第142話、わが闘争

 

1939年8月末、ベルリンの総統官邸の執務室で、アドルフ・ヒトラーはモスクワからの暗号電文を受け取った。差出人は、ソ連の最高指導者スターリンと交渉にあたっている、ドイツ外相のヨアヒム・リッベンドロップからだった。

「やったぞ、スターリンが、我がドイツとの同盟に署名した!」

ヒトラーは、震える手で暗号電文を握りしめた。彼には珍しく、歓喜のあまり興奮している。副総統のルドルフ・ヘスは無表情だった。彼はソ連よりも、イギリスと同盟を結ぶべきだと、今も考えているのだ。

「東西からポーランドを挟撃する秘密協定にも同意したとある。我が軍は、計画通り、9月1日をもってポーランドに侵攻する。ゲーリングとグデーリアンに準備を始めるように指示を出せ!」

「ハイル・ヒトラー!」

9月1日、ドイツ軍は、突如ポーランドに侵攻を開始した。ゲーリングの指揮する空軍の急降下爆撃機がまず、敵の防衛陣地を爆撃し、そこへハインツ・グデーリアン将軍の機甲部隊が突入する。旧式の騎兵隊しか持たないポーランド軍は、この新時代の戦法に全く歯が立たず、あっという間に壊滅し、首都ワルシャワは2週間で陥落した。さらに東側からは、ヒトラーと同盟を結んだスターリンのソ連軍が侵攻して来た。両国に分割占領されたポーランドの運命は悲惨だった。

「反乱分子になりそうなポーランド将校は、今のうちに、まとめて虐殺しろ。それから問題は、ユダヤ人だ。アウシュビッツに強制収容所を建設し、ポーランド中のユダヤ人を根絶するのだ!」

ヒトラーの命令を受けて、ゲシュタポ長官のハインリッヒ・ヒムラーが、国内と占領地のユダヤ人狩りを一層強化した。

「19世紀以来、ユダヤ人は、ヨーロッパの国々の間に紛争の種を巻き、互いに戦わせる事で、戦費を貸付け、莫大な利益をあげてきた。世界恐慌も奴らが演出したに違いない。我がナチス・ドイツが、ユダヤ人による災いから世界を救うのだ!」

「ハイル・ヒトラー!」

これ以後、さらにヨーロッパ情勢は、混迷を増した。同盟を結んだドイツとソ連は周辺小国への侵略を繰り返し、ドイツはデンマークとノルウェーを占領、ソ連はフィンランドとバルト3国を侵略する。その度にイギリスとフランスは抗議声明を発するが、具体的に軍事行動に出る事はなく、手をこまねいて見ているだけだった。

 

 遠くアジアの東の果てにある日本でも、日々変化する国際情勢を睨みながら、軍部の指導者達が頭を悩ませていた。

「なんで、ドイツとソ連が同盟するのだ。訳がわからん。我々は、一体どうすればいいのだ?」

陸軍大臣の東条英機が御前会議で喚き立てた。

「ともかく米英と戦うのは反対です。日本は、現在、重油の90パーセント以上を米英からの輸入に頼っています。油が無ければ私の連合艦隊も動きません」

連合艦隊司令長官の山本五十六は、アメリカとの開戦を最も恐れていた。以前アメリカを視察した事があり、その大量生産を基本とした工業力を熟知していたのだ。

「電撃作戦で、南方の資源地帯を押さえてはどうだ?」

「しかし、現在、満州国境地帯では、ソ連軍との緊張が日増しに高まっています。南方に進出すれば、両面作戦になります」

「ドイツと同盟を結ぶべきでは?」

「いや、それだと、間接的にソ連と同盟を結ぶ事になるではないか」

会議は結論の出ないまま紛糾した。天皇は黙っている。彼のほとんどの役目は、会議で決まった事に対して、うなずく事だけなのだ。

「朕は、どちらかというと争いは好きではない・・・」

「陛下!何を弱気な。大日本帝国の命運は、今後数年間の国際情勢で、どう、うまく立ち回るかに、かかっているのですぞ!」

首相の近衛文麿が、励ました。

「・・・よ、良きにはからえ」

天皇は、俺は一体、何の為にここにいるのだろうと考え、いつものように黙っている事にした。

 

 1940年5月、石原莞爾(51歳)は、軍務の傍ら、もっぱら思想家としての講演活動に勤しんでいた。満州事変の後、陸軍参謀本部長という軍事作戦立案の最高位の役職まで上り詰め、彼の息のかかった傀儡内閣を、あと一歩のところで作り上げる所まで至ったのだが、軍内部での東条英機との派閥争いに破れ、再び閑職に追い込まれていた。

「アジアの民族は、明治維新を成功させた日本を手本とし、それぞれ自らの手で近代国家として生まれ変わらなければなりません。そして黄色人種を植民地支配しようとする欧米の圧力を撥ね退けなければならんのです!」

京都立命館大学の講堂で、石原中将は講演を行っていた。彼は、前年、東亜連盟協会という政治団体を立ち上げ、自ら顧問に就任していた。

「満州事変以後、日本は、日満5ヵ年計画の下、産業、経済を振興させ、国力を蓄えて参りました。今や、いずれ私が、勃発すると予想している、アメリカとの最終戦争を勝ち抜く力を得たのです。アジア諸国は一致団結せねばなりません!」

講演には、多くの軍人、政治家、経済人、新聞記者らが集まっていた。石原の信奉者は、各界に浸透している。日満5ヵ年計画も、実際には石原が経済界に働きかけ、推進したのだ。聴衆者の中には、千羽鶴教団の教祖である久石千鶴の姿もあった。千鶴は一人で講演を聴きに来ており、衣装も普通の地味なグレーのワンピースを着ていた。女性の聴衆者は彼女だけだった。

(なかなか、鋭い視点ね。彼の『世界最終戦争論』は、ほとんど予知能力に近いわ。と言うより、彼が自分の思想に元づいて、歴史を動かす推進力になっているのかしら)

2000年に及ぶ人生で、様々な歴史上の人物と出会って来た千鶴は、歴史は漠然と動いているのではなく、特定の個人の意思によって動かされていると言う事実を、目の当たりにして来た。コロンブスしかり、織田信長しかり、ジンギス・カンしかりである。そして自分も数十年後の21世紀には、歴史を動かす存在とならなくてはならない。もし動かす事が出来なければ、全人類は、尊厳を踏みにじられ、宇宙人に奴隷化されるのだ。それまでに、歴史を動かす、と言う事が、どう言う意味なのかを学ばなくてはならない。

「私が、言いたい事は、西洋文明と東洋文明は、対等であり、かつ日本は東洋諸国のリーダーシップを取るべき存在だと言う事なのです!・・・以上で、本日の講演を終わります。長らくの御静聴ありがとうございました」

壇上の石原が締めくくると、講堂は拍手喝采に包まれた。壇上から降りた石原に、一人の外国人記者が近寄っていった。夢を見ているような、眠そうな目つきの白人だった。

「素晴らしい、あなたの思想をもっと取材させて頂けませんか?」

「君は?」

「ドイツの新聞記者で、リヒャルト・ゾルゲと申します」

流暢な日本語で喋るその男は、在留外国人の身分証明書とナチス党員のバッジを見せた。

「ほう、私も若い頃、ドイツに留学していた事があるよ。若かりし頃のヒトラー閣下の演説も、街頭で聞いた事がある」

「あなたは、総統と同い年ですね」

「そうだよ。良く下調べをしているな」

石原莞爾とゾルゲが、会話をしている最中に、その様子を近くで伺っていた千鶴が割って入った。

「石原閣下、お久しぶりですわね。その男には気をつけた方が、よろしくってよ。何せ、ソ連のスパイですから」

二人の男は、ギョッとした。特にゾルゲは動揺し、信じられないものでも見るかのように千鶴の顔を見た。

「彼は、自分がナチス党員だと言っているが」

「それでも、ソ連のスパイです。来年逮捕されるでしょう」

「・・・し、失礼、気分が悪くなりました」

そう言うとゾルゲは逃げるように、その場を去っていった。石原莞爾は、20年前と全く変わらない容貌の千鶴を、呆れたように眺めた。

「私には、あの男より君の方が、もっと胡散臭い人間に思えるがね」

「あたしは、不老不死なんです」

「やれやれ、それが、本当なら羨ましいよ。この国の行く末を、未来永劫、見届ける事が出来るからね」

「アメリカとの戦争は負けますわ」

「だろうな。あの東条が戦争指導をやるのだから・・・俺がやれば、例え国力が10対1でも、必ず勝てるのだが」

「凄い自信ですわね。でも、負けるのが判っているのなら、なぜ戦争をするのです?」

「歴史の必然かな。西洋文明の一極支配では、世界のバランスが取れない。日本が欧米に全力で挑戦する事によって、例え破れても戦後の世界に調和が生まれるかもしれん」

「何百万人もの日本人が戦争の犠牲になりますわ」

「それでも、アメリカ大陸のインディオのように、根こそぎにされるよりマシだろう」

千鶴は、500年前、コロンブスやコルテスによってインディオが奴隷化され、鉱山で酷使された挙句にヨーロッパ人に殺されていった様を思い出した。彼らの誇った高度な文明は、今では影も形もなく、その子孫は9割以上が、侵略者である白人との混血しか残されていない。インディオの男が殺し尽くされ、女が犯された結果だった。

「日本が欧米と戦う事は、白人の優位性を突き崩す最後のチャンスなのだよ」

「あたしは、今から60年後に、地球を侵略する宇宙人と戦います」

「君は、前にもそんな事を言っていたな。私はその頃には、もう生きていない。残念だが、私には、君に、頑張れとしか言えないよ」

「ありがとうございます。またお会い出来る日を楽しみにしておりますわ」

千鶴は、石原莞爾に別れを告げた。

 

 京都第16師団の司令部へと戻った石原莞爾を、ひとりの陸軍将校が待っていた。上月飛輔という大佐だった。

「特殊工作員養成機関設立の準備状況を報告します」

「今年中に開校出来そうかね?」

「ええ、8月には正式に開校出来そうです。後方勤務要員養成所を土台にして東京、中野に学校を設立します」

報告を聞き、退役間近の軍人であるはずの石原の目が、子供のように輝いた。

「急がねばならん。アメリカとの最終戦争が近い。その前にアジア全域に工作員を送り込んで、民族独立運動の火種を植え付けるのだ。そして日本軍が、欧米植民地支配からの解放軍として乗り込み、現地に親日の傀儡政権を樹立するのだ」

「10年前に閣下が満州で実践された事を、今度はアジア全域でやるのですな」

「そうだ。日本が中心となって大東亜共栄圏を作り上げるのだ」

上月大佐は持参した資料を石原中将に見せ、陸軍中野学校と呼ばれる事になる、防諜機関設立に向けての概要を説明した。

「入校者は、陸軍の各部隊から適正のある者を、独自の選考基準で選抜します」

「ふむ、日本の将来がかかっている。精鋭を揃えてくれ」

「閣下は知っておられるかもしれませんが、実は、私の祖先は忍者です。70年前、徳川幕府が倒れ、明治政府が誕生した際、多くの忍者が帝国陸軍に再就職しました。彼らは何百年にも渡って受け継がれてきた忍術を、そのまま受け継いでおります。各隊に散らばっている忍者の一族を中野学校へ再結集します」

「ちなみに君の先祖は、伊賀忍者の上月佐助だろう?」

「その通りです。我々の一族は、天正伊賀の乱で、織田信長に滅ぼされたと見せかけ、実は、忍者の里を別の場所へと移し、ほとんど無傷のまま、現代まで技術や伝統を維持してきました。これを我々は、『よもがみの術』と呼んでいます」

「君達が日本の歴史を裏から支えてきた、というわけか。これからは、日本の国体を守るために、その技術を世界に対して使って貰わねばならん」

「アジア民族の独立と、大日本帝国の繁栄のためにですな。千代に八千代に天皇家をお守りする事こそが、我らの古来よりの使命。西洋人などに日本の国土を汚すような真似など絶対にさせませんよ」

「頼むぞ大佐。私は来年には、軍を退役しようと思っておる。東条が実権を握った軍になど、いつまでも、おる気がせんわ!」

石原莞爾の謀略は、彼が退役しようとも、その種はすでに蒔かれてしまっている。来年の1941年、彼の予言通り、いよいよ最終戦争が始まるだろう。

 

 1940年、4月。ベルリンのドイツ軍大本営では、イギリス、フランスとの決戦へ向けての作戦会議が、いよいよ詰めの段階を迎えていた。

「独仏国境のマジノ要塞は難攻不落だ。しかし、ここを突けば簡単にフランスを落とす事が出来る。」

ヒトラーが地図上で指差したのは、ベルギーとオランダだった。

「しかし、ベルギーとオランダは中立を宣言しておりますが」

ルドルフ・ヘスが眉をしかめた。

「だからこそ、油断している。まさか、いきなり侵略されるとは、思っておらんだろう」

ドイツ軍の将軍達に反対する者はいなかった。ヒトラーの発案が軍事上の盲点であり、実行すれば勝利が間違いない事を、長年の経験から無意識に悟っているのだ。

「ポーランド戦と同じ手法でいく。まず、空軍が爆撃し、機甲部隊がそれに続く。作戦目標はパリの占領だ。作戦期間は1ヶ月」

そして5月10日、イエロー作戦と名づけられた軍事行動が開始された。まず、中立の立場だったオランダとベルギーが、マジノ要塞を迂回したいというドイツ軍の作戦目的のためだけに蹂躙され、数日で降伏した。サイレンを鳴らしながら急降下してくるドイツ軍のスツーカ爆撃機は、空からの攻撃を想定していなかった英仏両軍に恐慌をもたらし、あっさりと戦線は崩壊した。オランダ、ベルギー、フランスの政府は揃ってロンドンへと亡命し、生き残った英仏軍もダンケルクからドーバー海峡へ脱出した。大陸に残されたフランス国民は無条件降伏するしかなく、ドイツ軍に制圧されたパリで、降伏の儀式が執り行われた。

「どういう気分だね、フランスの諸君。この前の大戦では、逆の立場だったんだぞ」

ヒトラーは、わざわざ第一次大戦の時、ドイツ降伏の調印式が行われた客車を、博物館から引っ張り出させて、その中でフランス降伏の調印式を行わせた。

「・・・」

フランスのベダン首相は唇をかみ締めた。返す言葉もない。

「爽快だ。実に爽快な気分だ。この勢いで、生意気なイギリスのチャーチルも屈服させてやるぞ」

神経質なヒトラーには珍しく、この日は上機嫌だった。

 

 ドイツ軍に蹂躙されたオランダの首都アムステルダムでは、一人のユダヤ人少女が日記を書いていた。彼女の一家は7年前に、ドイツ国内のユダヤ人迫害から逃れるためにオランダに移住したばかりだった。その少女、アンネの父親オットー・フランクは新聞を読みながら悪態をついた。

「くそっ、ナチスめ。こんな事なら、いっそ大西洋を渡ってアメリカまで亡命するんだったぜ」

アンネの一家は裕福で、父親は小さな会社を経営している。しかし、オランダもナチスの支配下に入ったとなれば、生活レベルの低下どころか命の保証も危なかった。

「今日も、お天気でした。明日も晴れるといいな・・・と」

11歳のアンネ・フランクは、日記をつけるのが大好きなのだ。

「アンネ!日記ばかり、書いてんじゃねえよ。この非常事態によお!」

「あたし、大きくなったら作家になるの。この日記も出版されるかな?」

「されるわけねえだろ。ただの日記を出版しても、買う奴なんかいるもんか」

「そうかなあ。じゃあ、もしベストセラーになったらどうする、パパ?」

「ヒトラーのケツの穴をファックしてやるよ」

「???・・・意味わかんないけど、約束だよ」

「ああ」

生返事をしながらオットー・フランクは、一家の将来に強い不安を感じて目眩がした。

 

第143話、孤島にて

 

2005年の夏、重症マゾの元イベントコンパニオン、梅本由梨香(25歳)は、赤道直下の離島のジャングルで、呆然と灼熱する太陽を見上げていた。

(もう、日本を離れてどれくらいになるかしら?半年・・・それとも1年以上たったのかしら・・・)

季節感のないインド洋に出てから、どれくらいの月日をマグロ漁船で過ごし、その後、漂着した、この島で過ごしたのか判らない。少なくとも、人食い人種の集落で赤ちゃんを出産してからは、まだそんなに経っていないような気がする。全裸の由梨香は、ジャングルの中の小川で、山のような黒人の腰蓑を洗濯していた。首には縄が巻かれ、その先は、監視役である、酋長の妻の一人が握っている。

「ユリカ、もっと丁寧に洗え、それは、酋長の6番目の息子の腰蓑だぞ」

意地悪気に黒人女が言った。

「はい、つい手を抜いてしまいました。申し訳ございません」

謝った由梨香の髪の毛を、黒人女は荒々しく掴み、小川のせせらぎの水面に顔を叩きつけた。

「げほっ、げほっ!」

残虐な扱いを受けて、由梨香は全身に燃えるような快楽を感じた。

「げほっ・・・ありがとうございます!」

「ユリカ、早く次の子供産め。酋長がまた、お前の子供、食べたいと言っている」

そう言われても、珍しい動物として扱われている由梨香とセックスをしようなどという男は、ケチャ族にはおらず、妊娠しようにも、種をつけてくれる相手がいない。

「は、はい、判りました。でも、誰かが、由梨香を孕ませて下さい。でないと産めません」

黒人女のビンタが由梨香の頬を見舞った。

「口答えする、ユリカ、生意気!」

脳髄まで、ジーンとする衝撃に、卑猥な文字を刺青された頬を真っ赤に充血させて、由梨香はうっとりと陶酔した。そうして殴られ蹴られ、ようやく腰蓑の洗濯が終わると、由梨香は、牛馬のように黒人女に引かれて、人食い人種の集落へと帰った。仕事のない時、由梨香は酋長の家の前に犬のように繋がれている。もともと色白だった由梨香の肌は、南国の直射日光に照らされて小麦色に焼けていた。

「ユリカ、ユリカ、石ぶつける」

集落の子供達が、無抵抗な由梨香を面白がって、石をぶつけてきた。大人は誰も止めようとしないため、たちまち由梨香は全身痣だらけになり、頭から血を流しながら、ここぞとばかりにオナニーにふけり始めた。

「もっと、もっと、いじめて!」

右手で陰唇の引き千切れたオマンコをさすり、オナニーにふける。石をぶつけられる惨めさと痛みが、究極の快楽となって由梨香の心は桃源郷をさまよった。

「ひっ、ひいいいいっ!」

由梨香は、何度も何度も絶頂を極めた。全身、刺青と傷、ケロイドだらけの由梨香の体を、ケチャ族の男達は気味悪がって、誰も抱こうとしない。由梨香は、自らオナニーで、昂ぶる性欲を発散するしかないのだった。島には、ケチャ族の他にもいくつかの人食い人種の集落があり、常に互いに争っている。時々さらわれて来たり、戦闘で捕虜になった他部族の人間が、村の広場で丸焼きにされて料理されるのだった。ケチャ族の酋長は、殺される前の捕虜に、由梨香を犯させたが、なかなか妊娠しないため、配下のケチャ族の男にも毎晩、由梨香を妊娠するまで輪姦するように命令した。

「お前の赤ちゃん、とても美味。たくさん産んで早く食わせろ」

「そんな・・いやああっ・・・」

さすがの重症マゾの由梨香も自分の産んだ赤ちゃんを、目の前で食べられるのは耐え難かった。出産以来、精神が崩壊の兆を見せていた。

(あたしの赤ちゃん・・・あたしの赤ちゃん・・・食べないで・・・ああっ、でも気持ちいい、狂っちゃいそう)

ケチャ族の男に犯されながら由梨香は、狂ったように泣き叫んだ。それが快楽のためなのか悲しみのためなのか、自分でも区別がつかない。ネオガイア星人に注射されたマゾ化薬の効果を消すには死ぬしかないのだ。

(でも、死ぬのは惜しいわ。この快感が味わえなくなっちゃう)

もはや由梨香は人間ではなく、自分の脳内で分泌されるエンドルフィンの刺激を貪り続けるだけの、肉の塊に過ぎなかった。

 

 毎晩、ケチャ族の男に犯され続け、とうとう2回目の妊娠をした頃、生贄狩りに行ったケチャ族の戦士達が、隣村のモカ族に大勝を納めた。モカ族の酋長は、部族の全滅を避けるために、休戦協定を結び、その証に、モカ族から選抜された若い男女の生贄20人と、モカ族が飼っている珍しい動物を貢物として送ってきた。ケチャ族としても隣の部族を全滅させてしまっては、今後、戦って食人用の捕虜を得る相手がいなくなるので、講和を受け入れた。

「モカ族の飼っていた動物、ユリカと、ちょっと違う」

その動物は、若い白人の女だった。金髪で、元は相当な美人だったようだが、長年食人族に飼われていたためか、憔悴し、肉体は傷だらけで、見る影もなく、くたびれ果てていた。その女は、ケチャ族の酋長の家の前で、由梨香の隣に繋がれた。

「あなた何人?あたしはイギリス人のジェーン・アンダーソンよ」

「日本人です。名前は梅本由梨香です」

ジェーンと名乗る白人は、気さくに英語で話しかけてきた。この島で囚われて以来、同じ境遇の人間を見つけたのは初めてだったらしい。

「あたし4年前に、この島へ生態系の調査に来たの。ケンブリッジ大学の学術調査隊と一緒にヨットで来たんだけど、調査中に原住民に襲われて、みんな食べられてしまった。あたしだけが、殺されずに、ずっと飼われていたのよ。きっと女は、あたしだけだったからかもね」

ジェーン自身もケンブリッジ大学の学生で、捕まった当時20歳、現在は24歳だった。調査隊のヨットは、この付近の島々を調査しながら、海図に載っていなかったこの島を発見し、調査のために上陸した所を襲われたのだった。まさか、現代に人食い人種がいるとは考えていなかった調査隊は、救難信号を発する間もなく毒矢で皆殺しにされた。海岸に係留していた無人のヨットは、その後の嵐で沖に流され、1000キロ以上離れた場所で、捜索に来た飛行機に発見された。この件はタイフーンによる海難事故として処理され、現在、捜索は打ち切られている。

「ここは、どこなんですか?」

由梨香が尋ねた。

「この島自体は、海図に載っていないわ。でも大体の位置なら判る。インド洋のルミナス諸島の近くよ」

「ルミナス諸島・・・」

地理に詳しくない由梨香には、その名前を聞いてもピンと来なかった。モルジブなら、コンパニオン時代に海外旅行に行った事があるので、知っているのだが。

「ルミナス諸島は独立国家よ。かなり珍しい生態系をもった島々が集まっているの。第二次世界大戦の頃は、ドイツ軍のUボート基地があったらしいけど・・・豊富なウラン鉱脈があって、国家財政はほとんど、ウランの輸出と観光で賄っているらしいわ」

ケンブリッジ大学の学生というだけあって、ジェーンはIQの高い、知性的な女性のようだった。しかし、今は全裸で原住民に飼われている、ただの動物に過ぎない。

「この島から、逃げ出すのは絶望的ね。あたしは、何度も脱走しようしたけど、その度に連れ戻されて、ひどい目に合わされた。結局、人食い人種の村から逃げ出しても、この小島からは出れないのよ。このまま、この島で年老いていくしかないわ」

ジェーンは投げやりだった。由梨香のように重症マゾではないため、この絶望的な環境を楽しむ事が出来ずに、何度も自殺を考えたようだ。しかし、今のところ実行出来ないでいる。

「あたしは、虐められるのが、大好きなんです。この体、見てください」

由梨香は、刺青と裂傷だらけの肉体を見せ付けた。ボロ雑巾のようだった。

「まあ、ひどい体ね・・・あれ、この文字???」

ジェーンは、由梨香の太股に、ネオガイア星語で刺青された楔形文字を見つけた。

「これ何?」

「それは、宇宙人の言葉で、『私は淫乱なメス豚です』って書いてあるの」

「宇宙人???・・・この文字どこかで見たことがあるわ」

ジェーンは2001年からこの島にいるため、外界での宇宙人襲来騒ぎについては何も知らない。ジェーンは、必死に記憶を探り、ようやく思い出したようだった。

「ルミナス諸島の博物館で、これと同じ文字を刻んだ石版を見た事がある」

「これは、あたしをマゾに変えてくれた宇宙人の使っている文字だと思うんですけど・・・」

「宇宙人って、あなた、頭大丈夫?これは、古代象形文字の発展系と言われている初期の楔形文字よ。記号性が非常に高く、コンピューター言語に近いと言う説まである」

ジェーンは思いがけない発見に興奮していたが、由梨香には何の事かさっぱり判らなかった。由梨香の関心は虐められる事だけだった。

 

 由梨香の肛門の括約筋は、日本で受けたSMプレイでのアナル拡張のやり過ぎで、弛緩してしまっている。そのため、便意を堪える事が出来ずにウンチが止め処もなく垂れ流してしまう。膀胱もカテーテルによる導尿プレイのやり過ぎで、慢性的な膀胱炎が治らず、常にチョロチョロとオシッコを垂れ流す。日本ではプレイ中以外は大人用の紙オムツを着けて生活していたほどだ。

「あなた、本当に動物みたいね。あたしも他人のこと、言えないけど」

隣に繋がれているジェーンが呆れて言った。夜は二人とも大勢の黒人男に輪姦され、昼間は黒人女にこき使われる毎日を送っている。ジェーンは、由梨香のようにマゾではないため、この生活が辛くてしょうがないようだった。

「ジェーン、お前も、子供産め。酋長が食べたい、と言っている」

「嫌よ。誰が黒人に犯されて、妊娠なんかするもんですか!」

反抗的なジェーンの態度に、手を焼いた黒人女達は、棍棒で滅多打ちにするのだった。それでもジェーンは反抗を止めない。

「当分、飯抜きだ」

ジェーンは、残飯すら食べさせて貰えなくなり、もともと豊満だったであろう肉体は、ますます痩せ細っていった。ジェーンは近くに生えている雑草を食べて空腹をしのいだ。

「もしかしてジェーン。あなた、いじめて貰いたいから、わざと反抗しているのね。そう言うの日本じゃツンデレって言うのよ」

「オー、ノー!違うわよっ」

由梨香は勘違いしているようだった。モカ族から送られてきた、その他の生贄の男女は、容貌の美しい若い女を除いて、全員が料理され、数日間連続して、村の広場で宴会が行われた。太鼓の音が、ジャングルの夜に響き渡り、近隣の部族は、ケチャ族の隆盛を思い知った。喰われずに生かされた美女達は、ケチャ族の中でも腕っ節の強い男達に分配された。由梨香とジェーンには、黒人の女は全て同じ顔に見え、どこがどう美しいのかが、判らなかったが。

「由梨香、ジェーン、死なない程度に戦え」

ある日、宴会の最中に酋長が指示した。広場の真ん中に引き出された由梨香とジェーンは、首に縄をつけられ、互いに離れられないように結び合わされる。黒人たちは、骨付きの人肉を貪りながら太鼓を叩いて囃し立てた。

「勝った方には、わしの小便、飲ませてやる、がんばれ」

由梨香の下腹は2回目の妊娠のため、少しせり出し始めている。ジェーンは栄養失調でフラフラだ。

「AOHHHHHH!」

ジェーンが雄叫びを上げて由梨香に掴みかかった。空腹のため顔は凶暴だが、腕に力が入っていない。毎日、虐めに耐えた御褒美にと、残飯をたらふく食べさせて貰っている由梨香は、難なくジェーンの手を振りほどき、ブロンド美女は躓いて転倒した。

「由梨香、やれ、ジェーンをやれ!」

黒人達は囃し立て、由梨香は仰向けに倒れたジェーンの上に馬乗りになった。そして首を絞めにかかったが、命の危険を感じたジェーンが自由に動かせる手で、由梨香の顔をメチャクチャにビンタすると、マゾの由梨香は、うっとりと陶酔し始めた。

「もっと、叩いてジェーン!もっと、もっとおおお!」

クネクネと悶える由梨香に、もはや戦意のカケラもなかった。立ち上がって体勢を立て直したジェーンは、由梨香の下腹部に蹴りを入れた。

「アアッ、お腹だけは止めて・・・由梨香の赤ちゃんがいるの・・・」

「恨まないでよ、由梨香!」

ジェーンは由梨香の髪の毛を両手で鷲掴みにすると、顔面を地面の砂に思い切り叩き付けた。

「ぎゃう!」

由梨香は、鈍い叫び声を上げた。ジェーンは何度も何度も繰り返して由梨香の顔を地面に激突させ、ようやく酋長がジェーンの勝利宣言を出した時、由梨香の顔は血だらけになって前歯が折れていた。

「ジェーンの、勝ち!」

由梨香は、地面に倒れたまま、起き上がる事が出来ず、気管に流れ込んで来る鼻血で息がつまりそうだった。

「ゲボ、ゲボッ・・・ああ・・快感・・・この絶望感、たまらないわ・・・由梨香、嬉しい・・・」

泣きながら由梨香は笑っていた。ジェーンが、酋長の前に跪き、股間から放出される御褒美のオシッコを口で受け止めている姿が、溢れる涙越しに、滲んで見えた。

 

 よほど、このキャットファイトが面白かったのか、宴の夜以来、由梨香とジェーンは、ケチャ族に、けしかけられて互いに競争させられる事が多くなった。

「ユリカ、ジェーン、椰子の木に登れ。どっちが早く、上まで登って、椰子の実を落とせるか競争しろ」

昼間、ケチャ族の男達が、ジャングルへ狩に行っている間、暇を持て余した女や子供達が、二人を弄んだ。

「勝った方には、ここにいる全員の小便を飲ませてやる。負けた方はメシ抜きだ」

「ひっ!」

由梨香とジェーンは、それぞれ隣り合った2本の椰子の木にしがみついた。必死に登ろうとするが、二人とも今まで木登りの経験などない。しかも椰子の木には枝が無いため、手足を引っ掛けて、よじ登る事も出来ない。

「何、やってる。二人ともメシ抜くぞ」

酋長の夫人の一人が、いつまで経っても、木の根元付近でもがいている、由梨香とジェーンに痺れを切らし、裸の尻を棍棒で殴りつけた。

「ぎゃっ!」

ジェーンが、殴られたくない一心で、狂ったように木の幹にしがみつき、徐々に上に、登り始めた。裸の胸の谷間、腹、股間が木の幹に擦り付けられ、柔肌が擦り剥ける。ジェーンが半分ほど登った頃、由梨香はまだ地面から1歩も離れる事が出来ないでいた。

「あーん、上がれないよう・・・」

泣きべそをかいている由梨香に、子供の一人が、火の着いた松明を持ってきて押し付けた。

「アチイイイイイイッ!やめてえええっ!」

「早く、登れ、ユリカ。でないと、勝負にならない」

何度も体に松明の火を押し付けられ、ようやく由梨香も火事場の馬鹿力を発揮して、少しずつ登り始めた。酷使した、普段使っていない手の筋肉が強張り、痙攣を起こしそうになる。この前のキャットファイトで折れた前歯の根元がズキズキ痛んだ。

「ユリカ、ジェーン、もっと早く登るように、みんなで石、ぶつけよう」

黒人の子供達が、必死によじ登っている裸の女二人めがけて、バラバラと石を投げ始めた。子供達は、本気で狙って投げているため、当たると相当痛い。

「やめてよっ、このクソガキ!」

ジェーンは怒鳴ったが、怒れば怒るほど子供達は面白がって夢中に石を投げてきた。

「あーん、あーん・・・もっと投げて。もっと、もっとおお・・・」

マゾの由梨香は、陶酔しヨダレを垂らし始めた。オマンコを椰子の木の幹に押し付けて刺激を与え、木登りをしながら、身をくねらせている。雨あられと降り注ぐ石に耐えながら、ジェーンの伸ばした手が、あと少しで椰子の実に届きそうになった時、子供の投げた石の一つがジェーンの額に命中した。

「KYAAAAA!」

ジェーンは、脳震盪を起こし、美紀を掴んでいた手を滑らせた。ゆっくりとスローモションのようにジェーンの肉体が木の幹から離れ、力を失って落下する。悲鳴を上げながら、ジェーンは7メートル下の砂地に、背中から叩きつけられて悶絶した。

「ぎゃあああっ・・・・い、息が出来ない・・・」

胸郭筋が、ショックで動かなくなったのだろう。ジェーンはピクピクと手足を動かしたが、再度立ち上がる事は、出来なかった。

「ジェーン、落ちた。ユリカの勝ち」

時間はかかったが、なんとか上までよじ登り、椰子の実を落とした由梨香は、恐る恐る幹を滑り降りると、全員から勝利のオシッコを飲ませて貰う事になった。

「こぼさず、飲め。吐き出したら1週間メシ抜きだ」

「はい、御主人様、ありがとうございます」

ジェーンと違い、日本にいた頃から飲尿プレイに慣れていた由梨香は、他人のオシッコを飲み慣れていた。それでも十数人分のオシッコを飲むのは苦しく、命令通り、全て完飲した時、由梨香のお腹はカエルのように膨れ上がっていた。

「うまい、椰子の実の汁、うまい」

その間、黒人達は、由梨香の落とした椰子の実に穴を開け、ジューシイな汁をうまそうに、回し飲みしていた。

 

 月日が経ち、やがて、ケチャ族は、由梨香とジェーンに水や食事を与える事をやめ、代わりに部族全員のオシッコやウンチを食べさせるようになった。それも、互いに何か、競争や格闘をさせ、勝った方にだけ、ご褒美として与えるのである。そのため、常に由梨香とジェーンは、どちらかが餓える事になり、それを凌ぐために、雑草や雨水を貪った。

「咽喉が渇いたよー」

酋長の家の前に繋がれている由梨香がつぶやいた。このところジェーンとの勝負に負けっぱなしで、数日間、飲まず喰わずなのだ。しばらくスコールも無いため、雨水をすする事も出来ない。

「由梨香、あたしのオシッコ飲む?」

ジェーンが提案した。勝ちっ放しのジェーンは、たらふく水分を取っている。

「うん、飲ませて」

由梨香は仰向けになり、その顔の上にジェーンが跨った。ジェーンは膀胱を緩め、前歯の折れた由梨香の口めがけて勢い良く放出する。と言っても、ジェーンもケチャ族のオシッコしか飲んでおらず、それを体内で、さらに凝縮した尿は、相当濃かったが、咽喉の渇ききった由梨香は、清涼飲料水でも味わうかのように、美味しそうにゴクゴクと咽喉を動かして飲み下していった。

「おいしい?由梨香」

「とっても美味しいですうう」

オシッコを最後の一滴まで飲み終えた由梨香は、そのままの体勢でジェーンのオマンコを舌で、愛しそうに、ペチャペチャと舐め始めた。

AHOOO!いいわ、由梨香!もっと奥まで舌を伸ばして!」

ジェーンは悶えた。毎晩、ケチャ族に輪姦されていたジェーンも、とうとう妊娠し、お腹には子供が宿ったため、最近、ケチャ族の男には、便器として利用される以外、相手にされなくなっていて、欲求不満だったのだ。

「あなたのオマンコも舐めてあげるわ」

ジェーンは、由梨香の体に反対向きに覆いかぶさり、由梨香のピヤス付のクリトリスを舐め始めた。由梨香のオマンコの内側の粘膜は、以前マグロ漁船で、船員にタバコの火を押し付けられていたため、所々、引き攣れてケロイド状になっている。ジェーンと由梨香は互いにオマンコを舐めアイ、大量に分泌した互いの愛液を啜りあった。

「これからは、もし、どちらかが勝負に連続して負けて、何日も食事が貰えない日が続いても、その時は、勝ち続けている方に、オシッコやウンチを食べさせて貰えばいいんだわ」

ジェーンが、この最悪な環境で生きていくための名案を思いついた。さすが、名門ケンブリッジ大学の学生である。

「ジェーン、あなた、頭がいいのね。・・・アウッ、アウッ」

赤道直下の、灼熱の太陽と紺碧の空が、未開のジャングルで、女獣となって絡まり合う二人の文明人の女を見下ろしていた。

 

第144話、宇宙の一匹狼

 

西暦2004年7月、地球から3000光年離れた星系で、1隻の小型宇宙船がワープ航法による瞬間移動のため、超空間に突入しようとしていた。ちょうどこの星系は、地球とネオガイア星の中間地点に位置している。

「全員着席して、シートベルトをしめて!」

パイロット席に座っている全裸の女が、鋭い命令口調で叫んだ。元自衛隊員の狩野真弓(25歳)である。宇宙人グレイによって催眠教育を施された彼女は、宇宙船の操縦も簡単に出来るのだ。

「ちょっと、それよりも、この辺にいるネオガイア宇宙軍のパトロール船に連絡を取った方が・・・」

強引にワープしようとする真弓を、人間解放軍の女性リーダー、メデューサが止めようとした。

「30秒後に、ワープします。立っていると怪我するわよ!」

真弓は、頑として聞き入れなかった。その目が何かに取り付かれたように狂信的な光を放っている。彼女の体内には小型の核爆弾が埋め込まれており、自爆テロを敢行するために、宇宙船ごと、惑星ネオガイアに体当たりしなくてはならないのだ。メデューサをはじめ、コクピットにいる人間解放軍のメンバーは大人しく席に着いた。真弓の真の目的を知っているのは、同じ地球人の遠藤圭織と、杉村優子だけだ。

「びえええ、死にたくないよう・・・地球に帰りたいよう・・・」

カニ人間に改造された圭織(21歳)が、情けない口調で泣きべそをかいた瞬間、宇宙船は超空間に突入した。目の前の空間が歪み、気分が悪くなる。特異な体型のため、シートベルトを締める事の出来ない圭織は、必死に両手で座席の手すりに、しがみ付いた。

(うっ、吐きそう)

圭織は、吐き気がした。しかし圭織の口は、自分のオマンコと肛門に直結されているため、吐くと大変な事になる。圭織が、ひどいワープ酔いに苦しんで30分ほど経った頃、パイロット席の真弓が、冷静な声で告げた。

「目標地点に到達、ワープアウトします」

その瞬間、船体を激しい振動が襲った。明らかに正常な動作ではなく、異常な振動だった。

「ふぎゃあああ!」

圭織の折り畳まれて変形した肉体が、座席から放り出され、天井に叩きつけられた。同時に船内の人口重力も切れたため、幸運にも圭織は、そのまま床に落下しないで済む。

「どうしたの?真弓さん」

メデューサが叫んだ。

「ワープ機関が壊れた・・・くそっ、ポンコツめ!」

この宇宙船は、10年前にゴルゴーン星で不時着し、放置されていたものだ。ろくな整備もされている筈もない。ガタが来ているのも当然だった。

「現在位置を測定・・・ワープ前のゴルゴーン星域から800光年離れた辺りだ。近くに天体は無し・・・畜生!」

真弓は、悔しがった。計算では、3回ワープを繰り返せば、ネオガイア星に到達出来る筈だったのだ。人間解放軍のメンバーで技術に詳しい者が、故障したワープエンジンを調べてみたが、修理は不可能との事だった。

「救難信号を出すしかないわね。この辺りは、星間航路からそんなに離れていないから、パトロール船もいる筈よ」

メデューサの提案に真弓が折れた。自爆テロを敢行する為には、とにかく生き延びなくてはならない。真弓は、宇宙船の推進力をオフにし、自由落下状態にすると、救難信号の自動発信スイッチを入れた。

「疲れたから、あたし少し休むわ」

真弓がパイロットシートから立ち上がると、看護婦の杉村優子(23歳)が、彼女の後を追いかけた。

「真弓、マッサージしてあげるよ」

優子は、真弓と圭織、二人の地球人の健康管理担当なのだ。機械生命体の支配する星、ゴルゴーンを脱出した宇宙船は、何もない虚空を、救難信号を発しながら漂い続けるしかなかった。

 

 真弓は、自分専用に決めたキャビンのベッドで、全身に彩子の念入りなマッサージを受けた後、眠りに付いた。真弓は全裸で通しているが、彩子は拉致された時に身に着けていたナースの制服をそのまま着ている。ここ数ヶ月の放浪生活でかなりヨレていたが、他に着る服がなかったのだ。数時間眠った後、真弓は、インターフォンの呼び出し音で目を覚ました。相手は、メデューサだった。

「どうしたの?救助船でも来たの?」

「多分ね。宇宙船が、接近しているの。すぐコクピットに来て」

真弓はすぐにベッドから起き上がった。最近では、あまり気にならなくなって来たが、肛門に押し込まれている核爆弾のせいで、毎晩ぐっすり眠る事が出来ず、寝不足で軽い頭痛を感じる。慢性的な便秘が原因で肌は吹き出物だらけだった。

(早く、終わりにしたい。ネオガイア星に体当たりすれば、全てが終わるのに)

グレイの催眠暗示は強固で、真弓の精神を奥深くまで蝕んでいる。真弓は、この先、生きている限り、あらゆる手段を使って生き延び、全てを犠牲にして、ネオガイア星に向かう努力を続けなくてはならない。コクピットに戻ると、天井モニターには、近付いてくる未確認宇宙船の姿が映し出されていた。

「かなり小型の宇宙船よ。データバンクには無い型式ね。見た感じ、自分でチューンナップした自作宇宙船みたいだわ」

メデューサが言った。真弓はパイロットシートに座った。

「あたし達の救難信号に引かれて来たのは、間違いないようね」

その時、通信モニターに未確認宇宙船から画像が送られてきた。映し出されたのは、人間ではなく、狼だった。

『降伏しろ。俺は宇宙の一匹狼だ。お前達の船は俺が頂く!』

その狼が喋った。

「何なの、こいつ?」

真弓がキョトンとした。元警察関係者だった人間解放軍の一人が、この狼に心当たりがあるようだった。

「最悪だ。こいつは、銀河中を荒らしまわっているピンの宇宙海賊です。オオカミ型生物の最後の生き残りで、狙った獲物は絶対に逃がさない・・・とんでもない奴が、来ちまった!」

真弓もメデューサも初耳だった。モニターで狼が牙を剥き出し笑った。

『その通り!お前達の船と積荷は俺様が頂く。命が惜しければ武器を捨てろ。さもなくば、俺の、さすらい号の砲門の餌食にするぞ!

狼は強気だった。

「冗談じゃないわ」

真弓は、いきなりコントロールパネルを操作するとレーザー砲の発射ボタンを押した。緑の光線が宇宙空間に閃き、狼の乗る『さすらい号』に吸い込まれていった。標準はピッタリ合っていた筈なのだが、あっさりと『さすらい号』は、信じられない動きで真横に移動し、レーザー光線をかわした。

『抵抗するなと言っただろう。俺を怒らせるな!』

通信モニターの映像が切れ、次の瞬間、さすらい号は猛スピードで突進してきた。そして、真弓達の乗る宇宙船の周りを何度も旋回し、正確な射撃で動力部を打ち抜いた。ほんの十数秒間の出来事だった。

「エネルギー発生装置がやられました。これでは、レーザー砲もメインエンジンも使えません!」

オペレーター席に座っていた解放軍のメンバーが叫んだ。真弓にも、なす術もない。さすらい号は、ドッキングハッチに無理矢理、横付けし、大胆にも狼は、一人で乗り込んできた。通路で、行く手を阻もうとする解放軍のメンバーをあっさりと殴り倒し、真弓達のいるコクピットへ進んでくる。レーザー銃で撃っても当たらない。抜群の運動神経で、かわしてしまうのだ。堂々とコクピットに現れた、二本足で歩く狼に、一同は気押された。

「裸のサルか。宇宙でもっとも弱っちい種族だ」

狼は馬鹿にしたように笑った。口には鋭い牙がズラリと並んでいる。

「そんなに心配するな。俺は、海賊だが、無駄な殺生は嫌いだ。宇宙船と金目の物だけ頂いたら、お前達は、どこか無人の惑星にでも下ろしてやる」

それを聞いて、メデューサが抗議した。

「それは、困るわ。私達はゴルゴーンを機械生命体から救うためにネオガイア宇宙軍とコンタクトを取らなくてはいけないのよ!」

真弓も内心焦った。もし星間航行種族の住まない惑星になど降ろされたら、一生、地球にも戻れず、ネオガイア星にもたどり着けない。真弓はいきなり、不意を付いて狼に襲い掛かった。咽喉元を狙い、手刀と回し蹴りを連続技で叩き込もうとする。しかし、レーザー光線さえかわす運動神経を持っている狼は、真弓の繰り出す手刀と蹴りを、難なく左手でブロックし、逆に右の拳で、真弓の顔面にストレートパンチを食らわせた。

「ぐふっ!」

真弓の体は吹っ飛ばされ、血反吐を吐いてコントロールパネルに叩きつけられた。

「びえええ、許して、オオカミさん。許して・・・食べないで」

床を這いまわっていた圭織が、泣きながら謝った。

「食べはしない。」

真弓は、フラフラしながら立ち上がり、顔の血を手で拭いながら言った。

「おい、狼、取引しよう。宇宙船も積荷も全部やる。だから、あたしをネオガイア星まで連れて行ってくれない?」

「お前、一人だけをか?」

「ええ、どうしても行かなくてはならないの。もし、お腹が空いているなら、こいつを食ってもいいわ」

真弓は圭織を指差した。

「びえええ、真弓、ひどい、そんな事言わないで」

圭織は泣き出した。

「腹は空いていない」

「じゃあ、ペットとか、いたぶってオモチャにするとか。こんな奴でも何か使い道があるはずよ」

「俺は宇宙の一匹狼だ。裸のメス猿には興味がない」

仕方なく真弓は、最後の賭けに出ることにした。

「聞いて!あたしの体内には、強力な核爆弾が埋め込まれているわ。あたしが死ねば爆発する仕組みになっている。もし、あたしとの取引に応じないのなら、今すぐ舌を噛んで死ぬ。そうすれば、あなたもあなたの船も宇宙の塵よ!」

狼は、一瞬戸惑ったようだった。少し考え、持っていた携帯用スキャナで真弓の裸身を走査する。結果を見て、感心したようだった。

「ほう、これはグレイ製の小型核爆弾だな。これ一個で惑星ごと吹っ飛ぶような代物だ。よくこんな物、体内に入れているな」

狼は、たじろいだ様子もなかった。逆に興味をそそられたようだった。そして次の瞬間、目にも留まらぬ速さで、狼の体が動くと、真弓のボディに腹パンチを食らわせ、気絶させた。

「死ななきゃいいんだろう」

真弓以外に、狼に抵抗しようという者は誰もいなかった。

 

 真弓が目を覚ました時、両手両足を大きく広げて開脚台に拘束され、口には舌を噛まないように開口器具が嵌められていた。

「むぐぐぐ・・・なっ、何をしているの?」

狼は、真弓の尻の穴に嘴状の器具を突っ込み、核爆弾を取り出そうとしていた。ズキズキと肛門から痛みが伝わってくる。

「ストッパーが、何重にも掛けられている。腹を割かない限り、引きずり出すのは無理だな」

余程、しつこく何時間にも渡ってこねくり回していたのか、真弓の肛門は裂け、血だらけになっていた。

「やめなさい。もし、そんな事したら爆発するわ。起爆装置があたしの生命反応と連動しているのよ」

「やれやれ、ブラックホールにでも捨てるしかないのか」

狼はため息をついた。真弓の口からは、ヨダレがダラダラと流れ出していた。

「お願い。ネオガイア星に連れて行って。体当たりして、惑星をふっ飛ばさなきゃいけないの」

「死ぬぞ」

「だって、それしか、終わらせる方法がないのよ」

「猿型生物の母星など破壊しても面白くない。どうせなら、俺の商売敵の宇宙海賊、百足星人の母星ゲロリアンに体当たりするとか、銀河系の支配者グレイの中枢惑星グ・レイを破壊するとかの方が、面白くねえか?」

狼が提案した。真弓はヨダレを垂らしながら首を振る。

「面白いとか、面白くないとかの問題じゃないのよ・・・催眠暗示をかけられていて、他の選択肢はないの」

「ふーん」

狼は、憐れんでいる様子もなかった。

「あなた、名前はなんて言うの?」

真弓が尋ねた。

「俺は、オオカミ型生物の最後の一人だ。名前なんて必要ない。宇宙の一匹狼で通っている」

「あなたの種族は滅んだの?」

「そうだ。もともと、個体の寿命が長く、あまり子供を作らない種族だった。一人一人の身体能力も優れていて、そう簡単には死なない。四六時中セックスの事ばかり考えて、すぐに繁殖する、お前達サル型生物とは違う」

「一人で寂しくないの?」

「別に・・・今、お前達の宇宙船を、さすらい号で曳航して一番近い商業惑星に向かっている所だ。途中で、お前達全員を、無人惑星に降ろして、その後、宇宙船を売っぱらったら、また、一人で気楽な放浪生活さ」

真弓は、目を閉じ考えた。無人の惑星に降ろされる訳にはいかない。その前に逃げなくては。しかし、なす術もなく宇宙船は、さすらい号に曳航されたまま、何度かワープを繰り返し、ネオガイア星人の勢力圏から次第に遠ざかっていった。そして、地球の3分の2くらいの大きさの惑星の近くを通りかかった。

「惑星ピグマリオンか。ちょうどいい、この惑星なら水も空気もある。死ぬまで生きていけるぞ」

狼は、宇宙船を周回軌道に乗せると、真弓、圭織、彩子とメデューサ他、解放軍のメンバーを転送室に集めた。真弓は両手を後手に拘束され、開口器具を嵌められたままである。

『全員裸になれ。布切れ一枚身に付けてはいかん』

コントロール室からスピーカーを通して狼が言った。転送室の天井の四隅には、レーザー銃が据付けられていて、捕虜達を狙っている。しぶしぶ解放軍のメンバーはスペーススーツを脱いでいった。

『脱いだ服は、ダストボックスに入れろ』

真弓と圭織は、もともと全裸である。彩子がナースの白衣を脱ぐのを渋った。

「恥ずかしい・・・あたし、脱げません」

『殺すぞ』

「死にたくない・・・でも、脱ぐのもイヤ」

『おいおい、この大宇宙で、そんな我がままが、通るとでも思っているのか!』

「えーん、えーん」

彩子は、泣いてごまかそうとした。意外にも狼はあっさり折れた。

「わかった、わかった。泣くな!お前だけ例外を認めてやる・・・全員、脱ぎ終わったか?では、さらばだ、裸のサル諸君。」

全裸の男女の群れは、転送機の白い光輝に包まれ、消えていった。武器や食料どころか、彩子以外は、一糸纏わぬ生まれたままの姿で、未知の惑星の表面に放り出される事になったのだった。

 

トップページへ戻る

無料 アクセス解析RMT

風俗 デリヘル SMクラブ