第72話、ロボットバトル

 

ネオガイア星人の地球における拠点となったさざなみ市の郊外に広大な軍事基地が設営されている。植民地総督府ビルやエネルギーバリア発生施設、宇宙港などを含む基地の敷地内の一画に軍の研究施設もある。そこでは、生物兵器開発のためネオガイア星では出来ない人体実験や医学実験が、地球人をモルモットにして盛んに行われていた。ここで得られた技術や貴重な実験データは本国の研究機関に送られ活用されているのだ。その研究所で働くネオガイア星人のメビウス博士の元を宇宙拷問協会のピタゴラス博士が訪れた。

「久しぶりだなメビウス博士。地球にはいつ赴任して来たんだ?」

「ああ君か。地球には3ヶ月前から来ているよ。今、新兵器の開発中なんだ」

「新兵器?君の専攻はロボット工学だったな。新型の戦闘用アンドロイドかサイボーグでも作っているのか?」

「いや、そんなものじゃない。案内する、これを見てくれ」

ピタゴラス博士はメビウス博士に広い組み立て工房に案内された。天井の高さが30メートルほどあるホールに足場が組まれ、そこには建造中の一体の巨大な人型のロボットが天井近くまでそびえ立っていた。

「えらく大きなアンドロイドだな」

「地球のテレビ番組にヒントを得て作ってみたんだ。地球の子供向けのアニメ番組では、こういう大型の戦闘用ロボットに人が乗り組み、敵と戦うんだ。こいつが完成すれば、装甲服を身に着けたタイタンの巨人たちと互角に白兵戦が出来るよ」

メビウス博士が説明した。

「人間が操縦するのか?」

「ああ、だが、操縦系統の開発が思うようにいかない。人間のようにロボットの体を自由自在に動かすとなると、恐ろしくコクピットが複雑になってしまう。それにパイロットにも特別な才能が要求される」

メビウス博士は研究に行き詰り悩んでいるようだった。友情に厚いピタゴラス博士は旧友のためになんとかならないものかと頭をめぐらした。

「ふーむ、そういうものか・・・よし、では操縦系統の開発はわしが手伝ってやろう。それにパイロット候補にも心当たりがある」

「本当か?」

メビウス博士の顔がパッと明るくなった。その日からピタゴラス博士とメビウス博士の共同研究が始まった。

 

さざなみ刑務所の拷問部屋では、今日も、鉄仮面ことアルテミス(元ネオガイア星宇宙軍女性士官、28歳)が、虐待を受けていた。全裸で逆さ吊りにされたアルテミスの傷だらけの体を、シンディ・スコットランド刑務官(21歳、元米軍女性兵士)がさらに殴る蹴るの暴行を加えている。

「おらっ、おらっ!お前の体はなんて頑丈なんだ。お前ほどイジメ甲斐のある囚人は見たことないよ。でも、どんなに頑張ったって、いずれは、お前の体も完全に壊してやるからね!」

「あぐっ、あぐうう・・・」

アルテミスの顔は鉄仮面で覆われ、口枷もロックされているため言葉を発する事が出来ない。ヨダレがダラダラと鉄仮面を伝ってコンクリートの床に流れ落ちている。

「そーれ!」

シンディが渾身の力をこめてアルテミスの背中に廻し蹴りを入れ、右足のブーツの踵で背骨が折れるほどに強打した。これには、さすがのアルテミスも呼吸困難になり、激しくむせ込んだ。

「げふっ、げふっ!」

「あーはっはっはっ、ざまあ見な!ネオガイア人のお前が地球人のあたしにいたぶられて反抗出来ないなんて、なんて気持ちいいんでしょう!」

真性サディストのシンディがエクスタシーを極めたとき、看守が1人の客人を伴って拷問部屋に入ってきた。

「囚人ナンバー999番、鉄仮面に面会です」

面会に来たのはピタゴラス博士だった。ピタゴラス博士は変わり果てたアルテミスの姿を見て、嘲る様に笑った。

「おやおや、これではエリート士官も形無しだな。久しぶりだアルテミス君」

「あ、あああ・・・」

アルテミスは久しぶりに本名を呼ばれ、鉄仮面の目の部分の隙間からピタゴラス博士を見つめた。これだけ、日々拷問を受け続けていても、その目の光は刺すように鋭く、全く眼光を失っていない。

「実はな、君に頼みたい仕事があるんだ。軍関係の極秘任務なんだが、もちろん、君は公には死んだことになっている。顔や名前を出さずに全く別人としてやって貰いたい」

シンディ刑務官が、アルテミスが面会人と喋れるように口枷のロックを外した。

「・・・わ、私は、私が原因で死なせてしまった地球人やネオガイア人に対して償いをしなければなりません。その任務がどんなものであっても、それで、少しでも私の罪をあがなう事が出来るのであれば喜んでやらせて頂きます・・・」

アルテミスの口調はしっかりとしていた。

「そうか、この任務は誰にでも出来ると言うものではない。優秀な元白兵戦コマンドの隊長としての君の才能がどうしても必要なのだ」

こうして、アルテミスの身柄はピタゴラス博士に引き渡され、極秘のうちに軍の兵器研究所へと護送されて行った。

 

鉄仮面をかぶり傷だらけの全裸を晒したまま、アルテミスは兵器研究所のメビウス博士の工房へと案内された。途中ですれ違う研究者や軍関係者たちは、ピタゴラス博士が連れている異様な風貌の女性が、かつて勇名を馳せたエリート士官、アルテミスだとは誰も気づかない。アルテミスは工房で身長20メートルはある機械仕掛けの巨人を目の当たりにした。

「これは、私が開発した、対タイタンの巨人用の白兵戦兵器の試作機だ」

工房にいたメビウス博士は得意気に説明した。

「コードネームを『キュクロプス1号機』という。操縦系統の開発に問題があったのだが、ピタゴラス博士の協力で要約完成させることが出来たよ。アルテミス君、君にこの巨大ロボットを操縦して貰いたい。」

「私が?」

アルテミスは新型兵器を目の当たりにし、軍人としての関心をそそられたようだった。

「操縦系統が思いの他複雑でね。並みの人間にはパイロットが務まらんのだよ。君ほどの適任者は他に見つからなかったんだ」

ピタゴラス博士がおだてるような口調で言った。アルテミスは更に興味をそそられた。

「私は宇宙戦闘機のA級ライセンスを所持しております。どんな兵器にも適応する自身はありますが、そんなに複雑なのですか?」

「宇宙戦闘機のコクピットとは設計思想が違うのだ。まあ、実際に乗ってみればわかるよ」

含み笑いをしながら、ピタゴラス博士はリモコンのスイッチを押した。巨大ロボットの脚の間接部が屈伸し、直立していたロボットが3人の前でしゃがみこむような姿勢を取った。ちょうど、ロボットの両脚の間の股間にあたる部分のハッチが両側に開き、ピンク色の内部照明に照らされたコクピットが現れた。

「なんだか、卑猥な場所にコクピットがあるのですね」

「気のせいだ。とにかく操縦席に座ってくれ」

アルテミスは言われるがままにハッチをくぐり操縦席に座ろうとして驚いた。座席というよりは、SMプレイに使う三角木馬のような操縦シートがあった。そのシートの真ん中が半円型に繰り抜かれており、窪みの内側に、長さ30センチ、直径5センチほどのペニス形の極太バイブレーターが間隔10センチほどを空けて、2本そそり立っていたのだ。

「なんですかこれは?」

思わずアルテミスが尋ねた。ピタゴラス博士は彼女が驚く様子を見て愉快そうに笑っていた。

「それが操縦桿だよ。それをオマンコとアナルに挿入するんだ。早く跨りたまえ」

囚人であり選択の余地のないアルテミスは、言われるがままに操縦シートに跨り、腰を沈めた。

「うっ!あおおおお!」

乾いたオマンコとアナルにいきなり、極太バイブを同時に挿入する激痛に、アルテミスはうめき声を上げた。

「これに跨って、ロボットを操縦するんだ。操縦桿を前に倒せば、前進。後ろに倒せば後退。左右に倒せば曲がる事が出来る。オマンコで思い切り締め付けて上に引き上げれば、ロボットの背中のバーニアが噴射して空を飛ぶ事も出来る」

使い方を説明しながらピタゴラス博士はアルテミスの手首と足首にワイヤー付のリストバンドのようなものを取り付けた。

「手足の微妙な動きは、このリストバンドのセンサーを通じてロボットの動きに反映される。つまりロボットの手足は君の動きと全く同じように動く」

更にピタゴラス博士は操縦シートに座ったまま身動きの取れなくなったアルテミスの体のあちこちにクリップで数十本の電極を取り付け始めた。両乳首をはじめ、腹、背中、二の腕、太もも、ふくらはぎなど、体中の肌をつまみ、クリップで挟みこんでいく。全身を責め苛んでくるチクチクとする痛みに、真性マゾのアルテミスはじっとりとオマンコを濡らし始めた。

「こ、この電極はなんのために・・・」

「これはロボットの受ける損傷を正確に操縦者に伝えるための電極だ。こうすることによってロボットが損傷を受けた場合、受けた箇所とその度合いをパイロットは電流を通して自分の肌で感じることが出来る。こういう仕掛けがないと、操縦している人間は痛みを感じることが無いため、どうしても機体の損傷を軽く認識しがちだからな。」

つまり、ロボットが受けるダメージはそのままアルテミスの苦痛となるのだ。

「それから、もう一点。君は優秀な元士官だとはいえ、今では反逆罪で存在を抹消された囚人だ。逃亡されては困るので、戦闘中にこのコクピットは内側からは開かないようにロックさせて貰う。万が一我々の命令に逆らう事のないよう、念のため奴隷管理用の電撃首輪も嵌めさせて貰うよ」

「私の犯した罪を思えば、仕方ありませんわ」

アルテミスはうなだれて同意した。ピタゴラス博士がアルテミスの首に、地球人奴隷たちに嵌めてきた物と同じ金属の首輪を嵌めた。

「あとの細かい部分は操縦しながらマスターしてくれ。時間がない、早速動作テストを始めようじゃないか」

ピタゴラス博士とメビウス博士はコクピットのハッチをバタンと外側から閉め、内側からは開かないように厳重にロックした。

 

ハッチが閉まると、コクピット内部のモニターに外の映像が映し出された。前後左右天井、全ての壁がモニターとなり、アルテミスはまるで障壁のない屋外にいるかのような錯覚を受けた。しばらくするとスピーカーを通して、ピタゴラス博士の声が聞こえてきた。

「前進しろ、組み立て工房の扉を開けて外に出るんだ」

「了解しました」

アルテミスは腰を突き出し、オマンコに挿入された操縦桿を前に倒した。

「うっ・・」

クリトリスが刺激され、快感が伝わってくる。ロボットがゆっくりと足を上げ、前進を始めた。組み立て工房の出口の扉の前にロボットの体を誘導するため、微妙に操縦桿を挿入された腰を左右に動かし、方向調整をしなくてはならない。また操縦桿を倒す角度でロボットの歩くスピードも変わるようだ。

「むむっ・・・」

アルテミスは、腰を動かす度に快楽を感じ、愛液があふれ出て、オマンコがドロドロになってきた。ロボットが扉の前に立つと、アルテミスは両手を使って、扉を押し開けた。ロボットの腕はアルテミスがコクピットで自分の腕を動かす動作と正確に連動している。組み立て工房の外は広いグラウンドで、兵士たちの演習場になっていた。

「走ってみろ。全力疾走だ」

ピタゴラス博士の指示で、アルテミスは腰を思い切り前に突き出して操縦桿を急角度に倒した。ロボットの足の動きが早くなり、演習場をズシンズシンと地響きを立てながら物凄い速さで走りはじめる。しかし、操縦に慣れていなかったため、砂山に片足を取られ、ロボットは前のめりにスライディングするように土煙を上げて倒れこんだ。

「ぎゃあああああ!」

アルテミスは悲鳴を上げた。ロボットが倒れ、打撲を受けた箇所に連動している電極から、強度の電流が流れて来たのだ。

「ロボットの痛みはパイロットの痛みだ。壊さないように気をつけて操縦してくれ」

ピタゴラス博士の声が冷ややかにスピーカーから聞こえてきた。電流が止まり、ようやく痛みの引いたアルテミスは気を取り直し、ロボットを慎重に立ち上がらせた。

「ふむ、さすがは白兵戦の天才と言われた女性だ。こうも早く新兵器を使いこなすとはな。」

メビウス博士はアルテミスの操縦技術の習得の早さに感心していた。

「じゃあ、次は、ロボットに空を飛ばせてみてくれ。少し性急だが君なら出来る!」

「了解しました。」

アルテミスはオマンコをぎゅっと締め付け、背中のバーニアを噴射させるために操縦桿を上に引き上げようとした。しかし、真性マゾのアルテミスは痛みを感じれば感じるほど、愛液が溢れるように流れ出し、ヌルヌルになっていたオマンコから操縦桿はあっけなくスポッと抜けてしまった。

「どうしたんだね、アルテミス君」

「そ、操縦桿が引けません・・・」

アルテミスは困惑したような情けない声で言った。巨大ロボットが空を飛ぶためにはもう少し訓練が必要なようだった。

 

アルテミスはその日から、巨大ロボット操縦のための猛特訓を受ける事になった。朝から晩まで狭いコクピットに缶詰になり、軍事基地の演習場でロボットに様々な動きをさせ、操縦テクニックを習得していく。しかし、操縦桿を上に引き上げ、ロボットに空を飛ばせる事だけはどうしても出来なかった。

「短期間にここまでロボットを使いこなせるようになるとは、やはり彼女は天才だ。しかし、空を飛ばせることが出来んとはなあ」

メビウス博士は感嘆しながらも、困り果てていた。一日12時間の訓練が終わると、アルテミスは刑務所へと戻される。反逆者であるアルテミスはあくまでも囚人なのだ。クタクタになって刑務所へ戻ってきたアルテミスをシンディ・スコットランド刑務官が出迎えた。

「お前、奴隷のくせに生意気にも極秘訓練を受けているんだって?しごかれて相当疲れているようだけど、だからってあたしへの奴隷の務めをおざなりにするつもりじゃないわよね?」

「はい、そのようなことは決してございません。シンディ様、今晩もよろしくお願いいたします」

アルテミスはシンディ刑務官の足元に跪いた。

「今夜は特別メニューで、朝まで責めてやるよ。覚悟しなさい」

「ありがとうございます」

アルテミスはコンクリートの冷たい床に鉄仮面の額をこすりつけた。いつもの拷問部屋へ連れて行かれたアルテミスは激しい責めを明け方まで受けた。

「眠るんじゃないよ、白豚!」

逆さ吊りにされたまま、ウトウトとしたアルテミスにシンディの罵声が飛んだ。

「申し訳ございません」

夜が明ければ再びアルテミスは演習場でロボット操縦のための猛特訓を受けなければならない。このところ毎日このような日課なので、一日の睡眠時間は数時間程度しかない。鉄仮面で隠れて見えないが、アルテミスの目の下には黒々とした大きな隈が出来ていた。こうして数週間が過ぎ、いよいよ実戦テストの日がやってきた。刑務所の地下に瞬間物質転送機が設置されており、そこからアルテミスは直接ロボットのコクピットに転送されるのだ。

「せいぜい、頑張るのね、白豚。これはあたしからのプレゼントよ」

アルテミスを送り出すために転送室に同行したシンディは、軍服のズボンとパンティを下ろすと、アルテミスを前に跪かせ、鉄仮面の口の部分を自分の股間に押し当てさせた。そして、勢い良く放尿した。

「勝利の聖水よ」

「ありがとうございます、シンディ様」

アルテミスは一滴もこぼさずに全て飲み干すと、丁寧にお辞儀をしてから転送室へと消えた。

 

さざなみ港の沖合い20キロメートルの海上に全周15キロメートルほどの小島が浮かんでいる。沖島と呼ばれるその島は、以前は首都圏からマリンスポーツや釣りを楽しみに来る観光客で賑わっていたが、エネルギーバリアによって隔離されてからは客足も途絶え、今ではすっかり寂れていた。現在でもホテルや民宿、土産物店など数件が営業しており、取り残された島民約200人が住んでいる。その沖島に、アルテミスが乗り組んだ巨大ロボット『キュクロプス1号機』が小型飛行艇に宙吊りにされて運ばれてきた。

「全く、どうして飛行可能なロボットをわざわざ飛行艇で運ばなきゃなんねえんだ」

飛行艇のパイロットはブツクサと文句を言っていた。ロボットのコクピットでは三角木馬型の操縦シートに跨り、全身に電極クリップを付けられた裸のアルテミスが緊張しながらモニターに移る島影を見つめている。オマンコとアナルにはペニス型の操縦桿がガッチリと咥え込まれていた。アルテミスのコードネームは『鉄仮面』である。飛行艇は、巨大ロボットを島の中央部の草原に着地させると、ワイヤーを外して飛び去っていった。

(何と戦うのだろう?)

アルテミスが『キュクロプス1号機』の頭部にあるモノアイを動かし、辺りの様子を探ったが何もいなかった。しばらくすると別の飛行艇が巨大なコンテナを宙吊りにしてやってきた。コクピットのスピーカーからメビウス博士の声が聞こえてきた。

「実戦テストの相手はそのコンテナの中にいる。」

着地したコンテナが自動で開き、中から装甲服を着た身長20メートルほどの、巨大な女が現れた。その女はタイタンの巨人に属ずる女戦士レア(23歳)で、半年前、辺境惑星の戦線でネオガイア宇宙軍の捕虜になっていたのを今回の実戦テストのため、遥々と地球に冷凍睡眠で運ばれて来たのだ。

「今回の実戦テストではオプションへ兵器であるレーザーライフルやサーベルは使用しない。ロボットの格闘能力だけでその巨人女を倒すのだ」

「了解しました」

アルテミスはオマンコの操縦桿を急角度で前に倒した。『キュクロプス1号機』が猛ダッシュで突進し、状況が飲み込めていない巨人女に襲い掛かる。女戦士レアと対タイタンの巨人用に開発された『キュクロプス1号機』はほぼ同じ背丈だった。『キュクロプス1号機』はレアの腹部に数発のパンチを浴びせ、レアの装甲服をへこませた。

「ウオオオオオオ!」

レアが恐ろしい雄叫びを上げた。巨大で美しい顔が怒りと憎しみで真っ赤になる。レアも装甲服の他は丸腰だった。

「ネオガイア星人め!何のつもりか知らないけど、ぶっ殺してやる!」

レアが『キュクロプス1号機』の脇腹に金属ブーツの先で蹴りを入れてきた。

「ぎゃあああ!」

コクピットでアルテミスが絶叫する。電極クリップを通じて脇腹の同じ位置にそのままダメージが伝えられるのだ。

(この巨人女、反撃が素早い。戦い慣れしているわ)

白兵戦のプロであるアルテミスはとっさに相手の力量を見抜いた。

(即戦あるのみ!)

『キュクロプス1号機』は次々にパンチや蹴りを繰り出した。不意打ちから立ち直り、戦う相手を認識したレアは身軽に攻撃を交わしていく。動作はやはり間接的に操縦されたロボットよりレアの方が数段早かった。『キュクロプス1号機』はレアの反撃にあい、全身にダメージを受けて、とうとう地面に転がった。

「やはり、タイタンの巨人の方が反応スピードは上か」

遠く離れた軍事基地のモニターで観察していたメビウス博士がため息をついた。コクピットの中では電流を体中に受けたアルテミスが失神寸前である。

(一旦、逃げなきゃ・・・このままじゃやられるわ)

アルテミスはリストバンドで『キュクロプス1号機』と繋がった手足を必死で動かし這うように逃げ始めた。

「逃げるのか、卑怯者!」

レアが雷のような大声で叫びながら、四つん這いで逃げようとしている『キュクロプス1号機』の御尻に飛び蹴りを食らわせる。

「ぎゃああああああ!」

最大の電圧で臀部に電流を流されたアルテミスが絶叫した。『キュクロプス1号機』は蹴られた反動で島の斜面を転がり落ち、島民の住んでいる市街地のある方へと移動していった。

 

『キュクロプス1号機』は数十件の家や観光施設が立ち並ぶ市街地に這うようにして逃げ込んだ。追いかけて島の斜面を駆け下りてきたレアが『キュクロプス1号機』の背中に飛び掛り、取っ組み合いになってゴロゴロと市街地を転げまわる。何軒もの島民の家が押し潰されて倒壊した。

「な、なんだ、助けてくれ!」

「家が、俺の家が!」

「お爺ちゃんが下敷きになって、潰されたわ!」

いきなりの出来事に島民たちは何がなんだか判らずに慌てふためいている。逃げ遅れた多くの子供や老人が、転げまわる2体の巨人の下敷きになって押し潰された。

(ああ!またあたしのせいで犠牲者を出してしまった!)

アルテミスが自責の念に駆られた。レアは地球人の犠牲者などなんとも思っていない。

「死ね!ネオガイア星人!」

馬乗りになったレアがメリケンサックのついた拳で憎しみを籠めて『キュクロプス1号機』の頭部を何度も何度も殴りつけた。自分を捕虜にしたネオガイア星人に対する恨みは凄まじい。モノアイが壊れ、コクピットの前面モニターが消えた。

「うぎゃあああ!」

アルテミスの鉄仮面に電流が流される。

(駄目、このままじゃやられる!巨人女の方が、動きが滑らかで、はるかにスピードが速いわ。)

「鉄仮面、何をしている。わしの作った試作機が壊されてしまうではないか」

スピーカーからメビウス博士の冷たい声が聞こえた。

「仕方がない。最後の手段だ、加速装置を使え。」

ピタゴラス博士の声だ。

「加速装置?」

『キュクロプス1号機』にそんな機能がついているとは、アルテミスには初耳だった。

「そうだ、機体の動きとパワーが一時的に通常の5倍に増幅される。しかし、全てのエネルギーを一気に使うため1分間しかもたない。その時間が経過すると『キュクロプス1号機』はエネルギーチャージのために一時間の間、全く動かなくなる。それにパイロットの操縦能力が機体の動きについて行けるかどうかも問題だ」

アルテミスは決心した。今はそれにかけるしかない。

「どうやれば加速装置が作動するのですか?」

「君がアナルに咥え込んでいるスティックを摩擦してイカせるんだ」

アルテミスは三角木馬の操縦シートに前屈みになり、腰を前後に振り始めた。アナルに挿入された極太のスティックの先が直腸を突き上げてくる。

(ああ、ウンチが出ちゃいそう)

腰を動かす度に、腸を刺激されて激しい便意を感じ、アルテミスは呻いた。腰を振るとオマンコの操縦桿も一緒に動くため、『キュクロプス1号機』の機体自身も小刻みに痙攣するような妖しい動きをとる。その間もレアはメリケンサックで『キュクロプス1号機』のボディを殴り続け、機体の装甲は亀裂とへこみでボロボロになっていった。もちろんコクピットのアルテミスも電極を通して全身にその痛みを受けなくてはならない。

「あああああっ!痺れるううう!」

アルテミスは絶叫したが腰のピストン運動はやめない。以前にレジスタンスに受けた拷問や、日々のシンディ刑務官の虐待で苦痛には相当強くなっている。

(お願い、早く加速装置を発動して!)

アルテミスが心の中で叫んだとき、アナルに挿入されているスティックがビクンビクンと痙攣し、先端から白い液がピュッピュッとアルテミスの直腸の奥に飛び出した。白い液にあまり意味はないのだが、これは、悪ふざけでピタゴラス博士が考えた加速装置発動の合図である。コクピットの操縦盤に表示されている計器やランプが突然、目まぐるしく動き始めた。

「やったわ!」

アルテミスは思わず叫んだ。突然パワーアップした『キュクロプス1号機』は馬乗りになっているレアを軽々と跳ね飛ばし、超スピードで起き上がると、突然の反撃に戸惑っているレアに立ち直る隙を与えず、殴る蹴るの猛攻を加えた。今度はレアの装甲服が裂け、生身のレアは鼻血で顔面が血だらけになり、あばら骨が砕けた。

「くそおお!ネオガイア星人めえええ!」

レアは必死に抵抗しようとしが、加速装置を使った『キュクロプス1号機』に対してはなす術もなく、約30秒で完全にノックアウトされて地面に転がったまま起き上がれなくなった。レアは全身複雑骨折で鼻柱が折れ、顎も砕けて歯も何本か折れていた。タイムリミットの1分間が過ぎて仁王立ちのまま機能停止した『キュクロプス1号機』の足元で巨人の女戦士レアはただ、意識不明で、苦痛のうめき声を上げるしかなかった。

「さすがだ!加速装置を使った『キュクロプス1号機』をいきなり完璧に使いこなしている。何度も言うようだが、やはり君は天才だよ鉄仮面!」

メビウス博士が興奮して叫んでいた。新兵器の実戦テストは終了した。

 

第73話、アダルトサンタクロース

 

 ニュースキャスターの相沢淳子(36歳)がさざなみ総合病院を退院し、放送局に復帰するとすぐにイソップ放送局長の呼び出しを受けた。淳子が局長室に出向くとそこにはよく知ったイソップ放送局長と、もう1人、胡散臭い雰囲気を漂わせた中年のネオガイア星人らしき人物が待っていた。

「相沢君。こちらは宇宙拷問教会のピタゴラス博士だ。君も名前ぐらいは聞いたことがあるだろう?」

イソップ局長に紹介されてその人物をまじまじと眺めた淳子は、それがさざなみ病院で地球人の医師団と一緒に総回診に来た人物だと思い当たった。ピタゴラス博士は残忍そうな笑顔を浮かべている。

「実はピタゴラス博士が、ぜひ君を博士の生体実験の材料に欲しい、とおっしゃられている」

「は?・・・それはどういう意味ですか?」

淳子は驚いて尋ね返した。

「そのままの意味だよ。ピタゴラス博士は君を恐ろしい拷問にかけたいそうだ」

「そ、そんな・・・」

淳子は絶句した。

「しかし、その前に君にやってもらいたい仕事がある。実は地球人向けにクリスマスの特番を企画した。ロケーション中心のバラエティ番組なんだが、やってくれるかね」

「はあ・・・でもその後で拷問にかけられるのですか?」

「まあ、そうだ。この特番もピタゴラス博士のアイデアをふんだんに取り入れている。・・・とにかく時間的に余裕がない、早速撮影の準備に入ろう」

有無を言わさず淳子は衣装合わせのためにスタイリストたちの元へ連れて行かれた。

 

 淳子が着せられた衣装はサンタクロースの衣装だった。と言っても、股下5センチの超ミニスカートで腕はノースリーブスである。足には膝までの白い縁取りをした真っ赤なブーツを履かされた。

「その格好で、クリスマスイブに地球人たちにプレゼントを配ってくれ。プレゼントはこれだ」

イソップ放送局長と番組プロデューサーが用意していたのは、市内のアダルトショップで調達してきた、大量の大人のオモチャやアダルトグッズ、無修正の裏本などだった。

「君が地球人の家にしのびこんで、驚いた地球人にこれらのオモチャを渡す様子を自動追跡カメラでバッチリと撮影する」

イソップが説明した。

「なるべく驚く地球人たちのリアクションを撮りたいから、配る場所はさざなみ市ではなくて、占領地域外の地球の普通の家庭で配って貰う予定だ」

淳子は毎度毎度の馬鹿馬鹿しい企画にうんざりとしたが、顔には出さなかった。何とか、この特番で驚異的な視聴率を稼ぎ、まだまだやれることを証明して実験材料にされるのを思いとどまって貰わなくてはならない。

「乗り物も用意したよ」

淳子は放送局の屋上に連れて行かれた。そこにはソリの形をした乗り物と、ロープでソリにつながれた四つん這いの若い白人女がいた。白人女はヘレン・マンスフィールド28歳、捕虜になった元CIAエージェント)だった。ライトブラウンの髪とグレーの瞳を持つヘレンの顔は、元々は美しかったのだがネオガイア星人によって整形され、今では嗅覚センサーを埋め込まれた豚鼻と、額には攻撃用の長さ30センチのドリルが取り付けられて哀れな顔になっている。脳内にコンピューターチップを埋め込まれ、数十匹の警察犬の人格プログラムを移植されたヘレンは、普段はさざなみ署で人間警察犬として活躍していた。今回はサンタクロースのトナカイ役だった。

「ソリとヘレンの背中には反重力装置を取り付ける予定だ。これで本当のサンタクロースのように空を飛んでプレゼントを配る事が出来るよ」

ヘレンは冬空の下に全裸で放置されガクガクと震えていたが、その目は自分をこんな姿に改造したネオガイア星人に対する憎悪で燃え滾っていた。しかし、脳内コンピューターを埋め込まれているため彼らの命令に逆らう事は出来ない。淳子もノースリーブスにミニスカ生足はさすがに寒かった。

(あたし、もう若くないのに、こんな格好で町を歩くのは恥ずかしいわ)

小皺と皮膚のたるみが目立ってきた肌をあらわにした淳子は、熟女の妖艶な色気を発散させていた。

 

1224日、クリスマスイブの夕暮れ時に相沢淳子の乗ったソリはさざなみ市を出発した。まずエネルギーバリアの外へ瞬間物質移送機で送り出されたソリは、反重力装置で空中に浮遊し、人間警察犬のヘレンに引かれて、夕暮れ時のどんよりとした薄暗い空を駆け始めた。

「うう、寒い・・・」

ミニスカ、ノースリーブスのサンタの衣装を着た淳子は凍えそうだった。吐く息は白く、生肌むき出しの太ももや腕は鳥肌が立ち、赤紫色に変色している。空には粉雪が舞っていた。淳子の座っている座席の下には小型カメラが仕掛けられており、ローアングルから淳子のパンチラと表情を捉えることが出来るようになっている。またソリの周りをテニスボールほどの大きさの飛行機能付き自動追跡カメラが人工衛星のように浮遊していて、放送局からのコントロールで自在に淳子とヘレンを撮影出来るようになっている。録画された映像はすぐに局に転送され、面白おかしく編集されて25日のクリスマスのゴールデンタイムに放送されるのだ。さらに淳子は今回の撮影にあたって事前に手術で脳に小型コンピューターを埋め込まれ、プロデューサーの指示を直接脳で受信出来る様に改造されていた。

「明け方までに配達リストの通り、全てのプレゼントを配り終えるんだぞ」

ネオガイア人プロデューサーの指示が淳子の頭の中に響き渡った。プレゼントといってもアダルトグッズや無修正ビデオやDVD、ドラッグなどいかがわしいものばかりである。それらがソリの荷台に3袋分も満載されていた。

「急ぐのよ!」

淳子は手に持った鞭を振りかざし、ソリを引く全裸のヘレンの御尻をピシリピシリと打ちつけた。背中にランドセル型の反重力装置を背負ったヘレンは懸命に手足を動かして、遠心力と振り子の力でソリを前に引っ張っている。反重力装置はソリを風船のように浮遊させることしか出来ないので、前に進むには手足をジタバタと動かして反動を付けないといけないのだ。

(くそっ!何であたしがこんな事を・・・)

汗だくになって空中でもがきながら、CIAの腕利きエージェントだったヘレンは屈辱と腹立たしさに煮えくり返っていた。しかし、ヘレンも脳にコンピューターチップを埋め込まれているため、ほんの少しでも反抗することは出来ない。日が暮れ、闇に包まれた頃、ソリはリストの最初にある住所の家に到着した。そこは東京のベッドタウンの住宅街にある一戸建ての家庭だった。ソリが家の前の道路に着地し、淳子はプレゼントの袋を一つ担いでソリを降りると玄関のチャイムをピンポーンと押した。

「どなたですか?」

「サンタクロースです」

出てきた主婦は、寒そうな淳子の姿を見て目を丸くした。

「プレゼントをお持ちしました。お子さんはいらっしゃいますか?」

「はあ・・・」

淳子はとまどっている主婦を押しのけてズカズカと家に上がりこんだ。ブーツを履いたままの土足である。中学生らしい二人の兄弟がテレビを見ながら食卓で夕食を食べているところだった。

「メリークリスマス!プレゼントよ」

淳子は兄弟に一枚づつ無修正のアダルトDVDを手渡した。

「ちょ、ちょっとあんた、なんなんですか?困ります、こんな卑猥なものうちの子供に渡さないでください!早く出て行かないと、警察を呼ぶわよ!」

「メリークリスマス!」

淳子は逃げるようにその場から逃げ出した。そして家の前に待たせていたソリに飛び乗ると、ヘレンの尻に思いっきり鞭を当てた。

「全速力で逃げるのよ、ヘレン!」

ソリはうっすらと雪が積もり始めた道路を走り出した。ここは宇宙人の占領地域の外側なので警察に逮捕されてもネオガイア人の影響力は及ばない。捕まったらその時点でロケは中止となり番組に穴を開けることになる。そうなれば秘密保持のため、脳内コンピューターを埋め込まれている淳子とヘレンは、遠隔操作で自殺命令を受けるかもしれない。二人が生き延びるためには今晩中にプレゼントを全て配り終えて、番組を成功させるしかないのだった。

 

卑猥なお鼻の〜♪豚犬さんは〜♪いつもみんなの、笑いもの〜♪

でも、この年のクリスマスの日〜♪、サンタのオバサンが言いました〜♪

固い扉は、ギュンギュンの〜♪お前のドリルが役に立つのさ〜♪

いつもキレてた、豚犬さんは〜♪今宵こそはと喜びました〜♪

 

鍵がかかっているマンションの扉をヘレンは額のドリルを回転させて破壊した。淳子がチャイムを鳴らしても反応がなかったのだ。淳子がマンションの5階にあるその部屋へ入っていくと、ヤクザ風の男が出てきた。

「なんだてめえ!・・・あっ、俺んちのドア壊しやがったな!」

「メリークリスマス!」

淳子が背中に担いだ袋から、プレゼントを出そうとした時、遠く離れたさざなみ市にいるプロデューサーからの指令が頭の中に響いた。

「予定変更だ。その男には、お前の今はいているホカホカのパンティをプレゼントしろ」

淳子は怒りで頭に血が上っている男に胸ぐらを掴まれてガクガクと震えながら、ミニスカートの下に手を入れてパンティをおろした。紫色のレース状の薄いパンティである。

「メ、メリークリスマス・・・脱ぎたてホヤホヤのパンティを、あなたにプレゼントします!」

淳子がパンティを手渡そうとしたが、男がその手を荒々しく振り払った。

「舐めんじゃねえ!ドアを弁償しやがれ!」

「メリークリスマス!」

淳子はすごんでくる男を振り払って、マンションの外へ飛び出した。廊下で待機していたソリに飛び乗り、ヘレンに鞭を入れる。反重力ソリはマンションの外階段から塀を越えて空中に浮かび上がり、離れていった。

「待ちやがれ、サンタクロース!」

男は、手に押し付けられた淳子のパンティを振り回しながらわめいていたが、もはやソリは、手の届かないところを漂いながら逃げて行くのだった。

 

雪が吹雪いてきた。全裸でソリを引っ張っているヘレンは、元CIAエージェントでいくら鍛えられているとはいえ、顔が真っ青になっている。寒さで唇は紫色に変色し、だんだんと厚く積もってきた雪を踏みしめて走る手足の感覚はない。体中の筋肉がガクガクと、震えを通り越して痙攣していた。

「ワンワーン。眠いわ、このまま眠っちゃいそう」

ウトウトと眠りかけたヘレンに淳子がピシリと鞭を入れて目を覚まさせた。

「眠っちゃ駄目よ、ヘレン!今眠ったら、そのまま凍死してしまうわ。別にあなたが死ぬのは構わないんだけど、死ぬなら番組収録の後にして頂戴!」

一応サンタの衣装を着ているとはいえ、淳子も相当寒かった。パンティをプレゼントしてからは、股間が容赦のない冷気でスースーとしている。髪の毛やまつげが降ってくる雪で凍りついていた。ミニスカノーパンで剥き出しのオマンコを、ソリに仕掛けられたカメラがローアングルで撮影している。明日、クリスマスの夜、全世界に放送されることになっているのだ。淳子とヘレンはラブホテルの窓を破って、客室に侵入した。そこにはクリスマスイブをダブルベットで過ごしている若い20代前半のカップルが、セックスの真っ最中だった。

「な、なんだ!」

「メリークリスマス!あなた達二人にピッタリの、素敵なプレゼントをお持ちしました」

淳子は袋から、真っ黒なイボイボのついた特大の極太バイブと、精力強壮剤のバイアグラを取り出した。

「余計なお世話だ!窓をこんなにしやがって、ホテルの人に通報してやる」

カップルの若い男の方が枕元にある内線電話に手を伸ばした。淳子は慌てた。なんとしてもプレゼントを受け取ってもらわなければならない。

「お前が使い方の手本を見せてやれ」

自動追跡カメラで様子を伺っていたプロデューサーからの指示がくる。淳子はバイアグラの瓶の蓋を開け、一粒取り出すとおそるおそる口に含んだ。

「待って!こうやって使うのよ。とっても気持ちがいいんだから。貰っておいて損はないわよ!」

淳子はバイアグラを飲み下し、立ったまま足を広げて極太バイブを股間に突っ込んだ。しかし、寒さのあまり、オマンコの粘膜は萎縮しており、なかなか奥へ入らない。

「う、ううう・・・」

淳子は感覚の殆どなくなった霜焼けの手でバイブを握り締め、痛みをこらえて押し込んでいった。カップルに使い心地の良さをアピールしないといけないので無理にでも笑顔を作る。

「あうっ、感じるう。いい気持ち・・・」

「出て行け、変態女!」

数分すると先程飲み込んだバイアグラの効果があらわれ始め、淳子の体が火照ってきた。今まで寒さに凍えそうになっていたのが嘘のようである。カーッとオマンコを中心として体が熱くなり、全身から炎が噴出してきたようだった。

「暑い、暑いわ・・・」

淳子が切ない声を出して喘ぎ始めたとき、通報を受けたラブホテルの従業員が、合鍵でドアを開けて飛び込んできた。

「お客様、大丈夫ですか!」

危険を感じた淳子は股間のバイブを引き抜いて、カップルの寝ているベットに投げつけ、窓際に浮遊しているソリに飛び乗った。

「メリークリスマス!淳子のアダルトサンタさんでした!喜んでいただけましたでしょうか?それじゃバイバイ!」

「待てーっ」

ホテル従業員の制止を振り切ってソリは空高く舞い上がって行った。

 

淳子とヘレンは猛吹雪の中、一晩中かかって、リスト通りに一つ一つプレゼントを配っていった。積雪は30センチほどで膝まで達している。ヘレンは意識が朦朧とし、遭難寸前だった。このままでは危ないと感じた淳子は、こっそりとプレゼント品の中にもう一瓶残っていたバイアグラのフタを開け、凍えているヘレンの体を擦るフリをして、自動追跡カメラに映らないような角度で一粒口に含ませた。しばらくするとヘレンは生き返ったように元気になった。

「もう少しよ、頑張ってヘレン。プレゼントの袋もあと一つだけになったわ」

「ウー、ワンワン!」

鞭を当てられたヘレンは猛スピードで走り始めた。プレゼントの配達のペースに拍車がかかった。しかし、しばらくすると二人は新たなアクシデントに見舞われた。ある家で淳子がプレゼントを強引に渡して道路に待たせてあるソリのところへ戻ってみると、ヘレンとソリが、数人の男たちに襲われていたのだ。どうやら夜遊びをしていた暴走族の若者達が、全裸のヘレンと変わった形のソリを見つけ、面白半分に取り囲んでいるようだった。

「何だ、お前、なんでこんな夜中に裸でうろついてんだ?」

「ワンワン!」

ヘレンは額のドリルを回転させ、歯をむいて戦闘体制をとった。

「おっ、やんのかてめえ!」

若者たちが隠し持っていたナイフや鉄パイプを取り出した。普段ならドリルで武装され、CIA時代に数種の格闘術をマスターしたヘレンが負けるはずもなかったのだが、今は寒さのために手足が麻痺寸前で動かず、体力も限界に来ている。若者たちが襲い掛かるとヘレンはあっけなく、滅多打ちにされ、殴る蹴るの暴行を受けて血だるまになった。

「おっ、この乗り物、空中に浮かぶぞ!」

「おもしれえ、貰っていこうぜ!」

ヘレンとソリをつないでいたロープがナイフで切られ、若者たちは戦利品のように、高さ2メートルほどの空中に浮かんだソリを引っ張って、笑いながら立ち去っていった。安全になったことを確認して、淳子が物影から出て来たとき、ヘレンは雪の上に鮮血を飛び散らせ、半ば埋もれるように倒れこんでいた。

「う、ううう・・・」

口の端から血を流し、ヘレンが呻いている。意識はまだあるようだ。

「大丈夫、ヘレン?・・・さあ、起きて。プレゼントの配達はまだ終わってないのよ」

淳子は朦朧としているヘレンの豚鼻の顔面にビンタを食らわせた。意識を取り戻したヘレンがよろよろと立ち上がる。ソリが奪われたので淳子は直接ヘレンの背中に跨った。

「走るのよ、ヘレン!」

「ワオーン!」

へレンが悲しげな遠吠えをし、痛めつけられた体でどうにか歩き始めた。ヘレンの背中の反重力装置だけでは二人分の体重を支える事が出来ず、ヘレンがどんなにもがいても地上50センチ位まで浮かび上がるのがやっとだった。仕方なく二人は空から家に侵入することをあきらめ、地道に雪をかきわけながら、残りのプレゼントを配っていった。何度もパトロール中の警官に呼び止められ職務質問を受けそうになったり、酔っ払いや暴走族に絡まれて暴行を受けそうになった。やがて、朝日が昇るころ、全てのプレゼントを配り終えた淳子とヘレンは力尽きて、教会の前で雪の中に倒れこんだ。

(ああ、あたし死ぬんだわ・・・短い一生だったけど、とうとう結婚できなかった)

と淳子は薄れ行く意識の中で考えた。

(うう、宇宙人め、あたしが死んでも、必ず、あたしの仲間のCIAエージェントや合衆国政府が総力を上げて、この地球から叩き出してくれるはずよ!・・・いえ、あたしが生まれ変わってでも、必ず復讐してやるわ!)

とヘレンも薄れ行く意識の中で考えた。凍死する寸前、二人の体は瞬間物質転送機の白い光に包まれ、消えていった。そしてその晩ゴールデンタイムに、『サンタ苦します!』とサブタイトルをつけられた相沢淳子サンタの活躍は、面白おかしく編集された上で放送され、高視聴率を獲得した。この番組はネオガイア人の電波ジャックによって全世界にも放映され、またしても人々は宇宙人の暴挙を目の当たりにすることになった。アメリカのCIAでは、放送された映像を分析し、サンタのソリを引っ張っている哀れな全裸の白人女が、宇宙人の母艦に潜入したまま行方不明になっている、仲間のCIA工作員、ヘレン・マンスフィールドであることを確認し騒然となった。

 

第74話、新サイボーグ戦隊結成!

 

さざなみ市の郊外に設営された宇宙港に、外宇宙より飛来した一隻の宇宙船が着陸した。かつて、サイボーグ戦隊を乗せて惑星ゴルゴーンを攻撃した高速巡洋艦『スパルタ』である。ゴルゴーン星での作戦の失敗の責任を取って、長らく謹慎処分を受けていたサイボーグ戦隊のスタッフたちが、新たなサイボーグ部隊を結成するために地球に舞い戻ってきたのだった。第一期のサイボーグ戦士たちは全員が再起不能か戦死、行方不明になっている。戦隊司令官のイカロス、副司令のタンタロス、技術スタッフのアンドロメダ女医の3人は、地球に滞在するネオガイア人の有力者や高名な科学者たちの元を挨拶回りし、新サイボーグ戦隊結成へ向けての助力をお願いして回った。

「ピタゴラス博士、なにとぞ、博士の高名なお力をお貸し下さい」

イカロス司令はピタゴラス博士に平身低頭に頭を下げた。2度目の失敗は許されない。何としてもここで汚名を挽回しなくては宇宙軍での出世の道が閉ざされてしまう。

「前回のサイボーグ戦隊での失敗の原因は、地球人サイボーグたちを直接戦闘に投入しようとしたところにありました。直接戦闘ではいかに肉体を機械化され、破壊力のある武器を埋め込まれているとはいえ、戦力としては所詮、戦闘用アンドロイドにそれほど勝っているわけではありません」

「ほう」

イカロス司令は懸命に新サイボーグ戦隊の構想を語り始めた。

「ならば、新サイボーグ戦隊では、高度な知能を持った人間にしか出来ない、情報収集や破壊工作、敵中潜入などに特化したサイボーグを製作していこうと考えています。」

「で、そのサイボーグの製作をわしに頼みたいのかね?」

「ええ、お願い出来ますか?」

「いいとも、わしはネオガイア星人の利益になる事なら、誰にでも力を貸すよ」

「ありがとうございます、博士」

こうして再びピタゴラス博士のサイボーグ製作が始まった。

 

クリスマスの特番の収録で全身に凍傷を負い、再び相沢淳子(女子アナ、36歳)はさざなみ総合病院に入院することになった。そして1週間後に退院すると、再度イソップ局長の呼び出しを受けた。

「前にも予告してあったと思うが、宇宙拷問研究所のピタゴラス博士の元へ行ってくれ。君に極秘の実験のモルモットになって貰いたいそうだ」

「そ、それはあたしに死ねってことですか?」

「詳しい事はわからん。とにかく総督府からの正式な指令書も来ている。君に拒否することは出来んよ」

「・・・・」

淳子は恐怖に全身が凍りつくような気がした。ピタゴラス博士と言えば悪名高い拷問、人体改造マニアである。彼の元へモルモットとして出頭し、五体満足でいられる訳がない。しかし、ネオガイア人に拉致された身分である淳子はピタゴラス博士の元へ、出頭するしかなかった。放送局の瞬間物質転送機を使って、衛星軌道上のピタゴラス博士の研究宇宙船へ転送された淳子は、アンドロイドたちの出迎えを受け、研究室へと連れて行かれた。そこにはピタゴラス博士、イカロス司令、アンドロメダ女医がいた。

「相沢淳子です。モルモットとして出頭いたしました」

「おお、久しぶりだ。ひと目、見た時からどうしても君を実験体にしたくてね。局長に無理にお願いしたのだよ」

「こ、光栄でございます」

淳子は震えながら答えた。

「では、早速、改造手術を始める。手術台の上に横になってくれたまえ」

淳子は何をされるのかわからない恐怖にオシッコを漏らしそうになりながら、手術台の上に仰向けに横たわった。四肢をベルトで固定され、スカートとパンティ、ストッキングを脱がされ下半身を丸出しにされた。

「淳子君、そんなに緊張せず楽にしてくれたまえ。もっとも地球人相手の改造手術に麻酔は使わんがね。ギャハハハハ!」

大笑いしながらピタゴラス博士は卵のような大きさの装置を取り出した。そして開口器具で淳子の肛門を直径20センチほどに広げ、直腸の奥にレーザーメスを入れる。

「きええええええ!」

淳子は怪鳥のような悲鳴を上げ、オシッコをもらした。

「何だ、この女、女子アナのくせにだらしない。博士、お手が汚れます」

慇懃に、イカロス司令がタオルで飛び散った淳子のオシッコを拭き取って行く。ピタゴラス博士が、肛門の内側からメスで切り開いた淳子の下腹部に卵大の装置を埋め込んだ。

「この装置の中にはわしが調合した特殊な数種類の化学薬品が入っている。それは君の血液中に混ざり合って、君の排泄物を、危険な爆発物に変えるのだ」

「そ、それってどういうことですか?」

淳子が気を失いそうになりながら、聞き返した。

「つまり、君のウンチはプラスチック爆弾になり、オシッコは可燃性の強いガソリンに似た物質になる。つまり、君は丸腰で敵基地に潜入し、内部から爆破する破壊工作員になる、ということだ」

「そ、そんな、あたしの体が・・・」

「それから、オマンコから出る愛液には猛毒が含まれるようになるから、色仕掛けで敵の重要人物を誘惑し、毒殺することも出来る」

「さすが、博士!」

イカロス司令は絶賛した。とんでもない話の内容を聞いて淳子は気分が悪くなり、気を失った。

 

手術後、目が覚めると、細胞回復促進剤の効果で淳子の体はすっかり傷口が塞がっていた。そのままイカロス司令とともに新サイボーグ戦隊の移動本部である高速巡洋艦『スパルタ』に連れて行かれ、サイボーグ戦隊の新規メンバーとしての訓示を受けた。

「相沢淳子君、君をサイボーグ戦隊の隊員として任命する。コードネームはサイボーグゴールドだ。」

「ありがとうございます。ご期待のそえるよう、誠心誠意任務に励みます」

淳子は下腹部に異物感を感じながらも、この程度の肉体改造で済んだ事を幸運に思った。

「今回のサイボーグ戦隊は特殊工作や諜報活動を目的としている。カムフラージュのため、君には今まで通り、放送局での女子アナの仕事は続けて頂く。戦隊員と女子アナの二束のわらじを履く、というわけだ。もちろん毎日、女子アナの仕事が終わってからサイボーグ戦士としての訓練は積んでもらうし、緊急出動の要請があったときは、いつ如何なる時でも瞬間物質転送機で、この本部に出頭してもらう」

「はあ・・・」

淳子はイカロス司令の説明が良くわからなかったが、とにかく、これからも女子アナの仕事は続けていくらしい

「もう1人、新サイボーグ戦隊のメンバーを紹介しよう」

タンタロス副司令に連れられてやって来たのは、ヘレン・マンスフィールド(28歳、元CIAエージェント)だった。ヘレンは四つん這いで全裸に首輪を付けられ、タンタロスに鎖で引っ張られながら、犬のような唸り声をあげていた。

「ヘレン・マンスフィールド君だ。コードネームは彼女の髪の毛の色にちなんでサイボーグブラウンとした。彼女に関しては、すでに嗅覚センサーや攻撃用のドリルなどが埋め込まれており、特に改造の必要はなかった。前歴も元々、地球人の諜報機関員なので、まさにこの任務にうってつけだ」

淳子がよく見ると、ヘレンの体のあちこちに完治していない凍傷の跡があり、手や足の指が何本か欠けてなくなっている。クリスマス特番の収録のあと、犬扱いのヘレンはろくな治療も受けさせて貰っていないのだろう。以前にも増してヘレンの表情はネオガイア人に対する憎しみと苦悩で歪んでいた。

「ヘレン君は、あまり心情的に我々に対して協力的ではないようだが、まあ、その点は彼女の意思がどう考えようと、埋め込まれた脳内コンピューターに統制されているんで問題はなかろう。彼女にもカムフラージュとして、今やっている人間警察犬の仕事は続けていただく」

「ウーワンワン!」

ヘレンはギラギラするグレーの瞳でネオガイア人たちを睨み付けながら、抗議とも賛同とも取れない返事をした。

 

その日から相沢淳子とヘレンのサイボーグ戦隊隊員としての厳しい特訓が始まった。淳子はアナウンサーの仕事が終わった後、宇宙港に着陸している高速巡洋艦『スパルタ』の内部にあるサイボーグ戦隊本部の訓練施設でトレーニングを受けるのだ。一日の睡眠時間はほんの数時間しかとらせてもらえない。特訓の内容は筋肉強化の基礎トレーニングから格闘術、地球やネオガイア星の武器の扱い方まで全てをマスターしなければならない。元CIA工作員のヘレンと違って淳子は、初めて学ぶ事ばかりだった。

「もっと、早く走れ!」

全裸で高速ルームランナーの上を走る淳子の尻にイカロス司令がピシリと電気鞭を浴びせた。

「ひっ!」

汗だくになった淳子の背中や御尻は特訓中に鞭で叩かれた蚯蚓腫れで赤く腫上がっている。サイボーグ戦隊の隊員のユニフォームは全裸が基本であるため勤務中は衣服の着用は禁止である。イカロス司令は、熟れきった淳子の裸身を眺めて欲情したが、淳子の体から飛び散る汗も危険な毒物であるため、手が出せない。仕方なく今回のセクハラの対象はもっぱらヘレンだった。

「しゃぶれ、豚犬!」

「ウー、ガルルルゥー」

ヘレンは反抗的な目つきでイカロスを睨みながら、ズボンから引っ張り出されたチンポをしゃぶった。コントロール装置が脳に埋め込まれているため、どんなに憎しみが深くても逆らう事は出来ない。

「その豚顔でしゃぶられても、全然気持ち良くないなあ。本当は淳子にしゃぶらせたいんだけどチンポが毒にやられてしまいそうだし、早く次の隊員候補を見つけないと、これじゃあ、思う存分セクハラも出来ん!」

イカロス司令の何よりの趣味は地球人サイボーグへのセクハラ行為だった。長らくの謹慎処分でかなりの鬱憤がたまっている。文句を言いながらも、イカロスはヘレンの口の中に精液をぶちまけると、ヘレンの豚顔を見つめてしみじみとつぶやいた。

「誰が改造したのか知らないが、つくづく不細工な顔だなあ。いっそ顔に合わせて脳内コンピューターに豚の人格も移植してやろうか?」

「ガルルルゥ」

イカロスは、データライブラリーの中から豚の人格を探し出し、無線端末を使って、ヘレンの脳内コンピューターに雌豚の人格をダウンロードさせた。

「ブヒー、ブヒー!」

途端にヘレンは、口の端からヨダレを垂らし、豚のような鳴き声を上げなら室内を駆け回り始めた。

「ワハハハハ!こりゃあ、傑作だ。お似合いだよサイボーグブラウン」

イカロス司令は腹を抱えて笑い転げた。

(くそっ、人の体をオモチャにしやがって、いつか必ず殺してやる!)

豚のように鼻で床の匂いを嗅ぎまわりながら、ヘレンは憎悪に身を焦がした。

 

しい訓練は一ヶ月間続いた。その間に相沢淳子の体は見違えるように逞しくなり、素手での格闘術から、武器の扱い方、工作員としての心得や破壊活動のやり方などを覚えこまされた。

「サイボーグゴールド。お前を実戦テストに送り出す。ヘレンは元々地球の工作員だから実戦テストは必要ないだろう。」

淳子はイカロス司令に実戦テストの説明を受けた。

「さざなみ市から北西1000キロの場所に北朝鮮という地方政権の軍事基地がある。そこをお前の体に内蔵されている武器だけを使って爆破してくるのだ。」

「そ、そんな無茶な・・・」

「無茶ではない。つべこべ言わずにやれ。第二次サイボーグ戦隊の成否に俺の出世がかかっているんだ」

「はっ、イエスサー」

しぶしぶ淳子は全裸のまま丸腰で瞬間物質転送機に放り込まれ、閉ざされた極寒の国へと送り出された。淳子が実体化したのは北朝鮮の強制収容所の正門の前だった。恐ろしく気温が低い。

「寒い・・・こんなのばっかり・・・」

「何者だ貴様!」

正門を警備していた北朝鮮の兵士が血相を変えて走り寄ってきた。

「う、うう、怪しい者ではありません」

淳子は朝鮮語で答えた。元々国際派のアナウンサーとして活躍していた淳子は数ヶ国語を自在に話す事が出来る。

「お前、何で、裸なんだ?朝鮮人ではないな?イントネーションがおかしいぞ」

「そ、それは・・・」

「とにかく、捕まえよう」

淳子はあっさりと北朝鮮の兵士に捕まった。いくら特訓を受けたとはいえ、所詮女子アナなので戦う姿勢をとるよりもとっさに体が萎縮してしまったのだ。淳子は汚いコンクリートむき出しの独房に放り込まれた。独房はろくに手入れもされておらず、埃や虫の死骸が積もっており、鉄格子はボロボロに錆びついている。淳子は全裸に汚い毛布を一枚与えられただけだった。

(これが、噂に聞く、北朝鮮の強制収容所ね。こんな形で訪れるとは思わなかったわ。・・・それにしても寒い・・・)

淳子が毛布にくるまって独房の隅で震えていると、しばらくして看守に呼び出された。

「取調べを行う」

取調べとは名ばかりで、淳子は取調室で大勢の北朝鮮人兵士や将校に代わる代わるレイプされ、再び、汚い独房に戻された。

(逃げなくちゃ・・・このままじゃ凍え死んでしまうわ)

淳子は独房の扉の前にしゃがみこむとウンチをした。トグロを巻いたウンチがひねり出され独房を悪臭で包み込む。サイボーグゴールドとして改造された淳子のウンチはプラスチック爆弾なのだ。

(火がないわ、どうしよう)

考えたあげく淳子はオシッコをし、ウンチの場所から独房の反対側まで流れさせた。淳子のオシッコは可燃性の液体なのだ。淳子はひび割れたコンクリートの壁から破片を引き剥がすと、床に叩きつけ、火打石の要領で発火させようとした。しかし、気温も低く、なかなか火花が飛び散らない。

(お願い、点火して!)

二時間後、悪戦苦闘の末やっと火花が飛び散った。淳子のオシッコが勢い良く燃え、炎の導火線となって扉の前のウンチに燃え広がり点火した。凄まじい爆発がおこり、扉が粉々に吹き飛ばされた。

(やったわ、でもこの後どうすればいいの?)

淳子は全裸で丸腰である。独房を逃げ出したとしても強制収容所を警備する大勢の武装した兵士たちを相手に戦わなければならない。しかし、廊下に飛び出し、走り始めた淳子は不思議と誰の抵抗にも合わなかった。

(誰もいないのかしら?)

強制収容所が驚くほど静まり返っていた。骨と皮ばかりになった囚人たちは、先ほどの爆発音にも反応せず、ただただ体力の消耗を抑えるために収容されている部屋で声も立てずにうずくまっている。しばらくして淳子にその原因が判った。淳子をレイプした兵士たちは全員がオマンコの猛毒を亀頭の皮膚から吸収し、苦しみ悶えて死んでいたのだった。淳子の愛液の猛毒は直接舐めた場合は即死、皮膚から吸収した場合は数時間後に死亡するのだ。淳子は抵抗するもののいない強制収容所を駆け巡り、訓練で学んだ通り、弾薬庫を見つけて放火した。爆発音と共に、巨大な火柱が噴き上がり、あっけなく収容所は破壊された。

「・・・うう、貴様、何者だ・・・」

毒が体に回りながらもまだ意識のある北朝鮮人の将校が廊下を這いつくばっていた。全裸に武器庫から奪った自動小銃を構え、走り回る淳子の姿を見て叫んだ。

「あたしは、ネイガイア星宇宙軍サイボーグ戦隊の隊員、ゴールドこと相沢淳子よ」

「・・・サイボーグ??なんだそれは・・・噂で台湾の特務機関にエロテロリストというのがいる、と言う話を聞いたことがあるが、同じようなものか?」

「違うわ、あれは、ただのタレントのプロモーションビデオの企画よ、現実にはいないわ」

「恐ろしいやつ・・・」

強制収容所の爆破に成功した淳子の実戦テストは終了し、瞬間物質転送機で高速巡洋艦『スパルタ』に収容された。

 

第75話、新大陸へ

 

 紀元15世紀後半、久石千鶴はイベリア半島南部の町、パロスで売春婦をしていた。永遠に若さを保ち、年をとらない千鶴にとって、自分の肉体そのものが金になる売春が、最も効率的な生活手段だったのだ。もっともいくら年を取らないとはいえ1500年に及ぶ放浪生活で肉体には醜い傷跡があちこちに刻みこまれている。

「汚い体だなあ。顔は結構美人だと思ったから、一晩買ってみたんだがなあ」

その晩の客となった40歳ぐらいの男がブツブツと文句を言った。

「ごめんなさいね。でもテクニックは凄いのよ」

千鶴は1500年間に世界各地で習得したセックステクニックを駆使してその男を喜ばせようとした。日焼けしたその男は身なりも良く、金回りも良さそうだった。精悍な顔つきをしているが、何処か山師のような胡散臭さも感じる。その他大勢の客とは全く違う、男の雰囲気に興味をそそられた千鶴は、チンポを右手で愛撫しながら尋ねた。

「あなた、この辺りの人じゃないわね。名前はなんていうの?」

「フッ、俺の名前なんて聞いてどうするんだね。まあいい、教えてやろう、俺の名前はコロンブス。クリストファー・コロンブスって言うんだよ。生まれはジェノバだけど、今は私掠船の船長をやっていて、世界中の海を渡り歩いているのさ」

(コロンブス!)

千鶴は驚きのあまり絶句した。この男が有名なコロンブスなのか。

「俺は、地球が丸いと信じている。大西洋を西に進めば、中国やインドにたどり着けるはずなんだ」

コロンブスは調子に乗ってペラペラと寝物語に喋り始めた。

「でも、みんな俺のことを頭がおかしい奴だと思っているんだ。西への航海に必要な資金を提供してくれるように、何年間もヨーロッパ中の王様や貴族たちに頼んでまわっているんだが、誰も力を貸してくれない。もう、諦めようかなあ」

「駄目よ、諦めちゃ駄目!」

思わず、千鶴は声を荒げた。

(あなたが新大陸を発見しなければ歴史が変わっちゃうわ。そうなればあたしは、元の現代に戻れない)

「あなたは絶対に諦めちゃ駄目よ。いつでも、ここに来て頂戴。代金は要らないわ。いつでもあたしが励ましてあげるから、絶対に諦めないで!」

コロンブスは初めて会ったばかりの娼婦にいきなりそこまで強く励まされて、感動したようだった。

「君は本気でそう思うのかい?・・・ああ、判ってるよ。諦めるっていったのは冗談だよ。なぜか西へ航海するのは生れた時からの俺の使命のような気がするんだ」

コロンブスはその日から頻繁に千鶴の働く売春宿に通うようになった。

 

千鶴がコロンブスと出会って半年がたったころ、しばらく姿を見せなかったコロンブスが久しぶりに千鶴の働く売春宿を訪れた。

「やったぞ、とうとうイザベル女王の援助を取り付けたぞ。西へ航海する船団を用意してくれるそうだ。到達した土地で俺を植民地総督に任命する、と言う約束も取り付けた」

コロンブスは興奮していた。千鶴はコロンブスのチンポを懸命にしゃぶった。コロンブスのチンポは興奮で普段よりもさらに大きく勃起している。千鶴が、古代中国で身につけた類まれな舌技で、コロンブスをあっという間にイカせると、口に含んだ精液をごくりと飲み下した。

「よかったわね」

「ああ、だが、これで君ともお別れだ。来月、俺は西の未知の海へと出発する」

コロンブスの言葉に、千鶴は言いようのない寂寥感を感じた。この男と二度と会えなくなるかもしれない。

「待って!あたしも新大陸へ行くわ」

千鶴は自分でも驚いた。知らない間に、この思い込みの激しい、少し頭のおかしい男を好きになっていたのだ。今思えば、おそらくそれは最初にコロンブスが千鶴を買ったときからの気持ちだった。

「新大陸?何の事だ???それに船に女は乗せられない。女が1人でも船に乗っていると必ず船員の間にもめごと起こる」

「そんなことないわ。あたしが船員の性欲を全て処理して、目的地に着くまで不満や反乱が起こらないようにしてあげるわ」

「ふーむ、そういう事なら、売春婦が1人船に乗っていた方が都合がいいかもしれないな・・・」

この時代、地球が丸いと言う事実はごく一部の知識階級の間でしか知られていない。一般のほとんどの人間は今だに天動説を信じており、海の端からは、奈落の底へ向けて海水が滝のように流れ落ちていると当たり前のように考えている。そんな水夫たちを率いてコロンブスは、海図にない西の果てを目指さなければならないのだ。水夫たちの恐怖や不満をまぎらわせるためにも一人ぐらい売春婦を連れて行ったほうがいいかもしれない。コロンブスはOKし、千鶴はコロンブスとともに西の果てを目指す事になった。

 

紀元1492年8月3日、コロンブスと千鶴を乗せた『サンタマリア号』を含む3隻の帆船はスペイン南部の港町、パロスを船出した。千鶴は約100人の船員の性欲処理を一手に引き受け、昼夜を問わずセックスに励んだ。1500年に渡って世界中を放浪し、各地のセックステクニックの奥義を習得した千鶴にとって、女に飢えた水夫を短時間でイカせることなど朝飯前である。一日約30人の性欲を処理出来るので、船員たちは3日に一度は千鶴の肉体にありつけるのだ。千鶴のおかげで西への航海は、一見平穏無事に見えた。しかし、船団上空の目に見えない場所で、航海の間中、熾烈な戦いが繰り広げられていた。コロンブスの船団を守るために、数十機の時間管理局のタイムマシンが非常線を張っており、それに対して時折、未来から来た時間犯罪者のタイムマシンが奇襲を仕掛けているのだ。そのタイムマシンの中に、管理局駐在員のイエスイもいた。

時間犯罪者11532号ガ船団ノ中ニ紛レ込ンデイル」

「300年前カラ、オ前ガ追ッテイルト言ウ不老不死ノ女カ?」

同僚の駐在アンドロイドが尋ねた。

「ソウダ、シカシ、今ハコノ時代ノ、特A級ノ歴史上人物ト一緒ダ。手ガ出セナイ」

「残念!」

「残念!アノ女ハ不老不死ダ、イズレ別レル時ガ来ル。ソノ時ヲ待テ」

過去の時代の人間は、歴史に与える影響力によって、時間管理局にランクづけされている。コロンブスは最高ランクの特A級だ。彼がいなければ新大陸の発見はなされず、16世紀におけるヨーロッパ人の全世界侵略も始まらなかった。白人に植民地にされ虐殺された民族の子孫が、理不尽な歴史に憤りを持ち、歴史を変革しようと常にコロンブスを付け狙っている。時間管理局はコロンブスが歴史的なその使命を果たすまで完璧にガードしなければならない。そんな事も知らず、千鶴はコロンブスの夢を実現させるために、船員たちが航海に不満を持たないよう、日夜セックスに励んでいた。

 

長い航海の末、コロンブスの率いる3隻の帆船は後の世にサルガッソと呼ばれる海域にさしかかった。海藻が海中全体に恐ろしい密度で群生し、船底に絡みついて船団の進行を妨げた。いわゆるバミューダトライアングルである。

「これ以上進むのは無理だ。引き返せ。いくら進んでもこの先に大陸なんてない!」

とうとう、千鶴の必死の努力にもかかわらず、恐怖に駆られた船員たちの間で反乱が起こった。

「海藻が密生しているのは、これこそ陸地が近い証拠だ」

天性の詐欺師の才能を持つコロンブスは落ち着き払って、口から出まかせを言った。

「そんな訳はない!もうたくさんだ。お前の口車には騙されんぞ」

「あっ!あんなところに鳥が!陸から飛んで来たに違いない」

おもむろにコロンブスは空の彼方を指差した。

「嘘つけ。何も見えん!これ以上、西に進んだら世界の端から滑り落ちて地獄に落ちるだけだ!今ならまだ間に合う。頼む、引き返してくれ。俺たち全員、生きてヨーロッパに帰りたいんだ」

船員たちは甲板でコロンブス一人を包囲し、詰め寄った。ナイフや剣の柄に手をかけている者もいる。そこへ売春婦の千鶴が割って入った。

「待って!この先に陸地は必ずあるわ。それにもし、恐怖や不満があるなら、今は3日に一回のセックスを、1日に一回に増やして、あたしが忘れさせてあげるわ。これからは一度に3人同時に相手にして、全員が毎日あたしとセックス出来るようにするわ」

怒り狂っていた船員たちがスケベ心に一瞬怒りを忘れた。

「いくらお前が筋金入りの売春婦でもそこまでやれるのか?・・・面白え、あんたが本当に全員と1日一回セックス出来るんなら、もう少しだけこの航海に付き合ってやるよ」

他の船員たちもうなづいた。こうしてコロンブスの航海の中で最も危険だった瞬間を、千鶴の機転でどうにか乗り切る事ができた。船団はサルガッソ海を迂回し、更に西へと進んだ。千鶴は約100人の海の荒くれ男たちを相手に日々、3Pに励んだ。1人目が騎乗位でオマンコに挿入し、2人目がバックからアナルを犯す。そして仁王立ちになった3人目を口でイカせるのだ。それを一日30回繰り返すと約100人を満足させることが出来る。さすがに非凡な体力と精神力を持つ千鶴も肛門が裂けて出血し、オマンコも擦り切れ、顎もガクガクになって舌の付け根の感覚が麻痺した。

「昨日、俺はオマンコを犯したから、今日はアナルにぶち込ませてくれ」

「じゃあ、俺は口でいいよ」

船員たちは疲労困憊してボロ切れのようになっている千鶴を、約束だから、と言わんばかりに遠慮なく犯し続けた。ここまでくると千鶴に快楽などなかったが、朦朧とする意識で、男達を喜ばせるために必死でヨガっている演技を続け、入れ替わり立ち替わり挑みかかってくる水夫たちをイカせる事だけを考え続けた。

 

パロス港を出発してから2ヵ月後、とうとうコロンブスの船団は陸地を発見した。喜び勇んで上陸したスペイン人たちを原住民が出迎えた。

「インド人だ!ついにたどり着いたぞ!」

「インド人じゃないって・・・」

千鶴は間違いを正そうとしたが、コロンブスは聞かなかった。すっかり地球を逆周りしてインドにたどり着いたと信じ込んでいるようだった。勝手に勘違いされて、インディオ(インド人)という名前で呼ばれることになった原住民に対する略奪が始まった。

「女は犯せ!逆らう者は皆殺しにしろ!」

長年の戦争で血に飢えたスペイン人たちは獰猛だった。コロンブスの船団はカリブ海の島々を回り、平和に暮らしていたインディオを殺戮して金品を奪い、女を船に連れ帰って犯しまくった。インディオの女が多勢連れ込まれたために千鶴の売春婦としての役割はなくなった。船団はやがてハイチ島に到着し、居留地を築いた。

「俺は一度スペインに戻って、イザベル女王に報告をしてくる。その後、本格的な植民地を建設するために大船団を連れて戻ってくる」

「きっと戻ってきてね、待ってるわ、コロンブス」

千鶴は残留組と共に居留地に残ることになり、コロンブスを見送った。居留地では連日連夜、捕まえたインディオの女を慰み者にして狂宴が行われた。

「時間犯罪者11532号ガ、特A級歴史上人物ト別レタ。チャンスダ」

タイムマシンのコクピットのモニターで千鶴の様子を伺っていた時間管理局の駐在アンドロイド、イエスイが、転送機を使って地上に降り立った。今回はインディオ女の服装をして目立たないようにしている。イエスイは略奪されたインディオ女のフリをし、スペイン人の居留地に忍び込んで、千鶴に近づいた。男たちはインディオ女を犯すことに夢中になっており、千鶴は退屈そうに砂浜で海を見つめながら日向ぼっこをしていた。イエスイが、確実に一撃で留止めを刺す為、ナイフを握り締めて千鶴の背後に近寄ろうとした。しかし、邪魔が入った。酔ったスペイン人の水夫が絡んできたのだ。

「おっ、見かけねえ顔だなあ、新入りか?俺にもオマンコを味見させてくれよ」

スペイン人が馴れ馴れしくイエスイの肩に手をかけた時、目にも留まらない速さでナイフが閃いた。

「ぐわっ!」

水夫は心臓を正確に一突きされ、鮮血を噴出して絶命した。

(コノ男ノ歴史的重要度ハY級ダ。コノママ生キテイテモ、子孫モ残サズニ死ンデ行ク運命ニアル。今、殺シテモ歴史ニ全ク影響ハナイ)

イエスイは男の個体周波数をデータバンクと照合した。そして、時空間通信でこのことを時間管理局本部に報告し、再び千鶴に襲い掛かろうとした時、すでに、危険を察知した千鶴は遥か彼方のジャングルに逃げ込んでいく所だった。

(あいつ、一体何者なの!しつこいわ。あいつも不老不死みたいだけど、あの素早さは人間じゃない。)

20世紀から21世紀初頭にかけての現代で生まれ育った千鶴にはイエスイの正体については皆目見当もつかなかった。漠然と自分をこんな目に合わせた宇宙人と同類だろう、と考えているだけである。一方、またもや千鶴を取り逃がしたイエスイは、時空間通信で管理局本部に十何通目かの始末書を送るはめになった。

 

コロンブスが千鶴と別れて半年後、彼はスペイン本国から17隻の大船団に2000人の武装した兵士や植民者を乗せて再び戻ってきた。コロンブスに率いられた荒くれ者のスペイン人たちは、ハイチ島とキューバ島を支配下に置き、両島に住むインディオを奴隷化して鉱山で働かせた。それまで大自然の中でのんびりと暮らしていたインディオは過酷な労働に耐え切れず、バタバタと死んでいった。スペイン人の男は1人につき、数人の若いインディオ女をセックスのためだけに所有し、混血児を大量に孕ませた。夫や父、兄弟を鉱山に送られたインディオ女たちは生活手段もなく、スペイン人の慰み者として生きていくしかなかった。時間管理局に発見されないよう、ジャングルに潜み、その様子を眺めていた千鶴は考えた。

(いつの時代でも同じだわ。強い者が弱い者を征服し、あらん限りの暴虐を尽くす。征服された側はなぶり殺しにされるか、奴隷や家畜として人間以下の扱いで生きていくしかない)

遥か未来でも、同じことが行われようとしている。5000光年の彼方より来襲したネオガイア星人によって地球は蹂躙され、人々は絶対服従を誓わされ、奴隷か生体実験の材料として生きていくしかないのだ。

(なんとかしなければいけない!宇宙人がこの世界に来襲するまで後500年ある。その間に迎え撃つ準備をし、宇宙人を撃退する力を蓄えるのだ。今、ここにいる、あたしが歴史を変えなくては!・・・でも一体どうやって・・・)

千鶴は途方に暮れた。今の千鶴は、長年の放浪でボロボロになった自分の肉体以外何も所有していない。売春婦として体を売って自分1人、生きていくのが精一杯の有様なのだ。思索に行き詰った千鶴は急にコロンブスが恋しくなり、会いに行きたくなった。今まで歴史上の有名人物に接近することで時間管理局に発見されることを恐れていたのだが、とうとう千鶴は、彼に会いたいという衝動に負けてジャングルを出、建設中のスペイン人の町の中にある植民地総督府へと向かった。現在のコロンブスはイザベル女王より全権を委託された植民地総督、という新大陸で最高の地位にある。幸い総督府の門番の男は、コロンブスの最初の航海の時、何度も千鶴がセックスの相手をしたことのある顔見知りの水夫だった。

「おお!千鶴さんじゃねえか!久ぶりだな、今までどこに行ってたんだ?」

「ちょっとね。・・・それより、コロンブスに会いたいんだけど、通してもらっていい?」

「いいとも。総督も喜ぶと思うよ」

千鶴は遠慮なくずかずかと建物の奥へと入って行き、コロンブスを探し当てた。

(コロンブス、会いたかった!)

久しぶりにコロンブスの姿を見て千鶴は懐かしさのあまり胸に熱いものが込み上げてきた。しかし、コロンブスは気のない返事だった。

「ああ、君か・・・」

「とうとう、あなたの夢がかなったわね!」

「そうだな。君の方はどうだ?今も売春婦をしているのかね。ここじゃ、若いインディオ女が略奪でいくらでも手に入る。商売あがったり、だろう?」

コロンブスは売春婦である千鶴をさげずんだような目で見た。彼は、今は夢だけを追うペテン師ではなく、スペイン王室より正式に認められた総督なのだ。

「君はこの卵を立てることが出来るかね?」

おもむろにコロンブスはポケットから生卵を一つ取り出した。自分の成功を誇示するパフォーマンスのためにいつも持ち歩いているらしい。千鶴はコロンブスの態度の変化に戸惑いながらも、必死に古い記憶をたどった。この歴史的なエピソードには何かオチがあったはずだ。しかし、1500年以上も昔の記憶を思い出す事ができなかった。

「こうやるんだよ」

コロンブスは卵を軽くテーブルの上に叩きつけ、底面の殻を少しだけ潰して卵を直立させた。

「なーんだ、こんなやり方なら簡単だ、と思うかもしれない。だが、私の成し遂げた事もこれと同じだ。最初に思いつき、実行することが大切なんだよ」

「はあ・・・」

講釈を垂れられ、興ざめしている千鶴に、更にコロンブスはもう一つ卵をポケットから取り出して渡した。

「君は、売春婦だから、同じことを、手を使わずにオマンコでやってみたまえ」

千鶴は馬鹿馬鹿しかったが愛するコロンブスが言うので、スカートをまくりあげ、下着を下ろして、オマンコに生卵を挿入した。千鶴のオマンコは相当年季が入って使い込まれて赤黒く変色しており、卵を一つ挿入する事など意図も簡単である。千鶴は卵を膣の奥まで飲み込んだまましゃがみこむと、ゆっくりと膣圧を加え、卵をひねり出していった。そしてヌラヌラと愛液に濡れた卵が半分ぐらい顔を出したとき、思い切り卵を締め上げて滑らないようにし、軽く底面を床に叩きつけた。クシャッと殻が少しつぶれる。そしてまた、膣圧を調整して卵の残りの半分をひねり出し、見事手を使わず卵を床の上に直立させた。

「さすがだ。やはり筋金入りの売春婦は違う!わはははは!」

コロンブスは笑い転げた。千鶴はそんなコロンブスの態度に腹が立った。

「あたしを馬鹿にしてるの?一体誰のおかげで新大陸まで無事航海が出来たと思っているの?」

「売春婦である君のおかげだ、とでも言いたいのかね?」

「もういいわ!さようならコロンブス。夢が叶って良かったわね!頑張って出世してね!」

千鶴は叩きつけるように捨て台詞を残すと総督府の建物を飛び出して行った。それが、千鶴がコロンブスと会った最後の場面だった。

 

コロンブスと決別した千鶴は再び売春婦として生きていく事にした。しかし、スペイン人の町でストリート営業をしたが、すでに大勢のインディオ女をセックス奴隷として所有しているスペイン人たちに、金を払ってまでセックスをしようという物好きはいなかった。仕方なく千鶴は鉱山で働く奴隷のインディオの性欲処理をして僅かな報酬を貰ったり、新大陸の未知の部分へ探検に行く帆船に乗り込んで、船員の性欲処理を引き受けたりした。しかし、ある時カリブ海を探検中の帆船の中で千鶴は自分の体の異変に気づいた。体のあちこちにシコリや赤い湿疹が大量に出てきたのだ。微熱が続き、体がだるかった。

(これは・・・ひょっとして梅毒???)

梅毒はインディオの間で流行っているこの時代では新大陸特有の性病だった。新大陸に来てからも売春婦として誰彼構わずセックスしている千鶴が感染するのは至極当然の結果だと言える。千鶴が梅毒にかかっていることに気づいた探検船の水夫たちは怒り狂った。

「てめえ!俺たちにもうつしやがったんじゃねえだろうな!」

「病気持ちの売春婦は海に叩き込め!」

この時代、一旦梅毒に感染すると全く免疫を持っていないヨーロッパ人の死亡率は極めて高い。たまたまコロンブスとは旧知の間柄で、温情深い性格の持ち主だった船長の計らいで、何とか海に叩き込まれる事だけは免れた千鶴は近くの海岸に1人降ろされ、置き去りにされた。梅毒に体を蝕まれた千鶴は朦朧とする意識で1人、中南米の未知のジャングルをさ迷い始めた。

(・・・苦しい・・・この時代に梅毒を治す薬なんてあるのかしら???こんなところで死ぬわけにはいかないのに・・・)

千鶴は徐々に体を蝕み、進行する梅毒と戦いながら、治療法を求めて何年もの間ジャングルをさ迷い続けるしかなかった。

 

第76話、作者の受難(その2)

 

現代の地球上空、衛星軌道を周回するネオガイア星人の宇宙船の中で、自分が想像した登場人物に拉致された『生体実験』の作者(年齢、職業不詳、性別男)は、奴隷としての悲惨な日々を送っていた。全裸の姿で、肛門に逆らうと高圧電流の流される極太アナルストッパーを挿入され、首からはアテナ女医に頂いた使い古された銀色のブーツを有難く、お守りのようにぶら下げている。宇宙船の中を自由に徘徊することを許されているのだが、排泄のため時々アナルストッパーの開口部の鍵を開けてくれるよう、ネオガイア星人の誰かに懇願しなくてはならない。

「プラトン様、どうかアナルストッパーのロックを解除してください。もう3日も排泄してないんです!」

作者はプラトンの足元に土下座をし、廊下の床に額をこすりつけて必死の形相で頼み込んだ。プラトンは、他の地球人を見る時と同じく、下等動物を眺めるように作者を見下ろしている。

「また鍵の話か!いつもいつも、うるさいぞ!大体、お前のような奴に、この俺様が想像されたのだと思うと、どうにも腹が立ってしょうがない!」

プラトンは憎々しげに作者の顔面に蹴りをいれ、作者は吹っ飛ばされて仰向けにひっくり返った。

「あがあっ!・・・か、鍵が無いとウンチが出来ないようにしたのは、あなた達じゃないですか!」

「なんだと!口答えするのか!」

プラトンは追い討ちをかけるように、無防備にむき出しにされている作者のチンポと玉袋を蹴り上げた。

「あぎゃあああ!」

同時に作者のアナルストッパーのセンサーが反応し、直腸に高圧電流が流れた。

「・・・う、うう・・・助けてくれ・・・」

感電し、手足を痙攣させてヒクヒクさせている作者の体をプラトンが何度も何度も蹴り上げた。

「醜いチンポをぶらさげやがって!俺からのプレゼントだ。お前に特製の貞操帯をつけてやる。少し待ってろ!」

プラトンは自室へと戻り、しばらくすると苦しみ悶えて床に伸びている作者の所へ、金属製のベルトと生首美帆ちゃん(21歳、元女子大生)の髪の毛をひっ掴んでやってきた。

「ほらよ」

プラトンは無造作に生首美帆ちゃんを床に投げ出した。

「きゃっ!」

美帆の生首は顔面から床に激突し、鼻血を出しながら床に転がった。

「お前、もう飽きちまったんだよ。俺は別のオモチャを探すから、お前、これからは作者の貞操帯の一部として生きていくんだ」

プラトンはまず、作者の腰に貞操帯の金属ベルトを巻き、更に正面のちょうど股間の位置に、作者のチンポと玉袋を美帆の生首の口に根元までしっかりと含ませて、外れないように固定した。つまり美帆は作者の股間から口を離す事ができず、作者もセックスしたり、自分の意思でオナニーする事が出来なくなった。

「むぐぐぐ・・・プラトン様・・・ずっと、ほのままなのれすか・・」

美帆はチンポを含んだまま口の外へ出すことが出来ないため喋りにくそうだった。

「ああ、そうだ、その貞操帯は永久に外れないようロックした。作者か、美帆かどちらかが死ぬまでそのままだな」

「ほ、ほんな・・・」

美帆の憂いを帯びた瞳から涙が流れた。プラトンは飽きたオモチャの厄介払いが出来て、上機嫌で立ち去って行った。しばらくたって、ようやく体中の痛みをこらえ、どうにか立ち上がった作者は自分の股間に新たに装着された美帆の生首を見て困り果てた。

 

美帆の生首はかなり重かった。肛門には極太のアナルストッパーが挿入されており、歩く際にどうしてもひどいガニ股になってしまう。

「オシッコがしたくなってきた。このまましてもいいかな?」

「らめれす・・・首から下が無いのれ、飲み込め無いれす・・・」

「じゃあ、トイレに行こう」

作者は宇宙船内の共同トイレに行き、いつも良く使っている美菜(18歳、元女子高生)の生首が埋め込まれている洋式トイレの個室に入った。作者が便座のフタを開け、座ろうとすると、便器の底から作者の腰にぶら下がっている美帆の生首を見た美菜は叫んだ。

「お、お姉ちゃん???」

「そ、そのほえ(声)は美菜らの???」

美貌の生首姉妹は離れ離れになってから、約1年ぶりに以外な場所で再開し、感涙にむせび泣いた。作者はそんな事にお構いなしに我慢していたオシッコを美帆の口の中に放出した。

「げほっ、げほっ!」

口一杯にあふれ出したオシッコは飲み込む事が出来ないため、美帆の鼻の穴や口の端から逆流して噴き出した。流れ落ちた黄色いオシッコは便器の底の美菜の顔面に降り注ぐ。美菜は目をつぶり、ただ無心で受け止めている。

「ああ、スッキリした」

用を達し終えた作者が水洗レバーを引くと、給水タンクから洗浄水がチューブを通して美菜の鼻の穴に注入され、美菜はそれを一旦口にためてシャワーのように、すぼめた唇から噴き出した。一年間に渡る人間ウォシュレットとしての生活で美菜は完璧に馴れており、最初のころ苦しんだ鼻腔の奥の焼けるような痛みなど全くない。美菜は丁寧に作者の股間と、美帆の頭を洗浄した。美少女美菜の生息での乾燥も終わると作者は便座から立ち上がり、フタをパタンと閉めた。

「美菜ひゃん、頑張っへね・・・」

「ええ、お姉ちゃんも・・・」

姉妹はひと時の再会に、涙を流しながら別れを告げた。トイレを出た作者は再び途方にくれて廊下に座り込んだ。

「これから、どうしたらいいんだ・・・俺が執筆しなくても物語はどんどん勝手に進んでいるようだし、何がなんだかさっぱりわからない・・・」

作者のつぶやきに、宇宙人拉致被害者である美帆はとうとう怒りを露わにした。

「あならのせいれす。あならが全て悪いのれす!あらしがこんな姿にされたことも、あならの考へたことでしょう!」

「それはそうなんだけど、まさか作品の世界が実在するとは思いもしなかった。全部架空の話のつもりだったのだが・・・」

「いいわへ(言い訳)はよひて!あなたらけは許さらいわ。ほのままチンポほ噛み切ってやる!」

美帆は口に根元まで含んだ作者のチンポに歯を立てた。

「ぐわあああ!やめろ!それだけはやめてくれ!」

パニックになった作者は拳で美帆の頭を思い切り殴り、気絶させた。

「ふう。何とか助かった。しかし、これからどうすればいいんだ。事態はどんどんひどくなる一方だ。・・・くそっ、俺は作者だぞ!登場人物に舐められてたまるか!俺が状況を変えてやる!」

作者はいきまいたが、具体的にどうすればいいかわからず、虚しく壁を拳で殴りつけるしかなかった。しばらく作者が無力感に苛まれ、廊下の端にうなだれて考え込んでいると、突然、宇宙船が激しく振動し、警報サイレンが鳴り始めた。

(な、なんだ?事態の変化か???)

作者は気を失っている美帆の生首を腰にぶら下げたまま、よろよろと立ち上がった。

 

宇宙船のコクピットは大騒ぎになっていた。船長のソクラテス、パイロットのプラトン、オペレーターのアリストテレスらが事態を掌握するため、必死に電子機器を操作している。

「船長、攻撃を加えて来たのは百足星人の海賊船です!」

アリストテレスがレーダーで確認を取った。

「なんだと!あのムカデの宇宙海賊か!プラトン、すぐに退避運動!アリストテレス、地上のヘラクレス提督に通信を入れろ!」

「はっ!」

ソクラテス船長は解析された海賊船のデータに素早く目を通した。百足星人特有のデタラメに金属塊をつなぎ合わせたような虫の巣をイメージさせる醜怪な宇宙船である。かなりの大型艦のようだ。プラトンの素早い操縦で退避しようとする宇宙船に海賊船からエネルギー砲が雨あられと降り注いだ。バリアはあっさり破られ、激しい振動が何度も船を襲う。

「ドッキングしているピタゴラス博士の宇宙船が直撃を受けました。コントロールが聞きません!」

「仕方ない、切り離せ。博士は無事か?無事なら転送ビームでこちら側へ回収しろ」

「わかりません・・・ああっ!集中砲火来ます!」

ピタゴラス博士の研究船を切り離し、加速をかけようとした瞬間、エネルギー砲の雨に包まれた。しかし、偶然、切り離した研究船が盾となり損傷は軽微だった。ソクラテス船長の宇宙船が、奇跡的に砲火線上から離脱した瞬間、ピタゴラス博士の研究船は大爆発を起こし、火球となって宇宙に消えた。

「博士が!」

研究船にはピタゴラス博士の他に、大勢のアンドロイドや研究途中の地球人の実験体がかなりの人数収容されていたはずだった。それらは全て、一瞬にして宇宙の塵となって消えた。

 

第77話、サイボーグ戦士再び

 

「この星の戦力はどれくらいだ?」

海賊船の司令室で百足星人の司令官がオペレーターに尋ねた。全長5メートルの大ムカデたちがのたうっている。デスクや椅子などはなく、支柱に巻きついた大ムカデが100本あまりの触手で壁や支柱に埋め込まれた電子機器を操作しているのだ。ヒューマノイド型の生物から見れば身の毛のよだつ光景だった。

「ネオガイア星人の大型母艦が1隻、高速巡洋艦が1隻です。いずれもエネルギーバリアに守られた地上基地に停泊中です。地上基地全体の戦力は把握できませんが、大したことはなさそうです。それから、この星の原住民の軍事力ですが・・・」

「原住民など無視して構わん!」

司令官は一喝した。百足星人は未知の銀河から渡ってきた知的生命体である。その科学技術は全く異質であり、幾つかの分野ではグレイの技術をも上回る。

「まずネオガイア星人の戦力を徹底的に叩く。その上でゆっくりとこの星を略奪するのだ。銀河警察は今、別の宙域での宇宙暴走族の一斉取締りで忙しい。通報を受けたとしてもこの星に到着するまで80時間はかかるだろう」

百足星人たちは久しぶりの大規模な略奪に興奮していた。

「アンドロイド部隊1000体を地上基地に降下させて、ネオガイア星人どもを制圧しろ。宇宙船が発進するようなら衛星軌道上からエネルギー砲で狙い撃つ」

「了解です」

ただちに海賊船の大型転送室にアンドロイド部隊が召集された。百足星人のアンドロイドはやはり、製作者に似せて作られており、ムカデ型である。その中に元サイボーグ戦隊の清水優香(23歳)と奥平渚沙(26歳)も混じっていた。水中専用サイボーグの優香は全裸の背中にスクリューを背負っており、全身にムカデの触手が埋め込まれている。接近戦用サイボーグの渚沙は胴体と目の周りだけが人間の肌で、残りは特殊加工の黒レザーで覆われており、右手に電機ムチ、左手に硫酸浣腸器を装備している。全身にムカデの触手を埋め込まれているのは優香と同じだ。二人は百足星人に捕らえられて以来、海賊の手先として数々の惑星や宇宙船を襲撃し、罪もない知的生命体を何百人も惨殺していた。

「優香、いよいよ地球よ。判ってるわね、この機会に逃げるのよ」

渚沙が優香に小声で囁いた。

「え、ええ、判ってるわ、これを逃せば、もう二度と自由になれない」

優香と渚沙の体が、周囲のアンドロイドたちと共に転送ビームの紫色の光に包まれ、消えていった。

 

 さざなみ市の郊外、ネオガイア星人の軍事基地の周りに無数のムカデ型アンドロイドが実体化した。ソクラテス船長の宇宙船より海賊襲撃の連絡をうけ、すでにさざなみ市全域に警報は出ていたが、海賊の行動があまりに素早くネオガイア星人たちにはまだ応戦する準備が出来ていなかった。軍地基地、及びその周辺の市街地のいたるところで激しい市街戦が始まった。優香と渚沙は軍事基地の敷地から少し離れた繁華街に実体化し、百足星人の命令通り、通行人の虐殺を始めた。

「うわあああ!助けてくれええ!」

「今度は何だ!どうしてこう、俺たちには、次から次へと災厄ばかり降りかかるんだよ!」

ここ一年間災厄続きの、さざなみ市民たちが逃げ惑っている。渚沙は市民達の背中に電気ムチを浴びせて感電死させ、触手を絡みつかせて絞め殺していった。優香も人殺しは嫌だったが、命令なのでしょうがなく、触手を使ってOLやらサラリーマンやらを捕まえ、肛門や、口や、オマンコから触手の先を侵入させて内蔵を掻き回し、死に至らしめていた。

(うう、同じ地球人を殺すなんて・・・あたし、もう人殺しはたくさん・・・)

優香は泣きながら殺戮を続けていた。脳内コンピューターには百足星人のプログラムがインストールされており、まだ逃げるチャンスがない。逃げるためには母船からの信号が何かのトラブルで断絶し、コントロールが途切れる瞬間を待つしかない。最初に、優香と渚沙が百足星人に捕まった時、身に着けていたネオガイア製の武器は、ほとんどがエネルギーやカートリッジが使い果たされて、補給がないため無用のものとなっている。今でも使えるのは渚沙の右手の電気ムチと、優香の、略奪の間、全く使う機会のなかったオマンコ魚雷ぐらいだ。他の武器としては百足星人に埋め込まれた数十本の触手を使って攻撃するしかない。

「異星人たち、無駄な抵抗はやめなさい!」

いつの間にか優香と渚沙の周りをジュラルミンの盾を持った地球人の警官隊が取り囲んでいた。さざなみ署の機動隊だ。なぜか全員、上半身だけキッチリと制服を着用しており、下半身が裸で、お尻とチンポが剥き出しである。さざなみ市の警察関係者はネオガイア星人占領本部の命令でフルチンが義務付けられているのだ。真冬の寒さでチンポも萎縮している。

「ハ、ハクション!」

季節に関係なく、ズボンとパンツを履くことが許されないため、ほぼ全員が常に風邪気味だった。いたるところからクシャミが聞こえてくる。

「な、なんなのこいつら???」

フルチンポリスを始めて見る渚沙は戸惑った。渚沙と優香も全裸なのだが、警官たちの下半身だけ裸という姿は、どう見ても中途半端である。

「地球の警察じゃないかしら・・・」

「わかってるわよそんなこと!なんで下半身が剥き出しなのかって、聞いてんのよ!」

「知らないわ・・・」

「とにかく、相手が警察なら、人質をとるのよ」

優香と渚沙は数十本の触手を伸ばして近くにいる通行人たちの体に巻きつかせ、出来る限りの人数を人質に取った。そして触手の尖った先を人質の口の中に押し入れ、いつでも殺せることを警官達にアピールする。

「それ以上、近付いたり、変な真似をしたら、人質の命はないよ!」

「馬鹿なことはやめて、人質を解放しなさい!そんなことをして、君たちのお母さんは泣いているぞ!ハクション!」

「うっせえ!やりたくてやってんじゃないわ!」

さざなみ市の繁華街で、二人のサイボーグ戦士とフルチン警官隊の睨み合いは続いた。

 

第78話、靴磨きの少女

 

 物語は時間的に百足星人が来襲する少し前へと遡る。浮浪少女、矢萩麻衣(19歳)は、さざなみ市の繁華街の路地裏で、ケーブル人間の二人、木之本恵美(26歳、元女性捜査官)と原田慶介(28歳、元会社員)と一緒に路上生活をしていた。ケーブル人間たちはネオガイア星人の生体実験によって手足、頭部をバラバラに胴体から分離され、それぞれをケーブルでつなぎ合わされているため、這いずり回ることしか出来ない。その日の朝、目を覚ました恵美が悲鳴を上げた。

「きゃああ!あ、あたしの右足がないわ!」

昨日の晩までケーブルで恵美の胴体に繋げられていた右足が、ケーブルの接続部分を外され、無くなっているのだ。浮浪少女の麻衣はあわてふためいている恵美に冷ややかに言った。

「ああ、あなたの右足なら、昨日、売って欲しいって言う、脚フェチの男がいたから、1万円で売っちゃったわ」

麻衣は薄汚れたズボンのポケットから1万円札を取り出して、ヒラヒラと恵美の顔の前にかざした。恵美は顔を真っ赤にして逆上した。

「そ、そんな!この餓鬼、なんてことしてくれたの!あたしの足に代わりはないのよ!早く行って、返して貰って来て!」

残った手足をバタバタさせて暴れまわる恵美の脇腹に麻衣はスニーカーで蹴りを入れた。

「ぎゃうっ!」

「あはははは!元女刑事だかなんだか知らないけど、今は、這うことしか出来ない哀れな生き物なんだ。一人前の口をきくんじゃないよ!」

「うう・・死にたい・・・いっそ殺して!」

恵美はあまりにも無力な現在の自分に、顔を真っ赤にして口惜し涙を流した。

「ふんっ、本当は死ぬ事が一番怖い癖に。口先だけで軽々しく、死にたい、死にたい、って言うんじゃないよ!」

麻衣が啖呵を切った時、アタッシュケースを持ったサラリーマン風の男が3人の方に近付いてきた。

「靴磨きを頼む」

麻衣は二人のケーブル人間を使って、1足100円で靴磨きの営業をしていたのだ。道路上の3人の寝床のすぐ傍にダンボール紙にマジックで『靴磨き100円』と書いた看板が立てられている。

「いらっしゃい。いつもご贔屓に・・・おらっ、恵美、いつまでも、泣いてんじゃないわ、仕事よ!」

麻衣はサラリーマンに椅子を用意して座らせ、その前に恵美の頭部を引き摺って行った。ケーブルの長さは2メートルあるため、胴体は動かさなくても頭部だけを移動できる。恵美は顔を真っ赤にして泣きながらも、目の前に突き出されたサラリーマンの履いている本皮のビジネスシューズに舌を伸ばし、埃を丁寧に舐め取っていった。

「う、うう、死にたい・・・」

ケーブル人間のバラバラの体のパーツには、それぞれ小型の生命維持装置が取り付けられていて、その中の栄養カートリッジを何年かに一回交換しなくてはならない。それを買うためのお金を稼がなくては、と麻衣は恵美と慶介に説明している。しかし、本当は彼らが稼いだお金は貯金せず、その都度、麻衣が飲食費やタバコ代に使ってしまっており、もし、そのことがバレそうになったら、麻衣はケーブル人間たちとオサラバするつもりだった。恵美がサラリーマンの靴の汚れを舐めているともう1人別の客が来た。今度は女性でしかも外国人だった。

「いらっしゃい、いつもご贔屓に・・・」

「久しぶりね、麻衣ちゃん」

ハッとして麻衣が相手の顔をマジマジと見ると、それは浮浪少女だった麻衣を、さざなみ市まで連れて来た張本人、フランス人ジャーナリストのカトリーヌ・レクレール(29歳)だった。

「相変わらず、元気そうね。あら、こんな楽しそうなお友達も出来たの?」

「こんな惨めなやつら、友達じゃないわ。ただの商売道具よ」

「そう、ならあたしもヒールを磨いて頂こうかしら。散々、歩き回ってかなり汚れているの。100円でいいのよね」

カトリーヌは財布から100円硬貨を取り出すと麻衣に渡し、サラリーマンと並んで椅子に腰掛けた。

「毎度あり。・・・おらっ、慶介!仕事よっ!」

「あ、あああ・・・」

麻衣は胴体から分離されケーブルで接続されている慶介の頭部をカトリーヌの足元に引き摺って行った。慶介はケーブル人間にされたショックで半分頭がおかしくなっている。それでもうめき声を上げながら舌を伸ばし、カトリーヌの擦り切れた、埃まみれの白いハイヒールを舐め始めた。

 

カトリーヌは慶介にハイヒールを舐めさせながら悠然とした態度を取っていたが、内心ではどうしようもない焦りと危機感を感じていた。半年前、スクープをモノにするため、宇宙人支配下の町、さざなみ市に潜入したのはいいのだが、エネルギーバリアに封鎖されたこの町から出る方法はないのだ。撮影した写真や記事は衛星電話回線を使って契約しているフランスの新聞社に送っているからいいのだが、自分自身を脱出させる方法がない。入る時は、港に陸揚げされるコンテナに紛れて入って来たのだが、逆方向へ運ばれる荷物が全くないため同じ方法で脱出することが出来ない。すでに、手持ちの滞在費も残り少なくなり、唯一外との連絡手段である衛星電話もこのところ、機械の故障で調子が悪く、繋がったり繋がらなかったりする。パリで購入したブランド品のスーツとコートを着ていたが、ずっと着用しているため、かなりヨレてきていた。カトリーヌが物思いに耽っていると突然、遠くから幾つかの爆発音が聞こえ、悲鳴やガラスの砕け散るような音が町のあちこちから聞こえてきた。

(なに、なんなの?何か、新しい事件かしら?)

憂鬱な気分に浸っていたカトリーヌは、一瞬にしてジャーナリスト魂に火が付き、行動を開始した。

「もういいわ!」

必死に舌でハイヒールを舐めていた慶介の頭を乱暴に蹴飛ばして払いのけると、パッと立ち上がって騒ぎのする方向へ駆け始めた。

「またね、麻衣ちゃん!」

「毎度あり・・・」

浮浪少女とケーブル人間は慌ただしく走り去って行くカトリーヌの後ろ姿を見送った。息を切らせて騒ぎの現場に駆けつけたカトリーヌは物影から恐ろしい光景を見た。町のあちこちに無数に出現した全長5メートルのムカデ型のアンドロイドが、無差別に破壊を繰り広げており、それを止めようとして出動したネオガイア星人のアンドロイド部隊や地球人のフルチンポリス達と激しい市街戦を行っている。戦いの巻き添えになった通行人たちはあっさりと殺され、至る所に死骸が転がっていた。それはまさに地獄のような光景だった。

(撮影しなくちゃ)

カトリーヌは愛用しているヴィトンのバッグからカメラを取り出して、物影からその様子を何枚も写真に撮り、コメントをつけて、壊れかけの衛星電話の回線を何とか繋いで、遠く離れたフランスの新聞社へと送信した。

 

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