第135話、女教師、文枝の日常生活

 

 埼玉県の公立高校で1年生のクラスの担任を受け持つ、鳥居文枝(28歳)は、自分の人生が、確実に狂って来ているのを感じていた。今年の4月に生徒である高原玲華の自宅を家庭訪問して以来、終わりのない悪夢に引き摺りこまれてしまったのだ。

「最近、帰りが遅いじゃないか?一体、毎日毎日、どこで何をしているんだ?」

夫に問い質されても、文枝は本当の事を喋るわけにはいかなかった。首にはネオガイア製の奴隷管理用の首輪を装着され、高原家で行われている一切の事を誰にも喋らないように行動規制をされている。文枝は、あの家庭訪問の日以来、連日のようにテミストクレスに呼び出され、高原家で言語を絶する陵辱を受けているのだった。

「その首輪は、何なんだ?それに体中の傷は、どうやって付いたんだ?」

「この首輪は、お守りなの。一回でも外すと効果が無くなるから、寝ている間も付けていなくちゃいけないのよ」

文枝は苦しいウソを付いてごまかした。

「体の傷は、最近学校で、柔道部の顧問の先生が、体調が悪くて、時々代役をやってるからなの・・・」

「お前、今まで、柔道なんてやった事ないだろ」

「え、ええ・・でも他にやる人がいなくて仕方がないのよ」

夫は、あきらかに文枝の言葉を信用していないようだった。文枝の帰宅は、いつも夜中で、休日も、高原家に入り浸ってテミストクレスに奉仕している。体の傷も、あきらかに柔道の練習で付く打撲傷だけではなくて、鞭で打たれたような跡や、火傷の跡、乳房に歯型が付いている事もある。とうとう夫は妻の異常な行動に耐え切れなくなり、ある日、爆発した。

「お前、浮気をしているだろう!いい加減にしろよ、舐めんじゃねえよ!」

「・・・」

文枝は、観念した。いずれ、こうなる日が来るのは予想していた。テミストクレスからも、夫とは、早く離婚して奴隷奉仕に専念するように命令されている。

「あなたが、そこまで疑うなら、あたし達、もう終りね」

「疑う?俺のせいにするんじゃねえ。実際に、浮気をしているのはお前だろうが!」

「離婚しましょう」

「ああ、いいとも!」

夫は逆上し、売り言葉に買い言葉で承諾した。結婚2年目だが、子供が、まだいないのが幸いだった。翌日、文枝は夫との離婚手続きにサインをし、旧姓に戻った。

 

「鳥居先生、離婚したんだって」

「もう、鳥居先生じゃないのよ、本多文枝先生よ」

「でも、あの先生、最近服装が変じゃない?なんだか、いつもミニスカートなんか履いちゃってさ。妙にセクシーっていうか・・・」

文枝の受け持つクラスの生徒達が噂話をしていた。クラスの生徒の中で高原玲華だけが真相を知っていたが、文枝と同じ理由で他人に喋るわけにはいかず、黙っていた。教壇に立つ文枝は、冬だと言うのにミニスカートとノースリーブスという服装で、しかも生足だった。白く痩せた太股と両肩、二の腕が目に眩しい。男子生徒の中には授業中に勃起するものもいた。

(先生が、ノーパン、ノーブラだって事は、あたしだけが知っている・・・)

玲華は、心の中で呟いた。文枝の両手両足の肌には、鞭跡や縄で縛られた跡があるが、隠そうともしていない。さすがに奴隷管理用の首輪だけは、淡いスミレ色のスカーフで隠している。

「では、授業を始めます。教科書の32ページを開いてください」

文枝の受け持ちは古文だった。薄着だというのに、なぜか、汗だくになっており、様子がおかしかった。

(昨日の浣腸が効いてるみたいね)

玲華は、ほくそ笑んだ。自分もテミストクレスに虐待を受けている同じ境遇だったが、他人が虐められているのを観察するのは楽しくてしょうがなかった。文枝は、昨晩から大量の浣腸液を注入され、鍵付きのアナルストッパーで肛門に栓をされているのだ。鍵は高原家にいるテストクレスが持っており、今日の奴隷奉仕が合格点であった場合にだけ外される約束になっている。アナルストッパー自体は、玲華の母である高原良枝が、アダルトショップで購入して来た物だった。

(先生、せいぜい頑張るのよ。あと、授業中にこっそりオナニーするようにも命令されていたわね。しっかり、やってよ。あたしが確認して報告しなくちゃいけないんだから)

玲華は、文枝が学校でちゃんとテミストクレスの命令を守るかどうかを、監視する役割だった。便意に耐えながら授業を続ける文枝は、時々、艶かしく体をよじったりして、下腹の悪寒を紛らわしている。

(早く、オナニーしなよ、先生!)

玲華は、たまたま、文枝が自分の座っている席の方を見た瞬間に、素早く目配せをした。このままでは、授業時間が終わってしまう。

「全員、34ページから50ページまでを黙読しなさい」

文枝は、そう言うと、生徒に背を向け、黒板に長い文章を書き始めた。右手のチョークで、字を書き、左手を腰の前に回してミニスカートの中に指を入れる。これで、例え顔を上げた生徒がいても、死角になって見えないはずだ。玲華だけが、黙読せずに顔をしっかり上げ、文枝の左手の小刻みな動きと、軽く息を弾ませている様子をつぶさに観察した。

(あたしの忠告を聞いて、あの日、家庭訪問に来なけりゃ、こんな事にならなかったのにさ!)

しばらくして文枝の体が、ビクッと痙攣したように震えた。イッたのだろう。幸い他の生徒は誰も気付いていないようだった。

(とりあえず、合格ね。今晩、テミストクレス様にアナルストッパーを外してもらえるように祈ってるわ。今日も一日、がんばってね、先生・・・)

玲華は、不幸な奴隷仲間に、心の中でエールを送った。

 

 本多文枝は、学校が終わると、一旦自分の新しい住居であるアパートへと帰宅した。高原家から歩いて5分の距離の、築30年を超えるボロアパートである。3畳一間でバスルームは無く、トイレは他の住人と共同で、アパート全体で、和式の便器が一つあるだけだ。家賃は月2万円と格安だったが、住んでいるのは身寄りのない老人や、貧乏学生、その他、何を職業にしているのか判らない得体の知れない住人ばかりだった。文枝の給料やボーナスのほとんどは、高原家に貢がなくてはならず、ギリギリに切り詰めた生活をしなくてはならない。狭い部屋の中には洋服ダンスを置くスペースなどある筈もなく、衣類は押入れに、つっかえ棒を渡して、ハンガーで吊るすしかない。洗濯機は共同の、古い二層式洗濯機が一台、アパートの裏に設置されていて無料で使う事が出来る。冷蔵庫はボックス型の小さなワンドアのものしか置くスペースがない。畳や壁はシミだらけで、前の住人の生活臭が染み付いていた。引越しして2週間が経つが、薄い壁やドア越しに他の部屋の住人が立てる物音や話し声が筒抜けで、右隣の部屋に住んでいる一人暮らしの中年男が鑑賞しているアダルトビデオの音声が、頻繁に聞こえてきて、文枝を悩ませた。文枝の部屋は一階だったため、好奇心に駆られた住民が窓から覗いたり、窓辺の日差し部分に干してあった洗濯物が、よく盗まれたりする。若い女性が一人暮らしをするには、最悪の環境だった。

(お腹が苦しい。早く、アナルストッパーを外して貰わなくちゃ)

文枝は、こみ上げてくる便意に身を捩じらせながら、高原家への道を急いだ。付近は閑静な住宅街で、穏やかな冬の日差しが暖かい。

(今年も、もう終りね。暖冬でよかったわ。どんなに寒くても、ミニスカート以外は履くなって命令されているし)

文枝は、今年1年を振り返ってみた。ひどい1年間だった。テミストクレスの奴隷となり、夫と離婚した。住まいもボロアパートへと引っ越した。

(来年は、どうなるのかしら)

文枝は不安でいっぱいだった。来年は、高原家の女達のように、テミストクレスの子供を孕まされるかもしれない。

 

「こんにちは、本多です。」

文枝は、高原家の玄関のドアのチャイムを鳴らした。ドアが内側から用心深く開けられる。相変わらず、裸でエプロン姿の専業主婦、高原良枝(45歳)が出迎えた。

「先生、テミストクレス様がお待ちかねですわ」

良枝は文枝を、リビングルームのソファで王様の様にふんぞり返っているテミストクレスの元へと案内した。ネオガイア星宇宙軍の脱走兵であるスキンヘッドの白人男は、ジロリと文枝の姿を一瞥した。

「どうだ、お腹が苦しいか?」

「はい、とても苦しいです。早くアナルストッパーを外して頂きたいです」

「まだ駄目だ。今日の奴隷奉仕が合格点だったら、今晩、帰る時に外してやる。今日中に外せるかどうかは、お前の心がけ次第だな。」

文枝は、絶望感に気が遠くなりそうだった。なんとしても排泄させて貰わなくては、あと1日は、とても耐えられない。

「おい、いつまで、生意気に服を着ている!早く脱げ」

「はいっ」

文枝はテミストクレスの目の前で、一枚ずつ服を脱ぎ始めた。といってもセーターとブラウス、スカートを脱ぐだけで、下着は元々身に着けていない。文枝は直立し、連日の調教で、アザと鞭跡だらけの肉体をテミストクレスの前にさらした。

「相変わらず、ガリガリだな。胸も小さい。恥ずかしいと思わんのか。高校生の玲華の方がよっぽど肉付きがいいぞ」

「申し訳ございません」

小馬鹿にされて、文枝は、屈辱感に身を焼いたが、口答えする事は許されなかった。

「ほら、食え」

テミストクレスは、スナック菓子のカケラをリビングのフローリングの上に無造作に投げ落とした。文枝は両手を床に付き、四つん這いになって、犬のように口だけでスナック菓子のカケラを咥え上げる。その美人教師の後頭部を、ソファから立ち上がったテミストクレスの右足が踏みにじった。

「うぐぐぐ・・・」

床に押し付けられ、ひしゃげた顔面から呻き声が漏れる。

「お前を、最下等奴隷にする事に決めた。つまり、お前は奴隷に奉仕させるための奴隷だ。外では、教師かもしれんが、この家の中では、奴隷達の命令をも聞かねばならん」

「そ、それは、どう言う事ですか?」

「高原家の奴隷達・・・良枝、沙貴、玲華、博和、犬の篤志・・・それから赤ん坊にも奉仕するのだ」

現在、高原家には、5人の赤ちゃんがいた。アキレス、豚子、犬美、ドリス、珍太である。いずれも、テミストクレスが、良枝と玲華に孕ませたり、近親相姦の末に身ごもって産み落とされた子供達である。アキレスと、ドリスは、白人とのハーフなので明らかにテミストクレスの子と判るが、豚子、犬美、珍太は父親が誰であるかもハッキリと判らない。長女で大学生の沙貴は、なぜか不妊症であるため、いくらセックスで中出しさせても妊娠しないようだった。

「お前も、いずれ子供を産むのだ。こいつらには、まだまだ、産ませてやるぞ。しかし、それには、生活費が足らん。沙貴には、もっと効率のいい風俗でアルバイトをさせんとな。SMクラブで食糞プレイをさせるのが一番金になると思うのだが」

テミストクレスはブツブツと呟いていた。

「あたしのお給料のほとんども、捧げております。それでも、足りませんか?」

「全然足りんな。いっその事、お前も学校の教師を辞めて、風俗で働くか?・・・いや待て、それでは、面白くないか・・・まあ、いい、家計の事は、また今度、ゆっくり考えるとしよう。文枝、今日は、まず手始めに良枝とシックスナインをするのだ」

「はい、テミストクレス様」

文枝は、別の部屋で、赤ん坊の世話をしていた良枝を呼んできた。良枝はテミストクレスの命令を伝えられると、ただ1枚だけ身に着けていたエプロンを外し、全裸になる。そして二人はリビングの床に横たわり、文枝が下になって互いのオマンコに顔を埋め、シックスナインを始めた。

「二人とも相手のオマンコを丹念に舐めろ。俺が、いいと言うまで止めてはいかん。何回でもイカせ合うのだ」

「あう・・はふ・・・」

「むぐぐぐ・・・」

文枝と良枝は声にならない返事をした。ピチャピチャピチャと互いに舐め合う舌の音が、いやらしく聞こえてくる。やがて文枝がイき、良枝もイッたが、テミストクレスから止めてもいい、という指示は出なかった。二人の女は、仕方なく舌を動かし続ける。何度も何度も絶頂に達し、舌が痺れて感覚が無くなってきたが、ようやく止める事を許されたのは2時間後だった。互いの肉体から離れた二人の女は、精魂尽き果て、舌の感覚が無くなっているため、しばらく、まともに喋る事も出来なかった。

「ふははは、淫乱なメス犬どもめ。何回イッたか、自己申告をしてみろ」

「は・・はひはい(8回)れす・・・」

良枝が言った。45歳の肉体には、相当きつかった筈だ。

「な・・なんはい(何回)イッらか、わはりまへん・・・」

文枝が答えると、テミストクレスが激怒した。

「学校の教師のくせに、自分がイッた回数も数えれんのか!お仕置きだ。玲華を呼べ」

2階の子供部屋で、勉強をしていた次女の玲華が呼ばれた。玲華も帰宅と同時に服を脱いでいるため全裸である。

「お前の担任の先生は馬鹿だぞ。生徒のお前の手で罰を与えてやれ。こんな事だから、地球のこの国では、教育問題など起こるんだ」

家から滅多に外出する事のないテミストクレスは、テレビのワイドショーが大好きで、最近の芸能、スポーツや時事ニュースには滅法詳しい。玲華は押入れから1本鞭を取り出してくると、ビュンビュンと振り回した。

「先生、覚悟はいい?この鞭で叩かれると、とっても痛いのよ」

「いいわ。やって頂戴、玲華さん。ここでは、私は、先生じゃなくて、あなた達の奴隷なの。遠慮はいらないわ」

ヒュンと風を切って1本鞭の先が、ピシッと文枝の胴体に撒きついた。焼けるような痛みだった。白い皮膚に赤い筋が付き、やがてミミズのように腫れ上がってきた。

「もっと、やれ玲華。滅多打ちにしろ。この先生が、立ち上がれないくらいにな」

テミストクレスが物足りなげに言った。奴隷管理用の首輪を嵌めている玲華は命令に逆らう事は出来ない。床の上に丸くなって、顔をかばう様なポーズを取っている文枝の裸体に、玲華は、次々と強烈な鞭を振り下ろした。

「ぎゃうっ!ぎゃうっ!」

余りの痛さに、文枝の顔が、ボロボロと目から溢れ出した涙で、グシャグシャになった。

「いいぞ、俺が止めろと言うまで止めるんじゃないぞ」

玲華には、もともとサディスティックな性質があったのかもしれない。担任の先生を鞭打つごとに、胸の奥から湧き上がってくる、かすかな喜びを感じ、股間を濡らしていた。

 

「すっかり、股間が濡れちゃったわ。舐めてよ、先生」

16歳の少女玲華は、文枝に言った。先ほどのシックスナインで、文枝の顎と舌はガタガタだったが、断る事は出来ない。ヒリヒリと痛む背中を我慢しながら文枝は起き上がり、仁王立ちになっている玲華の下半身にすがりついた。

「玲華様のオマンコを舐めさせて頂きます」

「先生らしく、キチッと手を抜かずにね」

文枝は、痺れる舌を伸ばした。16歳とはいえ、子供を3人も産んでいる玲華のオマンコは、ビラビラで締まりが悪いようだった。

「どう?美味しい?」

「は、はい・・・とっても美味しいです」

「どんな味がするの、先生?」

「酸っぱいです」

「ふーん、もっと他に表現はないの?国語の先生のクセにボキャブラリーが少ないのね」

「申し訳ございません」

「オマンコの後は、あたしの足の指を1本づつ、しゃぶるのよ」

「はい」

狂宴は、延々と続いた。そして夜の10時を回った頃、高原家の家長である高原博和(47歳)が帰宅した。

「ただ今、帰宅しましたテミストクレス様。」

「遅いじゃないか」

テミストクレスは、下半身を良枝と玲華に、両側から二人がかりでフェラチオさせている所だった。

「すいません。残業があったもので」

会社では総務課長であり、部下を叱責している博和も、テミストクレスの前では、オドオドしている。実の娘と妻の痴態を目の前にしても、文句一つ言えない。

「まあ、いい。早く裸になってお前も、乱交に参加しろ。今日は、その先生を犯せ」

「はい」

文枝はすでに、クタクタだった。背中のミミズ腫れが熱を持ち始め、排泄させて貰えない下腹部が重く、吐きそうである。しかし、博和が服を脱ぎ捨てて覆いかぶさってくると体を開いた。

「あたしは、今日から高原家の皆様の奴隷になりました。奴隷の奴隷です。どうか、遠慮なく、いたぶって下さい。」

「いいとも。俺達家族は、地獄に落ちるしかない。君も道連れになりたまえ」

テミストクレスは、薄ら笑いを浮かべて見ていた。

「博和、その先生に誰の子供を1番最初に孕ませる事が出来るか、競争しようじゃないか」

「はい、頑張ります」

博和は、今、高原家にいる5人の赤ちゃんの事を思い浮かべた。そのうち3人は、近親相姦の末に生まれた子供である。文枝との間に出来る子供なら、少なくとも近親相姦の罪はない。もう3年間も続いているこの狂った生活も、いつかは、終わりを告げるのだろうか、と博和は文枝を犯しながら漠然と考えた。

 

第136話、満州鉄道の夜

 

1931年、夏、久石家の三男、久石光隆(20歳)は赤紙を受け取った。久石家は士族の家柄で、光隆の祖父、政光は明治維新の際、戊辰戦争で手柄を立てた薩摩藩士である。以後、久石家の一族は東京へと移り住み、一族の男は、大日本帝国の警察官僚や陸軍、海軍の士官になるのが常だった。しかし、光隆だけが落ちこぼれで、中学校を卒業した後、定職にも付かず、ブラブラしていたために、兵役に引っ掛かったのだった。

「お前は、久石家の面汚しだ。せめて御国のために戦って、戦場で野垂れ死んでしまえ!」

それが、別れ際の父親の捨て台詞だった。父は陸軍航空隊の中佐である。

「ああ、そうしてやらあ。もう、二度と。こんな家に帰って来るもんか!」

光隆も啖呵を切って家を出た。母親だけが心配そうにお守りを持たせてくれた。光隆は都内にある帝国陸軍の駐屯地に出頭すると、身体検査を受けた後、二等兵の階級を与えられ、満州に赴任するように命じられた。

(おいおい、いきなり、満州かよ。寒そうだな)

その頃、満州では、中国人の軍閥や、南下するソ連との緊張が高まりつつあり、いくらでも補充兵が必要な状況だったのだ。

(待てよ。大陸へ行けば、中国女や朝鮮女の慰安婦を抱けるかもな)

光隆は、密かに期待をした。光隆を含む20人余りの補充兵は、髭面の軍曹に引率されて下関まで汽車で行き、そこから船で釜山へと渡った。さらに釜山から赴任地である奉天へは、満州鉄道を乗り継ぐ事になる。

「おい、知ってるか。この線路は、シベリア鉄道とも繋がっていて、このまま汽車を乗り継いで行けばヨーロッパまでも、行けるんだぜ」

補充兵仲間の一人が言った。山川桃次郎という男だった。この男も徴兵されたばかりで階級は光隆と同じ二等兵である。

「へえ、詳しいな。」

「俺の先祖は、昔、忍者だったんだ。有益な情報は常に頭に入れとけってのが家訓さ」

「俺は、鉄道よりも、女の方に興味がある。戦争のドサクサに紛れて、中国女を、たっぷり強姦してやるつもりだ」

引率の軍曹がギロリと睨んだ。しかし、光隆は屁とも感じていないようだった。

「鬼畜な奴だ・・・俺の名前は、山川桃次郎。ここで会ったのも何かの縁だ。よろしくな」

「ああ、よろしく。俺は久石光隆だ。」

蒸気機関車の旅は、何日も続いた。しかし、朝鮮半島から満州に入り、目的地の奉天を目前にした時、列車は急停車し、そのまま半日以上動かなくなった。

「おいおい、どうしたってんだ。日が暮れちまうぜ」

「さっき、軍曹達が話しているのを聞いたぞ。奉天郊外の柳条湖付近で、満州鉄道が、張学良の部隊に爆破されたらしい」

山川桃次郎は、忍者の子孫を名乗るだけあって、情報収集は素早かった。

「張学良ってなんだ?中国人の名前か?」

無知丸出しで、光隆は尋ねた。

「お前、奉天の部隊に赴任するのに、張学良の名前を知らないのか。張学良ってのはだな、この辺りを押さえている中国の軍閥の頭目だよ。父親の張作霖が2年前、関東軍に爆殺されて、息子の学良は、日本に、深い怨みを持っているんだ」

「へえ、そうか」

光隆は、細かい事は、どうでもいい様だった。

「それよりか、早く、慰安婦を抱きてえな」

光隆は、マッチで、タバコに火をつけ、行儀悪く、前の座席の背もたれに足を投げ出して、呟いた。

 

 その頃、大連の関東軍司令部では、非常召集がかけられていた。関東軍総司令官、本庄繁中将はじめ、参謀達が集まっている。その中に、帝国陸軍始まって以来の天才と噂されている石原莞爾中佐(42歳)の姿もあった。ベルリンでノストラダムスと共に、千鶴と会って以来、9年の歳月が過ぎていた。

「石原中佐。満州鉄道の運行部長が面会を求めておられます。柳条湖の爆破事件に関してお伺いしたい事があると」

「通せ」

石原中佐は、現れた運行部長に、陽気に挨拶をした。

「これはこれは、お日柄も良く」

「中佐!はぐらかそうとしても駄目です。わが社の整備員が事件現場に行った所、爆発はごく小規模で、路線には、ほとんど損傷を受けていないとの事です。それなのに、この大騒ぎは、一体何事ですか!」

「まあまあ、落ち着いてくれたまえ運行部長。これは、中国軍閥の、我が大日本帝国に対する大いなる挑戦だよ。我が関東軍は、この挑戦を受けて立ち、すみやかに軍を動かすつもりだ。当然、満州鉄道の権益も守られる。安心したまえ、運行部長」

人を食ったような石原中佐の答えに、運行部長は更に激高した。

「そんな事を聞きたいのではありません!これは、本当に張学良の部隊がやった事なのですか?現場に行った者の報告では・・・」

石原中佐の眼光が急に鋭くなった。普段の温厚な態度とは打って変わった、人を竦み上がらせるような殺気に、運行部長は、言葉を続ける事が出来なかった。

「それ以上先は、君の胸に、そっと仕舞って置きたまえ。関東軍には特務機関もある、君も長生きをしたいだろう。それに満州全域が支配下に入れば、君の会社にとっても悪い話ではないはずだ。満鉄の権益も拡大する。これからは大いに働いて貰わねばならん。その時は頼むよ」

「は、はあ・・・」

ぞっとするような、石原の迫力に運行部長はすっかり呑まれてしまった。運行部長が、すごすごと退出すると、石原は、本庄司令官や他の参謀達と、作戦の進捗状況を確認し合った。

「関東軍の本隊は、作戦通り奉天に進撃します。朝鮮駐留軍の司令官には、すぐに援軍を送ってくれるよう、根回しも済んでいます。奉天はすぐに落ちるでしょう。その後、チチハルとハルピンを落とし、満州全域を関東軍の支配化に置きます」

石原は説明した。この作戦は全て石原が立案したものだった。もちろん鉄道を爆破したのは、張学良ではなく、石原の命令を受けた関東軍の工作部隊である。

「東京の参謀本部に無断で、こんな事をしてしまって大丈夫なのかね。ヘタをすれば君も私も軍法会議ものだぞ」

この期に及んで本庄中将は、心配そうだった。

「なあに、心配は要りません。結果良ければ全て良し、と言うじゃありませんか。天皇陛下も我々の英断を褒めこそすれ、叱責などする筈がありません」

楽観的に安請け合いする石原の態度に、本庄司令官も、そんなものかと思ってしまう。この男が関東軍に赴任して来て以来、何か、うまく乗せられているだけのような気がするが、石原の話を聞いている内に、物事がどんどん先に進んで行ってしまうのだ。

「満州に独立国家を樹立するのです。日本人、満州人、モンゴル人、中国人、朝鮮人が共に暮らせる王道楽土をね。そして、いずれは東アジア諸国が一丸となって西洋文明の中心国家であるアメリカと最終戦争を戦うのです」

石原中佐は、かねがね唱えている持論を展開した。

「君の、世界最終戦争論・・・かね」

「そうです。そのために日本は、満州を植民地化し、欠けている資源を確保しなくてはなりません。満州で採掘した資源を日本本土の工場で製品化する仕組みを構築すれば、アメリカに匹敵する国力を有する事が出来ます」

「しかし君の話では、最終戦争が起こる時と言うのは、世界を無着陸で1週する飛行機が完成した時、だろう。そんなものが開発されるのはいつになる事やら・・・」

「そう、遠い未来の話ではありません。2〜30年後には実用化されるでしょう。地球の裏側まで届く航空兵器が」

本庄中将は、自分の部下である、この石原と言う男が、嫌いではないが苦手だった。天才かもしれないが、言うことが、あまりにも突飛過ぎる。しかし、現実に石原の言う通り、満州独立国家樹立に向けての謀略はすでに始まってしまったのだ。例え軍法会議で、銃殺される事になろうとも、動き出した作戦は、やり遂げるしかなかった。

 

 山梨県奥滝村の千羽鶴教団本部では、久石千鶴が新聞を読んでいた。記事には中国大陸で、満州鉄道の爆破事件から始まり、中国人軍閥と関東軍が戦闘状態に入ったというニュースが書かれている。鉄道を爆破したのは、あくまで中国側で、日本軍は在留邦人の保護のため、やむなく動いたと書かれていた。

(いよいよ、始まったようね)

千鶴は、9年前、ベルリンで出会った石原莞爾という、変人に近い男を思い出した。あの男が、首謀者となって満州事変を引き起こし、日本は太平洋戦争への道を歩む事になるのだ。

(これから、わずか十数年の間に、戦争で数百万人の犠牲者が出るわ。でも、歴史を止める事は出来ない。止めてしまえば21世紀の、あの未来へと続かない・・・)

千羽鶴教団は、明治維新以後、急速に組織を拡大し、海外にも支部を置くようになっていた。しかし、中国大陸や、ヨーロッパには一切進出していない。した所で戦火の犠牲になる事は判り切っているからだ。

(1945年以降が勝負だわ。宇宙人襲来の2003年までに世界中にネットワークを張り巡らせ、迎撃体制を整えなくては)

千鶴が、1923年の関東大震災と、1929年の世界恐慌を予知した事により、教祖としての千鶴の名声は、頂点に達していた。

「教祖様、信者達が集まっております」

使徒の称号を持つ、幹部の一人が報告に来た。教団発足当時の初代の幹部達は、全員が寿命で死に絶え、現在の幹部はその2世、3世である。

「そう、わかったわ」

千鶴は、巫女風の白装束に着替え、70畳もの広さのある大道場へと姿を現した。百人以上の信者が平伏し、伝説的な教祖の登場を待ちわびていた。

「おおっ、教祖様だ!」

「なんと、まぶしい、御尊顔なのだ・・・」

信者達がざわめいた。出家信者や、在家信者が入り混じっている。彼らに一人一杯づつ、杯が配られた。その杯には、千鶴のオシッコと日本酒、幻覚剤を混ぜた妖しげな液体が注がれている。

「宇宙人に死を!」

幹部の一人が音頭を取った。信者全員が、杯をかざし唱和する。

「宇宙人に死を!」

「地球は、地球人のものだ!邪悪な宇宙人は、星々の彼方へと去れ!」

「地球は、地球人のものだ!邪悪な宇宙人は、星々の彼方へと去れ!」

この時代の信者達には、言葉の真の意味は判っていないのだろうが、教団の聖典に書かれている教えの一つとして、何の疑いもなく受け入れている。この言葉の真の意味が判るのは、70年後だろう。唱和が終わると、信者達は一気に聖杯を飲み干し、服を脱ぎ始めた。彼らが修行の中で一番楽しみにしている乱交セックスの時間なのだ。信者達の中には、平民出身者や、士族階級のもの、落ちぶれ華族などもいたが、教団内では世俗の身分制度は関係なく、全員が平等な、同じ人間として乱交セックスに励むのだ。

「狂え、信者達よ!肉の欲望に、心ゆくまで狂うが良い。己の煩悩を全て吐き出すのだ!」

千鶴が叫んだ。信者達は、杯に仕込まれていた幻覚剤が効いてきたのか、羞恥心も忘れ、手当たり次第に近くにいる相手を捕まえてセックスにのめり込んでいった。中には女同士、男同士で絡まり合っている者もいる。老若男女は関係なく、親子で交わる事さえも教団内ではタブーではなかった。これが、千羽鶴教団施設内での日常の光景だった。

 

 大陸では、石原莞爾の采配を受けた関東軍が、瞬く間に、中国軍閥を蹴散らし、満州全土を席巻していた。正規軍の訓練を受けた日本兵が、寄せ集めのゲリラに近い中国軍を圧倒するのは、当たり前と言えば、当たり前だった。久石光隆と、山川桃次郎の所属する部隊も、奉天からハルピンへと転戦し、二人の若者は生まれて始めての殺人を経験する事になった。

「おい、お前、度胸試しだ。この女を殺してみろ」

小隊長が、一人の気弱そうな新兵をけしかけた。捕虜にされた中国人の娘はガクガクと震えて、命乞いをしている。

「こ、殺すのでありますか・・・」

「そうだ、お前の持っている銃で射殺するのだ。帝国軍人なら、それくらい出来んで、どうする?」

新兵の方も、震えていた。しかし、上官の命令には逆らえず、たどたどしい手つきで、小銃を構える。長い時間をかけて、やっとの事で、娘に狙いをつけたが、今度は、指が硬直して引き金を引く事が出来なかった。

「何をしている、臆病者め!貴様、それでも日本人か!」

少隊長のビンタが、新兵の頬を叩いた。新兵は、よろめき倒れこんだ。

「あーあ。ヘタレだなあ」

その様子を見ていた久石光隆は、せせら笑うと、自分の小銃を握り締めて、前に進み出た。

「自分にやらせて下さいっ」

「うむ、いいだろう」

光隆は、小銃を構え、涙を流して哀願している中国人少女に狙いをつけた。そして、冷酷にも、表情一つ変えずに引き金を引く。ダーンと1発乾いた銃声が響き渡り、少女の胸が血に染まった。少女の体はそのまま前のめりに倒れこみ、動かなくなった。光隆は、胸がスーッとし、悪魔のような笑みを浮かべた。

「久石二等兵!貴様、なかなか見所があるぞ」

小隊長は、光隆の勇気を褒め称えた。

 

 大連から、さらに満州内部に位置する奉天へと移った関東軍司令部では、本庄中将、石原中佐をはじめ、関東軍の主だった参謀達が集まって、次なる作戦を練っていた。

「満州全土は、ほぼ我々の手中に落ちた。後は、占領政策をどうするかを考えねばならん」

本庄中将が、石原中佐の方を見た。予想外の速さと、僅かな損害のみで戦闘は、ほぼ終了したのは、彼の作戦指導の成果である事は疑うべくもない。東京の参謀本部からも、戦線を余り拡大するな、と言う要請以外に、あからさまな横槍は、まだ入っていない。

「南京政府の蒋介石が、我々の軍事行動に対して、国際連盟に提訴したらしい」

「心配ない、日本は常任理事国だ。国際連盟が、たとえ非難決議を採択しようとしても、拒否権を使えばいい」

参謀達は楽観的だった。第一次世界大戦後に樹立された国際連盟は、元々結束力も弱く、国際的にそんなに大きな影響力を持っているとは、誰もが考えていなかった。

「満州に独立国家を樹立する時が来ました」

石原中佐が発言した。

「首班は、親日派の軍閥のうち、誰にやらせるのかね。」

「いえ、この際、軍閥は無視します。彼らは、権謀術数に長け、いつ裏切るやもしれません。それより、宣統帝溥儀を担ぎ出します」

「溥儀を?」

石原の提案に参謀達の誰もが驚いた。1911年の辛亥革命で、国民党政府に皇帝の座から引き摺りおろされた清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀は、現在は、天津で軟禁生活を送っていた。

「満州は元々、清王朝発祥の地です。元皇帝の溥儀を元首に据えれば、中国人も満州人も納得するでしょう」

「・・・」

「叩き上げの軍閥の将軍よりも、世間知らずの皇帝の方が、なにかと扱い易い。すでに関東軍特務機関には、溥儀の身柄を押さえるよう、指示を出してあります」

石原の目は爛々と輝いていた。ついに彼の理想の王国が誕生する時が来たのだ。満州を後背地にして日本の国力を増強し、いずれ歴史の必然として起るであろう日米決戦に備える、と言うのが石原の壮大な構想である。

(そして、白人の植民地支配からアジア諸国を開放し、日本が盟主となって大東亜共栄圏を築き上げる・・・)

石原莞爾の夢は、限りなく広がっていた。

 

 「中国人どもめ、皆殺しだ!」

久石光隆二等兵は、農村を襲い銃剣で村人を惨殺していた。この村に抗日ゲリラが潜んでいると言う垂れ込みがあり、彼の所属する小隊が派遣されたのだ。部隊が到着した時、すでにゲリラは逃げ去った後だったが、小隊長は匿っていた村人を見せしめのため虐殺するように命令した。

(人を殺すのはたまらんぜ)

光隆には、生まれつき殺人鬼の素質があったのかもしれない。訳のわからない中国語で叫ぶ村人を殺すたびに強烈な快感を味わった。しかも、殺せば殺すほど上官に褒められ、評価も上がるのだ。

「おい桃次郎、抑えろ。女は犯してから殺さなければ、もったいない」

戦友の山川桃次郎二等兵は、別だん虐殺に喜びも哀れみも感じていないようだった。忍者の子孫だと自称しているこの男は、何か人生を達観しているような所がある。桃次郎が押さえつけたのは、若い妊婦だった。

「お前、鬼畜だな。」

「うるさい、何とでも言え。日本でやれば犯罪だが、ここでは、何をしても許されるんだ!」

光隆は軍服のズボンをおろし、妊婦の下腹部に跨った。女は恐怖のあまり泣きじゃくって手足をバタバタして暴れたが、屈強な二人の日本兵の力には抵抗出来なかった。

「阿阿阿阿!我丈夫!」

異国語で叫ぶ妊婦を、光隆は、自分と同じ人間だとは感じなかった。この妊婦の夫は、先刻、桃次郎の銃剣で刺され、死体となって少し離れた場所に転がっている。光隆は、妊婦のオマンコに射精すると、桃次郎に声をかけた。

「おい、次、お前もやるか?」

「いや、俺は遠慮しとくよ」

「そうか、じゃあ、そろそろ殺すとするか。俺は一回妊婦の腹の中がどうなっているか、見てみたかったんだ」

「鬼畜だな・・・」

光隆は、銃剣の先で、絶叫する妊婦の腹を縦にかっさばいた。大量の血がシャワーのように噴出し、光隆の顔を鮮血で染めた。光隆は嬉々として妊婦の腹の中に手を突っ込み、へその尾のついたままの胎児を引き摺りだした。

「けけけけけ!」

「俺にはついていけん」

桃次郎は顔を背けた。胎児も妊婦も、当然のごとく暫くして絶命し、二人の日本兵はその場を立ち去った。やがて作戦が終了し、集結の合図であるラッパが鳴った。

「久石二等兵、何人殺した?」

全員が整列すると、小隊長が光隆に尋ねた。

「8人であります」

「ようし、立派だ。他の者も久石二等兵を見習うように」

光隆は皆の前で褒められ得意顔だった。

 

 奉天の宿営地に戻った光隆は、慰安所を訪れた。作戦の後は、性欲が異常なくらい、嫌が応でも高まるのだ。慰安所で光隆は、お気に入りの朝鮮人慰安婦を指名した。崔春玉という17歳の少女は、慰安所でも指名ナンバーワンの美少女だった。

「しゃぶれ」

光隆は無造作に命令した。春玉は一言も発せず、従順に光隆のチンポを咥えた。その顔には、人生を諦めきった哀愁が漂っている。もともと春玉は、光州のかなり裕福な家に育ったのだったが、女学校の卒業式の日に、突然学校に日本の憲兵がやってきて、顔立ちの美しい少女ばかりを有無を言わさず引き立てたのだ。目的は満州に展開する部隊に慰安婦を補給するためだった。それ以来、春玉は、家に帰れず家族とも会っていない。毎日毎日、朝から晩まで日本兵の性交の相手をさせられ、例え家に帰れたとしても、儒教思想の強い朝鮮社会では、もう、まともな人生を送る事は出来ない。日本軍の慰安婦にされ、汚れてしまった女などに、まともな結婚が出来るわけはない。春玉は何度も自殺を考えたが、まだ実行出来ずにいた。

「うっ、うっ」

光隆は、朝鮮人の美少女の絶妙な舌裁きに、顔を紅潮させていた。自身も春玉のオマンコに顔をうずめ、むしゃぶりついてくる。シックスナインの体勢で少女の体を味わいつくした光隆は、最後にオマンコに、チンポをぶちこんで射精し、満足して兵舎へと戻った。その番はグッスリと眠り、翌日、非番だった光隆と桃次郎は、奉天市内へ出掛けた。そしてブラついていると、大通りで、奇妙な一団を発見した。

「なんだありゃあ」

その一団は、十数人の身なりのよい白人の一団だった。護衛の武官もいる。なにやら町行く人々に質問をしたりして、聞き込み調査をしているようだった。

「わかったぞ、あれはリットン調査団だ。国際連盟が派遣してきたって聞いたぞ」

桃次郎は相変わらず情報通のようだった。

「国際連盟?いったい何をしに来ているんだ?」

「満州での日本軍の行動に、国際規約の違反がないか調べているんだよ」

「つまり、俺達のやっている事にケチをつけようってのか?」

「まあ、簡単に言うと、そういう事だな」

「気に食わねえ!」

急に、光隆は怒り出した。そして近くの建物に勝手に入り、階段で屋上へと上がっていった。

「おい、光隆、何をするつもりだ?」

桃次郎があわてて、付いて行きながら尋ねた。

「なあに、ちょっと、奴らに嫌がらせをしてやるのさ」

光隆は屋上まで上がると、通りに面した端から身を乗り出した。ちょうど真下をリットン調査団の一行が、ゆっくりと歩いている。光隆はズボンのファスナーを開けるとチンポをつまみ出し、眼下のリットン調査団めがけて勢いよく放尿した。晴天なのにいきなり頭上から液体をかぶった調査団の一行は驚いていたが、その正体が小便だと築くと、悪態をついた。

「ざまあみろ、毛唐め!ションベンでも食らいやがれ!」

光隆は日本語で叫んだ。護衛の武官達が犯人を捜そうとやっきになって辺りを見回し始めた。

「オーノー、ジャップ!ヘル、ユー!」

団長であるロバート・リットンが、叫び声の日本語から、犯人が日本人だと感づいたらしい。光隆と桃次郎は素早く、その場から逃げ負うせたが、この一件でリットン調査団の日本に対する心象は、かなり悪くなった。

「日本人、許せません!イエローモンキーのくせに調子に乗り過ぎです。とうてい、満州国を認める気にはなりませんね!」

ロバート・リットンは、腹いせに、日本側に不利な報告書を国際連盟に提出してやろうと、決意した。

 

 1932年3月、清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀が、満州帝国皇帝として戴冠式を行い、建国宣言が発布された。完全なる日本の傀儡国家で、承認したのは日本ただ1国だった。国の政策決定を握っているのは政府ではなく、関東軍と満州鉄道株式会社である。一方、リットン調査団は、建国宣言後も引き続き、満州に留まり懐疑的な調査を続行していた。その年の8月、建国業務に忙殺されている石原莞爾中佐に人事異動の辞令が出た。東京の兵器工廠への異動だった。

(左遷か。これ以上、俺を、満州で野放しにしておけば、何をやり出すか判らん、と言うわけだな)

石原中佐は自嘲した。今更、彼が満州を去った所で、動き出した歴史の歯車は止められない。5月には、東京でも海軍の急進派将校が、武装決起し、首相の犬飼毅を殺害するという5・15事件が起っている。これは間違いなく、石原の満州での快挙に思想的影響を受けた若手将校による犯行だった。この事件を境に大正デモクラシーの政党政治は終わりを告げ、軍人内閣の時代へと突入する。石原は、転勤のために奉天を発ち、荷物をまとめて満州鉄道の夜汽車に乗った。蒸気機関車は力強く走り出し、窓から空を見上げると雲一つない澄み切った満州の夜空に、満天の星が美しかった。

(天の川か。綺麗だな・・・)

石原はノスタルジックな気分で、以前読んだ宮沢賢治という作家が書いた『銀河鉄道の夜』という童話を思い出した。これらの星々にも、地球と同じように知的生命体が住んでいるのだろうか。

(もし、宇宙にも知的生命体が住んでいるのなら、日本とアメリカの最終戦争の後には、宇宙人との戦争が待っているのかもしれん。いや、むしろ最終戦争の結果にかかわらず、日米が共に戦う事になるのか・・・夢物語だな・・・その頃には、俺は生きていないだろうな)

石原莞爾は、硝煙の匂いに満ちた現実の世界から空想の世界へと思いを馳せ、その意識は、満州鉄道の夜汽車に揺られながら夢物語の中をさまよった。

 

第137話、フィギュアスケート

 

昨年の冬季オリンピックで金メダルを獲得したフィギュアスケート選手、白川鈴香(25歳)の元に、アイスショーへの出場依頼が来た。依頼元は、さざなみテレビで、同テレビ局がアイスショーを主催し、全国に中継するという企画だった。

「初めまして、さざなみテレビの斉藤です」

鈴香の事務所へ面会を求めてきたのは、斉藤大介という30代後半の男で、渡された名刺の肩書きには、『さざなみテレビ、番組プロデューサー』とあった。

「初めまして、白川です」

「いやあ、お美しい。抜けるような白い肌、キリリと引き締まった口元、氷のように鋭い視線。まさにクールビューティと呼ぶにふさわしいですなあ」

「・・・どうも」

斉藤は、初対面からペラペラとよく喋った。鈴香はこういう、軽薄そうな男は生理的に嫌いである。

「実は、ウチの局でアイスショーを主催する事になりましてねえ。私がプロデュースするのですが、ぜひ金メダリストである、あなたにも御出場頂きたいと思いましてね」

鈴香は反射的に警戒した。さざなみテレビと言えば、日本の法律に縛られず、宇宙人を喜ばせるためなら、番組内でどんな事でもやる、という噂を聞いている。

「残念ですが、お断りさせて頂きますわ」

即座に鈴香は、キッパリと言った。しかし斉藤は、失望した様子もなく、薄ら笑いを浮かべていた。そしてブリーフケースから1枚の書類を取り出した。

「まあまあ・・・実は、あなたに断る事は出来ません。これは、植民地総督府の命令書です。不平等条約第4条、宇宙人への実験材料の提供義務、という項目に基づきあなたの身柄は、強制的に我々の管理下に置かれます」

「・・・」

鈴香には言葉もなかった。キッと目の前の斉藤を睨みつけたが、どうなるものでもない。

「仕方ありませんわね」

鈴香は屈服し、斉藤は笑みを浮かべた。

「このアイスショーでは、美しさとエロティックさを競って頂きます。どれだけ審査員であるネオガイア星人の方々を喜ばせたかで、得点が決まります。それから、本気で競技に取り組んで頂くため、最下位の選手は、番組終了後に処刑されるルールになっています」

「処刑!」

鈴香の顔が引きつった。どんな内容の競技であれ、金メダリストの自分が最下位になるとは思えなかったが、命にかかわるとなると冗談では済まされない。

「選手は、あたしの他に誰が出るの?」

「あなたも、よく知っているお馴染みの皆様ですよ。日本のフィギュアスケートを代表する方々に出場して頂くつもりです」

鈴香は、とっさにライバルである何人かの顔を、頭に思い浮かべた。

 

 鈴香は、荷物をまとめてマンションを後にした。さざなみ市内にあるスケートリンクで、試合の開催日まで特訓を行うのだ。斉藤から送られてきたプログラム案は、目を疑うような内容だった。

(ノーパンでのスパイラル!脱糞しながらのコンビネーションジャンプ!胸を自分で揉みながらイナバウアー!なんなのこれ?)

鈴香は、ふつふつと怒りがこみ上げて来るのを感じた。金メダリストである自分にこんな滑りをしろと言うのか。当面の宿泊場所である、さざなみホテルに到着した鈴香は、斉藤に抗議の電話を入れた。

「こんな事出来ません!」

『そう言われても、困るんだよ。君に、この仕事を断る事は出来ないと言っただろう。手を抜くのはいいが、自分が死ぬ事になるよ。いいの?』

「死んでも、やらないわ」

『惜しいね。世界の白川が、この世から、いなくなるなんて。まあ、競技まで後1週間ある。それまで、よく考えてくれたまえ。それに、そのプログラムはあくまで参考例だ。参加者全員に同じものを配っているから、自分なりにアレンジしてもっと過激な事をやらないと得点は稼げないよ』

「くっ・・・外道・・・」

『何か言ったかね?』

「いえ、何も」

電話が切れた。白川鈴香はしばらくホテルのベッドに腰を下ろして考え込んでいたが、やがて立ち上がると、とりあえず練習場であるスケートリンクに行って見る事にした。滑りながら考えようと思ったのだ。ホテルからリンクまではタクシーで10分ほどの距離だった。トレーニングウェアに着替えてスケートシューズを履き、リンクに出ると、そこにはすでにライバルである坂東美紀(18歳)が練習に励んでいた。

「ミキティ!あなたも出場するの?」

「ええ、お姉さんには負けないわよ」

美紀は、体中に怪我をしていた。女子では、彼女にしか飛べないと言われている4回転ジャンプを、無理に飛ぼうとする度に失敗し、体を痛めるのだ。

「体、大丈夫なの?」

「同情はいらないわ。今度の試合では、必ず4回転糞尿ジャンプを決めてお姉さんに勝って見せるわ!」

最近の美紀は、手負いの雌狼のようだった。16歳で脚光を浴び始めた時は、その抜群のルックスと才能で、テレビのCMにも何度も起用されていたが、調子に乗り過ぎて慢心したのか、昨年のオリンピックではミスを連発し、散々な結果に終わったのだ。それ以来CMの仕事も来なくなった。

「スポーツ選手は、勝たないと意味がないのよ。みんなにチヤホヤされなくなるの!」

「ミキティ・・・」

鈴香は、すっかり性格が変わってしまった後輩スケーターに、憐みを禁じ得なかった。リンクには、もう一人のライバルである小栗澄江(26歳)もいた。

「あら、白川さんも呼ばれたの」

年齢の近い澄江は、実は鈴香とは犬猿の仲だった。

「ええ、そうよ、迷惑な話だわ」

「相変わらず、強気なのね・・・世間では、あたしがMで、あなたがSだと思っている。あたしがMなのは当たっているけど、白川さん、あなたも本当はMよね。普段気が強そうにしている人ほど、本当はMだって言うから」

澄江も挑戦的な態度だった。鈴香は苦笑いを浮かべた。

「どっちでも、いいわ、そんな事・・・」

「あなたには、どうでもいい事かもしれないけど、あたしにとっては、よくないのよ。世間では、あたしは、いつもあなたより、実力が下だと思われている。でも今回の試合は、今までの様にはいかない・・・ダイナミックな滑りでは、あなたに適わないけど、演出力はあたしの方が上なのよ!」

澄江の意気込みに押され、鈴香は、タジタジとなった。自分には、こんな馬鹿な試合は、真面目にやる気はない、とは口に出来る雰囲気ではなかった。

「お互いがんばりましょう」

鈴香は、そう言って二人と別れ、自分の練習に励む事にした。

 

 あっという間に1週間が過ぎ、アイスショーの開催日が来た。白川鈴香は、ようやく、恥も外聞も捨て競技に出る決心が付いていた。プログラムも自分で変更を加え、よりエロく、過激な演出を追加した。

(早く、こんな馬鹿な競技は終えて、東京に帰らなくちゃ。プロスケートの本場、アメリカに渡る準備もしなくちゃいけないのに)

アイスショーのトップは、坂東美紀選手だった。美紀は、大胆にも衣装をつけず全裸でリンクの真ん中に、ゆっくりと滑走して登場した。美しいロングヘアの黒髪は、大人の色っぽさを演出するために髪留めを使わず、自然のままに流している。全裸でリンク中央に仁王立ちになった美紀選手の体のあちこちには、転倒でついた青痣が痛々しく刻まれていた。美紀の顔は無表情で、かつての余裕はどこにもなかった。

(右の足首が痛い。まだ完全に捻挫が治っていない。こんな状態で4回転ジャンプが飛べるかしら・・・)

無理をすれば怪我が悪化する可能性がある。しかし、どうしても白川鈴香に勝って見返してやりたかった。暫くの静粛の後、曲が流れ始めた。美紀が自分で選曲したメンデルスゾーン、ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64 1楽章だった。物悲しい調べが、美紀の現在の心境にピッタリだ。滑り始めると血液中にアドレナリンが溢れ出し、足首の痛みは感じなくなった。まずは、簡単なコンビネーションジャンプを行う。美紀の直腸には、1リットルの浣腸液が注入されていて、最後の4回転ジャンプの時に回転しながら噴出させる予定だった。それまでは、1滴も漏らさないように肛門を引き締めて、演技をしなくてはならない。下腹部の重圧に耐えてのスケーティングは、注意力をそがれてミスをする危険が高かったが、恐るべき集中力で、美紀はプログラムの前半をこなした。

(いける。このままいけば、いけるかも!)

そう確信した時、油断した美紀はトリプルサルコウの着地に失敗した。思わず、氷の上に手と尻を付いてしまう。いつもは、衣装を着ているので感じなかったが、剥き出しの氷が、尻に冷たかった。

(あたしは、いつも、こうだ。いつも肝心な時にミスをしてしまう。だから白川姉さんや、演出だけのM女、ジュニアクラスから上がりたての後輩にも勝てないんだわ)

美紀は自分の不甲斐無さを呪った。一度ミスをし、動揺した美紀の、その後の演技は自暴自得だった。それでもスパイラルシークエンスで右足を高く上げ、剥き出しの股間をパックリと開かせて優雅にS字カーブを滑った時は、観客から拍手喝采が沸き起こった。そして得意のスピンから、4回転ジャンプへと移る。充分滑走し、左足で踏み切った時、下腹部の圧力は、頂点に達していた。

(ああっ、もう駄目!お願い成功して!)

空中に舞い上がった美紀の頭の中は真っ白になっていた。それまで必死に締め上げていた、肛門の括約筋の力を抜くと、心地よい開放感と共に、肛門から噴出された黄金色の液体が鮮やかなループを描いて宙に舞う。観客が余りの美しさに息を呑んだ時、着地した美紀が転倒した。

(ぎゃああああっ!)

声にこそ出さなかったものの、美紀の顔が激痛に歪んだ。着地した瞬間、もともと痛めていた右足首が、4回転後の衝撃に耐え切れずに凄まじい痛みをもたらしたのだ。バランスを崩した美紀は氷の上に這い蹲り、そのまま起き上がる事が出来なかった。

(こんな無様な転び方、初めてよ・・・)

悔しくて涙が出た。またライバルに勝てなかったのだ。この後、演技をする彼女達は、美紀の失敗を嘲笑い、余裕の表情で滑るに違いない。自分の撒き散らした黄金が弧を描いている氷の上で、美紀はしばらく立ち上がる気力さえなかった。

(精神的にもう少し、強くならなくちゃ駄目ね)

控え室のモニターで見ていた鈴香は思った。審査員達が審査を始めている。ネオガイア星人を中心に選抜された審査員は、フィギュアスケートに関しては全くの素人ばかりで、ただ単に独断と偏見で得点をつけるのだ。美紀がサポーターの手で抱え上げられ運ばれていく頃、得点が出た。総合得点は53.2ポイントだった。

(あれだけのミスをした割には、高得点ね。さすがミキティ。でもあたしはミスなんて青くさい事はしない・・・)

2番手は、小栗澄江だった。衣装は、自分でデザインした思い切ったものを身に着けていた。わざとマゾを強調するために、犬の首輪を嵌め、ボロボロに引き裂かれた純白のドレスを身に着けている。露出した肌には卑猥な文字を黒マジックで書き、腋毛も伸ばしていた。

「おおっ!」

リング中央に滑り出た澄江の姿に、観客がどよめいた。右手に黒光りするバイブ、左手に火の付いた極太の赤いローソクを握りしめている。

(あたしの演出で魅了してあげるわ)

曲は、愛と哀しみのボレロのテーマソングである。ゆっくりとしたスケーティングで滑り出した澄江は、バイブを咽喉の奥まで押し込んで咥え、右手のローソクを、大きくのけぞった胸元に、滑りながら垂らし始めた。そのままイーグル、イナバウアーを組み合わせたムーン・イン・ザ・フィールドを行う。本当は、澄江としては、バイブを股間に挿入して滑りたかったのだが、幾度かの練習で、さすがにその状態で激しい運動をするとオマンコと子宮が破裂する危険を感じ、断念したのだった。控え室では、白川鈴香が、自分の十八番のイナバウアーを先に披露されて悔しがっていた。

(ちっ、小癪な。マゾ女ごときに!)

右手のローソクを氷上に投げ捨てた澄江は、コンビネーションジャンプ、コンビネーションスピンを行った。口のバイブは銜えたままで、呼吸困難なのか、苦しそうに喘ぎながらヨダレを垂らしている。その、哀願しているM女のような切ない表情は、加虐嗜好が強いネオガイア星人にとっては、たまらない妖艶さを醸し出していた。

(お願い、もっと虐めて!)

澄江は、心の中で絶叫し、事実、股間はグチョグチョだった。競技の最中に、妄想でオマンコを濡らすスケーターなど、世界広しと言えども、自分だけに違いない。黒い腋毛と陰毛を風になびかせて、全てのプログラムを滑り終えた時、観客は総立ちのスタンディングオベーションの状態だった。スケートリンクは割れんばかりの拍手喝采に包まれた。もちろんノーミスである。ベテランである澄江は、難易度の高いジャンプは敢えて飛ばないようにしている。

(最高の滑りだったわ!)

澄江は自分でも満足した。しかし一抹の不安が胸をよぎった。

(でも、白川鈴香には、いつも勝てない・・・どうしてなの)

やがて審査結果が出た。総合得点は62.9だった。

 

(いよいよあたしの出番ね。真打ち登場って所かしら)

白川鈴香は立ち上がった。スケートシューズを履き、リンクへ向かう鈴香の表情は、戦いを前にした格闘家のような凄みを帯びている。

「いくわよ、さっさと付いて来なさい!」

鈴香に叱咤されて、慌てて付いて来たのは男子フィギュアスケーターの和田伸明選手(20歳)だった。小熊のような顔をした若者である。

「待、待ってよ、鈴香さん」

元々、このアイスショーには明確なルールなどない。演出のために、どのような小道具を使うのも自由で、自分以外の人間や動物と一緒に演技するのも可とされている。鈴香は、わざわざ伸明を、東京から呼び寄せ、自分の演出の一部として協力を依頼したのだ。鈴香の衣装は、黒レザーの女王様ルックで、伸明は、全裸だった。リンクの中央に立った鈴香の手には一本鞭が握られている。曲は歌劇「トゥーランドット」の第3幕第1場の挿入曲「誰も寝てはならぬ」だった。ゆったりと眠気を誘うような曲が始まると、鈴香と伸明は悠然と滑り出した。伸明は後ろ向きに、鈴香と向かい合って滑る。鈴香の1本鞭が、伸明の裸体を遅い、ピシッ、ピシッと身のすくむような鋭い音を立てた。

「泣け、オラッ、泣けよ!」

鈴香が罵声を浴びせると、伸明は顔をクシャクシャにして泣き始めた。この若者には、人目を気にせず、所構わず泣きじゃくるという性癖がある。

「3回転ジャーンプ!」

鈴香はトリプルアクセルのダイナミックなジャンプで、宙を舞い、回転しながら遠心力の付いた強烈な鞭を、伸明の裸体に雨のように浴びせかけた。

「ヒイイイイッ!」

「我慢しなさい、男でしょっ!」

伸明の股間は、苦痛を受けて硬くそそり立っていた。彼もマゾだったのだ。

(澄江、よくも、あたしの事を、本当はMだなんて言ったわね。あたしが、MかSか、ハッキリさせてやろうじゃないの。この姿を、しっかりと目に焼き付けておきなさい!)

鈴香は、鮮やかな滑りで、スピンやジャンプを組み合わせ、狂ったように鞭を振るっていた。世界の頂点を極めたメダリストならではの、一点の曇りもないダイナミックな演技に、観客は、すっかり呑み込まれ、口をポカンと開けたままで見とれている者もいる。彼女の自信が空気を通して、ヒシヒシと伝わって来る気がする。

「イナバウアー、行くわよ!」

鈴香は、観客にも聞こえる大きさの声で、伸明に叫んだ。鈴香が両手を開き、胸をのけぞらせて弧を描きながら滑る、すぐ外側を、伸明がピッタリとサポートして付いていく。そうして腰をかがめ、顔を上向きにして口を開けた伸明の顔面に、鈴香は勢い良く放尿した。

「おおぅ!」

観客席から感嘆の声が漏れた。イナバウアーのポーズで滑る、鈴香の股間から放物線を描いたオシッコが1メートル程の距離を飛び、泣き顔の伸明の口に吸い込まれていく。1滴もリンクにこぼさずに、胃に落とし込んでいく見事さは、1週間の練習の賜物だった。

(白川さんのオシッコ、今日は特別濃いよー)

伸明は、オシッコの味で鈴香の体調を判断出来るまでになっていた。観客席が静まり返る中、最後のコンビネーションジャンプを決めた鈴香は、氷の上に這い蹲った伸明の背中にスケートシューズの片足を食い込ませ、最後のポーズを取った。

(どう?あたしの演技。完璧でしょ)

審査結果が出た。総合得点は、70.3だった。テクニカルポイントが、小栗澄江を大きく上回っている。文句なく鈴香が1位だった。

(またあたしの勝ちね、お二人さん。もう一人、出場選手が残っているみたいだけど、処刑されるのは、一体誰なのかしら)

鈴香は、現在最下位であるミキティの身を心配した。

 

最後の出場選手は、フランスから来た男子フィギュアスケート選手、フェルディナン・シャンデロロ(34歳)だった。ゴッドファーザーのテーマ曲に合わせて滑り始めた、その男は、悠然と滑りながら、いきなり、氷の上でバック転をし、狂ったように踊り始めた。

「あの馬鹿、こんな所にも、来ているわ」

鈴香は、このフランス人の事を、風の噂で知っていた。必要以上のパフォーマンスをする事が生き甲斐で、鈴香がオリンピックで金メダルを受賞した際にも、『この女に、食事を一回おごってやってもいい』、などとフランスのテレビでコメントしていたらしい。シャンデロロは、いきなり、自分の服を引き裂くと、リンクの端に滑っていき、柵を越えて観客席に乗り込んだ。観客全員が、呆気に取られて見守っていると、いきなり観客の中の若い女性の一人をその場に押し倒し、ズボンを脱いで犯し始めた。

「おい、あいつは何をやっているんだ!」

「観客をレイプしているぞ!」

「欲求不満が溜まっているんじゃないか・・・」

「警察を呼べ、取り押さえろ!」

スケート場は騒然となった。警備に当たっていた警官数人が飛んできて、チンポを観客の女性の口にねじ込んでしゃぶらせている真っ最中のシャンデロロを引き離そうとする。

「ノンノンノン!邪魔しないでくれ。これが俺のキャラクターなんだ!」

シャンデロロは喚きながら暴れたが、もはや競技を続行する事は不可能だった。手錠を嵌められ、連行されて行ったシャンデロロの得点は、当然のごとく0点だった。

「馬鹿だ・・・馬鹿過ぎる・・・」

鈴香、澄江、美紀、伸明はその様子をモニターで見ながら呆れて言葉さえ出なかった。

 

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