第80話、市街戦

 

さざなみ市郊外の軍事基地の敷地内にある植民地総督府ビルの最上階に地球駐留軍総司令官であるヘラクレス提督の執務室がある。ヘラクレスは仕事が一段落した時は執務室のデスクに座ったまま奴隷秘書である小倉潤子(27歳)を相手によくセックスをしている。百足星人の襲撃が始まった際も、潤子とセックスの最中だった。

「提督・・・もっと激しく突いて下さい・・・」

チェアに座ったままのヘラクレスの腰に向かい合わせで馬乗りになった潤子は、紺色の制服のスカートを捲り上げ、激しく腰を揺さぶっている。40歳前半だが、2メートルを越す大男のヘラクレスは筋肉隆々で、チンポも30センチを越える逞しさだった。小柄な日本人の潤子はオマンコを深々と貫かれ、長い黒髪を振り乱して喘いでいた。

「あうっ!あうっ!提督、最高ですうう!」

潤子のクリトリスは外科手術でヘラクレス専用の印鑑に改造されている。セックスの時は、相手の体に印を押してしまうといけないのでキャップが被せられていた。

「うっ、くっ・・・」

ヘラクレスが顔をしかめた。潤子の膣の奥深くに射精したのだ。しかし、超人的なスタミナを持ち、絶倫のヘラクレスは休む暇もなく、すぐまた勃起し、再び潤子のオマンコを貫いた。

「あうっ、提督・・・素敵・・・もう一回して頂けるのですね・・・」

汗だくの潤子がうっとりとした瞳でヘラクレスを見つめ、甘い吐息をもらした。その時、緊急呼び出しブザーが鳴った。

「・・・な、なんだ?」

提督が上ずった声で答えた。

「提督、ソクラテス船長から緊急通信です。百足星人の海賊船が現れました!」

「なんだって!」

「ピタゴラス博士の宇宙船が爆破され、海賊船は現在地球に向かっています。一隻ですがかなりの大型船です。」

「すぐに全部隊、及び全市に警報を出せ!応戦の準備をさせろ!俺もすぐにオリンポスに戻る!」

ヘラクレス提督が潤子のオマンコからチンポを引き抜き、慌ただしくスペーススーツのズボンを上げて転送室へ駆け出した時、ビルの外から爆発音が聞こえ始めた。転送室は総督府ビルの地下にある。執務室からは最も遠い場所だ。反重力シャフトに乗ろうとしたが動かなかった。仕方なく階段を使ってすぐ下の階にあるコントロールセンターへ行く。治安責任者のペルセウス長官がいてオペレーターに指示を出していた。

「提督、ムカデども、恐ろしく進攻のスピードが速いです。戦闘用アンドロイドが市内各所に実体化し、すでに総督府ビルの一階部分は占拠されました。警備兵がやつらの階上への進攻を阻止するために応戦中です!」

「すぐにオリンポスとスパルタに連絡し、発進させろ!敵の母艦を叩くんだ!」

「駄目です。すでにオリンポスの艦内に実体化したアンドロイド部隊によって、艦内の3分の1のエリアで白兵戦が展開中です。このまま飛び立っても、まともに戦闘行動が取れません」

オリンポスの司令室から返答してきたのは白兵戦コマンド隊長のテッセウスだった。

「スパルタ、発進します!」

もう一隻の戦闘艦である高速巡洋艦スパルタは発進した。しかし、さざなみ市を包むエネルギーバリアが解除され、加速しようとした瞬間、衛星軌道上の海賊船からエネルギー砲の集中砲火を受けて墜落した。スパルタはさざなみ港の沖合いに噴煙を吐きながら落ちた。再び、さざなみ市はバリアに包まれる。

「くそっ!海賊どもめ!宇宙軍本部と銀河警察に救援以来を!」

「はっ!」

オペレーターが遥か星の彼方にある惑星と通信回線を繋ぐ。

「・・・・銀河警察は到着まで87時間待ってくれ、と言ってます。ネオガイア星宇宙軍は救援艦隊到着まで15日間待ってくれ、と言っています」

「なんとしても、それまで、持ちこたえなければならん!全軍に伝達を。各自、持ち場を死守し、死力を尽くして戦うのだ!」

 

さざなみ刑務所の拷問部屋では、シンディ・スコットランド刑務官(21歳)による囚人の虐待が今日も行われている。シンディはパンの切れ端を軍靴の踵で踏みにじると膝まづいて指示を待っている囚人ナンバー999番、鉄仮面ことアルテミスに合図をした。アルテミスは顔に被せられた鉄仮面の開口部からおずおずと舌を伸ばし、踏みにじられて靴跡がつき、平たくなった埃まみれのパンを口に入れる。

「どうだい、美味しいかい、鉄仮面?」

「はい、シンディ様の靴の裏で味付けをして頂いたパンはとても美味しいです」

アルテミスは、鉄仮面の他は全裸である。グラマラスなボディの白肌には至る所に無数の酷い傷跡が付けられている。シンディは赤い極太のローソクを取り出してライターで火をつけた。

「うまく、返事が出来た、ご褒美よ。」

赤い、高熱の蝋がアルテミスの傷だらけの背中にポタポタと垂らされる。シンディが使っているのはSMプレイ用の低温ローソクではなく、拷問用の高温ローソクなのだが、このぐらいの責め方ではアルテミスの表情は変わらない。

「あら、つまらなさそうね。そうだった、重症マゾのあなたは、もっと敏感な部分を責めてあげないと感じなかったのね。クリトリスを剥き出しにしなさい」

「はい、シンディ様」

アルテミスは仰向けになり、両足を開いて、指でオマンコをくつろげ、シンディがクリトリスにロウソクを垂らし易いように陰核の包皮を剥いた。股間は今までの責めでヌルヌルに濡れている。

「素直ね。じゃあ、いくわよ」

シンディは赤い蝋を容赦なく、アルテミスのクリトリス目がけて落下させた。

「ギャウッ!」

アルテミスは最も敏感な部分に高熱を加えられ、悲鳴を上げた。

「アーハッハッハッ、お前にはこれくらいしないとね!」

シンディは高らかに笑いながら、執拗にアルテミスのクリトリスとオマンコ周辺にローソクを垂らし続けた。しばらくするとアルテミスの股間は赤い蝋がビッシリと隙間なくこびり付き、蝋で固めた張り型のようになった。熱さに身をよじって耐え忍んでいるアルテミスにシンディは宣告した。

「この刑務所の中でのお前の身分は最下位の豚奴隷よ。つまり、他の惨めな囚人たちも、お前にとって、絶対服従でお仕えしなければならないご主人様というわけ。これからは、刑務所内の全ての囚人に奴隷豚としお仕えし、満足のいくように性欲を処理するのよ。簡単に言うと、お前は奴隷の奴隷ね」

「よろこんで全ての囚人様に、奴隷豚として誠心誠意お仕え致します。」

冷たい床に正座をしたアルテミスは深々と頭を下げて誓約した。

「よし、良い心がけね。じゃあ、まず、刑務所暮らしで溜まっている、こいつらのチンポをしゃぶってあげなさい」

シンディは、拷問部屋の壁際に直立不動の姿勢で整列して待機している男囚達の方に顎をしゃくった。政治犯や殺人犯、強盗、傷害、婦女暴行などで収監されている男たちである。

「はい。皆様のチンポを順番にしゃぶらせて頂きます」

アルテミスは端の男から順番にズボンを脱がせ、鉄仮面のマスクを股間にうずめてフェラチオを始めた。アルテミスの暖かい舌がねっとり男囚のチンポを包み込み、禁欲を強いられていた男はたちまち射精する。アルテミスはゴクリと濃い精液を飲み込み、舌と唇で亀頭を洗い清めるとズボンを元に戻して、次の男囚のフェラチオにとりかかった。こうして4人目の男まで終わった時、警報サイレンが響き渡った。

「口を休めるんじゃないよ、鉄仮面!警報が鳴ったって奴隷のお前には関係ないんだよ!」

シンディの叱咤が飛び、アルテミスが再び5人目の男囚のチンポをしゃぶり始めた時、別の刑務官が拷問部屋に飛び込んで来た。

「鉄仮面、出撃命令だ。すぐに転送室へ」

シンディも黙認するしかなかった。アルテミスは軍の極秘任務に携わっており、指令があった時は拷問を中断しなくてはならない。アルテミスはフェラチオを中途半端で放っぽり出すと、股間にこびりついている赤い蝋を払い落とし、全裸のまま刑務所の地下にある転送室へ走った。息を切らせて物質転送機の台に上り、白い光輝に包まれる。一旦、分子レベルまで分解されたアルテミスの体が、実体化した場所は新型兵器、巨大ロボット『キュクロプス1号機』のコクピットだった。アルテミスはこの極秘兵器の非公式パイロットなのだ。

 

「鉄仮面、出撃だ。宇宙海賊どもが襲撃してきた!」

コクピットのスピーカーから、キュクロプス1号機の製作者であるメビウス博士の声が響いてきた。

「宇宙海賊・・・ですか?」

「そうだ、異銀河から来たというムカデどもだ!」

憎々しげにそう叫んだ別の声は、宇宙拷問研究所のピタゴラス博士のものだった。彼は、最近では、占領放送局の番組企画アドバイザーの仕事や、さざなみ総合病院の総回診の仕事、友人であるメビウス博士のロボット開発の技術相談などの仕事を多く抱え込んでおり、ほとんど自分の宇宙船には、帰っていなかった。今回、宇宙海賊の襲撃があった際もメビウス博士の研究所に遊びに来ていた所だったのだ。

「やつらめ、わしの宇宙船を粉々にしおった。許せん!」

ピタゴラス博士には珍しく、その声は怒りに震えていた。十数年間愛用し、宇宙中の惑星を巡って様々な知的生命体の拷問研究を続けてきた、彼の家ともいうべき宇宙船が破壊されのだ。宇宙船にはその十数年間に蓄積された拷問研究の資料や、彼が考案した拷問マシン、最近では実験途中の地球人の美女たちが多数、積載されていたのだ。いつもはどんな残虐な生体実験を行うときも平然と笑っていられるピタゴラス博士も、この時ばかりは我を忘れて怒鳴り散らしていた。

「鉄仮面!ムカデどもを一匹残らず、ひねり潰せ!・・・いや、何匹かは生きて捕まえるのじゃ。わしが恐ろしい拷問にかけてやる!」

「了解しました・・・」

アルテミスは巨大ロボットを始動させるために三角木馬型の操縦シートに跨り、操縦桿である特大バイブレーターに腰を沈めた。先ほどシンディ刑務官に高温ローソクを垂らされたオマンコの粘膜がひどい水ぶくれになっており、激痛を感じる。

「ウッ!ウウウウッ!」

普通の人間なら耐え難い痛みだったが、鍛え抜かれたマゾ戦士であるアルテミスにはそれさえも快感だった。体中にロボットの神経回路と直結する電極を貼り付け、発進準備が完了する。

「鉄仮面、キュプロプス1号機、発進します!」

巨大ロボットの両手には、それぞれロボット用の特大サイズのレーザーガンとレーザーサーベルが握られている。ロボットが一歩を踏み出すと格納庫の扉が開いた。研究所の外はすでに戦場だった。全長5メートルのムカデ型戦闘アンドロイドが数体、のたうつように暴れまわっている。金属の触手を伸ばしたり、目から緑色の怪光線を出したりして、周辺の施設を徹底的に破壊していた。それに対してネオガイア製の戦闘アンドロイドや、ネイガイア人兵士が応戦しているが、海賊の戦闘技術の方が数段進んでおり、有効な反撃を加えられないでいる。

(宇宙海賊百足星人・・・以前、データファイルを見たことがある。グレイの銀河警察も手を焼いているという恐ろしい相手だわ)

アルテミスは腰を前に突き出して、操縦桿を倒すと、レーザーサーベルを振りかざし、レーザーガンを乱射しながら、キュクロプス1号機をムカデの真っ只中へ突っ込ませていった。

 

さざなみ市の治安を守るさざなみ警察署の裏手に、十数頭の警察犬を飼っている鉄の檻がある。その中で、ドーベルマンやシェパードに混じって人間警察犬のヘレン・マンスフィールド(28歳)も飼われていた。新サイボーグ戦隊の正式メンバーとなったヘレンだったが、普段は今までどおりさざなみ署で人間警察犬としての毎日を送っている。その仕事内容は犯人や行方不明者の、遺留品として残された下着や靴下などの匂いを嗅いで、足跡をたどる事である。また、行動を共にしている捜査員が犯人逮捕の際、自ら先頭に立って格闘し、危険を肩代わりすることも重要な仕事だ。仕事のないときは、他の本物の警察犬と同じくこの鉄檻がヘレンの寝ぐらであった。ヘレンの脳に埋め込まれたコンピューターチップには発情期の犬や豚の行動パターンが数十匹分ごちゃ混ぜにインプットされており、常に同僚の警察犬に交尾を求めずにはいられない。

「ねえ、ドギー、あたしのオマンコに、あなたの尖ったチンポをぶち込んで頂戴・・・」

ヘレンは同じ檻の雄のドーベルマンのドギーに擦り寄った。毎日散々ヘレンに交尾を迫られ辟易しているドギーは、何とか逃れようと低い唸り声を上げてヘレンを威嚇した。

「ガルルルルゥ!」

「そんな、怖い唸り声を上げても駄目よ。本当はあたしとヤリたいんでしょ。ねえ、ドギー?」

ヘレンは嫌がるドギーを無理矢理、檻の隅に追い詰め、四足で組み敷いた。ドギーは必死で抵抗し、爪でヘレンの白肌を引っ掻いたり噛み付いたりしたが、浴情して交尾することしか頭にないヘレンは全く怯まず、押さえつけたドギーを騎上位でレイプした。細長く尖った異様な形状のドーベルマンのチンポをオマンコに咥え込み、締め付けて擦り上げる。

「クーン・・・クーン・・・」

ドギーが観念したように情けない鳴き声を上げた。他の警察犬たちはヘレンとドギーを遠巻きにし、努めてかかわらないようにしている。この檻の中にいる十数頭の警察犬たちは全て、多かれ少なかれヘレンの旺盛な性欲の被害者だった。ヘレンが哀れなドギーの精液を最後の一滴まで絞り上げたとき、二人の私服の刑事が鉄檻に近付いてきた。

「あの豚犬、また他の犬と無理矢理交尾しているわ」

中津絵里子刑事(32歳)が呆れたようにため息をついた。

「全く、何で俺たちがあの豚犬の面倒を見なくちゃいけないんだ?あいつは警察犬の恥さらしだよ」

もう1人の刑事、青山優作(35歳)も、お手上げだ、と言わんばかりに肩をすくめた。そう言う二人の姿もかなり恥さらしだ。私服刑事とはいえ、スーツに身を固めているのは上半身だけで下半身は丸裸である。女性警官の服装規定も改正され、股下0センチのミニスカノーパンから、下半身は全くの衣類着用禁止と言う事に変更されている。理由は、職場環境に男女差をつけたくないという総督府からの通達だった。フルチン、フルマンということになる。

「おい出ろ、豚犬!仕事だ」

優作は鉄檻の鍵を開け、ドギーとの交尾に夢中になっているヘレンを引き剥がすと、首輪に鎖をつけ、外に引きづり出した。

「総督府からの通達によると、この騒ぎは宇宙海賊の襲撃らしい。戦闘地域は今のところネオガイア星人の軍事基地周辺に限定されているようなんだけど、一部、市街地でも、人質を取って我々の警官隊に包囲されている海賊がいる。それがどうも、サイボーグ化された地球人らしい、ということなんだ。・・・豚犬、お前も同じサイボーグみたいなもんだろう。行って、そいつらをなんとかしろ、と言う上からのお達しだ。」

優作が説明した。物憂げなヘレンは交尾の事しか頭になく、そんなことはどうでもよさそうだった。

「あんた、やる気なさそうね。なんて破廉恥な犬なのかしら。・・・いいから来るのよ!」

絵里子が業を煮やしてヘレンの首輪を荒々しく引っ張った。

「ブヒー!ブヒー!」

豚モードに切り替わったヘレンは口から泡を吹き、白目を剥きながら小走りに二人の刑事について行くしかなかった。

 

青山刑事、中津刑事、ヘレン、の二人と一匹がパトカーで現場に到着したとき、状況は膠着したままだった。清水優香と奥平渚沙の2体のサイボーグが金属触手を使って数十人の人質を取り、自分たちの周りに隙間なくビッシリと立たせて人間の壁を作っている。人質はサラリーマンやOL、買い物に来ていた主婦や、通学途中の学生などの通行人である。全員が触手でがんじがらめにされ、触手の先端を口や肛門、オマンコの奥深くまで突っ込まれて、いつでも殺せるような状態のまま直立させられていた。

「あわわわ・・助けてくれ・・・」

「死にたくないわ、お願い殺さないで・・・」

「おうちに帰りたいよー」

人質たちはブルブルと震え、泣きながら失禁している女性もいる。ほぼ全員が長時間の緊張と寒さでそろそろ体力が限界に来ているようだ。

「捜査課の青山です、応援に来ました。ちょっと貸して下さい」

青山刑事は現場の指揮官からハンドスピーカーを強引に借りると、犯人に呼びかけを始めた。

「おーい、宇宙海賊たち、何が目的なんだあ?」

人間の壁で作られた輪の真ん中で、腰を下ろして休んでいた優香と渚沙は顔を見合わせた。黒レザーの渚沙が立ち上がる。

「目的は、破壊と略奪よ。・・・おらっ、そこ、動くんじゃないっ!ちょっとでも変なマネをしたら人質をぶっ殺すよっ!」

フルチン警官隊と人質に緊張が走る。

「もう、こんなことは止めないかあ、どうせ逃げられないんだしー。お前らも俺達と同じ地球人だろう?」

「うっせえ!だから、さっきから、好きでやってるんじゃないって言ってるでしょっ!頭の中にコンピューターチップが埋め込まれていて、海賊の命令には逆らえないのよっ!」

「なーんだ、それじゃ、俺達と同じじゃないか」

さざなみ署の警官達も全て、ネオガイア星人によって脳にチップを組み込まれている。青山刑事はお手上げだ、と言う風に現場指揮官に肩をすくめた。

「これでは、海賊が説得に応じるとは思えません。いっそ、人質を見殺しにしてはどうでしょう?」

「そんな・・・青山クン、いくらなんでもやり過ぎよ・・・」

中津刑事が口を挟んだ。しかし、青山刑事はやると決めたら必ずやる男だ。

「いや、現在のさざなみ市はネオガイア星人の支配下にある。事件解決のため、一般の地球人なら見殺しにしても構わないことになっているんだよ」

「そうなの?」

中津絵里子刑事が現場指揮官に疑問を投げかけると、彼も首を縦に振った。

「やはり、それしかないようだな・・・」

「まず、人間警察犬のヘレンを突入させて、相手の出方を見ます。その上で状況により、強行突入をかけましょう」

「うむ、仕方がない・・・」

青山刑事が全裸のヘレンに作戦内容を耳打ちした。退屈そうに寝そべっていたヘレンがすっくと四足で立ちあがり、全身の筋肉を緊張させる。額に埋め込まれた唯一の武器である長さ30センチのドリルを高速回転させ、戦闘体勢をとった。

「いけっ、豚犬!」

青山刑事の合図と共にヘレンが猛ダッシュで、犯人めがけて駆け始めた。渚沙と優香は完全に不意を突かれた。

「何、なんなのっ!」

「渚沙っ、裸の女が四つん這いで突っ込んでくるわ!」

ヘレンは人質の壁に突進し、直進方向に立っていた主婦の脇腹に額のドリルを食い込ませた。

「ぎゃあああっ!」

犠牲になった主婦が、脇腹から勢い良く血を噴出し、倒れこむ。その一人分開いた間隙からヘレンが人間の輪の中へ飛び込んだ。

「くそっ!」

慌てふためいた渚沙が右腕の電気ムチを振るったが、ヘレンは軽いステップでかわし、代わりに運悪くムチを浴びる羽目になったサラリーマンが感電して黒こげになる。

「きゃああああ!」

次の瞬間、パニックになった人質たちが逃げ出そうとし、人間の盾が崩れた。

「こらっ、お前ら、逃げるな!」

渚沙と優香が必死で留めようとして、何人かを見せしめに、体内に侵入させている触手で、内蔵をかき回して死亡させた。しかし、間髪を入れず、ヘレンが何度も二人に飛び掛ってくると、自分自身を防衛するために、触手の多くを人質から離してヘレンに向けなければならなかった。

「チャンスだ。総員突撃!」

フルチン警官隊の指揮官が叫んだ。ジュラルミンの盾を持った下半身むき出しの男達が一斉に乱闘中のサイボーグ戦士めがけて駆け出す。

「やばいよ、渚沙!」

優香が悲痛な叫びを上げた。渚沙がヘレンの体を捕らえようと電気ムチを振るいながら、優香の方を睨みつける。

「優香、逃げるのよっ!あなたなら、下水とか運河とかに飛び込めば逃げ切れるでしょう?」

「でも・・・」

「行きなさいっ!やっと地球に戻って来れたんだから!」

水中専用サイボーグである優香は地上での動きは普通の人間よりも遅いが、水の中なら背中のスクリューを使って、猛スピードで移動することが出来る。優香はまだ生きたまま捕まえている数人の人質を無理矢理引きずるように駆け出した。

「サイボーグの1人が逃げるぞ、撃てーっ!」

警官隊の指揮官が叫び、逃げる優香の背中に銃撃が加えられた。優香は銃弾を防ぐため、うまく人質の体を使って弾除けにする。

「ぎゃあああ!」

銃撃を浴びた人質が倒れた。

「どうして現場に血が流れるんだ?」

その光景を見た青山刑事がつぶやいた。

「あなたが、やらせたんでしょ」

中津刑事が睨みつける。死に物狂いの優香は、警官隊の囲みを人質の体を体当たりさせて破り、一番近くのドブ川に飛び込んだ。

「渚沙−っ、死なないでねっ!」

優香がヘドロの中に姿を消す寸前に叫んだ声を、渚沙は耳にした。しかし渚沙自身は、突進してくる警官隊にもみくちゃにされ、逃げる事も出来ずに警棒で滅多打ちにされた。

「お前らっ、女王様にこんな事して、ただで済むと思ってるのかいっ!」

「何だとてめえ!化け物の癖しやがって!やっちまえ」

「・・・後でお仕置きしてあげるから・・・覚悟するのね・・・・」

渚沙はセリフを最後まで叫ぶことが出来なかった。ガックリと膝を崩すと、ゆっくりその場に上半身を沈めていった。

 

地球植民地総督府ビルは30階建の高層ビルである。その27階部分にさざなみ市の心臓部とも言えるコントロールセンターがあった。通常、コントロールセンターは軍事基地であれば地下に設けられるのだが、総督府ビルは行政府であるため、市街を一望出来る最上階に近い場所に設けられている。現在、ビルの1階から13階部分までは侵入した百足星人のムカデ型アンドロイド十数体と警備のネオガイア人兵士の間で白兵戦が繰り広げられており、地階にある転送ルームとは完全に遮断されてしまっている。ヘラクレス提督をはじめとする行政府職員たちはコントロールセンターに孤立した状態だ。それでも彼らはコントロールセンターのシステムを使って必死で状況を掌握しようとしていた。

「墜落したスパルタとは連絡は取れないのか?」

ヘラクレスがイライラして叫んだ。状況はネオガイア星人側にとって限りなく悪い。

「応答ありません」

「オリンポスの戦況は?」

「膠着状態です。艦内の民間人を含むネオガイア人に多数の死傷者が出ているようです」

占領後、一年が経とうとするさざなみ市にはソロングループをはじめとするネオガイア星の民間企業が進出し、母星からの観光客も訪れている。彼らの安否が気遣われ、治安責任者のペルセウスは、顔面蒼白だった。

「市内各所で、この騒ぎに便乗した地球人の暴動が発生しているようです。」

「くそっ、地球人め、こんな時に!」

ヘラクレスがデスクを思い切り拳で叩いた。

「暴動を煽動している者がいるようです」

「おそらくレジスタンスの奴らだ。・・・暴動の鎮圧には地球人のポリスどもを当たらせろ。軍の治安部隊は裂けん!」

ペルセウスが忌々しげに部屋の隅で邪魔にならないよう、小さくなっている奴隷秘書の小倉潤子の方を、お前の仲間だろう、とでも言いたそうに睨みつける。

「薄汚い原住民の癖に、反抗ばかりしやがって!」

怒りをぶつけられた何の罪もない、潤子は泣き出しそうだった。その時、ネオガイア人オペレーターの1人が立ち上がった。

「どうした?」

ヘラクレスが問い質す。

「いえ、ちょっとトイレに・・・」

「外は危険だ。ドアもバリケードで塞いであるからこの部屋からは出れん。小便なら、潤子に飲ませろ」

ヘラクレスは潤子の方に顎をしゃくった。これまでもヘラクレスは出張の際、移動中の車内や、会議で退席出来ない時など、奴隷秘書である潤子の口で用を達している。パーティ会場でアルコールを飲み過ぎた時も同様、いつも同伴している潤子を携帯用トイレの代わりに使っている。提督に合図をされた潤子は、やっと自分の役立つ時が来たと、ホッとした表情でそのオペレーターの傍に駆け寄り、膝をついてスペーススーツのズボンの隙間からチンポを引っ張り出すと、パクッと口に咥えた。オペレーターは、状況が状況なだけにオシッコがしたいことをなかなか言い出せずギリギリまで我慢していたため、たちまち勢い良く放出した。潤子の咽喉がゴクゴクと動き、一滴もこぼさずに上品に飲み下していく。潤子は、容姿端麗、色白でロングヘアの黒髪の清楚な雰囲気をたたえた四年生大学卒の知的美女である。その彼女が、奴隷秘書として来客へのセックスやフェラによる接待を日々当たり前のように行っているのだ。そのオペレーターが用を済ませてスッキリすると、それまで我慢していた他の職員達が、我も我もと潤子の前に集まってきた。

「申し訳ございません。一列に並んでください」

潤子は秘書らしく丁寧に応対した。この緊急事態に何もすることがなく、手持ち無沙汰で居心地の悪い思いをしていたのだが、やっと自分が役立つ事が出来て少し自信を取り戻したようだった。潤子は6人分の溜まりに溜まったオシッコを一滴もこぼさずに飲み干すとハンカチで口元を拭いた。そして、モジモジとしながらヘラクレスに言った。

「あのう、私もオシッコをしたいのですが・・・」

「部屋の外には出れんと言ってるだろう。この部屋に地球人はお前しかおらん。お前の小便を飲む者はいない。そこの窓からでも垂れろ」

ヘラクレスは、今はそれどころではない、とでも言いたそうに冷たくあしらった。仕方なく潤子は言われたとおり部屋の窓を開け、パンティを下ろしてスカートを捲り上げた格好で窓枠によじ登った。地上27階なのでビュウウウウと強い風が吹いている。黒髪がほつれて風になびいた。潤子が恐る恐る眼下を見ると、市内のあちこちで黒煙が上がっており、頻繁に爆発音や破壊音、絶叫などが聞こえてくる。ここからでは蟻のような大きさにしか見えないが、地上にはムカデ型のアンドロイドやネオガイア人兵士、逃げ回る地球人の一般市民などの姿もある。

「ゲフッ」

潤子は腹いっぱいに飲み込んだ職員たちのオシッコの香りがするゲップをすると、下腹部の力を緩め、勢い良く放尿した。あまりにも高い位置なので地面に落ちるころには潤子のオシッコは水飛沫状になっているだろう。

 

「宇宙人をぶち殺せ!」

「娘を返せ!もうたくさんだ!俺達は奴隷じゃないぞ!」

「町を俺たちの手に取り戻すんだ!」

さざなみ市のオフィス街で暴徒が荒れ狂っていた。このところ厳しい取締りでデモも下火になっていたのだが、突然の異変に気づいたレジスタンス組織が行動を開始したのだ。煽動された暴徒は、ネオガイア企業の事業所を略奪したり、市内を、全裸の地球人に引かせた人間馬車で観光中の、ネオガイア星人の旅行者を捕まえて袋叩きにしたりしていた。

「今まで俺達を、散々、奴隷扱いしてくれたお返しだ!」

「あたし、意味もなく、道の真ん中で土下座をさせられて、靴の裏を舐めさせられたわ」

「そのくらい何よ、あたしなんか、何度もネオガイア人の兵士にレイプされたのよ!」

市民たちの押さえつけられていた怒りが爆発していた。捕まった民間のネオガイア星人は抵抗する術もなく銀色のスーツを引き裂かれ、それが若い男女なら徹底的に陵辱された。殴る蹴るの暴行を受け、重症を負ったり、死亡する者もいる。普段なら治安部隊のアンドロイド兵士が、市内を巡回していて、すぐに駆け付けて来るのだが、全て宇宙海賊との戦闘に回されていて誰も来ない。助ける者もなく、多くの民間のネオガイア星人が暴動の犠牲になった。その様子を、ワゴン車の中から満足気な薄ら笑いを浮かべて眺めている人間がいた。レジスタンスの女リーダー、城山朋子(28歳)だ。ネオガイア星人の生体実験によって両手両足を入れ替えられ、肛門と口を入れ替えられた、化け物のような姿に変えられた朋子は、宇宙人に対する身を焦がすような憎悪に燃えていた。

「ざまあ見ろ、宇宙人。お前らの支配はもう終わりよ」

ワゴン車の助手席に座った朋子は、ミニスカートの両脚の間から逆さまに生えている顔を勝ち誇った喜びに輝かせていた。元々かなりの美人なのだが、今はキメラのように体の部品を入れ替えられ、直視出来ずに、思わず目を背けたくなるような姿だ。

「なんとか、もう一度、エネルギーバリアの発生装置を破壊出来ないかしら?」

朋子が運転席の神田正之(38歳)に言った。元刑事で現在は朋子の右腕になっている精悍な男である。

「それは無理だ。基地周辺には近付けない。宇宙人同士の戦闘に巻き込まれるぞ」

「そうね・・・奴ら、互いに殺し合って共倒れになってくれると手間が省けるんだけど」

「もう少し、様子を見るしかないな」

ワゴン車から少し離れた場所では、観光に来ていたネオガイア星人の家族が暴徒に引き吊り倒され、息絶えた両親の傍で、幼い10歳ぐらいの娘が輪姦されているところだった。

 

 宇宙海賊の襲撃が始まったその日の夕刻、地球の裏側、アメリカ合衆国の首都ワシントンにあるホワイトハウスの執務室では緊急の閣僚会議が開かれていた。出席者は副大統領、国務長官の他、CIA長官や国防長官、NASAの局長などが招かれている。

「日本の宇宙人占領都市で異状事態が起こっているようだ」

大統領が切り出した。全員の顔がこわばる。宇宙人問題はこのところ、日に日に深刻さを増して来ている。

「今朝、フランスの新聞社から情報提供がありました。これを見てください」

CIA長官が数枚の写真をまわした。その写真はフリージャーナリスト、カトリーヌ・レクレールが撮影したもので、ムカデ型アンドロイドと市街戦を行っているネオガイア人兵士が写っている。

「どうやら宇宙人ども、同士討ちを始めたようです」

「衛星軌道上でも、宇宙船同士の交戦があったことが、我々NASAの観測で確認されました。」

「わしは、これは神が与えてくれたチャンスだと思う。」

大統領が思いつめた表情で言った。他の閣僚たちも一斉にうなづく。

「宇宙人をこの地球上から追い出すのだ。合衆国大統領の権限において、宇宙人迎撃プラン、『ミッション3』を発動する」

『ミッション3』とは国防総省が立案した作戦のコードネームで、アメリカを中心とする多国籍軍で宇宙人に総攻撃をかける、という物量作戦である。かねてから作戦の立案にあたっていた国防長官が説明を始めた。

「グァム島の海軍基地に待機中の原子力空母『ジョージ・ブッシュ』と『ロナルド・レーガン』を日本近海に向けて北上させます。アメリカ本土からは重爆撃機F117、通称ステルスの編隊を最大機数投入します。巡航ミサイルを搭載した潜水艦部隊は日本海溝付近に半年前から極秘に展開しています」

「日本の首相はすでに我々と共に戦う事を約束している。韓国、台湾も同調するだろう。ホットラインでロシア、中国にも共同作戦を申し入れるつもりだ」

大統領の声に力が入っていた。

「すでに、在日米軍と在韓米軍には、臨時演習の名目で非常召集をかけてあります。命令があればいつでも戦闘に入れます」

「このかつてない危機に、我々は、宇宙人を撃退した英雄として歴史に名を残すのだ!」

大統領の意気込みに出席者全員が拍手をした。

 

第81話、特攻作戦

 

さざなみ市では、宇宙海賊の襲撃が始まってから2日目の朝を向かえようとしている。大破してさざなみ港に墜落した高速巡洋艦『スパルタ』の内部では、生き残った乗組員によってようやく消火作業に目処がつき一息ついている所だった。

「ブリッジは完全に破壊されて役に立たんな・・・」

サイボーグ戦隊司令官のイカロスがガックリと肩を落としていた。

「艦長以下、ブリッジ要員は全員が死亡です。通信設備その他システムは完全に破壊され、全く使い物になりません」

副司令のタンタロスも墜落した時の衝撃で負傷し、頭と左腕に治療用の保護板を装着し、右足を引きずっている。二人とも、エネルギー砲の直撃を受けた時、ブリッジとは別にあるサイボーグ戦隊の司令室にいたため、どうにか助かったのだ。

「これからどうしますか、イカロス司令?」

「わからんよ。外の状況が全く掴めん。いつまで経っても救助が来ないところを見ると、戦闘がまだ続いているか、みんな海賊にやられちまったか、どちらかだろう」

「そんな、たかが宇宙海賊ごときに、我々が・・・」

「宇宙海賊と言っても、異銀河から来た連中だ。科学技術は我々よりも数段進んでいるらしいぞ」

二人がトボトボと負傷者に溢れかえっている艦内を歩いていると、アンドロメダ女医から艦内放送で呼び出しがかかった。

「イカロス司令、瞬間物質転送機が作動しています。誰か来るようです」

イカロスとタンタロスが慌てて転送ルームに駆けつけると、そこには良く知った人物が実体化していた。

「ピタゴラス博士!無事だったのですか?」

「ギャハハハハ、わしは不死身じゃよ。たまたま、襲撃があった際、自分の宇宙船にいなかっただけじゃがな・・・」

ピタゴラス博士は、巨大ロボット『キュクロプス1号機』を発進させた後、メビウス研究所の地下シェルターに隠れ、必死に宇宙海賊を撃退する方法を模索していたのだ。

「宇宙海賊どもを撃退する方法を思いついた。君たちに協力してもらいたい」

「どんな方法ですか、それは?」

「ここの瞬間物質転送機はまだ生きているようだ。まず、君たちの配下のサイボーグ戦士を招集してもらえないか」

サイボーグブラウンのヘレン・マンスフィールド(28歳)とサイボーグゴールドの相沢淳子(36歳)が転送機で連れて来られた。二人とも脳内にコンピューターチップを埋め込まれており、スパルタの転送機には、どこにいてもワンボタンで回収出来るよう登録されている。人間警察犬のヘレンは逃げたサイボーグの清水優香の臭跡をたどっている最中に転送された。女子アナの淳子はニュース番組を収録中に海賊の襲撃に合い、放送局員たちと共に逃げ回っているところを転送されたのだ。

「この豚犬と女子アナを使って、海賊の母船に特攻作戦をかけて貰う」

「特攻作戦・・・ですか?」

「そうだ、わしはデータバンクにある海賊の資料を片っ端から調べた。奴らは酸素ではなくメタンと窒素の空気を呼吸する。つまり、奴らの宇宙船にはこれらの気体が充満している、ということだ」

「なるほど、判りかけてきました」

「メタンと窒素は単独では爆発しない。しかしこれに酸化剤を混ぜるとどうなると思う?」

「ドカン!ですな」

イカロスとタンタロスの顔が明るくなった。ピタゴラス博士は普段、その優秀な頭脳を人間や他の知的生命体の拷問をすることにしか使っていないが、元々はIQ300を超える天才である。

「しかし、それなら直接、高性能爆弾を転送機で送り込めばいいんじゃないのでしょうか?」

「それも考えたが、リスクが高い。奴らのエネルギーバリアには対転送機用のファイヤーウォールが仕掛けられている可能性がある。もし、それに引っかかれば、転送した物体は元の場所へと送り返されてくる。つまり、爆弾を送りつけて、万が一失敗すれば、我々がドカンと言う事になりかねん」

「・・・・」

「一番確実な方法は、サイボーグ2体に酸化剤を持たせて海賊の母船に送り込み、間違いなく発火させることじゃ」

ピタゴラス博士の目は怒りに燃えていた。海賊に自分の宇宙船を爆破されたことを深く根にもっているようだった。

 

 サイボーグである淳子とヘレンはスパルタの転送室で作戦の内容を説明された。各自、巨大な酸素ボンベを2本ずつ背中に背負わされる。転送された後、ボンベの中身を海賊船の内部に放出するのだ。その他の装備としては二人とも呼吸用の酸素マスクを顔につけ、体中に短時間なら宇宙空間でも生きていける透明のコーティング液を塗りつけられる。これは宇宙服の代用品だ。淳子には白兵戦用のレーザー銃が渡される。

「我々の命運はお前らにかかっている。」

イカロス司令が厳しい口調で言った。

「うまくいけば生きたまま回収してやる。だがもし、死んだとしても作戦だけは成功させてくれ」

淳子とヘレンは従うしかない。サイボーグ戦隊の正規のユニフォームである全裸で二人は、瞬間物質転送機の台の上に乗った。

「幸運を祈る」

二人の裸体が白い光輝に包まれて消えた。二人が実体化したのは衛星軌道上の海賊の母船の中だった。空気がよどんでおり、なんとなくどんよりとした黄色いもやがかかっている。気温は低いはずだが体に塗られたコーティング液のおかげで寒さは全く感じない。

「ヘレン、ボンベの蓋を開けるわよ」

付近に敵がいない事を確認し、淳子とヘレンは背中の酸素ボンベを下ろした。そして一つづつロックを解除し、開口部の蓋を外しにかかる。

「くそっ!」

ヘレンが悪態をついた。以前、凍傷で両手の指を何本か失っており、うまく蓋を開けることが出来ないのだ。それでも残った指でどうにか全てのボンベの口を開け、勢い良く噴出した酸化剤は気体となって広がり始めた。空調システムを通していずれ船全体に広がるだろう。

「もう少し待ってから発火させるわ」

「ワンワン、あたし達本当に回収してくれるのかしら」

「さあね」

淳子とヘレンはしばらく、どこかに隠れることにした。慎重に船内の通路を進んでいくと、数匹ののたうっている大ムカデ達の姿を発見した。ムカデ型アンドロイドではなく生きた百足星人である。彼らは降下したアンドロイド部隊が略奪してきた地球人やネオガイア星人の捕虜を運んでいるところだった。

「こいつらは奴隷商人に売り飛ばそう。ヒューマノイド生物を虐待することが好きな種族がたくさんいるからな」

「特にグレイの奴らなんか支配者面しているが、他の知的生命体を食べるのが大好きだと聞く。それも人間牧場の養殖モノではなく、文明生活をしている野生の生命体には目がないそうだ」

「高く売れるといいな」

脳内コンピューターの自動翻訳機を通して聞こえてくる会話に、淳子とヘレンは身の毛がよだつ思いだった。その時、淳子がオナラをした。排泄物を爆弾に変換する改造手術を受けてから、どうも胃腸の調子がおかしいのだ。良く響くオナラの音に百足星人達が気づいた。

「何かいるぞ!」

「やばい、逃げるのよヘレン!」

「ワンワン!」

淳子とヘレンは一目散に駆け出した。

 

海賊船の内部を淳子と共に逃げ回りながら、ヘレンは以前にもこんな事があったのを思い出していた。

(ちょうど1年前ぐらい前だわ。あたしはCIAの工作員として、ネオガイア星人の母艦を破壊するために産婦人科の地下にあった転送機で侵入した・・・)

一緒に侵入した仲間は、その時、どうなったのだろう。白木雪絵と古賀美奈子はあの状況から考えて、とうてい生きているとは思えない。城山朋子と木之本恵美にはその後、さざなみ市内で出会ったが、ネオガイア星人の人体実験によって生まれもつかない悲惨な姿に変えられていた。ヘレン自身も現在は豚犬と呼ばれる肉体に改造され、他の本物の犬たちと共に人間警察犬としての生活を送っている。

(ひょっとして、こうなったのは、あの時あたしが、ネオガイア星人の母艦への突入を決断したから???)

ヘレンの胸を一抹の疑惑がかすめ、自責の念に駆られそうになった。

(いいえ、違うわ。あの時のあたしの決断は正しかった。あの状況ではああすることが最善の選択だったのよ!)

無理矢理、自分に言い聞かせるように、そう考える。

「ヘレン!そろそろ発火させるわ!」

淳子の声でヘレンは我に返った。

「起爆装置としてあたしのオシッコとウンチを使うから、少しの間、囮になって敵を引き付けて頂戴!」

「判ったワンワン!」

ヘレンは果敢に、追跡してくる百足星人の前に飛び出した。額のドリルを高速回転させ相手を挑発し、百足星人が繰り出してくる毒針やレーザー光線を軽いステップでかわして行く。そして淳子のいる方と別の方角へと逃げ出した。

「逃がすな!捕まえろ!」

百足星人たちがヘレンに気をとられている隙に淳子は近くの部屋に飛び込んでドアを閉めた。そして床にしゃがみこみ、下腹部に力を入れる。

「ウーン、ウーン・・・」

ブリブリブリブリ・・・と溜め込んでいたウンチが床の上にトグロを撒いた。クリトリスの下の尿道からはシャーッと音を立てて黄色のオシッコが床を叩く。サイボーグに改造された淳子のウンチはプラスチック爆弾、オシッコは危険な発火性の液体なのだ。排泄を終えて立ち上がった淳子は、部屋の端にツーッと流れていく一筋のオシッコにライターで火をつけると、慌てて部屋を飛び出した。

 

 さざなみ市郊外の軍事基地に侵入した百足星人のムカデ型アンドロイドが、巨大ロボット、キュクロプス1号機に群がり、集中攻撃をかけていた。ムカデ型アンドロイドの目から緑色の怪光線が照射され、キュクロプス1号機の金属ボディを焼き焦がしていく。その損傷は神経回路を通して、パイロットであるアルテミスの肉体の同じ部位に電気ショックとして正確に伝えられる事になる。

「うぐうっ!」

アルテミスは歯を食いしばり苦痛に耐えた。すでに戦い始めてから18時間が過ぎており、アルテミスは心身ともに疲労の極みに達していた。

「ウオオオオッ!」

アルテミスはコクピットで雄叫びをあげると、オマンコに咥え込んだ操縦桿を、腰を前に突き出して倒した。出撃寸前までシンディ刑務官にローソク責めにされ、内側の粘膜が水ぶくれになっていたオマンコは、長時間の戦いで擦り切れて、おびただしく出血している。アルテミスの感覚は疲労で麻痺し、もはや痛みは感じない。アルテミスに操られたキュクロプス1号機は、ムカデ型アンドロイドの群れに突進し、右手のレーザーサーベルで数体を切り裂いた。左手のレーザーガンはすでにエネルギー切れで役に立たなくなっている。どうにか囲みを破った満身創痍のキュクロプス1号機の背中に、残りのムカデ型アンドロイドが、怪光線や、先がドリル状になった触手で集中攻撃を加えた。

「ああああっ!」

キュクロプス1号機の神経回路と一体化したアルテミスの背中に高電圧の電流が流れ、気を失いそうになる。

(ううっ。こいつら、いくら倒してもキリがないわ。一体、あとどれぐらい、いるのかしら・・・)

抗戦する味方のネオガイア人兵士やアンドロイドの姿は、時間の経過と共にほとんど見かけ無くなって来ている。おそらくやられてしまったか、退却したのだろう。数時間前からメビウス研究所との連絡も途絶え、アルテミスは圧倒的な数の敵に囲まれながら、もう何時間も孤独な戦いを続けていた。

(もう、限界だわ・・・)

アルテミスの意識がフッと遠のいた。その時コクピットのパイロットを監視するセンサーが働き、自動機構が作動した。コクピットの天井からバラ鞭が降りてきて、容赦なく気を失ったアルテミスの裸の背中を叩き始めたのだ。これもピタゴラス博士が考案し取り付けた装置だった。ピシッ、ピシッと背中を打たれ続け、気を失っていたアルテミスが意識を取り戻す。これまで何度も気を失っては、その度にこの自動機構の世話になっていたアルテミスの背中は、赤い蚯蚓腫れで埋め尽くされていた。

「ううう・・・」

さらに別のチューブが伸びてきて、鉄仮面を被ったアルテミスの口から喉の奥へと先端が侵入する。ドクドクと強い興奮剤の入った栄養ドリンクが流し込まれた。再びアルテミスの心と体に闘志がみなぎってきた。興奮のあまり膀胱が緩み、股間から血の混じったオシッコが、三角木馬型の操縦シートに垂れ流される。再びアルテミスはボロボロの鉄屑に近い状態になったキュクロプス1号機を操り、群がるムカデ型アンドロイドを相手に戦いを再開した。このようにしてアルテミスは、際限のない、長時間の戦闘に耐え続けているのだった。

 

 衛星軌道上の百足星人の母艦は大パニックになっていた。淳子とヘレンがばら撒いた酸化剤が、メタン、窒素と混ざり合い、宇宙船内部で誘爆を始めたのだ。酸化剤は空調システムを通して船内中に広がり、手のつけようがない。

「何があったんだ?」

百足星人の司令官がうろたえていた。

「わかりません。進入した敵の工作員が何らかの手段で破壊を行っているようです!」

「被害状況は?」

「連鎖的に船内各所で爆発が起こっています。機関部、居住区、宇宙艇格納庫、通信設備、全て壊滅しています」

「そんな馬鹿な!」

大ムカデの司令官がそう叫んだ時、司令室も爆風に包まれた。

 

 宇宙海賊の母艦の破壊工作に成功した淳子とヘレンは誘爆を続ける宇宙船の内部を逃げ回っていた。

「どうして、あたし達を回収してくれないの!」

淳子はヒステリックに叫んだ。

「判らないワン!」

おそらく、地上にいるイカロス司令は、確実に宇宙海賊の母艦が破壊されたのが確認されるまで、二人のサイボーグ戦士を回収しないつもりなのだろう。前方で爆発があり、宇宙船の外壁が破れた。船内の大気が恐ろしい勢いで、真空の宇宙空間へ流出を始める。

「ヘレン!」

「淳子!」

二人は抱き合ったまま、大気の流れに逆らう事ができず、外壁に開いた穴から宇宙空間へ投げ出された。

「大丈夫だワン。あたし達の体には宇宙服代わりの特殊コーティング液が塗られているのよ。呼吸は酸素マスクで出来るわ」

無重力空間を、全裸で抱き合って漂いながらヘレンは淳子に囁いた。大ムカデたちが、絶望的になった宇宙母艦から脱出を始めているのが見える。脱出ポッドや生身のままで真空に飛び出すものもいる。宇宙生物として進化の過程にある百足星人は宇宙空間でも生存でき、数日間なら呼吸さえも必要としないのだ。眼下には巨大な青い球のような地球が見え、大気の揺らぎに影響されない満天の星々が綺麗だった。

「ああ、ずっとこのままでいたいわ、ヘレン」

淳子は泣いていた。いくら厳しい訓練を受けたとはいえ、元はただの女子アナなのだ。

「淳子・・・あたしが守ってあげるワン・・・」

ヘレンは急に淳子が愛おしくなり両腕でギュッと抱きしめると、酸素マスクを外して口づけをした。鼻の穴に差し込まれたチューブから呼吸は続ける事ができる

「むぐっ・・・」

淳子は抵抗をしなかった。二人はしばらく夢中で舌を絡め合った。しばらくするとヘレンは自分の体が痺れて動かなくなっていくのを感じた。

(しまった、忘れていたわ・・・)

淳子の唾液は強烈な麻酔剤なのだった。それから数時間後、二人の体はようやく物質転送機の白い光輝に包まれ地上に回収された。

 

 母船のコントロールを失ったムカデ型アンドロイド達は暴走を始めた。それまで統率され、組織的に行動していた彼らは、個別のコンピューターの戦闘プログラムに従って、視界に入る、動く物体や構造物を手当たり次第に破壊し始めた。

「やつらの様子がおかしいわ」

戦闘が行われている軍事基地の敷地から、少し離れた市街地にある高層ビルの屋上で、戦闘の様子を観察していた城山朋子がすぐに異常に気付いた。ミニスカートの間から逆さまに生えた顔に、上半身をかがめて双眼鏡を当てている。この時点ですでにネオガイア星人側の抵抗はほとんど沈黙しており、宇宙港を含む軍事基地はほぼ全域が瓦礫の山と化している。唯一、遠くで満身創痍の巨大ロボットが1体、虚しい抵抗を続けているだけだった。

「チャンスよ、正之。もう一度、エネルギーバリアの発生施設を破壊するわ。」

神田正之が無言でうなずく。顔が緊張でこわばっていた。この日のために以前から周到な準備を重ねて来たのだ。二人は駆け足で非常階段を伝ってビルを降り、待機していたレジスタンスの仲間を呼び寄せた。ワゴン車1台、普通自動車3台、オートバイ2台に、レジスタンスメンバー18人が分乗している。いずれの乗用車にもさざなみ市内の土建会社から調達したダイナマイトなどの火薬類が満載されており、この乗用車ごと施設に自爆攻撃を仕掛けるのだ。

「みんな、宇宙人に対する、憎しみを思い出しなさい!例え、命に代えても奴らを地球上から追い出すのよ!」

朋子がTシャツの首穴から、剥き出しになっている、お尻の真ん中にある口で叱咤激励した。口のすぐ前にあるオマンコの襞が興奮でヒクヒクと、閉じたり開いたりして蠢いている。レジスタンスのメンバーは全員が宇宙人によって妻や恋人、娘を奪われ、生きる希望を失くした者達ばかりだった。彼らの表情は宇宙人に復讐できる喜びに異様に昂ぶっていた。

「俺の娘は宇宙人どもに射殺されたんだ。輪姦された挙句に、腰の振り方が下手だったという理由でだ。まだ15歳だったのに、腰の振り方なんて知るはずないじゃないか・・・」

「俺だってローンで買った家を、取り壊されたんだ。基地を造るのに邪魔だっていうだけでな。家が無くなった、浮浪者みたいに家族で、公園で寝泊りし、妻は気が変になってどこかにいっちまった・・・」

憎しみに燃えるレジスタンスのメンバーが乗った車両は、猛スピードで軍事基地へと向かった。もはや半壊した正門を守る警備兵の姿もない。楽々と敷地内に進入したレジスタンスたちは、まっしぐらに目標であるエネルギーバリアの発生施設を目指した。

「まずい、ムカデが一匹こっちに向って来るぞ!」

「戦っても勝ち目はないわ、振り切るのよ!」

乗用車の一台がムカデ型アンドロイドの緑色の怪光線を受けて同乗者もろとも吹き飛んだ。

「みんな、止まっちゃだめ!」

朋子がワゴン車の窓を全開にして叫ぶ。レジスタンスの車列が瓦礫を縫うように疾走し、ようやく目的地のエネルギーバリア発生施設が見えて来た時、生き残っているのは城山朋子と神田正之の乗ったワゴン車と、オートバイが一台だけだった。施設ではまだ、数人のネオガイア人兵士が果敢に、近づいて来ようとするムカデ型アンドロイドに対して応戦をしている。

「降りろ。朋子」

運転席の正之が断固とした口調で言った。座席に押し付けられるようになった股の間の顔面から、朋子がじっと見つめる。

「危険を犯すのは、俺一人で充分だ。お前はこの後も、レジスタンスを指導していかなくてはならない」

朋子はワゴン車の扉を開け、がに股で、道路に降りた。

「正之・・・」

朋子が何か言おうとする前に、正之はワゴン車のアクセルを踏み込んだ。ダイナマイトを満載したワゴン車は、まっしぐらにエネルギーバリア発生施設の正面玄関で応戦しているネオガイア人兵士の一団に突っ込んでいった。

「な、なんだ???」

「うわあああ!」

ムカデ型アンドロイドとの戦いに夢中になっていたネオガイア人兵士たちは、ワゴン車を阻止することが出来なかった。大音響とともに火柱が噴き上がった。

(正之ーっ!)

最初の作戦通り、正之がワゴン車から飛び降りる余裕はなかった。爆風にあおられながら朋子は心の中で絶叫し、逆さまになった顔面を二筋の涙が伝い落ちた。レジスタンスの結成当初から、朋子の相談役になり、心の支えになっていた正之を、いつの間にか愛していたのかもしれなかった。やがて、ネオガイア星人の抵抗がやんだ施設にムカデ型アンドロイド数体が侵入し、破壊の仕上げをしてくれる様子を、朋子は思考するのを止め、呆然と見つめていた。

 

 アメリカ合衆国の首都ワシントンDCのホワイトハウスの地下シェルターでは、大統領始め、閣僚たちが『ミッション3』の作戦の遂行状況を見守っていた。シェルター内には国防総省と密接に連絡を取りつつ、米軍全てを把握できる設備が整っている。

「さざなみ市を包むエネルギーバリアが消失しました。」

突如、さざなみ市を監視していた偵察衛星から情報が送られてきた。

「なぜ、急に消えたんだ?」

国防長官が質問する。

「わかりません。衛星軌道上の大型宇宙船の爆発とかかわりがあるのかもしれません」

「原因なんて、どうでも構わん!」

大統領が業を煮やして叫んだ。

「作戦通り、全部隊に攻撃を開始させろ。同盟各国にも開戦の合図を送るんだ」

「わかりました」

 

 さざなみ市立総合病院は、市街戦に巻き込まれて負傷した市民やフルチン警官、ネオガイア星人の兵士、観光客らが運び込まれ、溢れかえっていた。治療の陣頭指揮を取っているのは、財銭吾郎教授である。

「ネオガイア星人の方々を優先的に治療しろ。地球人などどうでも構わん。ベットが空いてないなら廊下の隅にでも転がしておけ」

財銭教授はネオガイア星人に取り入ろうと必死である。保身のためには平気で同胞の地球人を売り渡す男だ。

「あ、足が、痛い、助けてくれ・・・」

下半身剥き出しで太腿から血を流して、廊下に横たえられたまま、放置されている、フルチンポリスが財銭教授にすがろうとした。

「ええい、うっとおしい!」

財銭教授はそのフルチンポリスの傷口と股間を、靴底で踏みにじり、蹴飛ばして振り払った。

「ぎゃあああ!」

彼があまりの痛みに気絶するのを尻目に、財銭教授は、さざなみ病院全ての若い看護婦に、ネオガイア星人負傷者の苦痛を少しでも和らげるため、フェラチオサービスとセックスサービスを実施するよう支持を出した。

「失礼します」

ある病室で、看護婦の水島百合枝(22歳)は、ベットに寝かされて手当ての終わっているネオガイア星人兵士の下半身に馬乗りになりズボンを脱がせた。支持されたとおり従順に、サービスを行おうとする百合枝はまさに白衣の天使である。

「無理をして、傷口が開くといけませんのでフェラチオで我慢して下さいね」

百合枝は軟体動物のような白人のチンポを指でさすって大きくさせると、パクッと口に含んだ。

「ううう・・・」

ネオガイア星人の兵士がうめき声をあげる。ムカデ型アンドロイドの怪光線で火傷した上半身が痛むのだ。百合枝は兵士の勃起したチンポを咽喉の奥まで飲み込み、痛みが少しでも和らぐようにと祈りながら懸命にしゃぶった。清楚な白衣の天使に奉仕され、兵士は快楽と苦痛が入り混じった感覚の中で射精した。

「ああ、苦しい・・・ム、ムカデが、来る・・・」

兵士はうわ言をもらしながらグッタリとして眠りについた。

「また溜まったら、巡回の時に言ってください。・・・お大事に」

百合枝は口に溜まった精液を飲み込むと、ハンカチで唇を拭い、隣のベットに横たわっている別のネイガイア星人のサービスにとりかかった。

 

 朝倉小百合(25歳)は天井からワイヤーで吊るされ、ただ殴られるだけの生活を送っていた。手足は手術で切り落とされ、ダルマ状態になっている。もう、この場所に吊り下げられてからどれぐらいの月日が経ったのかは判らない。最初、吊り下げられた時は生身の体だったのだが、顔やボディを殴られる度に、内臓や器官が破裂し、その度に人口臓器に置き換えられている。今では胃、肝臓、すい臓、腸などは衝撃に強い合成ゴム製の臓器になり、顔面も、何度も陥没し、その度にシリコンを注入されて修復整形されていた。

(今日は誰も、あたしを殴りに来ないのね・・・)

小百合はボンヤリと考えた。小百合が全裸で吊るされているのは宇宙母艦オリンポスの娯楽室で、周囲には様々な3Dグラフィックスの電子ゲーム機や、室内スポーツのセットが置かれている。小百合は乗組員の娯楽のための人間サンドバックなのだ。なぜか、いつも、非番の乗組員達で溢れている娯楽室は、今日に限って、全く訪問者がいなかった。

(こんな事、初めて・・・でも、あたしには、どうだっていいわ・・・)

小百合は自暴自得に考え、腫上がった目を閉じた。小百合の全身は青痣や打撲傷で紫色に変色しており、顔は腫上がっている。歯もほとんどが折れ飛び、3日前にへし折られた鼻柱は修復されずに、ズキズキと痛んでいた。

(あたし、なぜこんな所にいるのかしら。昔は、会社に行って仕事をするのが嫌で、月曜日の朝は憂鬱で起きれなかったけど。・・・確かに、ずっと何もしないで生きていけたらいいなって考えた事はあるけど。・・・だからってこんな運命、ひどすぎないかしら。ああ、神様、助けて・・・)

小百合が何度も繰り返してきた、同じ思いに飽きて、ウトウトと眠りかけた時、娯楽室の扉が開き、レーザー銃を片手に持った、数人のネオガイア星人の兵士が駆け込んできた。彼らの中には負傷し、スペーススーツを血に染めている者もいた。

「テッセウス隊長!左足をやられました。先に行って下さい!」

「いや、しばらくここに篭城しよう。ドアにバリケードを作ってくれ」

隊長らしき男が指示をし、部下の兵士たちがゲーム機や椅子などを運んで扉の前に積み上げた。

「やつらの様子、おかしいと思わんか?最初の頃と比べて行動パターンが乱れている。」

「ムカデ野郎ども、コンピューターがイカレちまったんじゃないですか?」

「かもしれん」

白兵戦コマンド隊長のテッセウスは苦々しく表情を歪めた。部下の半数以上が侵入したムカデ型アンドロイドによって死傷している。宇宙母艦オリンポス内部は半分が白兵戦によって破壊され、廃墟と化していた。ここ数時間、ヘラクレス提督からの連絡も途絶え、全体の戦況が全く掴めない。それでも艦内に侵入したムカデ型アンドロイドの数は、エリート部隊である白兵戦コマンドの活躍で一匹づつ倒され、着実に減っているはずだった。

「しばらく休息したら、もう一度打って出よう。あと一息だ。海賊どもの戦力も無限ではないはずだ」

テッセウスは傷ついた部下を励まそうとした。その時、艦体が大きく揺れ、兵士たちは床に叩きつけられた。

「な、なんだ!」

テッセウスの携帯用通信機にオリンポスの司令室から連絡が入った。

「テッセウス隊長。地球人が攻撃を仕掛けてきました。さざなみ市上空に飛来した数百機の航空機から大量の爆弾を落としています。非常に原始的なものですが、バリアが作動しません」

「なんだと、原始人ごときに・・・」

さざなみ市のバリアはレジスタンスの手によって解除され、オリンポス自体のバリアもムカデ型アンドロイドとの白兵戦の結果、伝達システムがどこかで切断されているらしく司令室からのコントロールに反応しない。立て続けに行われる絨毯爆撃による振動は一度だけでなく、ネオガイア人兵士達は立っていることも出来なかった。

 

第82話、参戦

 

海賊の襲撃が始まってから3日目の朝が来た。銀河警察は今だ到着しない。百足星人の母艦は破壊されたものの地上に取り残されたムカデ型アンドロイドの生き残りが無差別に破壊活動を続けている。さらにこの機に乗じて米軍の総攻撃が始まった。

「さざなみ市を包囲していた地球人の地上部隊が市内に侵攻を開始しました」

植民地総督府ビルの管制センターでオペレーターがヘラクレス提督に告げた。

「迎撃出来る部隊はおらんのか?」

「百足星人との戦いですでに味方は壊滅しています」

米軍、航空自衛隊を中心とし、韓国、中国、ロシアなどの空軍がさざなみ市に空爆を続けている。宇宙港のオリンポスから対空砲火が行われていたが、人海戦術を取る多国籍軍を阻止することは出来なかった。

「提督、そろそろ、ここも危険です。幸い、このビルに侵入した百足星人のアンドロイドは撃退しました。地下の転送機から脱出して下さい」

「どこへ逃げるというのだ!」

ヘラクレス提督が叫んだ瞬間、ステルス爆撃機の放った対地ミサイルが総督府ビルを直撃した。

「うわあああっ!」

爆風で天井が落ちてきて、管制センターは押しつぶされた。

 

 

さざなみ市民たちは歓声を上げていた。約一年ぶりに宇宙人の支配から開放されたのだ。屈辱と忍耐の時期は終わった。ジープや戦車、軍用トラックに乗って市内に入ってくる陸上自衛隊の隊員たちを、市民は道路に繰り出し、熱狂的に出迎えた。また、あちこちで生き残っているネオガイア人がリンチされ血祭りにあげられた。

「我々は勝ったぞ!とうとう宇宙人に勝ったんだ!」

「これでもう、元の生活に戻れるのね」

「ああ、そうだ。改造されたり、実験に使われたりした奴らは、もう元には戻らないけどな」

レジスタンスのリーダー、城山朋子も自衛隊員たちが市内を行進する様を見て、勝利に打ち震えていた。

(正之、やったわ。あなたの犠牲は無駄ではなかったのよ!あたしの体はもう、地球の医学では元には戻せないと思うけど、そんなの構わない)

さざなみ港からはアメリカの海兵隊が上陸を開始している。朋子は国家公安庁の本部に連絡を取り、一年前のオリンポス潜入から、レジスタンス活動に至るまでの経緯を、上司に報告した。

 

アルテミスの操縦する巨大ロボット、キュクロプス1号機が自衛隊の戦車部隊に包囲されていた。3日間に渡って戦い続けたロボットの機体はすでに損傷が激しく、限界にきている。パイロットのアルテミスは強制的に注入される栄養ドリンクによってどうにか意識を保っていたが、オマンコを始め、体中から出血し、コクピットで血だるまになっていた。

「戦車長、照準定まりました。」

「よし、撃てええっ!」

陸上自衛隊の90式戦車の主砲が火を噴き、キュクロプス1号機のボディに命中した。もともとは、地球人の通常兵器の攻撃には耐えられるように装甲が設計されているのだが、百足星人との戦いで至るところに亀裂が入っており、砲弾が命中するとあっけなく装甲が破れた。

「いやああああ!」

コクピットのコントロールパネルがショートして爆発した。ロボットの機体が前のめりに倒れ、地響きを立てて地面に激突するとそのまま動かなくなった。

「やりました。命中です!」

「ざまあみろ、宇宙人!」

アルテミスはコクピットから這い出した。通常、パイロットの逃亡を防ぐため、作戦終了までコクピットを内側から開けることは出来ないのだが、ロックが破壊されてしまっているようだった。全裸で血だるまの状態でよろよろと逃亡しようとするアルテミスに、戦闘の様子を建物の影からうかがっていた地球人の暴徒が襲い掛かった。

「女だ!パイロットの女が逃げるぞ!」

「逃がすな、やっちまえ。宇宙人に仕返しをするんだ。」

「今まで、やってきたことの償いをさせろ!」

3日間不眠不休で戦い続けてきたアルテミスに、暴徒に抗う力は残っていなかった。大勢の怒り狂った地球人に取り囲まれたアルテミスは、道路に引きずり倒され、全身に無数の殴打や蹴りを浴びることになった。

(ああ、なんて気持ちいいのかしら。あたしを殴って気がすむのなら、もっとやってちょうだい!このまま死んでもいいわ。あたし、マゾに生まれた事を後悔はしていない・・・)

アルテミスの自我は、体に加えられる痛みを快楽としてしか認識していなかった。快楽物質エンドルフィンが大量に脳内に分泌され、至福の幸福感の中で序々にアルテミスの意識は消えていった。

 

 戦闘開始から4日目の朝を迎えた。市民たちが解放された喜びに浸るさざなみ市上空に、未確認飛行物体が現れた。

「地球人ガ勝利シテイル。ナゼダ?」

時間管理局のタイムマシンだった。

「判ラナイ。コノ時点デ、ネオガイア星人ガ撃退サレルト言ウ事実ハ、歴史ニハナイコトダ。修正シナクテハナラナイ」

「修正シナクテハナラナイ。ソシテ、ナゼ歴史ガ変ワッテシマッタノカ、ソノ原因ヲ突キ止メナクテハナラナイ」

「管理局本部ニ報告シ、応援ヲ要請シヨウ」

時間管理局員は遥か別の時代にある管理局本部に時空間通信を送り、新たな指示があるまで、現在位置に留まって、監視を続けることにした。

 

 「ピタゴラス博士、思わぬ展開になりました。これから、どうしますか?」

さざなみ港の沖合いに不時着している高速巡洋艦『スパルタ』の仮設司令室で、イカロス司令が尋ねた。機関部をやられ、動けないスパルタは海上自衛隊の護衛艦数隻と、アメリカ海軍の原子力潜水艦の部隊に包囲されている。スパルタの反撃を恐れているのか、タイミングを見計らっているのか、地球人はまだ手出しをしてこない。

「どうもこうもないわい。地球人ども、大人しく、わしの実験材料になっておれば良いものを!」

ピタゴラス博士はヤケクソ気味に叫んだ。

「そろそろ、銀河警察が到着するころじゃ。少し癪じゃが、グレイに救助を求めるしかあるまい」

「そうですね。しかし、グレイは我々のために地球を取り戻してはくれないでしょう」

「そりゃそうじゃ、元々、地球はグレイの人間狩りのための自然保護地区だ。それを我々が強引に利権を確保しようとしたのじゃからな」

「地球は我々の先祖が生まれた場所です。我々にとっては聖なる星です。確保しようとして当たり前じゃないですか?こんな辺境の星ひとつ、グレイにとって何の価値もないでしょう。彼らは遊びのための狩猟惑星など、他にいくらでも持っているじゃないですか?」

「そのことじゃが、地球はグレイにとっても聖なる星だという噂がある・・・」

「それは、どういう意味ですか?」

ピタゴラス博士が呟いた言葉に、イカロスが驚いて聞き返した。

「聖なる星というのは星間航行種族にとっては、多くの場合、種族の発祥の地を意味する」

ピタゴラス博士が話し始めた。

「グレイが地球で発祥したとでもいうのですか?」

「グレイは遥か太古の昔から地球の監視を続けてきた。それも、時々、人間狩りを行う以外、全く資源や自然環境には手を付ずにだ。・・・では逆に聞くが、3000万年前から銀河系を支配してきたというグレイが、いつ、どこで生まれたか君は知っているのかね?」

「いえ、それは・・・そのことはグレイの最高機密とされ、我々のような下等種族が詮索することはタブーとされています。実際には、あまりにも昔のことなのでグレイ自身ですら忘れてしまっているのではないか、と考える者もいます」

「そうだな。じゃが、彼らとて生き物だ。いつか、どこかの星で生まれたことには間違いあるまい・・・。まあ、これは噂だ、忘れてくれ。そんなことよりも、目の前に迫っている事態をどう回避するかだ」

イカロスは現実に戻った。

「百足星人の母艦の破壊に成功したサイボーグ戦士2体は回収しました。彼女たちを使って、地球人に特攻作戦をかけますか?」

イカロス司令は容赦なく言った。回収されたばかりの淳子とヘレンは傷つき、クタクタになって治療カプセルの中で眠っている。その彼女らを、傷が回復する暇もなく、再び特攻作戦に使おうというのだ。

「そうじゃな。ま、時間稼ぎにはなるか・・・」

ピタゴラス博士も同意した。ネオガイア星人が半文明人である地球人ごときに敗北したなどとは、どう考えても納得がいかなかった。

 

第83話、降伏

 

戦闘開始後、5日目の朝を迎えた。宇宙海賊襲撃の通報を受けた銀河警察のパトロール船10隻がようやく地球上空に到着した。

「ヤ・グ・オイ閣下。宇宙海賊の母艦は、ネオガイア星人によって破壊されているようです。」

「海賊の生き残りどもを徹底的に捜索しろ。一人残らず逮捕するのだ」

艦隊を率いるグレイの司令官は、このところ頻発する海賊被害に頭を痛めていた。

「ネオガイア星人がこの星の原住民に襲撃されているようですが・・・我々に救助を求めているものもいます。」

「原住民?それは我々の管轄外だ。銀河警察は慈善団体ではないぞ。そもそもこの星は自然保護地区のはずだ。勝手に入り込んだネオガイア星人のケツをなぜ我々が拭かねばならん?とりあえず、救助を求めているやつらは収容してやれ。しかし、この星にいる数万人のネオガイア星人全員を収容するわけにはいかん。海賊の逮捕が最優先だ」

こうして、ピタゴラス博士とイカロス、タンタロス他、高速巡洋艦『スパルタ』の生き残りだけが、銀河警察によって救助された。

 

 東京に住む瀬戸谷妙子(28歳、オリンピック、スキー選手)は夫の光樹(26歳、高校体育教師)と一緒にテレビのニュースを見ていた。

『昨年来より、宇宙人に占拠されておりました東海地方のさざなみ市が、多国籍軍の攻撃によって解放されました。市内は市街戦や空爆でかなりの被害をこうむった模様ですが、市民は熱狂的な喜びの表情で多国籍軍の兵士を迎えているようです』

「ふーん。宇宙人ってどんな奴らなんだろ?」

妙子は興味津々だった。噂では地球人とほとんど変わらない、と言う話しだ。

『なお、解放されたさざなみ市内では、敗北した宇宙人に対するリンチや暴行が行われているようです。』

白人そっくりの若いネオガイア星人の男性が市民たちに袋叩きにされている凄惨な映像が映し出された。

『わざわざ、全国から宇宙人狩りに集まってきている人達もいるようですね』

ニュースキャスターのコメントを聞いて、妙子の瞳がキラリと輝いた。

「光樹、あたし達もさざなみ市に行こうか?」

「えっ、なんで?何しに行くの?危ないよ」

「宇宙人狩りに参加するの。あたしが、白人好きだってあんた、知ってるでしょ。」

「でも仕事が・・・」

「そんなもの、体調が悪いって言って休めばいいじゃん。あんた、あたしの命令が聞けないの」

「いや、そんな訳じゃ・・・」

次の日、妙子と光樹はマイカーに乗って、ピクニック気分で、さざなみ市に向かった。

 

 東京からさざなみ市へは高速道路を使って約3時間の距離である。数日前までは陸上自衛隊によって封鎖されていたのだが、宇宙人が撃退された今、さざなみ市へ入るのを阻むものは何もない。妙子と光樹の乗ったマイカーは自衛隊の陣地跡を通り抜け、さざなみ市内へと入っていった。市内は爆撃や市街戦による被害が著しく、まだあちこちで火災による噴煙が上がっている。

「妙ちゃん、やっぱり止めようよ・・・」

車を運転する光樹が泣きそうな顔で言った。

「なに言ってるの!こんなチャンス滅多にないわ。若い宇宙人の男を捕まえて、強姦するのよ」

「それが目的だったんだ・・・」

妙子と光樹は負傷したネオガイア人を探して、さざなみ市内を縦横無尽に、車を走らせた。市内には彼らと同じく、ネオガイア人の残党狩りをする自衛隊員や米軍、一般市民の姿があちこちに見受けられる。走り回る事、約2時間、ようやく妙子は目的のものを見つけた。

「光樹、止まって!」

停車した車から降りた妙子は、道端にうずくまっている銀色のスペーススーツを着た白人の男に近づいていった。男はまだ若く、腹部から出血し、スペーススーツを赤く染めている。彼の名はレオン、ネオガイア宇宙軍の下級兵士で21歳、まだ軍に入隊したばかりだった。

「光樹、押さえろ」

光樹は条件反射でほとんどどんな事でも妙子の命令に従ってしまう。光樹がネオガイア人兵士の背後に回り込み、羽交い絞めにしたが、出血多量で意識を失いかけているレオンはぐったりとして抵抗しなかった。

「どうやって脱がせるんだ、この服・・・」

妙子は悪戦苦闘して、レオンのスペーススーツのズボンを脱がせると下半身を剥き出しにさせた。妙子は久しぶりに見る白人のチンポに舌なめずりをした。

「おらっ!立たせろよっ!」

妙子が出血多量で萎縮しているチンポを蹴り上げるとレオンが意識を取り戻し、悲鳴を上げた。

「立たせろって言ってんだ!」

妙子は、なおも勃起しないレオンのチンポを靴のかかとでグリグリと踏みにじった。

「立たせないと、このまま踏み潰すよ!」

光樹は妻の蛮行に、レオンを羽交い絞めにしたまま目を背けている。結婚して4年になるが、その間に妻のサディスティックな性癖に慣らされてしまっていた。

「やめろ、地球人・・・原始人め。我々に危害を加えると、ただでは済まんぞ・・・」

レオンが自分の体に加えられている蛮行に抗議した。

「うるせえんだよ!」

靴底に摩擦され、ようやくレオンのチンポが勃起してきた。同時に腹部の傷口が開きドクドクと出血が始まる。お構いなしに妙子は自分もズボンとパンティを脱ぎ去るとレオンの腰の上に馬乗りになった。

「やめてくれ・・・」

レオンが弱々しく抗議したが、スキーで鍛え上げた妙子の下半身はガッチリとした筋肉の固まりが盛り上がっており、挟み込まれると、並大抵の力では振りほどく事は出来ない。若い白人男性を犯す、サディスティックな興奮に我を忘れた妙子は、レオンの顔面を左右の拳で交互に殴りながら腰を降り始めた。

「ぐふっ、ぐほっ・・・」

レオンは潰れた鼻からの鼻血と、腹部からの出血で、射精とともに息絶えた。

「妙ちゃん、この人、死んじゃったんじゃない?」

「つまんねんな、もう終わりかよ。・・・光樹、ボヤボヤしてんじゃねえよ、次、探しに行くよ。」

妙子はパンティとズボンを履くと、レオンの亡骸を置き去りにし、次の獲物を探すためにマイカーに乗り込んだ。

 

 次の獲物を求めて、マイカーで走り回る事1時間、妙子と光樹は異様なものを目にした。全裸の女二人に手綱を着けて引かせた馬車に、若い男女二人のネオガイア人が乗って、前方から疾走してくるのだ。

「見て、光樹!何なのあれ?」

光樹と妙子は人間馬車を見るのは始めてだった。人間馬車に乗っているのは地球に新婚旅行に来ていて、海賊の襲撃に巻き込まれたネストール(26歳)とアリアドネ(23歳)の新婚カップルでネオガイア星の民間人である。人間馬車を引いているのは宇宙人の観光業者に拉致されたドイツ人女性とオランダ人女性だった。二人とも若く美人だったが、人間馬として必要の無い両腕は、肩からスッパリと切除され、背中は乗客に振るわれた鞭跡で埋め尽くされていた。 ネストールとアリアドネの新婚カップルは、襲ってくる暴徒から逃げるため、市内観光用の人間馬車に乗って逃げ回っていたのだった。

「あいつらを捕まえよう」

妙子は光樹に車を横向きに停車させ、人間馬車の行く手を阻ませた。立ち往生し、Uターンしようとする人間馬車に、妙子は果敢にもよじ登り、ネオガイア人のカップルに襲い掛かった。

「きゃああ!また地球人よっ!」

「くそっ!こいつら、よほど俺達に恨みがあるのか」

ネストールとアリアドネは軍人ではないため、特に武器も持っておらず、格闘技の経験も全くない。服装もスペーススーツではなく露出度の高い、ネイガイア製の普通のカジュアルなものを身に着けていた。

「がおおおおっ!」

妙子は雄叫びを上げながらネストールに掴みかかった。

「光樹!女の方を取り押さえて!そっちは、あなたの好きにしていいからっ!」

光樹は、気が進まなかったが妻の命令には逆らえず、自分も馬車によじ登ると、悲鳴を上げているアリアドネを組み敷いた。メタルチックな素材で出来た衣服を力づくで、剥ぎ取っていく。光樹も元スポーツ選手なので筋力はかなりある。運の悪いネオガイア人の新婚夫婦は、あっさりと暴力に屈し、殴られながら野蛮な地球人にレイプされた。

 

 有川菜摘(22歳)とマイケル・パッカード博士(36歳)の夫婦はボロアパートでテレビのニュースにかじり付いて事態の成り行きを見守っていた。二人はネオガイア星人の生体実験によって首から下を入れ替えられ、全裸の日常生活を強要されている。その上、マイケルは妊娠までさせられ、男の子を出産させられていた。生後2ヶ月のその赤ちゃんは、黒人と日本人のハーフで、名前はロバート・パッカードと名づけられており、毎日、元気にマイケルの胸に抱かれて母乳を吸っている。宇宙海賊の襲撃が始まって以来、交通機関が止まっているため、菜摘は職場である港湾の倉庫に出勤できない日々が続いていた。

「ねえ、マイケル。ニュースで宇宙人が撃退されて、さざなみ市が解放されたって言ってるけど、本当かしら?」

菜摘が夫(妻?)であるマイケルに尋ねた。

「やつらが、そんな簡単にやられるとは思えないな・・・」

今まで散々、ネオガイア星人の科学力を見せ付けられてきた、マイケルも半信半疑だった。

「仮に解放されたとしても、俺達の体はどうなるんだ?地球の医学では元に戻せないだろう。一生こんな体で世間の笑いものになりながら、生きていくしかない。いっそ、二人で見世物小屋でも始めるか」

マイケルはヤケクソ気味だった。もともとマイケルは米軍の秘密施設で働く博士号を持った優秀な生物学者だったのだ。

「やめてよ、そんな冗談!」

二人の仲が険悪なムードになった時、玄関のチャイムが鳴った。

「誰かしら」

このアパートに引っ越して来て以来、異形の二人を訪ねてくるものなど滅多にいない。マイケルがチェーンとロックを外してドアを開けると、サングラスに黒いスーツの白人男性が立っていた。

「マイケル・パッカード博士ですね?」

「え、ええ・・・」

「CIAのリチャード・ファーマーというものです。レジスタンス組織からあなたがここに住んでいるという情報を聞いてきました。あなたを保護します」

マイケルは、待ちわびていた救いの手が来たことが信じられないようだった。

「待ってくれ、妻と子供がいるんだ。それに俺達の首には奴隷管理用の首輪が嵌められていて逃げられないようにされている・・・」

CIAのリチャードは、首から下が白い女の体になっている全裸のマイケルの姿を痛々しげに眺めながら答えた。

「もちろん、奥さんと子供も同伴して頂いて結構です。宇宙人が壊滅した今、その首輪の効力も消えていると思われますが・・・」

マイケルはなおも躊躇した。宇宙人に虐待され屈辱を受け続けた日々が、マイケルの心に深くトラウマとなって根を張っているのだ。

「我々は宇宙人の残していった科学技術の解明を急いでいます。おそらく戦いはこれで終わりではない。一度あったことは二度あるといいます。いつまた宇宙人が襲来するか判らない。その日のために我々の科学技術の向上と軍事力の増強が急務なのです。そのためにはあなたの助力が必要です!」

マイケルは突然の出来事によく事態が飲み込めず、フラフラとアパートの居間に戻ると、菜摘に事情を説明した。そして、夫婦で話し合った結果、身の回りのものだけをかき集めると、黒服の男に案内されて、アパートの前に用意されていた防弾ガラスつきのベンツに乗り込んだ。

 

 最初に宇宙海賊が襲撃してきた時から15日目を向かえた。母艦から脱出した生き残りの百足星人はほぼ全員が銀河警察によって逮捕され、その銀河警察の艦隊もすでに引き上げて、地球上空から姿を消している。地上ではネオガイア星人の拠点となっていたさざなみ市が米軍や自衛隊の手によって解放され、取り残された数万人のネオガイア星人がリンチや虐殺の対象となっていた。地球人は戦勝気分に浮かれていたが、この時になってやっと、ネオガイア本星から救援艦隊が到着した。ネオガイア星宇宙艦隊の司令長官であるポセイドン提督に率いられた、20隻の大型艦からなる大艦隊である。

「提督!ひどい状況になっています」

ポセイドン提督は苦虫を噛み潰したような顔をした。

「ヘラクレスめ、しくじりおったな。これでは、どれほどの犠牲者が出たかはかりしれん。地球の野蛮人どもに、お灸を据えねばならんな」

ポセイドン提督はX線望遠鏡で送られてくる地表の様子を、旗艦の司令室の大スクリーンで見ながら、これからどうしようかと考えた。

「艦隊を分散し、地球の主要都市の上空に散開させろ。デモンストレーションに大都市をひとつエネルギー砲で消してやれ。その後に地球人にむけて降伏勧告を行う」

「はっ!」

ポセイドン提督の指示通り、インドの都市のひとつがエネルギー砲の集中砲火で消し去られた。そして、全世界に向けて電波ジャックによる降伏勧告の放送が行われた。数時間の間、ポセイドン提督はイライラしながら、地球の電波に周波数を合わせた回線で返答を待った。

「反応はどうだ?」

「それが、地球人どもなかなか、返答してきません・・・あっ、ただいま通信が入りました、日本という地方国家が降伏勧告に応じてきました。」

「日本?どの辺の国だ?」

「ヘラクレス提督が拠点を築いていた地域の周辺を統治している国のようです」

「我々の力を一番よく、肌身で感じて知っているというわけか。よし、とりあえずその国と交渉しよう」

ポセイドン提督は旗艦を地球へ降下させることにした。

 翌日、東京湾に着水したポセイドン提督の旗艦上で、日本政府とネオガイア星人との間で調印式が行われた。日本の閣僚たちは総理大臣を始め全員が出席し、各国のマスコミもやってきて、地球上で最初に降伏勧告を受け入れた国家の調印式として、全世界に中継されることになった。

「お前ら、全員裸になれ」

ポセイドン提督は正装でやってきた日本の閣僚たちに、いきなり高圧的な態度で言った。閣僚達が思いもかけないことを言われて躊躇していると、ポセイドン提督が怒鳴りだした。

「早くやれ!大気圏外から艦隊のエネルギー砲がお前らの国に向けられている事を忘れるな!このちっぽけな島国全土を灰にすることなど意図も簡単にやれるんだぞ!」

「・・・しょうがない、みんな言う通りにするんだ」

総理大臣に促されて閣僚たちはしぶしぶ服を脱ぎ始めた。50歳から70歳までの老人たちで、女性の閣僚も何人か混じっている。全員が全裸になると、冷たい海風が身にしみた。

「のろのろするんじゃない!次は、我々の靴の裏を舐めながら、条約の条文を大声で唱和するんだ。これがネオガイア流の調印式だよ。」

「ううう・・・」

総理大臣は、鷹揚に椅子に座っているポセイドン提督の足元にひざまづき、銀色のスペーススーツのブーツをささげ持って、舌を伸ばし靴の裏を舐め始めた。他の閣僚達もそれぞれ、ネオガイア星人幹部の足元にひざまづき、ブーツを舐め始める。悔しさのあまり涙を流している閣僚もいたが、多くは汚い政争の中をのし上がってきた腹黒い者達ばかりで、これぐらいの屈辱など、屁とも思っていない者もいた。

「ううう、国辱だ・・・」

総理大臣はつぶやいた。この様子は全世界に中継されているのだ。

「ひとーつ、我々はネオガイア星人様には逆らいません!何をされても、ネオガイア星人様の治外法権を認めまーす!ふたーつ、さざなみ市周辺の地域をこれまで通りネオガイア星人様に割譲しまーす。それ以外の国内においても、ネオガイア星人様の基地や施設の建設に進んで協力しまーす!みっつ、関税自主権を放棄し、ネオガイア星企業様の進出を進んで受け入れまーす!よっつ、日本の憲法、法律はネオガイア星人様の意向により自在に変更出来るものとしまーす。いつーつ、人体実験のモルモットや科学実験の実験場の提供は進んで行いまーす。むっつ・・・・」

屈辱的な姿で、一方的に押し付けられた条約を、長々と読み上げる日本の閣僚達の姿を中継で見て、降伏するかどうか迷っていた各国の首脳たちは、やはりアメリカを中心として徹底抗戦をすることを決意した。

 

 「歴史ガ、大筋デ、正シイ方向ニ修正サレタ。地球人ハ未来永劫ネオガイア星人ノ支配ヲ受ケナケレバナラナイ。」

タイムマシンの中で事の成り行きを見守っていた時間管理局の監視員は少しホッとしたようだった。

「シカシ、ナゼ、一瞬ダガ、地球人ノ反撃ガ成功シタノダ?時間犯罪者ガ関与シタノカ?」

「ソレニツイテハ、現在、別ノ捜査班ガ調査中ダ。モシ同ジヨウナ事態ガ、今後モ発生スルヨウナラ、管理局ガ直接武力介入ヲシテデモ、地球人ノ反撃ヲ止メネバナラナイ。ソウデナケレバ歴史ガ変ワッテシマウ。地球人ハ全テ、ネオガイア星人ノ家畜ニナル運命ナノダ」

「ソウナノダ」

今回の一件で時間管理局の事件ファイルにまた一つ深い謎が残った。

 

 

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