美咲のアナルバイブが振動を始めた。

「御尻が、とっても、気持ちいいわ。レディピッグ、潮吹いちゃう」

美咲は、腰をくねらせながら中央の立ち位置に移動し、がばっと股を開いてオマンコの襞を両手で広げ、カメラ目線で喘ぎながら潮を吹いた。ほんの数秒で潮を吹くという、美咲の新しい芸だった。

「おわっ、きたねえ!」

司会者が飛び退る。

「おい、これ、ホンマに潮か?オシッコちゃうやろな?」

「ホンモノの美咲の、お潮で〜す」

「女の潮って、そんな、すぐ吹けるもんなんか?」

「普通は無理です。美咲は、このギャグをやるために、何ヶ月も特訓しました」

誇らしげに美咲が言うと、司会者は呆れた。

「ホンマのアホやな。どうでもええけど、スタジオが汚れたで。どうしてくれるんや?」

「ごめんなさ〜い。美咲が自分でお掃除しま〜す」

美咲が、スタジオの床に這い蹲り、こぼれた潮を、自分の舌で舐め取り始めた。そこへ、いきなり、別の裸芸人が飛び出してくる。

「なんで、お前が出てくるんや!関係ないやろ!俺が、振ってから出てこいや!」

司会者の怒声にも、その裸芸人、真島とし夫は平然としている。

「そんなの関係ないよ!そんなの関係ないよ!ハイ、親父ビーム!」

と片足を上下させる独特の踊りで、お決まりのギャグを言う。美咲が潮を吹いた時よりも、会場が沸いた。さらに別の裸芸人も、ここぞとばかりに、飛び出してくる。テレビに映るためなら、多少の不自然さも関係ないらしい。2人目は、獅子舞を小脇に抱え、サングラスをかけた、中年太りの裸芸人、キムシンこと木村シンジだ。

「なんか、腹立つなお前!子供が大喜びするからって、いい気になるなよ!お前みたいな、一発芸人は、この正月番組で消えちまえよ!」

その一言が、真島とし夫の心にグサリと突き刺さった。本気で気にしていたらしい。野性的な顔立ちの表情が暗くなる。

「動揺すんな、アホ」

司会者にどつかれ、再び踊り出す。

「そんなの関係ないよ!そんなの関係ないよ・・・・」

真島とし夫の上下する足の下へ、すかさず美咲が入り込んだ。

「もっと、もっと踏んで御主人様!美咲の体を無茶苦茶に踏みつけて!」

「俺も参加させろや」

褌姿のキムシンも、美咲の顔面に跨り、股間を押し付ける。やりたい放題の裸芸人達に、とうとう司会者がキレた。

「お前ら、ええ加減にせえよ!公共の電波をなんやと、思てるねん!こんなん昔やったらゴールデンタイムの番組で放送出来へんぞ!もうええ、引っ込め!次のコーナーに行くから!」

3人の裸芸人は、すごすごと、自分の待機位置へと戻った。

 

 別の生放送番組では、芸人がスタジオから実家の家族に電話をし、恥ずかしい告白をするという企画があった。芸人達が、大げさなリアクションで嫌がりながら、両親や妻などに電話をし、過去の浮気などを告白していく。美咲の出番が回ってきた。

「お前は、何を告白するねん?」

「実は、あたしマゾなんです」

「そんなもん、見たらわかるで!いちいち告白せんで、ええやろ!」

バシッと頭をどつかれる。

「他にないんか?」

「あたし、自分のオマンコ汁を舐めるのが趣味なんです」

「しゃあない、それで、ええ。時間ないんや。もう、それでいけ!」

逆上する司会者に怒鳴られ、美咲は、電話のプッシュボタンを押す。新潟県の実家に電話をすると、母親が出た。

「もしもし、お母さん?」

『ああ、美咲、どうしたの』

「今、番組の収録中なの。テレビつけてみて」

少しの間が開いて、再び、母親が電話口に戻ってきた。

『見えたけど・・・あんた裸で、テレビに出るの止めて頂戴。父さん、泣いてたわよ。女優になるから、芸能界に入るの許したのに、話が違うって』

「そんなの、あたしの勝手でしょ。これが、今ウケているのよ。あたし、ブレイクしてるの!」

『家族の事も考えなさい。近所の人に笑われてるのよ。娘が裸でテレビに出ているから!』

美咲の実家は、地方の旧家だった。それなりに地元では格式のある家柄だ。

「ね、そんな話をするために、電話したんじゃないわ。あたし、実は自分のオマンコ汁を舐めるのが趣味なの」

『え・・・なんだって?』

「あたし、自分のオマンコ汁を舐めるのが趣味だって、言ったのよ。こんな風にね」

美咲は、カメラに向かって大股を開き、ピアス付のオマンコを指で触り始めた。そして滲んできた汁を指先で口に運ぶ。

「う・・・しょっぱい」

『何やってんの、この親不孝者!』

受話器を叩き付けるような音がして電話が切れた。美咲は、涙ぐんでいた。自分は、今何をやっているんだろう、と内心葛藤する。美咲の心情を他所に、スタジオは、大爆笑だ。

「切れたやないか。もう一回かけろ」

司会者の指示で、美咲は、同じ番号を押した。すぐに、また母親が出た。

「もしもし、お母さん?」

『・・・あんたね。親をバカにするのも、いい加減にしなさいよ・・・』

母親の声が低く震えている。心底怒っているようだ。

「最後まで、見てくれなきゃ困るの。お母さん、テレビの画面ちゃんと見てる?」

オナニーをしながら美咲が言った。さすがの美咲も半泣きになっていた。

『・・・もう電話してこないで!勘当よ!』

再び電話が切られた。スタジオは、大爆笑である。

「もう一回、かけろ」

司会者が有無を言わさず、美咲に強要し、三度電話をかけた。

「もしもし、お母さん?」

そう言った瞬間、無言でガチャリと電話を切られた。

「もう一回や」

今度は、何度コールしても電話は繋がらなかった。

「あーあ、親を怒らせてしまいよった」

司会者が、残念そうに言う。美咲は、泣き出しそうだった。

「おいおい、芸人の癖に泣くな。オイシイとこ、何にもあらへんやないか。もう、ええわ」

美咲の立ち位置から、カメラが外され、そこで出番が終わった。

 

 美咲は、その芸風から、石岡留美子というピンの女芸人と絡まされる事が多かった。美咲と対極の、女王様キャラで売り出している芸人だ。いつもボンデージファッションで手に鞭を持っている。

「ああーっ!いしおかぁ〜るみこぉだよぉ〜」

ステージの中央でポーズを決めて叫ぶ姿は、同性から見てもカッコいい。常に侮蔑の眼差しで見られている美咲とは、対象的だ。

「最近、某女性雑誌で、好感度ナンバーワンに選ばれた女芸人はどこのどいつだい?あたしだよ!ちなみに成瀬美咲は、ワーストワンだったけどね」

スタジオから笑いが起こる。美咲は、自分の名前が出た所で、テレビに映るチャンスだとばかりに、待機ポジションから飛び出す。

「美咲は、皆さんに喜んで頂けるためなら、なんでもしますぅ」

「その卑屈な態度が駄目なんだよ!この豚野郎!」

「野郎じゃありませぇん。美咲は、可愛いメス豚ですぅ」

「うるせえよ。口答えするんじゃないよっ。お前には、この特性の鞭をくれてやるっ!」

石岡留美子は、いつも持っているバラ鞭を捨て、牛追い用の一本鞭を手に持った。

「ここに、跪きな!ハードマゾ」

美咲は、留美子の足もとに跪き、御尻を振った。自分から留美子の黒いヒールをペロペロと舐める。留美子は、そんな美咲の顔をもう片方の足でグリグリと踏みつけると、美しい顔がグニャリと潰されて変形し、その顔をカメラがアップで抜いた。

「マゾの癖に、いつも、澄ました顔しやがって!女優上がりだからって、いい気になるんじゃないよっ!」

牛追い鞭が、美咲の背中に振り下ろされた。皮膚が裂け、すぐさま赤く腫れ上がる。衝撃が分散され、痕の残らないバラ鞭とは大違いだ。

「あ〜ん、快感!もっと、もっとおおおお!」

美咲の、お決まりのギャグだ。爆笑の渦の中、留美子の鞭が嵐のように、振り下ろされた。

「満足かい、このメス豚野郎!」

「こんなもん、ただのSMショーやないか!」

司会の関西芸人から突っ込みが入った所で、カメラからアウトした。

 

 その年の収録で最も過酷だったのは、海外ロケだった。世界で最も貧しい国と言われているアフリカ某国での、大食い対決だ。難民キャンプの真っ只中にフェンスが張られ、特設スタジオが設営される。難民が暴動を起こさないよう、銃を持った、その国の兵士が警戒に当たっている中での収録だ。難民キャンプでは、内戦によって住む場所を失った人々が、国連からの僅かな援助物資を頼りに生活している。とても、食料が足りていると言える状況ではなく、骨と皮ばかりになった人々が、毎日のように餓死し、お腹だけが異様に膨らんだ栄養失調の末期症状の子供が、虚ろな目で、あちこち、うろついていた。

「鹿児島産黒和牛の、最も柔らかい胸肉を、とろ火で焼き上げ、青森産の特性りんごソースで味付けした絶品のサイコロステーキです」

司会者が、説明した。

「まずは、美食家で知られる、大山鯛仙先生に試食して頂きましょう」

和服を着た年配の男が、しかめっ面で、運ばれてきたステーキをナイフで切り分け、一口食べてみる。その瞬間、立ち上がり激怒してテーブルをひっくり返した。

「焼き方がなってない!どこのどいつだ?こんなもの作ったのは!」

地面に落ちた残りのステーキが砂にまみれていた。フェンスの外の難民から、ざわめきが起こったが、兵士が銃で威圧する。

「食えるか!こんなもの!肉本来の味が、ソースで死んでしまっている!鹿児島和牛の特徴は、その香にある。それを、俗物なソースの味で消してしまいおって!料理人は、修行を最初からやり直せ!」

激怒する美食家を、司会者がなだめた。

「これは、アクシデントです。いきなり、大山先生から、厳しいコメントを頂いてしまいました。でも、今日の企画は、大食い対決ですから、そんなに味に、こだわらなくても、いいのではないでしょうか」

「フン、勝手にするがいい」

大山鯛仙は、腕組みしたまま不機嫌そうに、そっぽを向いてしまった。

「では、いよいよ第一ラウンド開始です。1時間以内に、より多くの皿を平らげた選手が勝ちです。対決、はじめ!」

選手は、美咲を含め5人だった。男が2人、女3人で、その中には、大食いで知られるギャルタレントや、真島とし夫も混じっている。5人とも、物凄い早さで、出されるステーキを口に入れ始めた。全員、ほとんど噛まずに飲み込んでいる。美咲は、この日のために昨日一日絶食していたが、最初の5皿を食べた辺りで、早くも吐き気がしてきた。

(う・・・気持ち悪い・・・もう無理・・・)

チラッと横目で他の選手を見ると、すでに優勝候補のギャルタレントは、12皿目を食べている。余裕の表情で、いかにも美味しそうだ。他の3人の選手も美咲をリードしていた。

「美咲さん、頑張って下さい。現在、最下位ですよ」

司会者がコメントを求めてきた。

「ハードマゾの意地にかけて、頑張ります」

「アナルバイブのスイッチを入れてあげましょうか?」

司会者が、事前に美咲のマネージャーから預かっていたリモコンを取り出し、ボタンを押した。テレビ出演時には、常に挿入されているバイブが直腸で動き出す。

「あーん、いやーん。これじゃ、バイブで胃が突き上げられて、余計食べられなくなっちゃいますぅ〜」

スタッフの間から少し笑い声が起こった。今のコメントは良かった、と美咲は内心思った。

「ギャル曽我さん。どうですか。今、ダントツトップですよ」

司会者が、大食いギャルタレントに振った。

「このステーキ、美味しい」

「苦しくないですか?」

「大丈夫」

ギャル曽我は、笑顔で答えた。この女の体の構造はどうなっているのだろう、と誰しもが思う。この細い体のどこに、食べ物が消えているのか不思議だった。次に司会者は、男性選手の一人である、真島とし夫に振った。

「ギャル曽我さんに勝てる自信は、ありますか?」

「あいつの体おかしいよ。どう、考えたって物理法則を無視しているよ」

その時、フェンスの外で銃声が一発轟いた。餓死寸前の難民が兵士の制止を振り切り、フェンスをよじ登ろうとしたのだ。

「真島さん。ギャラリーが随分、騒がしくなってきましたね。このまま、ロケを続けても大丈夫ですかね?」

真島とし夫は、立ち上がり、片足を上下させて踊りだした。

「難民?そんなの関係ないよ!そんなの関係ないよ!ハイ、親父ビーム!」

第一ラウンド開始から45分が経過し、トップのギャル曽我は、52皿目を平らげた所だった。美咲は、21皿目で、もう限界だった。

「これ以上、食べれませぇん」

「どうしますか?リタイヤしますか?」

美咲は、ギャラリーの方を見た。骨と皮ばかりの難民がフェンスに大量によじ登り、その重みで内側にたわんでいる。その光景を見て、美咲は気分が悪くなり、食べたものを、テーブルの上に吐き戻した。

「おーっと、ハードマゾの美咲さん。テレビでは、絶対にしてはいけない事を、してしまいました!」

司会者が、テンションを上げ、大げさに騒ぎ立てる。嘔吐物の匂いが回りに充満し、他の、苦しみながら食べ続けている選手達が、顔を引きつらせた。

「ごめんなさい・・・カメラの前で吐いちゃってごめんなさい・・・」

美咲は、泣き出したが、その時、カメラの外のスタッフがカンペーで、ゲロをもう一度食べろと指示を出した。

「ごめんなさい。出したものは、もう一度食べます・・・だから、美咲は、まだリタイヤしませぇん」

美咲が、泣きながら自分の胃液にまみれた消化不良の肉片を、再び食べ始めた時、急にフェンスの外のざわめきが大きくなった。

「この子に・・・この子にも、ほんの少しでもいいから、食べさせてあげて!」

「あの日本人、何人分食うんだよ!俺はもう、1週間も水しか飲んでねえ!」

「俺の息子は、泥食って死んだ。やめろって言ったのに、空腹に我慢出来なかったんだ!」

「あいつらが食ってる分で、餓死寸前の人間が、何十人も助かるぞ!」

もはや、彼らには、警備している兵士の制止も耳に入らないようだった。銃の恐怖よりも、空腹の方が勝り、難民達は正気を失っていた。フェンスを乗り越え、数人の難民が特設スタジオに乱入してきた。

「キャアアア!」

女性スタッフの悲鳴が上がり、男性スタッフが、選手に近付く前に難民を取り押さえようとタックルする。しかし、とうとう、よじ登った人間の重みでフェンスの一角が倒れ、津波のように、どっと飢餓状態の難民が押し寄せてきた。

「止まれ!撃つぞ!」

銃声が何発も響いたが、難民は止まらない。5人の選手はモミクチャにされ、骨と皮ばかりの手で、食べているステーキを奪われた。

「これでは、もう対決になりません!」

司会者が悲痛な叫びを上げている。真島とし夫が踊りだした。

「そんなの関係ないよ!そんなの関係ないよ!ハイ、親父ビーム」

美咲は、難民に引き摺り倒され、意識を失った。

 

第158話、Gワールド

 

2006年4月、田村零児(32歳)は、小田原市内の貸ビルで、ガンダムショップを経営していた。狭い店内の陳列棚には、所狭しとガンダムのプラモデルやフィギア、グッズ、DVDBOXが、並べられている。従業員は、自分とアルバイトの女子大生、島崎結衣(20歳)の二人だけだった。零児は、元々中学校の教師だったのだが、ガンダム好きが高じて、自ら退職し、3年前、ガンダムショップを開いたのだった。以来、店は赤字続きで、一度も儲かった月はなく、借金は増える一方で、いまだに独身だったが、それでも、好きなものに囲まれて暮らすのは、至福の喜びだった。時折来店する常連の客と、ガンダム関連の話で盛り上がるのが、何より楽しい。

「店長、なにか聞こえません?」

ふと、商品の整頓をしていた、結衣が言った。

「ん?」

ガンダム系プラモデルを特集した雑誌を読んでいた零児が、顔を上げる。いつものごとく店内に客はいない。耳を澄ますと、遠くから低い砲声のような音が響いている。

「工事でもしているのかな?」

陳列棚が小刻みに振動し、フィギアが倒れた。

「地震かしら?」

結衣が、窓を開けて外を眺めると、ヘリコプターが空を旋回していた。零児が、ようやく重い腰を上げ、結衣と一緒に店の外へ出た。耳をつんざくような衝撃音が伝わり、見上げると、ジェット戦闘機が編隊飛行をしている。砲声も絶え間なく聞こえ、道行く人々が不安気に立ち止まり、口々に何が起こったのだろうかと、騒いでいた。

「店長、ジオンが攻めてきたのでしょうか?」

結衣も、ガンダムショップに応募してきただけあって、零児に負けず劣らずのガンダムマニアである。

「いや、ムーンレイスかもしれんぞ」

「あたし、ターンAは嫌いです。あのヒゲが駄目なの」

その時、ビルの向こう側に、全長20メートルはあるかと思われる巨人女が現れた。全身に装甲服を身につけ、右目に義眼のモノアイが赤く光っている。自衛隊のヘリが、対戦車ミサイルや機銃掃射で、空中から攻撃しているが、巨人女は、素早い動きと、頑丈な装甲服で、大したダメージを受けていないようだ。

「モ、モビルスーツだ!」

零児は、興奮して叫んだ。今まで、映像の中でしか見たことがなかった非現実的な出来事が、目の前で起こっているのだ。恐怖と興奮で、零児は、ガクガクと震えた。

「店長!どうしましょう?」

「どうするって、言われても・・・」

巨人女は、バズーカのような武器を構え、虹色の光を照射した。まともに光を浴びた渋滞中の観光バスが、何台か消えてしまう。

「と、とにかく、逃、逃げた方が、いいと思う」

零児が、結衣と一緒に店内へ戻ろうとした時、虹色の光が、二人の立っている道路を舐めた。

「うわああ!」

「店長!」

二人は、光に包まれ、そのまま意識を失った。

 

 零児は、目を覚まし立ち上がった。なぜか、夜になっており、辺りは暗かった。そこは廃墟の市街地だったが、見慣れた小田原ではなく、看板などにも英語の文字が目立つ。どうやら外国のようだ。

「結衣ちゃん、大丈夫?」

零児は、隣に倒れていた結衣を起こした。二人とも怪我は、していないようだった。

「店長、ここはどこですか?」

「うーん、わからない」

辺りを見回したが、二人の他に人影はない。崩れた高層ビルなどが立ち並んでいるが、完全に見捨てられた廃墟のようだった。

「おーい!おーい!」

「誰か、いませんかあ?」

二人は、叫びながら廃墟を歩き回ったが、やはり誰もいなかった。

「ドーム球場だ」

零児は、天蓋が半分崩れたドーム球場を発見した。そして、しばらく眺めていて、急に顔が真っ青になった。

「ホ、ホワイトベースだ。あそこにホワイトベースが隠れている!」

結衣も目凝らして半壊したドーム球場を眺めると、たしかにその中に、巨大な白い木馬のような船体が静かに横たわっていた。

「店長!ここは、いったい・・・もし、あれが、本物のホワイトベースなら、ドーム球場じゃなくて、雨天野球場と言わなければいけませんわ」

「ファーストガンダムが放映されたのは、1979年だった。その頃には、ドーム球場なんてなかった。そんな時代に未来都市の一部としての雨天野球場を描写したのは画期的なんだよ」

零児は力説した。

「どうなるんでしょう、店長」

「これは、テレビシリーズ第10話、『ガルマ散る』のワンシーンだぞ。ってことは・・・」

零児と結衣が崩れたビルの陰に身を潜めていると、遠くから連続的に爆発音が聞こえてきた。夜空を見上げると、巨大な翼を持つ、ガウ攻撃空母が、十数機の戦闘機ドップや、ルッグンを従えて編隊飛行をしていた。ガウの腹からは、次々と爆弾が投下され、市街地で炸裂している。

「行こう、結衣ちゃん。ホワイトベースに乗せてもらうんだ」

零児は走り出した。ホワイトベースのモビルスーツデッキの片方から、ガンダムが射出され、ガウから降下してきた3機のザクと市街戦を始める。

「ガ、ガンダムだ!ザクだ!」

零児は、走りながらも興奮して叫んだ。これは、夢かと思ったが、意識も、体の感覚もはっきりしている。

「店長、シャア専用ザクもいます!」

「見ればわかるっ!」

一機だけ赤い塗装をしたザクが、ガンダムと戦い、ガンダムはホワイトベースと逆方向へと逃げ始めた。上空を遊弋していたガウの編隊も、なぜかホワイトベースに背を向け、逃げるガンダムを追い始める。

「シャアだ、シャアの策略だ!ガルマがやられるぞ!」

ホワイトベースのモビルスーツデッキのハッチは開きっ放しだった。ガンキャノンやガンタンクも静かに出撃し、ホワイトベースの傍らで、背中のキャノン砲の照準をガウに合わせている。零児と結衣は、接地しているホワイトベースのモビルスーツデッキへと走り込んだ。

「おい、止まれ民間人!立ち入り禁止だ!」

連邦軍の制服を着たクルーに制止された。

「乗せてくれ!アムロとかブライトとかに、一目、会いたいんだ」

「お前、何者だ?なんで、名前を知っている?」

その時、ホワイトベースの一斉射撃が始まった。背後から攻撃されたガウは、砲火に包まれる。嵌められた事を知ったガルマは、今、コクピットで特攻を指示しているに違いない。

「うわああ!突っ込んでくるぞ!」

クルーが悲鳴を上げた。

「大丈夫です。ホワイトベースに体当たりする前に、力尽きます」

零児は落ち着いていた。

「なんで、お前に、そんな事がわかるんだよ!」

ホワイトベースは、ハッチを閉じ、特攻を避けるために上昇を始めた。これでもう、降ろされる事はないだろう。

「戦闘が終わったら、ブライト艦長に会わせて貰えませんか」

零児は頼み込んだ。

「頼まれなくても、会わせてやるよ。お前達は、尋問される筈だ。スパイかもしれないからな」

こうして、零児と結衣は、ガンダムワールドで、到着早々、ホワイトベースに乗り込む事に成功した。

 

 ホワイトベースは、ジオン軍の攻撃を撃退した後、連邦軍の制空権を目指して南下していた。零児と結衣は、独房に入れられ、艦長であるブライト・ノアの尋問を受けた。

「なぜ民間人が、機密事項を知っているんだ?」

ブライトは、テーブルを叩いた。零児は、ホワイトベースやガンダムの基本性能やスペック、ジオンのモビルスーツの性能や開発状況もスラスラと喋る。

「感激です!あなたと、こうして、お話が出来るなんて!何でも聞いてください。この世界の事は全て暗記しています!」

アニメと違い生身で見るブライトは、リアルだった。19歳の青年将校の彼は、黒髪で目が細く、色白だが、生粋の白色人種ではないようだ。

「あなた、将来、ミライ・ヤシマさんと結婚するんですよ」

「な・・・いい加減な事を言うのも、ほどほどにしろ!」

ブライトは、顔を真っ赤にして叫んだ。この時点で、すでに気があったらしい。

「僕とガンダムが、1年戦争を勝利に導くって、本当なんですか?」

アムロ・レイが、控えめな態度で尋ねた。赤毛の15歳の少年である。とても、何十人もジオンの兵士を殺してきたようには、見えない。

「本当です。あなたは、ニュータイプなんです。握手してください!」

「そんな・・・僕は、好きで戦争をやっている訳じゃないのに・・・」

零児は少年アムロの手を握り、熱烈な握手をした。

「あたしにも握手をして下さい」

結衣も握手をせがむ。女性の手を握ったアムロの表情が、一瞬ニヤッと笑ったような気がした。女好きな、プレイボーイの素質をすでに秘めている。

「申し訳ありませんが、あなた達二人を、連邦軍本部のジャブローに連れて行きます。ここまで、軍の重要機密に詳しい方を、このまま解放する訳にはいきません」

ブライトが言うと、逆に零児は喜んだ。

「それは、願ったり叶ったりです。でも、残念ながら、ホワイトベースは、このままジャブローへ向かう事は出来ませんよ。この後、太平洋を渡り、中央アジアを通って、再び大西洋を越えて、地球を一周しないといけません。」

「なぜです?現在位置は、北米です。南米のジャブローは目と鼻の先ですよ」

「なぜって、言われても・・・そういうストーリーなんだよなあ」

零児は、答えに困った。そこへ、アムロが助け舟を出した。

「僕たちは、囮なんです。もっと、大きな作戦から、ジオンの目をそらすための囮なんですよ」

「そ、そう、それですよ、それ」

零児も同意した。

 

 イセリナ・エッシェンバッハ(19歳)は、ガルマ戦死の報を聞くと一晩中泣き明かした。しかし、翌日になると、気を取り直し、ガルマの側近であったダロタ中尉を説き伏せ、ガウ攻撃空母3機を発進させて、ホワイトベースの追撃に出た。

「戦闘機はないのですか?」

「ありません。ここ何回かの戦闘で、全て撃墜されました。」

ガウの司令室で、イセリナは、ブルーのラメ地のアンダードレスに、純白の上着とロングスカートを履いていた。金髪に青い目をした典型的なアングロサクソン系の美女である。彼女の格好は、とても戦闘に出るような服装ではない。ホワイトベースに追いついたもの、モビルスーツも戦闘機も無しでは、連邦の最新鋭戦艦に、手も足も出なかった。

「ガウ3番機、2番機、撃墜されました!」

迎撃のため、ホワイトベースを発進したガンダムとガンキャノンが、空中戦で次々とガウを撃墜していく。イセリナの扇動で出撃させられたジオン兵は、死にに、来たようなものだった。

「ダロタ中尉。ガウをあの白いモビルスーツにぶつけるのです!ガルマ様の仇!」

「はっ!」

さすが恋人同士である。ガルマもイセリナも、最後の土壇場で、ガウを特攻させると言う、同じ選択肢を選んだ。エンジンを撃ち抜かれたガウは、不時着しながらもガンダムに体当たりした。しかし、頑丈な連邦のモビルスールは、そのくらいでは壊れない。イセリナは、拳銃を握り締め、不時着したガウのハッチから這い出した。そして、同じく、動かなくなったガンダムのコクピットから出てきたアムロに銃口を向ける。

「ガルマ様の仇・・・」

しかし、そこでイセリナは力尽き、足を滑らせて、立っていたガウの機体から滑り落ちた。

「仇・・・僕が?」

アムロは、地面に落下し、倒れたイセリナに駆け寄る。まだ生きていた。

「綺麗な人だ。僕を、仇と言った。・・・でも助けなくちゃ」

アムロは見かけによらず、女好きだった。テレビでは放映されなかったが、実は、ブライトの目を盗んで、セイラやフラウ・ボウと肉体関係を結び、すでにこの時点で二股をかけている。とりわけ好みのタイプは、金髪女性で、イセリナの容姿に目が眩むのも、仕方がないと言えた。アムロはホワイトベースから救護班を呼び、気を失っているイセリナを救出した。

 

 イセリナが、ホワイトベースの医務室で目を覚ますと、一人の男がベッドの傍らに立っていた。

「ニハハハハ」

下品な笑い声を上げたその男は、皮肉っぽい表情を浮かべていた。グレーの髪のカイ・シデン(17歳)だ。

「あんた、可愛いね」

そう言うとカイは、いきなりイセリナの唇に吸い付いてきた。イセリナは悲鳴を上げ、平手打ちで返す。

「無礼者!」

「いいだろ、ちょっとくらいよう。あんた捕虜なんだからさあ」

不良のような口の利き方だった。隣にいた小柄な日本人、ハヤト・コバヤシが止めようとする。

「やめろよ、カイさん。捕虜の扱いは南極条約に乗っ取ってやらないと、ブライトさんに怒られますよ」

「なんでだよっ!アムロなんて、いつも、出撃の後は、セイラさんと宜しくやってんだぜ!」

「それとこれとは・・」

「お前がなんと言おうと、俺はやめないからな!」

カイは、ムキになってベッドにイセリナを押し倒し、胸や体を触りまくった。抵抗するイセリナによるビンタの嵐が、カイの顔面を襲う。

「こらっ、暴れるな!このアマ、大人しくしやがれ!」

その様子を、医務室の近くの独房で零児と結衣は、耳をそばだてて聞いていた。

「おかしい。イセリナは、11話『イセリナ、恋のあと』で死ぬ筈だ・・・でも、生きている・・・」

「店長、どう言う事ですか?」

「ひょっとして、俺達が、この世界に現れたせいで、ストーリーが変わってしまったのかもしれん」

「え・・・って、つまり、それは・・・この先・・・」

「そう、何が起こるか判らないって事だ!」

零児と結衣は、頭を抱え込んだ。

 

 アムロは、ホワイトベースの個人用キャビンで、セイラ・マス(17歳)とセックスに励んでいた。ガンダムに乗って戦闘をした後は、異常なくらいに性欲が高ぶるのだ。

「アアッ!アアアア!・・・アムロ、なかなか、よくってよ」

セイラも、普段ブリッジでは、上品に振舞っているが、その反動のためか、ベッドでの乱れっぷりは激しい。

「セイラさん。僕もう、怖いの、嫌なんです・・・ガンダムに乗りたくないんです」

アムロは、セイラのオマンコに挿入し、腰を振りながら泣き言を言った。

「あら、弱気ね。それなら、あたしに、ガンダムの操縦方法を教えてくれて?」

「イ・・イイッ・・・いいですよ」

セイラは考えていた。どうにかしてジオンの兵と接触を図り、兄、シャア・アズナブルこと、キャスバル・レム・ダイクンの消息を聞き出さなくてはならない。ガンダムで出撃すれば、そのチャンスが巡ってくる可能性はある。アムロは、獣のように、セイラの乳房をむしゃぶり、唇を合わせて舌を絡ませた。

「気持ちいいですよ、セイラさん!」

「そう、良かったわね。じゃあ、イク時は、『アムロ、いきます』って言うのよ』

「え、ええ・・・ア、アムロ、いきますっ!」

アムロは、セイラのオマンコの奥深くに射精した。宇宙世紀ともなれば、避妊技術も進歩しており、中出ししても、妊娠する心配は100パーセント無い。

「もう一回よ、アムロ」

セイラは、萎んだアムロのチンポを、再び奮い立たせようと口に含んだ。アムロは、少し辟易しながらも、金髪女性は、性欲が旺盛と言う噂は本当だな、と思った。

 

「ブライトさん。2時の方向から、接近する物体があります」

ホワイトベースのブリッジで、オペレーターのオスカがブライトに言った。

「敵か?」

「機種は不明です。味方の認識コードは発信しておりません」

「各員、第一種戦闘配備。アムロをガンダムで発進させろ」

とにかく、ガンダムを出せばなんとかなる、とブライトは、いつものように作戦を、短絡的に考えた。

「アムロが捕まりません」

通信席のフラウ・ボウが、艦内モニターで必死にアムロの姿を探している。ブライトは眉をひそめた。

「心当たりがある。セイラのキャビンを映せ」

「プライベートルームですが、よろしいですか?」

「かまわん、艦長命令だ」

映し出されたモニターには、全裸で絡まるアムロとセイラが丸見えだった。ブリッジのクルー全員が注目する。フラウ・ボウの顔がショックで蒼白だった。

「アムロ!聞こえんのか、出撃だ!」

ブライトの怒声に、リズミカルに腰を動かしていたアムロが我に返った。

「は、はい。・・・アムロ、いきますっ!」

アムロが、ベッドから慌てて立ち上がると、セイラの愛液でヌラヌラ光った、半立ちのチンポが、カメラに映し出される。パックリと開いた、アワビのようなセイラのオマンコも同様だ。ブリッジの面々は呆れて、しばらくモノも言えなかった。

「やれやれ、3人の女性クルーのうち、2人もアムロが独占とはな」

ブライトが、躁舵手のミライ・ヤシマ(18歳)に愚痴をこぼした。

「仕方ないわ。あたし達が今まで、生き残って来れたのも、アムロの働きのお陰ですもの。それより、他の男性クルーが、捕虜のイセリナ嬢を、朝から晩まで、輪姦しているそうよ。放置しておいていいの?南極条約違反じゃなくて?」

「ああ、わかっている。だが、俺達もいつ死ぬか判らんのだ。息抜きは必要だ。黙認するしかないな。私は知らなかった事にする」

「戦争ですもの、仕方ないわね」

ブライトは、独房の零児から、そろそろ、セイラの無断出撃と、アムロの脱走に気をつけるように忠告されていた。モビルスーツデッキの他のクルーには、カタパルトを、ブリッジからの指示無しで、絶対に作動させないよう、再三注意してある。アムロは、命令通り、大人しくガンダムで出動し、ガンタンクとガンキャノンも発進した。襲ってくる敵は、ガルマの仇討ちに派遣されたランバ・ラルのギャロップと新型モビルスーツのグフだと言う事も事前に零児から聞いていた。

(敵の情報が判っているのだ。サクッと撃破して、オデッサに進もう)

とブライトは考えた。

 

 中央アジアの砂漠を疾走する、陸戦艇ギャロップのブリッジでは、ランバ・ラル大尉(46歳)と、愛人のクラウレ・ハモン(33歳)が熱い抱擁を交わしながら口づけをしていた。背が低いランバ・ラルは、背伸びし、逆にハモンは膝を少し折って身長を合わしている。舌を絡ませた長いキスだったが、いつもの事なので部下達は見て見ぬふりだ。

「ガルマ様の仇を打って木馬を沈めれば、私は、2階級特進だ。そうすれば、もっとザビ家に近い、贅沢な暮らしが出来る」

ランバ・ラルは、甘い言葉を囁いた。先程も居住区画のカーゴで激しいセックスを終えたばかりである。戦場に愛人を連れてくるのは、いかがなものかと思われるが、二人は、部下の前でも、四六時中イチャついていた。

「兵たちにも、特別ボーナスが支給出来るぞ」

「無理はなさらず、気をつけて下さいまし」

「わかっている」

ランバ・ラルは、ギャロップの指揮権をハモンにゆだね、自分はモビルスーツ、グフに搭乗し、部下のザク2機を従えて出撃した。ギャロップのクルー達は、なぜ、軍人ではない、隊長の愛人に指揮されなくてはならないのか、判らないのだが、日常化しているので、今更、異議を唱えるものは誰もいない。攻撃目標のホワイトベースは、低空をゆっくりと飛行しており、グフとザク2機が近付くと、カタパルトから白いモビルースーツ、ガンダムを射出してきた。

「あれが、噂の連邦のモビルスーツか」

ランバ・ラルは、赤いシールドとビームライフルを持ち、直立不動の姿勢で空中を飛んでいるガンダムに向けて、グフの左手に装備されているフィンガーバルカンを連射した。機体に吸い込まれるように、全弾命中したが、ガンダムは平然としている。

「なんて装甲だ。バルカンが効かん」

部下のザクもマシンガンを撃ったが、全く効果がないようだった。

「これなら、どうだ」

ランバ・ラルは、ガンダムの着地地点に先回りし、グフの右手のヒートロッドを繰り出した。これは、言わば電気鞭である。ガンダムの胴体に巻き付いた鞭が電撃を浴びせたが、ガンダムの動きを止めただけで、爆発までには至らない。逆に、頭部のバルカンで反撃された。

(おいおい、ひょっとすると、最初から、モビルスーツ同士の戦いでは、勝てない設定じゃないのか?)

飛び退りながら、ランバ・ラルは考えた。ホワイトベースからは、ガンキャノンとガンタンクも出撃してくる。歴戦のゲリラ部隊である筈のランバ・ラル隊は、ホワイトベースに近付く事すら出来ずに手を拱いていると、なんとザクの一機が、ガンキャノンに羽交い絞めにされ、捕獲されてしまった。

「ラル隊長、助けてくださいっ!捕まりましたっ!」

ザクのパイロット、コズン少尉が、無線で助けを求めてきた。彼は歴戦の兵士の筈なのに情けない。

「アコース!コズンに近付けんのか!」

ランバ・ラルが、もう一機のザクのパイロットに指示をする。しかし、その時、アコースのザクは、ガンダムにビームライフルで撃ち抜かれる所だった。

「アコース!くそっ、退却だ!」

ランバ・ラルのグフは、部下を見捨てて逃げ出した。

 

 戦闘終了後、アムロはブリッジに呼び出された。

「どうして、出撃命令が聞こえなかったんだ?」

ブライトに大目玉を食う。

「どうしてって、それは、その・・夢中になってて・・・」

口籠るアムロに、ブライトのビンタが炸裂した。

「お前が、乳繰り合っている間にホワイトベースが沈んだらどうするんだ!」

「うう・・・親父にも殴られた事ないのに・・・」

往復ビンタの後、やっと解放されたアムロは、クサクサしながらプライベートキャビンへ戻った。制服のまま、ベッドに横になるが、殴られた事に、腹が立って眠れない。そこへ、フラウ・ボウ(15歳)がトレイに食事を乗せて訪れた。

「アムロ、食事持ってきたわよ」

「そこへ、置いておいてくれ」

「駄目よ、ちゃんと食べなきゃ」

「食べたくないんだ」

アムロはフテ寝をしたまま、顔を上げようともしない。フラウ・ボウは、ベッドに座り、赤いミニスカートから伸びる生足を、アムロの体に押し付けた。

「最近、ちっとも構ってくれないんだから!」

フラウ・ボウが、アムロの股間に手を伸ばす。

「やめてくれよ、疲れてるんだ・・・」

「あたしより、セイラさんの方が、いいんでしょ!」

「うるさいな!」

フラウ・ボウは嫌がるアムロに覆いかぶさり、服を脱がせ始めた。アムロの胸に顔をうずめる。

「汗くさい。ちゃんと洗濯しなさいよ」

「やってるよ」

「嘘」

フラウ・ボウが唇を重ね、右手で、ズボンの上からチンポを握り締めると、アムロは観念したようだった。出撃前にセイラとセックスをしたばかりだというのに、すぐにまた硬くなる。15歳の少年の性欲は、そう簡単には尽きない。フラウ・ボウは、パンティを脱ぎ、グチョグチョに濡れたオマンコをアムロの顔に押し付けた。自分も、アムロのチンポをしゃぶり始める。

「ああっ、ああ・・・アムロ、気持ちいい・・・」

フラウ・ボウは、シックスナインが大好きなのだった。

 

 ジオンの兵士が捕虜になったというニュースを聞いて、セイラは捕虜の世話役を買って出た。ジオンの兵士から、兄の情報を少しでも知りたかったのだ。

「シャアがどうなったか、ご存知でしょうか?」

コズンの独房に食事を運んでいったセイラが、こっそりと尋ねた。

「シャア?ああ、赤い彗星か・・・失脚したよ。ガルマを戦死させた責任をとってね」

「そう」

「ところで、あんた、いくらでセックス出来る?」

「え?」

突然の申し出にセイラは戸惑った。

「か、勘違いしないで下さい。人を呼びますよ」

「判ったよ。あんた金じゃなくて、情報が欲しいんだろ。なら体を触らせてくれよ」

コズンが慣れ慣れしく、尻を撫でてきた。セイラは、平手打ちを喰らわせようとして思い止まった。

「シャアの事をもっと詳しく教えてくれるなら、手で抜いてあげてもよくってよ」

「手?せめて口でやってくれよ」

「仕方ないわね」

セイラは、コズンの囚人服のズボンを脱がせ、ドス黒く日焼けしたチンポを口に含んだ。

 

 別の独房では、いつものようにホワイトベースの男性クルー達が、イセリナの肉体に群がっていた。

「たまんないようなあ、金髪女って」

カイが、馬乗りになってオマンコに挿入し、リュウ・ホセイ(18歳)が口にチンポを押し込んでしゃぶらせている。

「ハヤト、お前はやらんのか?」

巨漢のリュウが、小柄なハヤトに尋ねた。

「え、ええ、僕は見ているだけでいいです・・・」

「ニハハハハ、こいつ、包茎なんじゃねえの。日本人の半分は仮性包茎だっていうしさ」

カイが腰を振りながら、囃し立てた。

「違いますよ!」

ムキになってハヤトが反論する。

「じゃあ、なんだよ。フラウ・ボウに気兼ねしてんのかよ?無理無理、だってあの娘は、アムロと付き合ってんだろ。さっきもアムロの部屋に入っていく所、見たぜ」

カイの嫌がらせの言葉に、ハヤトは青ざめた。カイは人を不快にさせる名人なのだ。

「元気出せ、ハヤト。代わってやるから」

兄貴肌のリュウが、イセリナの口から、まだイッっていないチンポを引き抜き、ハヤトのために場所を開けた。イセリナの目は虚ろである。

「お願いです・・・少し休ませて下さい・・・・ああ、ガルマ様・・・」

「早くやれよ、ハヤト。後がつかえてんだぜ。ジョブ・ジョンやマクシミリアンも順番待ちしてんだからよう」

カイに、即されてハヤトはズボンを下ろした。小さいチンポが剥き出しになり、やはり、それは包茎だった。

「やっぱり、包茎じゃねえか」

ハヤトは、皮のかむったチンポをイセリナの口に含ませた。疲れ切っているにもかかわらず、条件反射でイセリナは舌を絡ませる。うわ言のように、死んだ恋人の名を呟きながら。

「はぐ・・・ガルマさ・・ま・・・」

「ガルマ様〜だってさ。頭イカレちまったみたい」

カイが、からかうように言って肩をすくめた。

 

 酒池肉林のホワイトベースは、中央アジアを西へ進む。4日後に行われるオデッサ作戦に参加しなくてはならない。これは、開戦以来、押されっ放しの連邦軍にとって、最初の反抗のきっかけになると、田村零児が言っていた。

「レビル将軍からの補給物資はまだか?」

「ミデア輸送部隊が遅れているようです。接触地点はまだ、設定されていません」

ブライト艦長は苛立っていた。戦闘に継ぐ戦闘で、自分は満足に寝る事すら出来ないのに、アムロを始め、他のクルー達は、色欲に狂っているのだ。

「ランバ・ラルがこのまま、引き下がるとは思えん。田村によれば、オデッサにたどり着く前に、黒い三連星とも戦わなくてはならないらしい」

「黒い三連星?あのルウム戦役で、レビル将軍を捕虜にした?」

操舵手のミライが、操艦しながら言った。

「シャアにガルマにランバ・ラル。なぜ、ホワイトベースばかりが狙われるのだ!」

「そういうストーリーだから仕方ないって、田村が言ってたわ」

「くそっ、この俺がテレビの中の登場人物だって?信じられるか、そんな戯言!」

ブライトは、田村零児と島崎結衣を拾って以来、以前にも増して怒りっぽくなっているようだった。

 

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