第117話、ピンクと爆弾女

 

地球暦、2004年3月、ネオガイア星宇宙軍は、宇宙母艦オリンポスの地球攻撃と平行してゴルゴーン星奪回作戦を展開した。地球人サイボーグ5体による奇襲作戦は成功し、ゴルゴーン星の全ての機能は一旦停止したのだが、その直後、間違って中枢コンピューターの再起動スイッチを押してしまった馬鹿者がいた。

「びえええ」

取り返しの付かない失敗をしでかしてしまった遠藤圭織(21歳)ことサイボーグピンクは、コンピュータールームの隅で、ただただ震えていた。

(どうしよう、逃げなくちゃ)

圭織は、背中のキャタピラを動かしてコンピュータールームから逃げ出した。人間循環器として改造された圭織の体は、極限まで折りたたまれ、口を、オマンコとアナルに接着されて蟹のような姿になっている。手足を使っての移動は困難で、背中のキャタピラを使ってゆっくりと動く事しか出来ない。

(武器は、無くなっちゃったし、とにかく地上に出なくちゃ。このままじゃ、飢え死にしてしまうわ)

最後に食物を口にしたのは何日前か判らない。人間循環器である圭織は、自分の尿やウンチなどの排泄物を無限にリサイクルすることで、ある程度の期間、生きながらえる事が出来るが、それでも、外部から新しい食料を少しずつ供給しないと、いつかは栄養失調になってしまう。圭織は、何日も、地下通路をさまよった挙句、やっとエレベーターを見つけ、地上へ脱出する事に成功した。

「咽喉が渇いたわ。水・・・水を頂戴・・・」

圭織は意識を朦朧とさせながら、さらに何日間も、荒廃したゴルゴーンの都市をさ迷った。地上では機能を回復したロボットや、全自動の電化製品達が活力を取り戻し、再び生き残った5億人の人間奴隷を支配下に置いていた。異様な姿のサイボーグである圭織は機械達にも全く無視され、道路を這い回る事を黙認されているようだった。

「あっ、オマンコ、自分で舐めるの、気持ちいい!」

生きる気力が無くなりかけると、圭織はセルフクンニをして自分を慰めた。地球で新体操の選手をしていた頃は、自分の体の柔軟さを利用してセルフクンニをしようなどとは、夢にも考えなかったのだが。

「ああ、でも、もう限界・・・自分のオシッコだけじゃ足りないわ。量が減って味もどんどん濃くなってきているし。そろそろ、自分の体以外から水分を補給しなくちゃ・・」

その時、遠くから、若い女性の声が聞こえてきた。

「ジュースはいりませんかあ!どなたかジュースを買ってくださーい!冷たくて美味しいジュースですよお」

圭織は、わが耳を疑ったが、すぐに返事をした。

「ジュース下さーい!こっちですう、ジュース下さーい!」

手にジュースを山ほど抱えてやってきたのは、なぜか白衣を着た、若い地球のナースだった。そのナース、杉村彩子(22歳)は、異様な格好で地面を這い回っている圭織を見下すように眺めた。

「ありがとうございます、一本100タラントです」

「えっ、お金がいるの?あたし、一円も持っていないわ」

「それでは、ジュースをお売りする事は出来ません。」

「そ、そんな・・・あたし、咽喉が渇いて死にそうなのよ。お願い、ジュースを飲ませて」

圭織は必死に懇願した。しかし彩子は冷たく断った。

「無料でジュースを上げたりしたら、あたしが、御主人様の自動販売機にどんなお仕置きをされるかわかりません」

「じゃあ、ジュースじゃなくて、あなたのオシッコでいいから飲ませてよ」

圭織は、恥も外聞もなく頼み込んだ。これ以上、水分の補給が無ければ干からびて死んでしまう。あまりの圭織のしつこさに、とうとう彩子は承諾した。

「どこから、飲ませればいいの。あなたの口は塞がっているわよ」

「左の鼻の穴にこのチューブを差込んで頂戴」

圭織は背中のバッグから食料摂取用のチューブ付透明パックを取り出した。まず透明のパックにオシッコを放出してもらい、チューブを通して左の鼻の穴から体内に注入するのだ。圭織の口と、右の鼻の穴は、圭織自身の肛門と尿道に繋がれているため、左の鼻腔だけが唯一、外部から水分や食料を摂取出来るのだ。彩子は、しゃがんで透明パックにシャーッと勢い良くオシッコを放出した。アンモニア臭い黄色の液体はチューブを通して、左の鼻腔から圭織の体内へと注入されていく。圭織は、凝縮された自分のオシッコではない、薄い他人のオシッコで、久しぶりに咽喉を潤し、まさに生き返る思いだった。

 

「あなた日本人?」

咽喉をうるおして気分が落ち着いた圭織は、ナース姿の彩子に尋ねた。

「そうよ」

と、彩子がネオガイア語ではなく、日本語で答えた。彩子は、まじまじと、極限まで捻じ曲げられた圭織の肉体を、不気味そうに眺めた。

「あなたも日本人なの?」

「ええ、あたしの名前は遠藤圭織、宇宙人に捕まってこんな体に改造されちゃったの・・・でも3ヶ月前までは、オリンピックを目指す、新体操の選手だったのよ」

圭織は悲しげに自己紹介をした。元の肉体に戻れる可能性はあるのだろうか?

「ここは一体どこなの?あたしも宇宙人に誘拐されたみたいなんだけど、何がなんだかわからないわ。気がついたら、ここで自動販売機にこき使われていたのよ」

「自動販売機?・・・ここは、地球から3000光年離れた惑星ゴルゴーンよ。ここの支配者は機械生命体で、人間はその奴隷になっているの。あたし達サイボーグ戦隊は、機械から人間を解放するためにこの星に送り込まれたのよ。・・・でも、作戦は、失敗したみたいだけど」

他人事にように圭織は言った。実は作戦は九割九分まで成功していたのだ。それを失敗させて、宇宙艦隊に多くの犠牲者を出してしまったのは、ただただ圭織の責任だった。

(まずいわ。帰ったらどんな御仕置きをされるか、わからない・・・逃げなきゃ)

圭織の脳内に埋め込まれているコンピューターチップは、機械生命体の捕虜になった時、無効化され、宇宙人からの通信や遠隔操作は、受けつけなくなっているようだった。

「この星から脱出したいの、どうすればいいのかしら」

圭織は、彩子に相談した。

「そんな事あたしに聞かれても・・・それに逃げたら、ご主人様の自動販売機にどんな目に合わされるかわからないわ」

別に彩子は、物理的にコンピューター制御の自動販売機に拘束されている訳ではない。逃げようと思えばいつでも逃げられるのだが、気の弱い彩子は、決断がつかず、今まで、なんとなく言いなりになっていたのだ。見知らぬ惑星で、逃げた後どうすればいいのかも、判らなかった。

(こんな時、真弓がいてくれたら・・・)

彩子は、一緒に宇宙戦闘機をかっぱらって、ゴルゴーンに不時着した全裸の女の事を思い出した。彼女は元自衛隊員だとか言っていた。

「実は、もう一人、日本人がこの星にいるはずなんです」

彩子は、圭織に真弓の事を話した。

「その人も探し出しましょう。頼りになりそうだわ。3人で宇宙船をかっぱらって、この星から脱出するのよ」

圭織と彩子は、行方不明の真弓を探すことにした。

「このジュース、どうしようかしら」

彩子が両腕いっぱいに抱えたジュースの始末に困って言った。自動販売機に全部売り切るまで帰って来るなと言われている。

「そんなの、貰っとけばいいじゃん」

「・・・・」

圭織と彩子が、真弓を探すために歩き出してしばらくすると、遠くから電子音のような声が聞こえてきた。

「待テ、ドコヘ行ク!彩子、逃ゲルノカ。許サンゾ。ジュースヲ返セ!」

御主人様の自動販売機だった。もの凄いスピードで追いかけてくる。彩子は悲鳴を上げて走り出したが、圭織の移動スピードは、子供の歩くスピードより遅いため、すぐに追いつかれそうだった。

(どうしよう、武器もないし)

彩子に置いてけぼりにされた圭織は途方にくれた。両足に取り付けられていた中古のレーザー砲は捕虜になっていた時、もぎ取られている。なす術もなく自動販売機に追いつかれた圭織は、触手のような電気線でぐるぐる巻きにされた。

「オ前ハ人間カ?機械カ?」

「人間よ。って言いたいところだけど、違うわ。サイボーグよ」

「サイボーグダト・・・ヨクモ、私ノ人間奴隷ヲ、逃ガシタナ。コレデモ食ラエ!」

自動販売機に内臓されているバッテリーから、電気線を伝わって、高圧電流が圭織の肉体に流された。

「ぎゃおおおおおおっ!」

圭織が自分のオマンコと肛門で塞がれた口で、絶叫した。

「コレカラハ、オ前ガ私ノ奴隷ダ。逃ゲタ彩子ノ代ワリニ、ジュースヲ売ルノダ!」

「ぎゃおおおおおおっ!」

怒り狂った自動販売機の電撃は、それから数十分間止められる事はなかった。

 

 狩野真弓が、再び機械生命体に捕らえられ、セックス奴隷としてロボット相手の風俗店で働かされ始めてから3ヶ月が過ぎていた。疲れを知らないロボットのセックスの相手をしていた真弓のオマンコは、セックスの度に、ボロボロに擦り切れて出血し、その度に細胞回復促進剤で治療されていたが、最近では、薬品を多用し過ぎたため、オマンコの形が、変形してきていた。

(こんなにビラビラが大きくなり、クリトリスが平たくなってきちゃったわ。膣の内側の粘膜も、なんだか硬くなって突っ張ってきちゃったし、色も変だわ)

真弓が、一日の仕事が終わった後、ベッドで自分のオマンコを覗き込んで憂鬱な気分になった。

「アナルセックスモ出来ナイ出来損ナイメ!」

真弓は、上司であるコンピューター制御の特大バイブレーターにいつも叱責されていた。真弓の肛門には、宇宙人グレイに埋め込まれた卵大の小型核爆弾が、今も取り出せずに残っており、そのためアナルセックスや排便が思うように出来ないのだ。その埋め合わせのために、毎日過酷なフェラチオ特訓が行われ、真弓は唇や舌の粘膜も擦り切れて出血することが多かった。

(早く、こんな所から脱出しなくっちゃ。そして宇宙船をかっぱらってこの星を脱出し、そして・・・そして・・・)

真弓は、真相意識からある衝動が込み上げてくるのを抑えきれなくなっていた。

(そして・・・ネオガイア星に体当たりして自爆するのよ!)

それは、グレイの犯罪者、ギ・アン・ガスによって催眠暗示装置で心の奥深くに刷り込まれた命令だった。真弓が死ぬまで、その衝動から逃れる事は出来ない。真弓は、地球で面子をつぶされたギ・アン・ガスの、ネオガイア星人への嫌がらせのための道具なのだ。体内の核爆弾はその時のためのものである。

(なんとか、この星を脱出して、自爆するために、ネオガイア星に向かわなくては!)

真弓は、日夜、脱出の機会を伺っていた。そしてついに、そのチャンスが訪れた。

「爆発音が聞こえる。間違いないわ。この星で、何か異変が起きている・・・」

それは、サイボーグ戦隊5体の降下作戦の始まりだった。そして数時間の激しい戦いの末、ゴルゴーンの中枢コンピューターが停止し、一時全ての機械生命体がその機能を停止した。

「チャンスだ!」

何の迷いもなく真弓は、3ヶ月間こき使われた風俗店から、誰にも阻止されずに、あっさりと逃亡した。その際、今まで散々辱めを受けた、上司の特大バイブレーターに椅子を叩きつけて破壊する事も忘れなかった。

 

 真弓は、以前のように下水道で逃亡生活を始めた。最初は宇宙船をかっぱらうために、宇宙港を目指したのだが、いきなり、機械生命体達が、制御を取り戻して、復活したため断念したのだ。

(くそっ、もう少しだったのに!)

真弓は時々、地上に出て、機械達の目を盗みながら、食料品を漁った。

「ジュース、入りませんかあ!」

ある日、真弓は、道端で異様な生物に遭遇した。それは、彩子に代わって自動販売機の奴隷となった遠藤圭織だった。カニのように折り曲げられた体の、仰向けになった腹と太腿の上に何本ものジュースを抱えている。真弓はその、惨めな姿に同情したが、無造作に圭織の腹の上からジュースを1本ひったくると、蓋を開口して、ゴクゴクと飲み下した。

「おいしかったわ」

そして、そのまま、立ち去ろうとした時、圭織が泣きそうになりながら、呼び止めた。

「あの、一本100タラントです。お代金を支払って下さい・・・」

「うるさいわね。そんなもの持ってるわけないじゃない。じゃあね!哀れなカニ人間さん」

真弓はスタスタと歩き出した。時速2キロでしか移動できない圭織が、普通に歩く人間に追いつく事は、絶対に不可能である。

「びえええ」

圭織が自分の体の惨めさに、泣き始めた時、路地の影から杉村彩子が飛び出してきた。

「真弓!」

彩子は、自動販売機から逃げ出した後、一人では行く当てがないため、いつも、そっと影から圭織の様子を見守っていたのだ。

「あ・・・彩子」

真弓もナース姿の彩子の事を覚えているようだった。宇宙人に拉致された3人の女は、遠い惑星ゴルゴーンで出会いを果たした。

 

第118話、人妻肉処刑

 

1999年5月、神奈川県にある広域暴力団、真藤組の事務所の地下室では、人妻、片桐久美子の調教が行われていた。3歳になる娘の綾香と共に拉致されてきた美しい人妻は、まだ27歳と言う若さにあふれる肉体を、暴力団員達の前に惜し気もなく晒している。

「へっへっへっ、奥さん、随分と色気が出てきたじゃねえか。」

組幹部の黒川晃次が、久美子の白い尻をピシャリと叩いて言った。久美子は歯を食いしばって顔を赤らめるばかりである。久美子の着衣と言えば、赤フンドシ一枚で、接待やショーの時に着せられる、様々なコスプレを除けば、それが久美子に許される唯一の着衣だった。

「全く、フンドシの良く似合う奥さんだぜ」

黒川は加えタバコの煙を、フーッと久美子の顔に吹き付けた。

「げほっ、げほっ」

「旦那が帰国して、奥さんの捜索願いを出したみたいだよ」

「えっ」

久美子は、微かな希望を胸に抱いた。ニューヨークへ出張中の夫が帰国し、妻と娘が、行方不明になっている異常事態に、大騒ぎしている姿が目に浮かぶようだった。

「まっ、だからって奥さんがここに居る事は、誰にも判かりゃあしないがね。身代金の要求とか、一切してねえんだから」

「お願い、娘だけでも自由にしてあげて」

久美子は涙ながらに訴えた。

「駄目だ。そんな事をしたら、すぐに足がつくじゃねえか。心配しなくても綾香ちゃんは、組で大事に育ててやるよ。成長すれば奥さんに似て、相当な美人になるだろうからな」

「ひいっ、娘にだけは手を出さないで・・・あたしは、どうなってもいいから!」

久美子の取り乱しようは、ただ事ではなかった。黒髪を振り乱し、黒川に掴みかかろうとする。黒川は、久美子の顔に平手打ちを食らわせ大人しくさせた。

「世話を焼かせるんじゃねえ!大人しくしてねえと、母娘共々、外国へ売り払っちまうぞ!」

「ひいいっ!」

久美子はその場にへたり込み、シクシクと大粒の涙をコンクリートの床に落とした。

「奥さん、朝飯だよ。今日もキツイ責めがあるから、栄養つけな」

調教師の鬼頭がトレイに乗せた朝食を運んできた。朝からウナギ丼に生卵というメニューである。デザートには強力なドリンク剤も1本つけられている。

「このウナギは昨日、調教に使った奴だ。覚えているだろう?奥さんがオマンコに挿入して悶えていたあのウナギだよ。そしてこの卵は、昨日の最後のショーで奥さんが、鶏のマネをして、コケコッコーって叫びながら、アナルからヒリ出したあの卵だよ」

久美子は、恥ずかしさのあまり食欲どころではなかった。しかし、娘の安全を考えると食事を拒否することは出来ない。今日は一体、どんな責めを受けて、何回気をやらされるのだろうと、食事をしながら漠然と考えた。やがて、食事を終えると、久美子は黒川達に、その日の最初の調教を受けるために拷問部屋へと引っ立てられた。そこには組長の真藤登と、クマのぬいぐるみを抱きかかえた娘の綾香がいた。

「綾香ちゃん!無事だったのね!」

久美子は、思わず娘に駆け寄り抱きしめた。娘に会うのは拉致されて以来、1ヶ月ぶりである。特に虐待を受けている風でもないようで、久美子はホッとし、安堵のあまり涙が流れ落ちた。

「ねえ、ママ、泣いてるの?どうしてママ、裸なの?」

無邪気に綾香が尋ねた。

「これはね・・・これはね・・・綾香ちゃん、ママのお仕事なの・・・そんな事より、綾香ちゃん、この人達に酷い事されなかった?」

「人聞きの悪いこと言うたらあかん。いくらわしらが、極道でも幼児には手を出さへんで」

真藤組長が、関西弁でたしなめた。ドスの聞いた声だった。

「もっとも、奥さんが、これからも大人しく、わしらの調教を受け入れいれていればの、話やけどなあ」

「ううっ!何でもします。何でもしますから娘にだけは手を出さないで・・・」

「ええ心掛けや。では早速、今日の調教を始めようか。わし、この2,3日忙しゅうて、女を抱いとらへんのや。今日は、子供の前で思いっ切りヒーヒー言わしたるで」

「えっ、そんな・・・綾香の前で・・・それだけは・・・」

久美子はパニックになった。綾香の前で、男達にいたぶられるのは初めてである。

「今、何でもするって言うたやないか!」

「でも・・・」

「お母さん、どうしたの?」

綾香が尋ねた。久美子は我に返って必死に首を横に振る。ここで取り乱してはいけない。娘を守るためには、自分を犠牲にするしかないのだ。

「何でもないのよ、綾香ちゃん。ママこれから、このオジサン達とお仕事をするの。これは、お仕事だから、何があっても、決して泣いちゃだめよ」

「うん、判ったママ」

「ほな、早速、足を広げな」

「はい、御主人様・・・」

久美子は唯一の着衣である赤フンドシの紐を解き、ハラリと床に落として全裸になると、両脚を一杯に開いて、真藤組長に、匂い立つようなオマンコを差し出した。

 

「おねだりは、どうした?自分から組長におねだりするんだよ。うんと色っぽくな!」

黒川が叱責した。久美子は、綾香の方をうしろめたそうに横目で見ながら、意を決すると目一杯甘い声を出した。

「ねえ、御主人さまあ。久美子、オマンコが疼いてしょうがないのよお。久美子のいやらしい体を、いじくりまわしてえん」

久美子は、身をクネクネとよじらせた。見物していた黒川と鬼頭が大爆笑する。綾香もなぜか、釣られてケラケラと笑った。

「こら、傑作や。奥さん、ええぞ。その調子や。もっと色っぽくアレンジするんや。ケツの穴も見せんかい!」

真藤組長も乗ってきた。久美子は、惨めさのあまり目に涙を浮かべながら、後ろ向きになって腰を突き出すと、右手の指で尻の穴を広げて見せる。

「久美子、御尻の穴も疼くのよお。久美子、人妻なのに変態なの。ふっといチンポ入れてちょうだあい・・・オ・ネ・ガ・イ」

おねだりしながらも、久美子の顔は引きつっていた。真藤組長は大興奮だった。

「うおおおお、たまらんでえ!綺麗な顔した人妻が、いやらしい言葉で誘ってきよる」

真藤組長はズボンとパンツを下ろすと、バックから久美子のオマンコにズブリと挿入した。毎日、責苛まれ、色情狂に近い状態に追い込まれていた久美子のオマンコは、すでにヌルヌルだった。

「もっと卑猥な言葉を叫び続けるんや」

「久美子のオマンコはグッチョグチョ・・・男の人無しでは生きていけない体なのお。久美子の淫乱マンコを滅茶苦茶にしてえ。ねえ、お願い、オッパイも揉んでよお。最近、久美子、すぐにイッちゃうのよお」

この一ヶ月間の調教で鬼頭から教え込まれたセリフを、次から次へと、泣きながら叫び続ける。すぐ傍で、ぬいぐるみを持ったまま、目を丸くして見つめている綾香の視線が気になって、気が狂いそうだった。

「へへへ、いくらでも、揉んだるでえ。どうや、子供の見ている前で犯される気分は?・・・奥さんの二人目の子供は、わしが孕ませたる!」

真藤組長は、そう豪語すると、久美子の子宮の奥深くに精液をほとばしらせた。

「ああ、気持ちよかった。黒川、次、お前犯せ」

「へい、組長」

ぐったりした久美子を、休ませることなく、黒川が抱き起こした。パンパンと久美子の頬に平手打ちをして気合を入れる。綾香がようやく、母親がいたぶられている事に気付いて泣き始めた。

「エーン、エーン!ママ!」

「うるせえ!このクソガキ!」

「怖いよう、ママ。綾香、お家に帰りたいよう!」

3歳の女の子は、一旦、泣き始めると、火が付いたように泣き止まなくなった。

「綾香ちゃん、我慢して!泣いちゃ駄目よ。ママも頑張るから」

久美子が必死に声をかける。暴力団員たちを刺激して、彼らが怒りに見境を無くしたら、何をしでかすかわからない。

「ねえ、ほら、綾香ちゃん。ママ、このオジサン達と『仲良し』しているだけなのよ。だから、ほら、笑って!お願い・・・」

「じゃあ、お次は、浣腸しながら犯すとするかね」

黒川はバケツ一杯のグリセリン溶液と、巨大な浣腸器を持ち出した。

「俺がイクまで、ウンチを我慢するんだぞ。もし我慢出来なかったら娘がどうなるか、説明しなくても判ってるな。あーん?」

「ひっ!」

久美子は、一升瓶ほどの太さの浣腸器を見て悲鳴を上げた。まさに地獄だった。

 

公安調査官の城山朋子(24歳)は、神奈川県のベッドタウンにある住宅街を訪れた。一般のサラリーマンが、ローンで購入するどこにでもあるような、建売住宅が立ち並んでいる。その中の一つ、『片桐』という表札のかかった家の前で立ち止まると、チャイムを鳴らした。

『どちら様ですか?』

男の声だった。

「公安の城山と申します。奥さんの事でお話があります」

ドアを開けたのは、30代前半のごく普通の、マイホームパパと言った感じの男だった。久美子の夫の、片桐秀雄(33歳)である。妻と娘が行方不明になってからというもの、会社に行っても仕事が手につかず、この頃、休みがちだった。見るからに憔悴しきっている。

「妻が見つかったのですか?」

「いえ、残念ながら。・・・ですが、いくつかの手掛かりを掴みました」

「妻と娘は、無事なのですか!」

必死に、家族の安否を気遣う夫の姿を、朋子は、気の毒でたまらなくなった。

「おそらく・・・現在の所、命に別状はないかと」

「どこにいるのです?お願いします、教えて下さい!」

朋子は、この男に真実を話そうか、どうかと迷った。潜入したまま、戻って来ない、同僚の白木雪絵の情報を探るうちに、真藤組内部の情報提供者から、雪絵と共に過酷な調教を受けている、拉致された人妻の存在を掴んだのだ。すぐに、警察に、捜索願いが出されている行方不明者リストと突合せ、その人妻が、片桐久美子であると特定した。

「おそらく奥様は、現在、神奈川県内に地盤を持つ暴力団、真藤組に監禁されています」

朋子が居場所を教えたのは、少しでも、この夫を安心させようと言う心遣いからだった。

「なら、すぐ救出してくださいよ!」

「そうもいきません。警察が動くだけの、はっきりした証拠がないのです。この情報もまだ、きちんとした裏づけが取れているわけではありません」

「そんな!こうしている間にも、妻と娘はどんな目に合わされているかわからないのですよ!もし、殺されたりしたら、どう責任を取ってくれるのです!」

朋子には返す言葉がなかった。公安が掴んでいる情報は、この段階では、非合法なもので証拠能力を持たない。また朋子の属する公安調査庁は警察ではないため、犯罪者の逮捕権を持っていない。

「もう少し、調査が必要です。奥さんが行方不明になる前に、何か変わった出来事はありませんでしたか?真藤組に関する事や・・・あるいは『ニュルンベルク騎士団』と言う言葉を聞いたことはありませんでしたか?」

「ニュルンベルク・・・何なのですかそれは。何もありませんよ。妻は、ごく普通の、ゴキブリも殺せないような大人しい女なんです。犯罪者と関わっている事なんか、あるわけないじゃないですか!」

片桐秀雄は激高して、大声を出し始めた。朋子はやはり、中途半端な情報を伝えるのではなかった、と後悔した。

「では、また何か思い出したらこちらに電話を下さい」

朋子は秀雄に、自分の携帯電話番号と公安庁の電話番号を書いた名刺を手渡した。

「お願いします!妻と娘を取り戻して下さいっ!」

「ええ、最善の努力はいたしますわ」

朋子は、片桐家から立ち去って行った。朋子としても、なんとか後輩の白木雪絵を救出しなくてはならない。

 

「ひっ、ひいいい、お腹が苦しい・・・死ぬううう・・・」

久美子が、黒川に犯されながら呻き声をあげた。久美子の下腹部は、浣腸器で注入されたバケツ一杯分のグリセリン溶液で、妊娠したかのように膨れ上がっている。肛門から漏れ出そうとする液体を久美子は必死の思いで、括約筋を引き締め、塞き止めていた。それでも、黒川が腰を振って下腹部を圧迫する度に、チョロッ、チョロッと少量づつだが、こぼれ出てしまう。

「おらおら、俺がイクまで絶対に漏らすんじゃないぞ。もし、漏らして、俺の体に、奥さんのウンコが少しでも付いたら、きっちりと、落とし前をつけてもらうぞ」

「ひぃいい、堪忍してえ・・」

筋金入りのヤクザである黒川の脅しは、真に迫っていた。

「あっ、もう、駄目ええ、漏れちゃうううう」

久美子の顔は、長時間に渡る便意との戦いで、血が上って紫色になり、苦悶に歪んでいる。その美しい人妻が、苦しむ様子を、傍らでは、真藤組長がタバコを吹かしながら、ゆったりと、眺めて楽しんでいた。

「我慢するんや、奥さん。奥さんの苦しむ顔が、これまた、たまらん。おい、鬼頭、ビデオに撮っとけ」

「へい、組長」

調教師の鬼頭竜作が、最新型のハイビジョンムービーを回し始めた。久美子の調教される風景は、裏ビデオ・DVDとして販売され、麻薬密売と並んで真藤組の重要な財源になる。

「お願い、早くイッて!久美子、もう限界よお!」

「牝豚の分際で、俺に指図するんじゃねえよ!」

黒川が、腰を揺さぶりながら、久美子の顔に平手打ちを食らわせた。半狂乱になっている久美子の脳裏には、セックスの快楽よりも、便意と、下腹部の圧迫感から来る吐き気を催すような苦痛しかなかった。

「たまらんでえ、奥さんのその顔。わしのチンポもまた立ってきよった。よし、もういっちょやるか。おら、しゃぶれ」

真藤組長がズボンのファスナーを開け、勃起したチンポを、喘ぎながらのけぞっている久美子の口に含ませた。

「むごごごご・・・」

久美子は呼吸困難になり、むせながらも、条件反射で必死にしゃぶり始める。しばらくして、まず、黒川が膣内に放出し、その後、久美子が便意から来る全身の寒気に、ガクガクと震えながら、どうにか真藤組長を口でイカせると、もう我慢の限界だった。

「お、お願い・・・約束よ・・・ウンチをさせて・・・」

「ああ、いいだろう。鬼頭、奥さんにオマルをあてがってやれ」

黒川が許可し、久美子は用意されたアヒルのオマルに、猛ダッシュで跨った。久美子が、完全に腰を降ろす前に、ブリブリブリ・・・と、溜めに溜めていたウンチと茶色く染まったグリセリン溶液が、ロケット噴射のように肛門から噴出し、あっという間にオマルの器が一杯になって外に溢れ出した。

「き、汚ねえ。床にこぼれやがった・・・」

コンクリートの床に流れ出した、液状化したウンチから立ち込める悪臭に、ヤクザ達は鼻をつまんだ。

「くせえ!こいつはたまらん。さすがに、こいつの後始末は、うちの若いモンにも、させられん。このウンチは、奥さんが自分で掃除するんや」

「・・・あ・・・はい・・・御主人様・・・」

久美子は、ようやく排泄を終え、長い時間苦しめられた、地獄のような便意から解放された喜びに、放心状態になりながら返事をした。

 

 その数日後、真藤組の事務所に一人の男が訪ねて来た。

「こ、ここに妻と娘がいるのは、判っているんだ。会わせてくれ」

久美子の夫の片桐秀雄だった。

「なんだ、お前は?」

コワモテのチンピラ数人が立ち上がり、囲むように秀雄に詰め寄った。しかし、逆上して、思い詰めている秀雄には、恐怖感が麻痺していた。

「ここに監禁されている片桐久美子の夫だ」

秀雄は、公安調査官の城山朋子から聞いた情報を元に、久美子と綾香を取り戻したい一心で、一人で組事務所に乗り込んで来たのだった。騒ぎを聞きつけて、事務所の奥から組幹部の黒川が出て来た。

「監禁?どこのどなたか知りませんが、人聞きの悪い事を言ってもらっちゃ困りますなあ。世間はヤクザと言うとすぐに、監禁だ、麻薬密売だ、などと、色眼鏡で見ようとしますがね。うちの組は、非合法な商売には、一切手を染めた事などない、まっとうな稼業ですよ。言いがかりを付けなさると、名誉毀損で逆にあなたを訴えますよ」

しゃあしゃあと黒川は、言ってのけた。それでも、秀雄は引き下がらない。秀雄とて大手商社の生え抜きの社員で、外国人相手に何度も大きな取引をまとめた経験がある。交渉に関してはプロだった。

「今、妻と娘を返して貰えば、警察には通報しません。ですが、あくまで、妻と娘の事など知らない、とおっしゃるのでしたら、私にも覚悟があります」

(フンッ、素人のブラフか・・・って事は、この男、まだ警察には通報してねえって事だな)

黒川は、とっさに考えた。黒川も組幹部になるだけの事はあり、頭の回転は早い。

「しょうがありませんな。では、奥さんの所にご案内しましょう」

交渉が成功したと思って秀雄の顔に、喜びの色が走った。これで、優柔不断な警察などあてにせず、秀雄一人の力で家族を取戻す事が出来る。秀雄は、数人のチンピラに取り囲まれて事務所の奥に案内された。そして地下室へ通じる階段を下りていく。

「さあ、この部屋に奥さんがいますよ」

黒川が皮肉っぽく笑いながら地下室のドアを開けた。その部屋では、全裸の久美子が、駿河問いの格好に緊縛され、調教師の鬼頭に、全身にローソクを垂らされていた。

「久美子!」

秀雄が叫んだ。久美子は我に返り、地下室の入り口に立っている夫の姿を信じられない物でも見たかのように目を見開いて注視した。

「あ・・あなた!」

「フフフ、片桐さん。これを見たからには、あなたも、このまま無事に返す訳にはいかなくなりましたなあ」

黒川が、目配せすると、チンピラたちが秀雄を羽交い絞めにした。

「やめろ、何をする、離せ!」

秀雄はもがいたが、数人がかりで殴る蹴るの袋叩きに合い、血まみれになってコンクリートの床に転がった。

 

「どうしますか組長?久美子の旦那の話じゃ、サツが勘付いているのかもしれません」

黒川は、真藤組長に相談した。

「そうやなあ、仕方がないなあ。万が一、踏み込まれた時、証拠が見つかるとまずいから、旦那は、バラして東京湾に沈めるか・・・」

「久美子と娘は、どうします?」

「惜しいが、足が付く前に、外国に売り飛ばすしかないやろう。例のネオナチの貨物船が、週末に横浜港から出航しよる。女体輸出の第一陣として奴らに引き渡そうやないか」

「仕方ありませんね」

「その前に、久美子の調教の最後の仕上げといくか。わしは、まだまだ、あの人妻を責めたりんのや」

真藤組長は、久美子の肉体を二度といたぶれなくなると思うと、心底、名残惜しそうだった。それは黒川とて同じ思いである。あれほどの美しい容姿を持った人妻は、ザラには手に入らない。

「では、早速、鬼頭に準備させましょう」

黒川の指示で、久美子は、地下拷問室のベッドの上に、全裸で伏せになって、大の字に四肢を荒縄で支柱に固定された。全く身動きの取れない状態である。

「ひっひっひっ、最後の仕上げや、奥さん。奥さんの背中に刺青を彫らせてもらうで。その方が外国に売り飛ばした時に、高値がつくからなあ」

「い、いやっ!」

さすがの久美子も抵抗した。いくら調教に慣らされたとは言え、刺青を彫られたら、例え運よく警察に救出されたとしても、一生屈辱を背負って生きていかなくてはならない。

「観念するんや。抵抗すると、娘を痛い目に合わせるで」

「いや・・・いやよお・・・あなた、助けて・・・」

夫の秀雄も全裸に剥かれ、拷問室の隅にぐるぐる巻きに縛られて、転がされている。

「やめろ!お前ら!久美子に手を出すな!」

秀雄は、あらん限りの罵倒を喚きながら、芋虫のようにコンクリートの床の上を、のたうち回った。

「うるせえ!甲斐性なしの亭主は、黙って見てろ!」

黒川が、秀雄の脇腹に、革靴のつま先で痛烈な蹴りを入れた。

「ぐふっ・・・」

秀雄が、苦痛のあまり悶絶する。鬼頭が、久美子の背中に彫る刺青の図柄のサンプル集を、真藤組長に見せた。鬼頭の表向きの肩書きは、真藤組お抱えの彫り物師である。女体調教師などと言う職業は、日本には存在しない。

「ふーむ、どれもありきたりやなあ。おお、これがええ」

真藤組長が選んだのは、日本画風の獰猛な顔をした豚の絵柄だった。

「メス豚には、豚の刺青がピッタリや。そやなあ、もうちょっとアレンジしよう。豚の口から、いやらしくヨダレを垂らして、股間のペニスも、もっとおっ立てている所を強調して彫り込むんや」

「へい、組長。おっしゃる通りに下書きを書いてみます」

本業は彫り物師である鬼頭は、さらさらと、豚の絵柄に、ヨダレと巨大なペニスを書き足した。ついでに豚の表情を、たれ目にし、スケベ顔に修正してみる。出来上がった下書きを見て、真藤組長と黒川は、ゲラゲラと笑い転げた。

「傑作や!こいつは、なんとも間抜けな豚面や!これでええ。こいつを久美子の背中に彫りこむんや」

「いやああっ!」

久美子が、金切声を上げた。これから自分が一生背負っていく、卑猥な豚の絵柄を見せつけられて、あまりの絶望感に号泣した。

 

 久美子の背中へ刺青を彫る作業は、丸3日間続けられた。本来なら苦痛が激しいため、一日、数時間ずつ、数ヶ月かけて彫られるのだが、輸出が週末であるため、久美子の苦痛はお構いなしに、ぶっ通しで作業が行われたのだ。久美子の顔は長時間の苦痛で歪み切り、舌を噛んで自殺しないように猿轡を噛まされての作業である。背中を針で一日中、チクチクと刺される痛みは、想像を絶する苦行だった。

「おおおっ・・おおっ・・」

自分の赤フンドシを猿轡として噛まされている久美子の、咽喉の奥から絶え間なく呻き声が漏れている。美しい妻の背中に、無残な刺青が彫られていく様を見せ付けられていた秀雄も、最初は、あらん限の声でわめき散らしていたが、鬼頭が、気が散ると言う理由で、ボールギャグを噛ませてからは大人しくなっていた。ただその目だけは、怒りに燃えており、血走った視線を、黙々と久美子の裸体の上にかがみ込んで作業を続けている鬼頭の上に注いでいる。

「フフフ、こんな綺麗な奥さんを持ったのが不幸の始まりなんだよ」

時折、からかうように黒川が、身動きの取れない秀雄に囁いた。口を塞がれて言い返す事の出来ない秀雄は、憎しみのこもった目で、黒川を睨み返すしかない。

「ブスと結婚してれば、こんな目にあわずに、一生幸せに暮らせたのによう」

勝手な理屈だった。3日後、ようやく、刺青が完成した。

「わはははは、傑作や。こんなオモロイ刺青見たのは、生まれて初めてや!」

真藤組長は、久美子の背中に彫られたスケベ豚を眺めて、笑い転げた。清楚な人妻とのコントラストが絶妙な、卑猥さを醸し出している。

「奥さん、今から、猿轡を外すけど、自殺したらあかんで。あんたが死んだら綾香ちゃんはどうするんや」

娘の話しを持ち出され、久美子の目から涙が溢れ出した。

「ああっ、こんなのひどい・・・」

等身大の鏡に映った自分の背中を見せ付けられて、久美子は悲しげに嗚咽した。娘と夫を人質に取られている限り、死ぬ事も出来ないのだ。

「さあ、今晩は、奥さんとの最後の宴と行くで。明日には外国行きの船に乗ってもらわにゃ、ならんからな」

「えっ?」

久美子は、わが耳を疑った。

「奥さんと娘さんは、明日、外国へ売り飛ばすんや」

「外国・・・主人は?主人はどうなるんですか?」

「ご亭主には、死んで貰うしかあらへんやろなあ。男は、よっぽどの美少年にしか、買い手がつかんのや」

「そ、そんな・・・一体あたし達が、どんな罪を犯したって言うんですか?」

「罪?そやなあ・・・まあ、全部、奥さんが、綺麗過ぎるからあかんのやで。『美しさは罪』って昔から、諺があるくらいやからなあ」

容赦ないサディスト達の、最後の饗宴が始まろうとしていた。

 

 秀雄の目の前で妻の久美子が、ヤクザ達に数人がかりで犯されていた。声を出したくてもボールギャグを噛まされているため、声が出ない。ここに捕まってからから三日三晩、水しか飲まされていないため、空腹で意識が朦朧としている。

(俺に食べ物を与えないのは、殺すつもりだからだ。俺を東京湾に沈めると奴らは言っていた。久美子と綾香は外国に売り飛ばすと・・・何とかしなくては)

気持ちは焦るのだが、手足を縛られているため、どうする事も出来なかった。

(ああ、俺の幸せな家族計画が、こんな奴らのために・・・無理してマイホームまで買ったのに・・・)

秀雄は、子供の頃から学校の成績は常にトップクラスだった。高校、大学と難関を突破し、日本でも有数の総合商社に入社した。そしてそこで、受付嬢をしていたOLの久美子と結婚したのだった。2ヶ月前までは、平凡だが、誰もがうらやむホワイトカラーのサラリーマン人生を、定年まで送る予定だったのだ。そして、その後は、年金で悠々自適の生活を送り、その頃には、成人した綾香も結婚するだろうから、時折、孫の顔でも見ながら、のんびり天寿を全うしようと考えていた。しかし、その平凡な夢も、目の前の現実に打ち砕かれた。

「あうっ、あおお、気持ちいい・・・組長様、もっと、奥まで、思い切り突いて!」

久美子は背中に豚の刺青を彫られたショックで精神が錯乱気味のようだった。受け入れ難い現実から逃避しようとでもしているかのように、ヤクザ達とのセックスにのめり込んでいる。その激しい乱れようは半端ではなかった。何度も何度も、オマンコ、アナル、口で男達の精液を受け止め、太腿の間から、精液の入り混じった自分の愛液を垂れ流している。秀雄にとって地獄のような光景だった。

「お前も、愛しい自分の妻のオマンコに入れたいのかよ、あーん?」

黒川が、秀雄の髪の毛を掴んで、顔を上げさせ、息がかかるほどの距離で言った。

(く、くそっ、こんな奴に・・・)

「目の前で、最愛の妻を犯されて、悔しいかよ。だが、お前にはもう、久美子に指一本触れる事は出来ねえんだ。お前は、このまま天国へ行くんだからよう」

「おい、黒川、そろそろ時間だ。亭主を処刑と行くか」

真藤組長が言った。

「そうですね、じゃあ、段取り通り、死刑執行は久美子にやらせましょう」

黒川は、秀雄の首にロープを巻きつけた。そして天井の滑車に通し、もう片方の端を久美子の右の足首に巻きつける。そして、思い切り、滑車を上に引き上げたため、久美子は右足を大きく頭上に伸ばし、左足の爪先だけで立つ事になった。

「う、う、苦しい・・・バランスが・・・」

久美子の極限まで割り裂かれた股間の筋肉と腱が、痙攣し、全体重を支えている左足のつま先が引き吊って、今にもバランスを崩しそうである。

「へへへ、どうだい、奥さん。奥さんがバランスを崩して倒れると、大事な御亭主の首が絞まるっていう仕掛けだよ。御亭主は、奥さんの手であの世へ送る事になるんだ」

「そ、そんな・・・鬼・・鬼畜よ・・・あなた達・・・」

「せいぜい頑張りな、奥さん」

久美子の体力は、数時間に渡る輪姦で、すでに、かなり消耗していた。しかし、夫を死なせるわけにはいかない。久美子は最後の気力を振り絞って、爪先立ちに耐えた。

「む・・くく・・・」

「なかなか頑張るね・・・」

そのままの姿勢で1時間が過ぎたが、久美子は根を上げなかった。ヤクザ達は、腰を下ろし、缶ビールを飲んで、久美子と秀雄が苦悶する様を見物している。久美子の全身は汗ビッショリで、秀雄も死の恐怖のため、凍りついたような血の気の引いた表情で、小刻みに震えていた。

「いつまで、待たせるんや!夜が明けてしまうやないか!」

酔った真藤組長が、とうとう痺れを切らした。そして立ち上がると、1本鞭を手に取り、容赦なく久美子の無防備な裸身を鞭打ち始めた。

「ぎゃうぅ!ぎゃうう!」

久美子は悲鳴を上げたが、それでも、夫の命を守るためにバランスを崩さない。数十発の鞭を打ち込み、蚯蚓腫れに覆われた久美子の体に、真藤組長は、今度は、赤い蝋燭を垂らし始めた。

「顔に似合わず、しぶとい女やのう」

「熱っ!・・熱っ!」

久美子は、乳房や顔面にも蝋を垂らされたが、夫の命を守りたい一心で、それでも音を上げなかった。

「ええい、これでは、拉致があかん!船の積み込みの時間に間に合わん!」

時計の針は朝の7時を回ろうとしていた。久美子は3時間以上、様々な拷問を受けながら、片足爪先立ちの姿勢で立ち続けた事になる。

「もう終わりや、奥さん。よく頑張った。もうええ、ファイナルや」

真藤組長が、久美子に足払いをかけた。体力の限界を超えていた久美子は、外からの物理的な力には勝てず、バランスを崩して倒れこんだ。

「ああっ、いやああ!あなた、死なないでえ!」

ロープが天井の方向に恐ろしい力で引っ張られ、秀雄の首が絞まった。ロープを外そうと必死にもがいたがどうにもならない。呼吸が出来なくなり、意識が次第に薄れていった。久美子の叫び続ける声が、遠くなっていく。

(せっかく、無理してマイホーム、買ったのに・・・御免、久美子、綾香・・・)

秀雄は、絶命した。そして、その晩、秀雄の死体はコンクリート詰めにされて東京湾に沈められ、久美子と綾香は、他の、真藤組によって拉致された女達と共に、横浜港に停泊するボリビア船籍の貨物船に積み込まれた。女体売買の第一陣として国外に輸出される女達の中には、シャブ漬けにされた潜入調査官、白木雪絵の姿も混じっていた。

 

第119話、幕末自衛隊

 

2006年4月16日、護衛艦『あらなみ』は、幕僚本部からの緊急命令を受けて、横須賀を出航した。この日、関東全域の陸海空の自衛隊駐屯地にスクランブルがかけられたのだ。『あらなみ』は、総排水量5000トン、乗組員370名の最新鋭護衛艦である。支持通り、戦闘配備のまま、相模湾に到着した『あらなみ』のブリッジに、幕僚本部から詳しい作戦概要が伝えられた。

「なにっ、宇宙人のロボットを迎え撃て、だと!」

艦長である、高垣信宏一等海佐(51歳)が、通信電文を読み、声を荒げた。

「宇宙人と戦争をするのですか?」

副長の真鍋三佐が、怪訝な顔をする。日本政府は宇宙人の支配下にあり、自衛隊も非常時には、ネオガイア星植民地総督府の指揮下に入るという条約が交わされている。

「そうではないようだ。詳細はわからんが、何者かが宇宙人のロボット兵器を奪って逃走しているらしい、との事だ」

「???・・・つまり、宇宙人内部の不始末の尻拭いを、我々にやれと」

「そう言う事だな。フンッ、政府の弱腰め!一体いつまで得体の知れん宇宙人の言いなりになってやがる!宇宙人の犬になるくらいなら、安保条約でアメリカの犬になっている方がまだましだぞ!」

生粋の自衛隊員である高垣艦長は憤りを隠せないようだった。その時、管制官が報告してきた。

「哨戒ヘリからのデータが送られてきました。モニターに作戦図を投影します。」

モニター上に、小田原市をふくむ、相模湾の地形、海図が映し出される。海上には『あらなみ』を含む護衛艦4隻と、潜水艦1隻が展開し、小田原市上空には哨戒ヘリ3機が旋回中である。その中で、機種名が表示されない光点が一つ、急速に小田原市内を海岸方向に向けて、移動していた。

「これが、そのロボットか?」

「そのようですな」

「市街地を出て海岸に現れ次第、目標に、対艦ミサイル『ハープーン』を打ち込む。宇宙人のロボットを『ハープーン』で破壊出来るかどうかは、俺に聞くな!」

「はっ、了解」

砲術長が、モニターを見ながら、発射ボタンに人差し指を乗せた。長い、緊張した時が流れ、やがて海岸にあらわれた巨大なロボットの姿を視認した時、ブリッジにいる一同は、驚きの声を上げた。

「は、裸の女だ!」

「あれが、宇宙人のロボットだってえのか?」

それは、想像していたのとは違い、かなり美人でグラマラスな、身長18メートルの、裸の女が、バズーカ砲のような武器を持って、眼前に出現したのだ。

「おいっ、見とれてないで、早く撃て!」

高垣艦長に即されて、砲術長は我に返り、あわてて発射ボタンを押し込んだ。艦体中央部の4連装の発射機から、ハープーンが打ち出され、煙の尾を引きながら、巨人女めがけて飛んで行く。普通なら外れる筈のない誘導弾は、直撃寸前に、恐るべき反射神経を持つ巨人女にあっさりとかわされ、むなしく背後の港湾倉庫を炎上させた。

「ハ、ハープーンが外れましたっ!」

「馬鹿な!ありえん!」

当然、対艦ミサイルであるハープーンは、鍛え抜かれた人間並みの運動神経を持つ、巨人女を標的として狙うように想定して作られているわけではない。攻撃されて怒り狂った巨人女は、バズーカ砲のような武器を『あらなみ』の方角へ構えた。

「艦長!まずいです!」

真鍋副長が悲鳴を上げた。次の瞬間、巨人女の武器から発射された虹色の光線は、拡散しして『あらなみ』を包み込んだ。乗組員全員が、艦体を揺さぶる激しい振動と、個々の体全体を分解されるような強烈な不快感に、精神的ショックを受けて気を失った。こうして、時空砲の直撃をうけた護衛艦『あらなみ』は、現代の世界から、時の彼方へと飛ばされたのだった。

 

 1853年5月、相模の国の浦賀に、不老不死の女、久石千鶴はいた。300年前の戦国時代に、日本へ戻って以来、日本中を放浪しながら、宇宙人に対抗する組織づくりのために布教活動を行っていた。しかし、切支丹同様、千鶴の広めようとする新興宗教は、幕府の厳しい弾圧を受け、何度も解散させられ、八代将軍吉宗の治世に、千羽鶴教団と名づけて設立した本格的な組織も、残念ながら20年前に、信者全員が打ち首獄門にされて壊滅し、千鶴一人が、どうにか生き延びて身を隠している、という有様だった。幕府の追求をかわして、千鶴は今、世間の人間が世代交代をし、ほとぼりが冷めるまで、浦賀の冴えない漁師松吉の女房として暮らしている。

「なあ、お千、もう一回やらせてくれよう」

松吉にしつこく迫られて千鶴は、うっとおしそうに顔をしかめた。

「朝、やったばかりでしょ。いいかげん、そろそろ漁にも出なくちゃ。あんた、昨日も家でゴロゴロしてたじゃない」

松吉は、長年、娼婦として暮らしてきた千鶴の性技の虜になって、すっかり、働く気をなくしてしまっている。もともとは村一番の働き者の、腕のいい漁師だったのだが、隠れ蓑にするために、千鶴に目をつけられて、誘惑されて以来、完全に堕落してしまって、今では、酒とセックスに溺れるばかりで、禄に漁に出ようともしない。遊女を妻にした男として、村八分にもされている。

「なあ、頼む、もう一回だけ・・・口でやってくれよう」

「しょうがないわねえ」

千鶴は、松吉のチンポを口に含むと絶妙な舌裁きで、今日は、2回目だと言うのにあっと言う間に松吉を昇天させた。そして、腑抜けになった松吉を無理矢理、漁に出させるために砂浜へ連れ出した時、千鶴は信じられないものを、沖合いに発見した。

(あ、あれは黒船?・・・じゃないわ)

千鶴が、わざわざこの時代の浦賀に住んでいたのは、ペリー提督率いる黒船が来訪するのを見届けるためである。歴史が正しく動き、千鶴の元いた未来に繋がっている事を、しっかりと確認したかったのだ。

(黒船っていうからには、黒い色をしていると思ってたんだけど・・・それに、ペリーの来訪は来月だった筈では・・・)

千鶴は、1900年前に学んだ日本史の記憶が間違っているのかと、自分を疑った。しかし、沖合いに浮かんでいる、その船は、かなり大型で、船体はグレーの色彩をしており、しかもたった1隻である。呆然と眺めていると、やがて、その船はかなりの早いスピードで海岸に接近してきた。

「な、なんだ、あの船は!」

松吉が腰を抜かしている。千鶴も、もっとよく見ようと目を凝らす。

(げっ、ミサイルを積んでいる。後甲板に積んでいるヘリの機体には、海上自衛隊って書いてあるわ・・・)

千鶴は、驚きと共に、懐かしさのあまり、急激に、涙が込み上げてきた。1800年ぶりに目にする現代の船だった。

(懐かしがっている場合じゃないわ。何であんなものが、この時代に、突然現れたのか調べなくちゃ。)

「松吉、船を出して」

「へっ?」

「あの船に行きたいの」

「冗談じゃねえ。お千、危ねえよ」

千鶴は、嫌がる松吉に、無理矢理小船を焦がせて、沖に出た。攻撃されないように、松吉の白フンドシを竿の先に結び付けて、白旗の代わりにはためかせる。松吉の小船が近付いて行くと、甲板上には、自衛隊の制服を着た男達が現れた。

「な、南蛮人だ・・・」

「違うわ。あれは、あたし達と同じ日本人よ・・・未来のね」

護衛艦『あらなみ』の船腹に接舷した、千鶴と松吉は、自衛隊員達によって甲板に引き上げられた。

「おい、ここは、一体どこなんだ?」

自衛隊員たちの中から進み出てきた真鍋副長が、千鶴に尋ねた。

「ここは、日本の浦賀です。ただし、今は、嘉永6年です。来月には、この場所にアメリカのペリー提督が率いる、4隻の黒船が来ます」

「な、なんだと、嘉永6年?ペリー?貴様、何のことを言っているんだ・・・」

「副長、わかりました、我々は宇宙人の兵器でタイムスリップしたのです」

横から割って入ってきたのは哨戒ヘリのパイロット、原田明人一等海尉(32歳)だった。原田一尉は、数週間前、この時代に『あらなみ』が出現して以来、何度もヘリで、付近の偵察に出ている。彼が上空から見たのは、大江戸八百八町と、徳川将軍の住む、江戸城の姿だった。

「しかし、女、なぜそんな事を知っている。お前もタイムスリップしたのか」

「え・・・ええ、そうです。あたしも21世紀から来ました・・・」

千鶴は、不老不死である事は、語らなかった。説明すると話がややこしくなりそうだったからである。ひょっとしてこの護衛艦が、なにかの拍子に、反動で再び、現代へタイムスリップするのであれば、千鶴も一緒に帰れるかもしれない。

「松吉、先に家に帰っていいわよ。怖いんでしょ。あたしは、この人達に、岸まで送って貰うから」

「う、うん・・・」

松吉は、よほど怖かったのか、飛ぶように小船を漕いで海岸へと帰っていった。それが、千鶴が松吉と交わした最後の言葉だった。千鶴は現代に戻るために、同じ現代人のいる『あらなみ』に同乗し、行動を共にしようと決めたのだった。

 

 千鶴は、『あらなみ』の資料室で、2004年の2月に、自分が過去に飛ばされてから、現代で起こった事柄についての情報を得る事が出来た。自分が宇宙人の実験で過去に送られた直後に、アメリカと宇宙人の間で、大規模な戦闘が行われ、結果的に不時着した宇宙人の母艦によって日本のさざなみ市が占領下におかれた。そして、2005年の3月に、ネオガイア星人と敵対するムカデ型の宇宙人が襲来すると、それに乗じて、日米を中心とする多国籍軍が反撃を開始し、一旦はさざなみ市を解放するのだが、星の彼方より飛来した救援艦隊によって今度は日本全体がネオガイア星人の支配下に置かれることになった事を知った。

「つまり、現在の日本は、幕末のアジア諸国と同じように、宇宙人に対して不平等条約を結ばされているわけです」

千鶴に親切に説明してくれたのは、広報官の牧村真沙子三尉(25歳)だった。通常、護衛艦に女性自衛官は搭乗しないのだが、たまたま、ミリタリー雑誌の取材の打ち合わせに、横須賀に停泊中の『あらなみ』を訪れていた際に、『あらなみ』が緊急出撃命令を受け、下艦する余裕がなかったのだ。『あらなみ』で唯一の女性自衛官である真沙子は、千鶴に親近感を持ち、何かと親切にしてくれた。

「それじゃあ、差し詰め、さざなみ市は、19世紀に中国からイギリスに租借された香港ってとこかしら」

千鶴は、飲み込みが早かった。

「そう、まさにそうなのよ。さざなみ市は、宇宙人のオーバーテクノロジーと、地球外からの経済効果で、様変わりし、地球における、宇宙への唯一の窓口になっているわ。あたしは、まだ行った事がないけれど、さざなみ市には宇宙港があり、宇宙からの観光客が訪れ、他では手に入らないような薬品や、機械部品を売るショップがあるそうよ」

「・・・」

千鶴は、複雑な思いだった。地球文明の進歩のためには、宇宙人を受け入れるしかないのだろうか?しかし、自分やその他、多勢の地球人に対して加えられた、数々の酷い生体実験を、このまま黙って見逃すわけにはいかない。

「じゃあ、今の日本はうまくいってるの?」

千鶴は真沙子に尋ねた。真沙子は首を横に振る。

「そうじゃないわ。さざなみ市には、世界中から誘拐された地球人が、彼らの用途に合わせて、生まれもつかない姿に改造され、奴隷として慰み者になっているのよ。それに、宇宙に向けて大量の地球人奴隷を輸出しているという噂もある」

(やはり、そうか。やつらは敵だ。なんとしても、地球から追い払わなければ!)

千鶴は、燃えるような憎しみが湧き上がってくるのを感じた。

「日本以外の他の国はどうなってるの?」

「今の所、宇宙人の直接支配を受けているのは日本だけです。アメリカは、相変わらず、宇宙人に対して強硬姿勢を崩していません。いずれ機会を見て、また反撃を加えるつもりなのでしょう。中国、ロシアは静観しています。しかし、彼らも宇宙人の科学技術を手に入れたいらしく、さざなみ市にスパイを送り込んで、必死にオーバーテクノロジーの産物を買い漁っているらしいの。あたしが聞いた情報によると、CIAも日本での情報収集を活発化させていて、さざなみ市は世界中の諜報機関が集まって、さながらスパイ天国のような様相になっているらしいわ」

「じゃあ、まだ宇宙人の軍門に下ったのは日本だけなのね」

「ええ、そうよ。ヨーロッパの国々は地球の裏側の出来事なので、そんなに危機感は持っていないみたい。でもインドは怒っているわ。宇宙からの攻撃で都市を丸ごと一つ消されて、百万人以上の犠牲者を出したから・・・あと、これは、宇宙人と関係があるかどうかわからないけど、南米の国々でネオナチの影響力が強まっている」

「ネオナチ?」

「うん・・・でも、この組織の事は、よく判らないわ。ヒトラーの孫だって言う、影の指導者がいるらしいの。『ヒトラー3世』って名乗っているらしいんだけど、本当にヒトラーの血を引いているかどうかは眉唾ね」

千鶴は、その名前には心当たりがあった。1900年前、現代の日本で公安調査官をしていた頃、公安庁の極秘ファイルでその名を見た記憶がある。

(確か、当時、潜入調査を行っていた新人の調査官が、身元がバレて、ネオナチを名乗る組織に拉致されたと聞いたような・・・)

その組織の監視を担当していたのは、千鶴の所属する2課ではなく、別の課が担当していたため、詳しいことは知らない。

(早く、現代に戻らなきゃ・・・)

現代の情勢は、予断を許さないようだ。過去の世界を、なす術もなく、ただ放浪しているだけの千鶴は、焦りを感じた。

 

 浦賀沖を航行する『あらなみ』の作戦室で、今後の行動についての会議が行われ、千鶴も出席した。高垣艦長、真鍋副長、原田一尉、牧村三尉など他、砲雷長、航海長、機関長などの士官クラスが集まっていた。

「艦長と相談した結果、現代に戻る方法を提案する。それについて、みんなの意見を聞きたい」

真鍋副長が切り出した。全員固唾を呑んで、次の言葉を待っている。

「『あらなみ』は人為的な力で過去に飛ばされた。当然、物理学的には、振り子のようにその反動があるはずだ。しかし、この時代に到着してからすでに、1ヶ月が過ぎたが、いくら待ってもその反動が来る気配はない。そこでだ、我々の方から自然界に働きかけようと思う」

「そんな事が出来るのですか?」

機関長が尋ねた。

「ふむ、つまり、我々が歴史を変革しようとすればいい。そうすれば自然界が我々を異物と感じ、現代へ戻してくれるだろう」

「なるほど、確か、そんなSF映画が、昔ありましたな」

「あ・・・ああ、そうだな・・・で、具体的な方法として、来月、浦賀に現れるペリー艦隊に攻撃を加えようと思う。黒船と言えば歴史のビッグイベントだ。時の神は、歴史を守るために我々を現代に戻してくれるに違いない」

何の根拠もない理屈だった。彼らは全員自衛隊員で、物理学者ではない。なんとなく、思うがままの感覚で計画を立てているのだ。しかし、藁にもすがりたい思いの自衛隊員達は、誰も反論しようとしなった。

「やりましょう、艦長!それで現代へ戻れるのなら!」

「私も賛成です!」

「ああ、これで妻と子供に会える!」

希望に胸を躍らせる自衛隊員たちを眺めながら、なぜか千鶴は漠然とした不安を感じた。

 

1853年5月、上海を出航した4隻の黒船は、琉球を経由し、日本に開国を求めるために、太平洋を北上していた。旗艦サスケハナの船上では、マシュー・カルブレイス・ペリー提督(59歳)が、まだ見ぬ国、日本に思いを馳せ、海を眺めている。

「日本人は、全員、頭にピストルを乗せているというのは本当か?」

「あれは、ピストルではありません。チョンマゲというヘアースタイルなのです」

水先案内に連れてきた日本通のオランダ人が説明した。

「日本人は、いまだに剣と火縄銃で戦争をする野蛮人と聞いている。もし、開国を断ったら、最新式のパクサンズ砲でショーグンの住む城を、火の海にしてやる」

ペリー提督は自身に満ち溢れていた。彼の座乗するサスケハナ号は、船体の両側に蒸気機関で駆動する巨大な水車を持ち、従来の帆船とは違い、8ノットの高速で、風に逆らって航行することが出来る。そしてその兵装は、殺傷能力の高い、炸裂式のパクサンズ砲を装備していた。

「わが、アメリカ合衆国の極東戦略の第一歩として、日本を、アジアにおけるアメリカの補給基地とせねばならん。わが国は、いずれヨーロッパに変わり、世界を支配するのだ」

ペリーは愛国心に燃える、生粋のアメリカ軍人だった。

1853年(嘉永6年)、6月2日、『あらなみ』の3次元レーダーは、北上するペリー艦隊4隻の船影をキャッチした。原田一尉の操縦する哨戒ヘリ、SH60Kが上空からも、位置データを送ってくる。

「目標、4隻。速度4ノットで、艦隊を維持しつつ、北北東へ移動中。距離63キロ」

「63キロか、ハープーンの射程圏内だな」

高垣艦長が、つぶやいた。

「どうします、艦長。今ここで発射すれば、ハープーン4基でカタがつきますが」

「よし、やろう。目標、ペリー艦隊だ」

高垣艦長は声が震えるのを、自分で感じた。歴史に介入しようというのだ。砲術長が、モニターを見ながら発射ボタンに指を乗せる。その時、ブリッジに千鶴が入ってきた。

「すぐに、作戦を中止して下さい。ペリー艦隊を撃沈しても、現代には戻れません!」

「今更、なんだね、君は?」

「よく考えてください。もし、歴史が変われば、あたし達が知っている現代とは、別の世界に帰り着くことになる・・・」

千鶴は数週間考え抜いた末、歴史を変革しても、もといた世界には、帰り着けないという結論に達したのだ。

「何を、わけの判らんことを言っとるのかね。攻撃は中止出来んよ」

「もし、聞いて頂けないのなら・・・」

千鶴は、護身用に渡されていた拳銃を、高垣艦長に向けた。

「な、何をする!」

「あたしは、なんとしても元いた未来に帰りつかなければならない。あたしをこんな目に合わせた宇宙人に復讐するために!」

「おいっ、誰かこの女を、取り押さえろ」

ブリッジの自衛隊員達が、一斉に立ち上がった。千鶴は、こうなった以上、犠牲もやむ得ない、と判断し、艦長に向けて引き金を引く。銃声は鳴ったが弾は出なかった。

「???」

「あ、それ、訓練用の空砲だよ。ごめん、間違えて渡してたみたい。そう言えば、普段から、あんまり実弾の入った拳銃は置いてなかったんだ。」

(くそっ!平和ボケの自衛隊め!)

千鶴は、拳銃を投げ捨てると、隊員の一人に体当たりを食らわせた。

「砲術長!かまわんから早く、発射ボタンを押せ!」

「了解!」

対艦ミサイル、ハープーン4基が発射された。青い空に弧を描き、遥か遠くのペリー艦隊へ向け飛んでいく。

(歴史が、変わってしまう!)

千鶴が暴れながら、観念した時、砲術長が叫んだ。

「ハープーン全基、目標に到達せず!空中で破壊されました!」

「どういうことだ!」

「上空に未確認飛行物体発見!」

真昼の空に、光の玉が5つ、編隊を組んで飛行していた。まっすぐに『あらなみ』の方角を目指して飛んでくる。

(や、やつらだ・・・時間警察・・・)

千鶴は、長年の経験から瞬時に状況を把握した。

(逃げなければ・・・やつらは、『あらなみ』を破壊するつもりだ。時の神は、あたし達を、元の時代に戻してくれる、なんていう優しい気持ちは、1カケラも持ち合わせていない・・・それどころか、重大な罪を犯したあたし達は、皆殺しにされるわ!)

千鶴は、ブリッジを飛び出した。外階段のタラップからためらいもなく、海面へダイビングをする。逃げ足の速さは、超一流だった。

「何か、わからんが、邪魔するならシースパローで撃ち落とせ!」

高垣艦長が喚いた。対空誘導ミサイル、シースパローが発射されたが、エネルギーバリアで守られている光の玉を撃ち落す事は出来なかった。

『時空漂流物ノ1ツヲ発見シタ。タダ今ヨリ、完全ニ破壊スル』

『危ナイ所ダッタ。歴史ガ変革サレル直前ダッタ』

『多元宇宙ハ認メナイ。歴史ハ分岐サセテハナラナイ。アラカジメ決メラレタ通リニ歴史ヲ進行サセルノダ』

『歴史ヲ変エヨウトスルモノハ、容赦ナク抹殺シロ』

未確認飛行物体から、雨のように光線が発射された。稲妻のようなその光は、『あらなみ』の船体を直撃し、炎上させた。

「右舷中央部より浸水!」

「艦首に被弾!」

光線の一つが機関部に直撃し、船体が真っ二つに割れた。

「総員退避―っ!艦が沈む前に、船から離れろ!」

陸に向かって必死に泳ぎ続ける千鶴は、『あらなみ』が噴煙を上げながら沈んでいく様を目撃した。上空には、時間警察のタイムマシンが舞い、執拗に、沈み行く『あらなみ』に光線を降らせている。時間の漂流者達は、歴史の改変に失敗したのだ。

(あと、150年、生き延びなければ・・・現代に戻る方法はやはり、それしかないわ)

千鶴は、陸地に着いたら、夫の松吉の元へは戻らず、どこか、日本の別の場所で一旦は壊滅した千羽鶴教団を、再興しようと心に決めた。なんとしても、150年後に宇宙人を迎撃するための組織を育て上げるのだ。

 

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