第120話、高原玲華の日常生活

 

埼玉県のある公立高校で、2006年の4月、毎年恒例の入学式が行われた。その中の、あるクラスの男子生徒の間では、一人の美少女が、話題になっていた。

「おい、あいつ、すっげえ可愛いな」

「ああ、高原だろ。なんか、色っぽいな。高校一年生には、とても見えないよ」

グレーのブレザーと、チェックのスカートがよく似合う、その女子生徒は高原玲華だった。色白のハッキリした顔立ちの美少女だったが、目線がきつく、どこか崩れたような退廃的なオーラを漂わせている。

「彼氏とか、いるのかなあ」

「何だ、お前、知らないのか?あいつは、ああ見えて、とんでもない不良なんだぜ。何せ、中学時代に、子供を二人産んだって話だ」

「嘘だろ!いくらなんでも、ありえねえよ」

「嘘じゃないって、俺、あいつと同じ中学校だもん。」

「もし、それが、仮に本当だとして、じゃあ、その子供の父親は誰なんだ?」

「それが・・・判らないんだ」

「やっぱり、嘘じゃねえか!」

「嘘じゃねえよ。それだけじゃない。あいつの家に行った友達の話によると、あいつの兄ちゃんは、家のガレージにある犬小屋で、本物の犬みたく、裸で暮らしているそうだ」

「馬鹿!俺達が、そんな子供騙しのホラ話を信じるわけねえだろうが!」

男子生徒達が口論を始めるのを聞きながらも、玲華はすました顔をしていた。クラスで、どんな噂が立っても、どうすることも出来ない。彼らが言っている事は全て本当の事だし、実際には、もっと衝撃的な秘密が、高原家には山のようにあるのだ。

(うっ、また気持ちが悪い・・・吐きそう)

玲華はあわてて席を立つと、女子トイレに駆け込んだ。3人目の赤ちゃんが胎内に息づいているのだ。

「オエーッ、オエーッ」

(今度は、誰の子供なんだろう!お兄ちゃんかしら・・・)

玲華は嘔吐感に苦しみながら、考えた。また、あの出産の苦しみを味合わなければならないのか、と考えると憂鬱になってくる。

「あれ高原さんよ。また子供が出来たんじゃない」

「なーに、考えてるのかしら、あんな奴、退学にしちゃえばいいのに」

「一体、あの子、どういう家庭環境なの」

同級生の女子生徒達は、ひそひそと陰口を叩いている。嘔吐が収まった玲華は、キッと彼女達の方を睨み付けると、洗った手をハンカチで拭き、スタスタと教室へ戻って行った。

(あたし、負けないわ。可愛いアキレスや、犬美を育てなくちゃいけないんだもの。)

犬美というのは、今年の1月に生まれた、玲華の2番目の赤ちゃんである。名前は、テミストクレスが命名した、女の赤ちゃんだった。父親は、父の博和か、兄の篤志かどちらか判らない。血液型からは、どちらの可能性も考えられる。

『立派な、メス犬に育つように、名前は犬美にしよう。ガハハハハ!』

一家の支配者である宇宙人、テミストクレスの高笑いが耳に残っていた。彼は、どこまで高原家を不幸にすれば気が済むのか。

(オッパイが張って、胸が痛いわ)

玲華は、そっと、新しい生命の息づいている、自分の下腹部を撫でた。

 

 入学式から数日たった、ある日の放課後、玲華は担任の女教師に、職員室へ呼び出された。

「高原さん、あなたの事は、出身中学の先生から、よく聞いているわ。いろいろと複雑な御家庭のようね」

担任の先生は、古文を受け持つ、鳥居文枝という28歳の既婚の女教師だった。

「はい・・・」

玲華はうなだれた。またその話か、という気持ちを顔に出さないように、ぐっと堪える。

「あなた、子供さんが二人いらっしゃるんでしょう?あたしも、結婚しているけど、まだ子供はいないのよ。何か、事情があるんでしょうけど、一度、親御さんに、直接、お話を伺った方が良さそうね。」

文枝は、教師暦6年の経験があったが、このような問題児を担任するのは初めてだった。

「お話・・・ですか?」

「そう、家庭訪問させて頂くわ。それで、都合のいい時間を、お母さんと打ち合わせしたいんだけど」

「うちの母は、専業主婦なので、いつも家にいます。でも、家庭訪問は止めた方が・・・」

文枝は、引き下がらなかった。

「担任として、そう言う訳にもいかないのよ。あたしは、子供を産むのが悪いって言ってるんじゃないのよ。ただ、きちんと事情を聞いておかないとね」

「ええ、じゃあ、伝えておきます」

(知らないわよ、どうなっても!)

玲華は、心の中でつぶやいた。

「では、失礼します」

職員室を出て、帰宅するために学校から下校した。その途中、玲華は、駅前で募金を、募っている奇妙な一団を目撃した。

「募金をお願いしまーす。世界の恵まれない人達のために、募金をお願いしまーす。私達は、宇宙人の拉致、戦争による被害者の方たちを救うために、日夜、活動をしていまーす。」

宇宙人、と言う言葉に惹かれて、玲華は立ち止まった。

(あたしも、宇宙人の被害者だわ。救うなら、あたしを救って欲しいわ)

その一団は、かなり奇妙な格好をしていた。白装束に、頭には、鳥を模した嘴付きのフードを被っている。全部で5人いたが、性別も年齢もバラバラで、小学生ぐらいの子供や、若い女も混じっている。彼らが着ている、昔の修験者のような白装束の胸には、鶴のマークが刺繍されていた。

「募金をお願いしまーす。これは、幸運を呼ぶ『幸せの折鶴』です。一羽千円で、千羽、集めると、あなたの魂は、救済されます」

若い女が、立ち止まった玲華に離しかけてきた。手に持っているのは、どうみても、普通の色紙で折った、ごく普通の折鶴である。

「あ・・・でも、あたし、今、お金持ってませんから・・・」

「じゃあ、これを、どうぞ。あたし達の活動内容を書いたパンフレットです。毎週、日曜日に、ここに書いてある場所で、講演をやってますから、よかったら一度、お話だけでも聞きに来て下さい」

玲華は、手渡されたパンフレットに目を通した。『千羽鶴教団』と書いてある。キャッチフレーズは、『宇宙人からの解放を目指して、未来に羽ばたけ!』と言う文句だった。

(世の中で、宇宙人に苦しめられているのは、あたし達一家だけじゃないんだわ・・・あいつを何とかしなければ)

スキンヘッドの中年の白人の顔が、玲華の頭を、よぎった。しかし、家族全員が首に奴隷管理用の首輪を嵌められているため、実際には誰も反抗する事が出来ない。少しでも反抗しようとしたり、命令に逆らったりしたら、センサーが脳波の異常を感じ取り、強烈な電流が流される仕掛けになっているのだ。しかも、玲華は、強制妊娠だったとは言え、憎むべき宇宙人、テミストクレスの子供を出産してしまっている。玲華はパンフレットだけ受け取ると、歩きながら読み始めた。パンフレットによると、この教団の起源は江戸時代に遡り、開祖は女性だったらしい。その女性は、予知能力を持っていて、現代に至るまでの歴史的な出来事を全て把握しており、宇宙人の襲来も教団創設の時点から予想されていたと書いてあった。しかも、その教祖は、不老不死で、古代から生き続けていた、とある。

(あまりにも馬鹿げているわ。単なる新興宗教ね。でも、宇宙人からの解放、って言うスローガンには惹かれるわ)

玲華は、家に着くまでの間、食い入るようにそのパンフレットを読み続けた。家に帰ればまた、翌朝、学校へ出掛けるまでの間、全裸でテミストクレスに奉仕しなくてはならない。

(ああ、神様!あたし達を助けて!このままでは、一家全員、地獄に落ちてしまうわ!)

玲華は日々の屈辱と、近親相姦の罪悪感から、神にもすがりたい思いだった。

 

 高校教師、鳥居文枝(28歳)は、その日の授業が終わった夕刻、高原玲華の自宅を家庭訪問するため、マイカーである軽自動車で住宅街をドライブしていた。散々、道に迷った挙句、高原家に到着すると、近くの道路脇に自動車を止めて、玄関の前まで徒歩で歩いた。

(結構、立派な家ね。中学生で子供を二人も産むような生徒の家だから、もっと荒んでいるのかと思ってたけど)

高原家は、一戸建ての、真新しい住宅だった。新築されてから、そんなに年数は経っていないのだろう。文枝は、ドアのチャイムを押そうとして、ガレージの奥にある犬小屋に目を止めた。そこで、何かが動いたのだ。

(犬を飼っているんだわ)

文枝は、それ以上、特に気にも留めず、チャイムのボタンを押した。ピンポーンと言う音が鳴り、しばらくするとドアの内側から、用心深そうな女性の声がした。

「どなたですか?」

「玲華さんの高校の担任の鳥居と申します。家庭訪問に来させて頂きました。」

ガチャリ、とドアが開いて母親が出てきた。文枝はその姿を見て愕然とした。40代前半らしいその女性は、裸にエプロンの姿だったのだ。明らかに、身にまとっているのはエプロンだけで、下着はつけていないようである。しかも妊娠しているのか、下腹部が大きく盛り上がっている。

「あ・・あの・・」

「鳥居先生ですね。玲華からお話は伺っています。どうぞ、遠慮せずに、お上がりになって下さい。」

母親の良枝は、戸惑っている文枝にスリッパを勧めた。エプロンで隠しているのは前だけで、後ろ姿を見ると、全く何も着ていないようで、裸の背中と御尻が丸見えである。家の奥からは、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。それも一人ではないようだ。

「さあ、どうぞ。すぐにお茶とお菓子をご用意いたしますわ」

「え・・ええ・・どうも、お気遣いなく」

文枝は、あっけに取られながら、靴を脱ぐと高原家に上がった。良枝にリビングへと案内される。

「うちは、今、小さい子供が多くって。ちょっと、うるさいかもしれませんが、我慢してくださいね」

リビングのソファには、白人の大男が一人、どっかと座ってテレビを見ていた。スキンヘッドのその男からは、恐ろしい威圧感が発散されている。男は、部屋に入って来た文枝の方をギロリと睨んだ。

「テミストクレス様。玲華の担任の先生でございます。家庭訪問だそうで、すぐに終わりますので」

良枝は、うやうやしく、その白人男に言った。なぜかひどく、その男を恐れているようだった。

「ああ」

嘗め回すように、文枝の顔と体を見ていた白人男は、それだけ言うと、再びテレビの画面に視線を戻した。

「どなたですの?」

「うちに同居しているギリシャ人の留学生の方です」

良枝は答えた。

(留学生?かなりの年齢のように見えるけど。ひょっとして高原玲華の子供の父親って、この白人男性じゃ・・・)

文枝は、怪しんだ。そして座布団に腰を下ろし、裸にエプロンの良枝がお茶を用意している間、ふと窓の外を眺めると、先程の犬小屋が目に付いた。

(げっ、人間?)

玄関からは死角になってよく見えなかったのだが、その犬小屋に繋がれているのは、犬ではなく、全裸の若い男だった。

(どうなってるの、この家は!)

文枝は自分の目を疑ったが、どう見てもそれは人間の男だった。

「先生、あれは、あたしのお兄ちゃんよ」

いつの間に、リビングに入って来ていたのか、玲華が傍に立っていた。玲華も全裸で、首に金属の首輪を嵌めているだけである。

「た、高原さん・・・これは、いったい?」

「だから、うちには、来ない方がいいって言ったじゃない」

その時、テレビを見ていた白人男が、不意に声をかけてきた。

「玲華、フェラチオだ。」

「はい、テミストクレス様」

全裸の玲華は、ソファに座っているテミストクレスの前に跪くと、ズボンのチャックを下げ、ぐんにゃりとしたチンポを取り出すと舌を伸ばしてフェラチオを始めた。

「高原さん!何をしているの!」

さすがに文枝が、金切り声を上げて、二人の行為を制止しようとした。

「鳥居先生、お茶でも、どうぞ」

おっとりとした良枝が、お茶とお菓子を運んできた。娘の破廉恥な行為を目撃しても、この母親は、顔色ひとつ変えようとしない。

「おいっ、良枝。その先生には、お茶じゃなくて、お前の母乳ジュースを飲ませてやれ。絞りたての新鮮な奴をな。ガハハハハ!」

「はい、テミストクレス様」

良枝はエプロンの下から右のオッパイを引っ張り出すと、空のコップに、両手で母乳を搾り出し始めた。

「お、お母さんまで、何をやってるんです!」

文枝が、パニックになる。

「どうか先生。あたしの母乳ジュースを召し上がって下さい。テミストクレス様の御命令なんです」

「い、いったい、この家はどうなってるの?異常だわ!どう考えてもこれは、問題だわ。学校に戻ったら職員会議で報告しなくっちゃ。事と次第では、警察にも・・・」

思わず口走った文枝の言葉に、テミストクレスが、キッと鋭い視線を投げかけ、おもむろに、フェラチオをしている玲華の顔を払いのけると、ソファから立ち上がった。

「そんな事をされちゃ、困るんだよ、先生。せっかく築き上げた。俺様の平和な生活が、台無しになるじゃないか」

テミストクレスの右手には、ポケットから取り出した、麻痺銃が握られていた。

「大人しくしてれば、無事に帰してやったんだが・・・騒ぎ立てようってんなら、お前も、俺の奴隷にするしかないな」

「あ、あなた、何者なんです!こんな事して、ただで済むと思ってるんですか!犯罪ですよ、これは!」

文枝が身の危険を感じて叫んだ。テミストクレスは薄ら笑いを浮かべている。

「俺か?俺は、元ネオガイア星宇宙艦隊のテミストクレスだ。今は脱走兵だがね」

麻痺銃が発射され、文枝は気を失った。

 

 どれくらい気を失っていたのかは、判らない。文枝が目を覚ますと、首に金属の首輪が嵌められていた。

「これからは、お前も、こいつら家族同様、俺の奴隷になるのだ。まずはオマンコの味見をしてやる。裸になって、俺の腰の上に跨れ」

テミストクレスと呼ばれている白人の男が、いきなり高圧的な態度で命令してきた。文枝はその言葉を無視し、この家から出るために玄関へ向かおうとした。その瞬間、首輪から強烈な電流が流れ、文枝は絶叫した。

「ぎゃああああ!」

「馬鹿め。俺の命令に逆らえば、痛い目に合うだけだぞ。大人しく、裸になった方が、お前の身のためだ」

「う・・うう・・こんな事して・・ただで済むとでも・・ぎゃあああああ!」

文枝は、なかなか裸になろうとしなかったため、何度も何度も首輪から電撃を受ける羽目になった。そして7回目の電撃を受けた後、朦朧とする意識で、とうとう自分から服を脱ぎ始めた。

「はじめから、そうしていれば、痛い目に合わなくて済んだんだ。この馬鹿女め」

文枝は、女教師らしい地味なブラウスとスカートを順番に脱いでいった。清楚な純白のパンティとブラジャーを脱ぎ去ると、小ぶりの乳房とヒップが露わになった。

「貧相な体だな。まあ、いい、こいつらを犯すのは、さすがの俺も厭きてきた所だったんだ。」

テミストクレスは、2年間に渡って、良枝と玲華、長女の沙貴を、毎日のように嬲り者にしており、さすがに、別の新しい獲物が欲しくなっていた。テミストクレスは、文枝の体を抱き寄せ、唇に吸い付くとディープキスをした。

「む・・ぐぐ・・」

女教師である文枝は、職場結婚をするまで男性と付き合った事がなく、結婚してからも一度も浮気をした事がなかった。つまり、夫以外の男性に抱かれるのは生まれて初めてだったのだ。

「おい、もっとネットリと舌を絡めろ。お前は、教師の癖に、キスのやり方も知らんのか」

テミストクレスは、文枝の貧弱な肉体にあまり満足していないようだった。ソファに座ったまま、文枝を向かい合って自分の腰の上に跨らせると、ズブリと局部を結合させ、腰を沈めさせた。

「うっ・・ああっ!」

文枝が小さく声を漏らした。

(夫以外の男に抱かれるなんて・・・それも、こんな得体の知れない白人男に・・・)

文枝は屈辱感のあまり、涙が頬を伝い始めた。

「もっと、腰を振れ!全く、使い物にならん女だ」

テミストクレスは、不満たらたらだった。文枝は、電撃が恐ろしく、騎乗位の体制で、必死に腰を、上下に動かした。

「あっ、あっ、あっ、いい・・・」

「い、痛え!そんな振り方じゃ、チンポが折れちまう!このヘタクソ!」

テミストクレスは罵倒し、文枝の顔を殴りつけた。

「あうっ!」

30分後、汗だくになったテミストクレスが、ようやく文枝の膣内に射精した時、何度も殴られた文枝の顔は赤く腫れ上がっていた。

「テミストクレス様、セックスでお疲れでしょう。冷たい母乳ジュースをどうぞ」

良枝が、冷蔵庫で冷やしていた自分の母乳ジュースをグラスに入れて運んできた。それは、そのまま飲むと酸っぱい母乳に、蜂蜜を溶かした高原家特性のジュースだった。

「先生も、どうぞ」

文枝は差し出された、母乳ジュースを朦朧とする意識で受け取り、グラスに口をつけた。ゴクリと飲み込むと、それは、よく冷えて甘く、美味しかった。

「お前も、これからは、俺様の奴隷だ。毎日学校が終わったら、この家に来て、俺様に奉仕するのだぞ」

テミストクレスがふんぞり返って、母乳ジュースを飲みながら高飛車に言った。

「私には夫がおります。毎日なんてとても無理です」

「なんだと、俺様の命令が聞けないのか!お前の生活では、奴隷としての勤めが最優先だ。支障が出るなら、その夫と離婚しろ」

「そ、そんな・・・」

文枝は、あまりの理不尽な命令に、再び泣き始めた。なんで自分は、高原玲華の家を家庭訪問しよう、などと考えたのだろう。所詮は赤の他人である不良生徒の事など、構わずに放っておけば良かったのだ。しかし、今となっては、取り返しがつかない。時間を巻き戻す事は出来ないのだ。こうして高校教師、鳥居文枝は、高原家の人々と共に、宇宙人テミストクレスの奴隷としての人生を送る羽目になった。

 

第121話、宇宙の放浪者

 

2004年、4月。地球から約3000光年離れた宙域にある惑星ゴルゴーンで、3人の地球人女性は出会った。

「これから、どうするの?」

看護婦の杉村彩子(22歳)が尋ねた。

「なんとか、この星を脱出する方法を探さなくちゃいけないわ。宇宙船を奪うしかないと思うんだけど。」

答えた陸上自衛隊1等陸士の狩野真弓(24歳)は全裸だった。

「地球に帰るのね」

「違う!この星を脱出して、ネオガイア星に向かうのよ。あたしの体内には小型の核爆弾が埋め込まれているの。あたしの体ごとネオガイア人の母星に体当たりするのよ!」

「びえええ・・・そ、そんな・・・あたし、地球に帰りたい・・・」

モゴモゴと不明瞭な口調でベソをかいているのは、新体操選手の遠藤圭織(21歳)だった。美しく、なめらかだった彼女の肢体は、今ではカニのような体に改造され、口を、自分のオマンコと肛門に直結されているため、ハッキリと喋る事が出来ないのだ。3人とも宇宙人に誘拐されて、宇宙を放浪する羽目になった、拉致被害者達だった。

「こいつ、動くの、遅いし、足手まといだから捨てていこうか?」

真弓が、地面を這っている圭織を見下して、冷たく言った。

「びえええ・・・お、お願いです、捨てないで・・・あたしも、一緒に連れて行って」

圭織は涙目で訴えた。こんな不自由な肉体で一人、見知らぬ惑星に取り残されるのは、死刑宣告に等しい。

「捨てるなんて可愛そうよ。ねえ、真弓、カニ人間さんも、連れて行ってあげましょうよ。」

心優しい彩子が、圭織をかばった。看護婦である彩子は、もともと、あまり損得を考えて行動するタイプではない。彩子は、食料品店に放置されていた手押し台車を見つけてくると、圭織の肉体をその上に引っ張り上げて、押し始めた。これで、少しは早く動ける。

「この町の宇宙港は、警備が厳しい。とりあえず、機械生命体のいない町の外へ出よう。そこで、放置されている宇宙船を探すしかないわ」

真弓が言った。真弓は、自爆テロ要員として宇宙人グレイの催眠教育を受けた際に、宇宙で役立つであろう、かなりの知識を身につけ、宇宙船の操縦方法や、武器の扱い方、機械の仕組み、銀河系の一般常識などを全てマスターしている。使える宇宙船さえ手に入れば、それを操縦して、この星を脱出するのは容易いはずだった。3人は、機械に支配された町を、郊外に向けてトボトボと歩き始めた。相変わらず、町の至る所で、奴隷化された裸の人間たちが、機械の奴隷となってこき使われている。工事用の機械にこき使われて、手作業で、道路工事をしている人間奴隷や、コンピューター制御のオートバイを3人がかりで担ぎ上げて、命令されるがままに、口でエンジン音を真似しながら、路地を走り回っている、哀れな人間奴隷もいる。

「ブルン、ブルン、ドゥルルルル・・・・・」

「モット、スピードヲ上ゲロ。ノロマナ人間ドモメ」

生身の人間が、バイクと同じスピードを出せる訳もないのだが、御主人様のオートバイは納得しないようだった。

「あの人達、可愛そうね」

横目で見ながら、彩子が言った。

「あいつらは、元々この星に入植したネオガイア星人の子孫よ。他の星では威張っていても、ここじゃ哀れな奴隷ね。かかわらない方がいいわ。先を急ぎましょう」

真弓は、機械生命体の注意を、極力惹かないよう、スタスタと道路の隅を歩いて行く。真弓と彩子は、逃亡奴隷として指名手配されている筈だ。彩子は、圭織を乗せた手押し台車を押して、真弓に必死に付いていく。

「ありがとう、彩子さん・・・」

ガタガタと振動する台車に揺られながら、圭織は、すがる様な思いで呟いていた。

 

 真弓と彩子は、町を出るまでの間になるべく、無人になった食料品店から、保存食品を集め、途中で盗んだリュックに詰め込んだ。乗り物は全てコンピューター制御で機械生命体の仲間であるため、使用する事が出来ず、徒歩で旅を続けるしかない。郊外は草原地帯が広がっており、所々に廃墟になった農園が点在していた。数週間、旅を続ける上で、問題になったのは、真弓の排泄と、圭織の流動食だった。真弓は、肛門に核爆弾を詰め込まれているため、浣腸液でウンチを液状化しないと排泄が出来ず、圭織は、外部からの食料や水を、左の鼻腔からしか摂取できない。

「うっ、お腹が苦しい。もう3日も排泄をしていないわ」

真弓は気分が悪かった。看護婦である彩子は、二人の肉体をケアする役割を、自然と引き受けることになった。

「浣腸液が見つからないなら、生水を、なるべくたくさん飲むしかないよ」

と真弓にアドバイスをした。真弓は、旅の途中で行き当たった、川の水を、お腹いっぱいガブ飲みした。しばらくすると、お腹がギュルギュルと鳴り出した。

「いい感じだわ。久しぶりにウンチが出そう」

真弓は、草むらの影で、地面にしゃがみこみ、長い間、苦しんだ末に、とうとう液状化したウンチを三日ぶりにひり出した。

「ウーン、ウーン・・・」

「その真弓のウンチを溶かして、圭織さんの食料にすればいいんだわ」

彩子のグッドアイデアだった。排泄を終えた真弓の下痢便を、さらに川の水で薄め、サラサラに液状化させたものを、チューブで圭織の左の鼻の穴から注入する。一旦、圭織の体内に取り込まれた有機物は、何度も何度も、口、胃、腸、肛門、そしてまた口と、圭織の体内を循環し、最後には完全に消滅するのだ。それが、人間循環器として改造された圭織の特殊能力だった。こうして数々の問題をクリアしながら、3人の女は数週間、荒野をさまよい続けた。しかし、目的の宇宙船はなかなか見つからなかった。

「宇宙船なんて、そう簡単に転がってないものね」

真弓がため息をついて呟いた。今夜も3人で野宿である。焚き火を囲んで、真弓と彩子が保存食品のパックを空けた時、不意に岩場の影から数人の男が飛び出してきた。

「ちっ!」

真弓が恐るべき素早さで、ジャックナイフを身構える。しかし、男達は、全員レーザー銃を構えており、抵抗する術はなかった。彼らの服装は、ボロボロのスペーススーツだった。

「動くな!動かなければ危害は加えない!我々は、人間解放軍だ!」

「人間解放軍?」

真弓が、ジャックナイフを構えたまま、警戒を崩さずに、問い返した。

「そうだ。お前たちの様子は、数日前から監視していた。我々は仲間を集めている。お前達も、人間解放軍に参加しないか?」

リーダーであるらしき男が言った。真弓はしばらく考えた。

(つまり、こいつらは、機械生命体に対する、レジスタンスって事か。よく訓練されているようだな。素人の戦闘集団ではなさそうだ)

「我々は、元ゴルゴーン星防衛軍の生き残りを中心に構成されている。もし仲間になるなら、我々の秘密基地へ案内するぞ」

(秘密基地?そこでなら、宇宙船が手に入るかもしれない)

真弓は、とっさに判断した。

「わかったわ。その、秘密基地とやらに案内して」

3人の女は、その男達に付いて行く事にした。

 

 人間解放軍と名乗る一行は、4日間、荒野を歩き続けた。機械仕掛けで動く乗り物は全く使えない。それらは、全てコンピューター制御で動いており、人間の言う事を聞かないのだ。数十キロを徒歩で踏破し、一行は、廃墟となったテーマパークのような施設にたどり着いた。

「ここは、以前、原始生活を体験出来るという、テーマパークだった。だから、元々、機械が少なく、我々の拠点として制圧するのは簡単だった。コンピューターに頼らないで生活するための道具も豊富にある」

リーダーの男が説明した。テーマパーク内では、ボロボロの服を着た人間たちが、あちこちで、焚き火を使って自炊をしている。

(解放軍というより、浮浪者の集団ね)

真弓は、嘲笑気味に考えた。この様子では、彼らが、宇宙船を所有しているとは思えない。

「我々、人間解放軍の指導者を紹介しよう」

真弓達3人は、建物の一つに案内された。そこは、比較的清潔に保たれており、電化製品さえ、置いていないものの、家具やインテリアなどの、調度品は揃っているようだ。『執務室』とネオガイア文字で書かれた部屋に通された3人は、そこにいた、40代くらいの白人女性と対面した。

「ようこそ、我々の秘密基地へ。私は、惑星ゴルゴーンの第一執政官、メドゥーサです。現在は、この、人間解放軍の最高責任者をしています」

真弓達は、順番にその女性と握手をした。ゴルゴーン星は10年前に機械の反乱よって外部との接触を断たれたため、地球再発見のニュースや、地球人の隷属化、宇宙人グレイとの確執のことなどは、全く知らない。

「あなた、変わった格好をしているわね」

メドゥーサが、地面を這っている圭織の姿を見て笑った。

「あ、あたしは、ネオガイア星宇宙軍、サイボーグ戦隊所属のサイボーグピンクです」

圭織は、初対面の相手に向かって、必死に己の存在をアピールしようとした。

「サイボーグ戦隊?そう言えば、1ヶ月ほど前、中枢コンピューターに対して、宇宙軍が、大気圏外から攻撃を仕掛けたって言う噂を聞いたわ。作戦は失敗に終わったらしいけど」

圭織は、九分九厘成功していた作戦が失敗したのは、自分のせいだとは、口が裂けても言えなかった。

「ざ、残念ながら、あたしの力が及ばず・・・」

「本国の宇宙軍の方に、仲間に加わって頂けるなんて心強いわ」

「はい、がんばります・・・」

圭織の運動能力が、その辺の子供よりも低い事も、口が裂けても言えなかった。メドゥーサは3人に、ゴルゴーン星がなぜ、このような事になったのかを、語り始めた。

「実は、あの中枢コンピューターの開発を指示したのは、私なのです。ゴルゴーン星はネオガイア人が植民した惑星の中では、もっとも機械化が進んだ惑星でした。私は、それをさらに推し進め、本星に告ぐ第二の科学と経済の拠点にしようと考えたのです」

真弓と彩子は黙って聞いていた。少しでもこの星の情報が欲しい。

「ところが、中枢コンピューターに、機械によって機械を修復し、増殖させる事の出来る機構を組み込んだ途端に、彼らは暴走を始めました。つまり、人間の手を借りなくても、自分達が、存続出来ると判断したのでしょう。その瞬間から、この星の地獄が始まりました。機械という機械、電化製品、乗り物、コンピューターが全て、軟弱な人間より、自分たちの方が、生命体として存在価値が上であると、自覚を持ったのです。衣服さえ取り上げられた、無力な人間たちは機械によってオークションで売買され、気まぐれに酷使されるだけの愛玩物に成り下がりました。機械達の生産活動に、人間は全く必要ありません。ただ、彼らは、今までのウサを晴らすために人間を奴隷化したかったのです。その結果、老人、子供をはじめ、多くの犠牲者が、弱いもの達から順番に命を落としました」

メドゥーサの声は怒りに震えているようだった。

「コンピューターの暴走を止める対抗策はないのですか?」

真弓は尋ねた。

「設計者である、私には、中枢コンピューターをフリーズさせるソフトを作成する事が出来ます。しかし、この惑星上には、現在、それをプログラミングするために、使用出来るコンピューターが一台もないのです」

「では、この惑星を飛び出して、別の惑星でソフトを作成して、また戻ってくればいいんじゃないですか?」

真弓は、話の自然な流れに沿って、カマをかけてみた。

「残念ながら、宇宙船は全て、コンピューター制御です。この近くにも、電源を落とした、私の政府専用宇宙船が1隻、不時着していますが、もう2度と飛ばす事は出来ません。」

(それだ!)

と真弓は顔を輝かせた。

「コンピューターを使わずに、手動でなら飛ばせるんじゃなくて?」

「手動で飛ばす?そんな事の出来る人間が、この惑星にいるとは思えません」

「あたしなら、出来るかも!」

真弓は自身満々だった。テロリストとなるために受けたグレイの催眠教育の中に、宇宙船のマニュアル操縦の知識もあったのだ。

 

 テーマパークの近くの密林の中に、その宇宙船は不時着していた。それほど大型の船ではないが、恒星間飛行の出来るタイプだった。不時着時の損傷も外壁に、細かい傷が入っている程度である。真弓、彩子、圭織、そしてメドゥーサと人間解放軍の選抜メンバーが、宇宙船に乗り込んだ。いよいよ、この星を脱出し、外宇宙へ飛び出すのだ。

(大丈夫。これならなんとか操縦出来そう)

コクピットのパイロットシートに収まった真弓は、コントロールパネルをチェックした。宇宙船の制御コンピューターの電源はオフにしたままである。相変わらず真弓の格好は全裸だった。解放軍の秘密基地で、衣服を手に入れる事も出来たのだが、あえて全裸で通している。自爆テロを強行しなくてはならない真弓にとって、衣服を着る事は、もう、必要のない事に思われた。

「3、2、1、0、発進!」

真弓は、エンジンの点火ボタンを押し、宇宙船は急発進をした。コンピューター制御でしか動かない反重力推進機は、マニュアル操縦では使えないため、非常用の噴射式ブースターエンジンを使っての発進である。確かにこんな芸当の出来るネオガイア人パイロットはどこにもいない。全て手動であるため、真弓の両手、両足は、阿修羅のように、めまぐるしく、コクピットのレバー、ペダル、ボタン、ダイヤルを操作する。まさに神業だった。

「どうやったら、あんな事が出来るんだ!」

元ゴルゴーン防衛軍の宇宙船パイロットだった男も驚嘆していた。これは、グレイの催眠教育を受けたからこそ出来る芸当だ。数十秒後、宇宙船は無事大気圏を脱出し、戦闘衛星の攻撃もかわして、ゴルゴーン星域から離脱した。

「最短距離で、一番近くのネオガイア人の住む、植民星へと行きましょう」

メドゥーサが提案した。中枢コンピューターのウイルスに侵されていない、家庭用のコンピューター端末が一台あれば、凍結ソフトをプログラミングする事が出来る。

「駄目です。ネオガイア本星へ向かいます。その方が確実です!」

真弓は、断固として譲らなかった。操縦権を真弓が握っているため、誰も強靭に反論する事が出来ない。まさか、真弓が宇宙船ごと、ネオガイア星に体当たりしようと考えていようなどとは、解放軍の誰も夢にも思わなかった。

(びええええ・・・)

真弓の真の目的を知っている圭織は、恐怖して、ただただ震えていた。

 

第122話、美男オークション

 

2006年7月。ビデオ制作会社社長、東条志津子(37歳)の元に1通の招待状が届いた。それは、ネオガイア星企業、ソロングループの下請け会社が主催する秘密クラブの入会案内書だった。

「えーと、当クラブは、日本での治外法権条約の適用を受けているため、法律には一切、縛られません。お金を持て余していらっしゃる女性経営者や、政治家、タレントなど社会的地位の高い御婦人のための秘密クラブです・・・なにこれ」

封筒を開けて目を通した、志津子は好奇心に駆られた。最近、女性向けAVの大当たりで、会社の業績が飛躍的に伸びている。第一弾の『プロ野球選手、恥辱調教』に続き、十数本がリリースされ、ネット通販を中心に爆発的な売れ行きを見せていた。彼女の名は、業界では一躍有名になっている。

「当クラブでは、ネオガイア星人によって誘拐されてきた、ハンサムアナウンサー、男性モデル、警官、男子大学生、一流企業のヤングサラリーマンなどの人身売買を行っています。ぜひ、あなたも当クラブの会員になって、一度オークションに参加してみませんか・・・だって!面白そう」

志津子は、キラキラと目を輝かせた。もともと性欲は強い方で、若い美男子には目が無い。志津子は、案内状に記されているコールセンターに電話をし、イタズラではない事を入念にチェックしてから、返信用封筒で、入会申込書を返信した。そして、秘密クラブのオフィシャルサイトで、次回の美男子オークションの日時と場所を確認すると、次の週末にゴールドクラスのクレジットカードを財布に入れて、オークションが行われる予定の会場へと向かった。

 

 会場は、都内の某ホテルの大広間だった。このホテルは、去年ネオガイア星企業の傘下に入ったJAM航空の関連会社で、治外法権の適用を受けている。会場には、有名な女性経営者や、女性議員、大物女優の姿があった。日本女性新党の党首、千葉節子の姿もある。

(女性の権利、女性の地位の向上って、金で男を買う事なのね・・・)

志津子は皮肉に思った。しかし、今日は志津子も楽しむために来たのだ。他人を批判している場合ではない。志津子が座ったテーブルには、豪華なワインや料理が運ばれてくる。手元には受付で配られた小型端末が握られている。これに、落札価格を入力して競り合うのだ。志津子が期待に胸を膨らませてワイングラスを傾けていると、やがてマイクを持った司会者が一段高くなったステージ上に現れた。

「本日は、お仕事もお忙しい中、当クラブのオークションに御参加頂きまして真にありがとうございます」

それまでザワついていた、会場のセレブな女性客達が、水を打ったように静まり返り、司会者の次の言葉を待つ。いずれも30代から50代までの脂ギッシュな女性ばかりである。

「では、簡単にオークションのルールを御説明させて頂きます。出品されます男性の最低落札価格は、10万円からといたします。男性の首には、ネオガイア製の奴隷管理用の首輪が装着されておりまして、落札された方は、文字通り、その男性を奴隷として所有することが法律的に認められます。生かすも殺すも、転売なさるのも所有者の自由でございます。まず、出品男性がステージに登場いたしましたら、様々な御質問の受付や、ステージ上で出来うる限りのデモンストレーションの御要望にお答えいたします。」

最初の出品男性が、係員に誘導されてステージに上がってきた。首に装着された首輪以外は特に拘束されている訳でもなく、服装は背広にワイシャツ、ネクタイというサラリーマン風である。年齢は若く、かなりのイケメンだった。

「石田哲也、24歳。先週まで、半導体メーカーの営業部に所属していました。入社2年目でした」

出品男性が、明るく笑顔で自己紹介をした。商品価値を上げるため、愛想を振りまくように主催者から指示をされているのだ。志津子の手元にある端末の液晶画面に、出身地、生年月日、血液型、家族構成、学歴などの個人情報が事細かに表示される。

(ふーん、いい大学出てるのね。スポーツマンみたいだし、裸にしたら、結構、筋肉質かもね)

「彼女はいるの?」

「はい、拉致される先週までは、いました・・・」

「今まで、何人の女とセックスした?」

「2人・・・です」

「男とHした事は?」

「ありません!」

遠慮のない質問が、次々と出品男性にぶつけられていく。どのような質問にも、答えを拒む事は出来ない。

「体をもっと隅々まで良く見たいわ。」

「はい、では裸になります」

哲也は、上着を脱ぎ、ネクタイを解いた。そしてズボンのベルトを外し、ワイシャツとズボンを脱ぐ。ギラついた、欲望丸出しの、女性達の前で裸になるという行為に、哲也は、恥ずかしさのあまり、顔を紅潮させた。しかし、拒否する事は出来ないと、事前に、散々言い含められている。断れば、恐ろしい電気ショックを、従うまで、無限に味わう事になるのだ。パンツと、シャツを脱ぎ捨てた哲也は、ステージ上に全裸で仁王立ちになった。

「おおっ、以外に逞しいわね」

「いい、体だわ。でもチンチンが萎んでるじゃない」

「勃起させてよ。大きさが判らないわ!」

あまりの恥ずかしさに、すっかり萎縮してしまっている自分のチンポを、哲也は右手で握り締めると、必死に擦り始めた。汗が、額から流れ落ちる。言われた以上、勃起させなければ、電気ショックを受ける羽目になるのだ。ようやく勃起させたチンポは、それほど大きくはなかった。

「事前の身体検査では、チン長は、16センチと測定されております」

司会者が、場の空気を持たせようと、フォローを入れた。

「16センチ・・・まあまあね。日本人にしては、大きい方じゃない?」

「16センチもあるようには、見えないけどなあ」

「グルッと回転してみて。そう、3回、回ってワンって鳴くのよ」

哲也は、女性客に言われるがままに、ステージ上で3回転し、正面を向くと「ワン」と鳴いた。惨めだった。

「キャハハハハ、本当に鳴いたわ。バッカみたい」

「ねえ、後ろを向いて、肛門を開けて見せてよ。太いバイブが挿入出来るかどうか、知りたいのよ」

哲也は、後ろ向きになり、御尻を突き出して、指で肛門を広げようとした。しかし、今までの人生で、肛門にバイブなど入れた事が、あるはずもない。キュッと締まった肛門を広げるのは簡単な事ではなく、顔が苦痛に歪んだ。客の要望を耳にした係員が、お盆にバイブとローションを載せてステージ上に運んできた。哲也は、バイブの先にローションをたっぷり塗り付けると、自分の手で、肛門にねじ込もうとした。

「あっ、痛っ!」

脂汗が全身から流れ落ちた。生まれて初めて、バイブを肛門に挿入したのだ。鋭い痛みと共に、肛門が裂け、血が流れた。

「あううっ!」

「あっ、切れたんじゃない?血が出てるわ・・・あーあ商品が傷物になっちゃった」

司会者は少し慌てたようだった。落札価格が下がれば、オークションの儲けが少なくなる。

「他に御質問はございませんか?」

「オシッコは飲めるの?」

「飲んだ事は、ありませんが、御命令なら、頑張って飲みます」

「じゃあ、ウンチは食べれる?」

「そ、それも、御命令でしたら・・・」

「クンニは得意?」

「得意、と言うほどでも・・・」

哲也は、肛門にバイブを突っ込み、血を流しながら、次々と質問に答えて言った。

「では、そろそろ、質問を打ち切らせて頂いてよろしいでしょうか?いよいよ落札タイムに参ります。お手元の端末を御用意下さい。」

司会者が、声を張り上げ、会場は静まり返った。出品男性は、誘拐された時点でパイプカット手術をされているため、セックスをしても妊娠の危険はない。合図と共に、ステージ上の電光板の数字が、目まぐるしく上がり始めた。10万円からスタートしたプライスは、あっという間に100万円を超える。競りに参加している女性は、金持ちばかりで、自分が欲しい物には、金を厭わないタイプばかりだ。初めての事なので、志津子は、今回、競りには参加せずに、成り行きを見守っていた。

(いくらぐらいで、競り落とされるのだろう)

これは、ゲームや遊びではなく、本当の人身売買なのだ。競り落とされた男は、表の社会から消え、死ぬまで所有者のセックスのオモチャになる運命だ。やがて電光板の数字が345万円で動かなくなり、十数秒が経過した。

「他に、誰もおられませんか?」

司会者が、確認をする。そして、しばしの沈黙の後、石田哲也の所有者が決まった。

「石田哲也、24歳、会社員。345万円で、ハンマープライス!」

司会者が宣言し、全裸の哲也が唇を噛締めて、うなだれた。落札したのは、都内に住む40代の女性弁護士だった。哲也は、オークション終了後に、所定の日時と場所に、等身大のケースに入れられて配達される事になる。緊張の解けた志津子は、テーブルの上のワインをもう一杯傾けた。

(今日の出品男性は、粒ぞろいの15人ってパンフレットに書いてあるわ。345万円か・・・それぐらいなら大した金額じゃないし、あたしも、一人落札してみようかしら)

志津子は、セレブな気分に浸りながら、夢見心地で考えた。

 

 その日のオークションの最高落札者は、1742万円で落札されたアイドルタレントだった。イケメンの男性タレントばかりの芸能プロダクションに所属する、その男性は、誰もが知っている国民的アイドルである。落札したのは、大手化粧品会社を経営する50代の女性社長だった。志津子自身は、14人目に出品された、20歳の男子大学生を、127万円のお手ごろ価格で落札した。一流大学の法学部で、将来弁護士を目指していたという。

(あたしは、擦れた芸能人よりも、初心な若い、男子大学生の方が好きだわ)

その男子大学生に志津子は、落札する前のパフォーマンスタイムで、ステージ上で流行歌を歌わせたり、芸能人のモノマネをさせたりした。そのしどろもどろなリアクションと、フレッシュな雰囲気のギャップがたまらなく良かったので購入を決めたのだ。

(フフフ、楽しみだわ。どういう風に弄んであげようかしら)

志津子は、期待にワクワクと胸を弾ませながら、商品の送り先に、自宅である都内の高級マンションと、配達時刻を指定すると、会場を後にした。そして二日後の夜、胸をときめかせながら、待っていると、等身大の棺桶のようなケースに入った男子大学生が夜間指定の宅配便で自宅に送られてきた。宅配業者の受取書にサインをした志津子が梱包を解くと、丸二日間、全裸でケースの中に閉じ込められていた男子大学生は、全身汗びっしょりで憔悴しきっていた。

「渡部則之君、だったわね」

「はい、そうです。今日から志津子様に奴隷として誠心誠意お仕えいたします。どうかよろしくお願いします」

志津子は、則之の顎の下を犬でも可愛がるかのように撫で回した。

「可愛いわね。飽きたら、容赦なく転売しちゃうから、あたしを飽きさせない様に精一杯がんばるのよ」

「はい、捨てられないように、どんな御命令にも、死ぬ気で御奉仕いたします」

則之の首には、奴隷管理用の首輪が嵌められていた。それが唯一、則之の所有物なのだ。

「咽喉、渇いてる?」

「はい、昨日、宅配用に梱包されてから、一滴も水を飲んでおりません」

「そう、じゃあ、まず、あなたにとっておきの飲み物をご馳走してあげるわ。床に仰向けになって寝転びなさい」

「はいっ、ありがとうございますっ!」

則之は、機敏な動作で、言われた通り、仰向けにその場に横たわった。志津子は、スカートの下に手を入れてパンティを下ろし、則之の顔の上にしゃがみこんだ。

「よーく、味わって飲むのよ。一滴もこぼさずにね!」

志津子の股間の割れ目から、この時のために溜め込んでいたオシッコが勢い良くほとばしった。2時間前、会社を出た直後ぐらいから我慢していたのだ。則之は口からあふれ出て来そうになるオシッコを、ゴクゴクと懸命に飲み下す。汗を凝縮したような濃い聖水の味に、則之の自律神経が無意識に吐き戻そうとするのを、強い意思の力で必死に押さえ込まなくてはならなかった。

「どう?美味しい?」

「はい、とっても美味しいです」

(携帯用トイレとして、連れて歩けば便利かもね)

志津子は、放尿時の快感の余韻に浸りながら考えた。男性のように気軽にタチションが出来ない女性にとって、外出先でトイレを探すのは結構大変なのだ。

(あたしの会社のビデオにも出演させようかしら。メチャクチャ悲惨なシーンでも、あたしが所有権を握っている奴隷なら遠慮なく、やらせる事が出来るし)

則之を購入するために127万円も浪費したのだ。元を取らなくてはならない。経営者としての志津子の頭脳が目まぐるしく回転した。

 

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